ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜 作:真莉藻
今回もお付き合い頂ければと思います。
脚に被弾し、転倒して動けなくなった僕のディランザに赤いガンプラがビームサーベルを振り下ろそうとしたその時だった。
「そこまでですわー!!!」
「へ?」
赤いガンプラは、空から勢いよく降ってきた"何か"に吹き飛ばされてしまった。
「な…、なんだぁ…?」
「空からいきなり…!?」
後ろで見ていた残りの2人は突然のことに状況がわからず呆気にとられており、僕も状況が飲み込めずにいた。
「何が起こったの…?」
するとさっきの衝撃で巻き上がっていた土煙の中から一体のガンプラが姿を現した。
四つ又の大きなブレードアンテナにツインアイ。
全く知らないMSだったが、僕はなんとなくその顔に見覚えがあった。
「ガンダム…?」
僕が唯一知っているガンダム作品である『水星の魔女』に登場するガンダムタイプMS、エアリアルやルブリス、ファラクトにどこか似た雰囲気を目の前のガンプラに感じて、そんなことを呟いていた。
「そこのディランザの貴方、大丈夫ですの?」
僕がぼーっと見惚れていると、そのガンプラのダイバーらしい人から通信が飛んできた。
「は、はい…!」
僕は慌てて応えた。どうやら助けに来てくれたらしい。
「何とか間に合ったみたいで良かったですわ。
もう大丈夫、あとは私に任せてくださいまし。」
その人はそう言うと残る2人の方に向き直った。
僕は安心して力が抜けたのか、コクピットの中にへたり込んでしまった。
ーーーーーーーーーーー
初心者狩りというのは何度見ても気分の良いものでは無い。
大体が1人か2人の初心者ダイバーに対して、複数人で襲うといったような形なのだが今回も例に漏れず、初心者らしきディランザのダイバーがアヘッド1機とジンクスIII(アロウズ仕様)2機の3人に襲われていた。
3人とも目の前の獲物に夢中で私の接近に気づかなかったのか、簡単に奇襲は成功した。
リーダー機らしいアヘッドは出会い頭に吹き飛ばし、そのままテクスチャの塵へと変えてやった。
仲間の2人は何が起こったのか理解できていないようで固まってしまっている。
「そこのディランザの貴方、大丈夫ですの?」
私は後ろで倒れて動けなくなってしまったディランザのダイバーに呼びかけた。
左腕が喪失し、右脚も膝から下がなくなっている上にその他にもあちこちボロボロだった。
ミッションの途中だったのだろう。周囲に他のダイバーはおらず、ミッションの中断やログアウトもなんらかのチートツールでも使われたのか、逃げることも出来なかったようだった。
そんな状況で自分よりも格上のダイバー相手に3対1でよくここまで持ったものだ。
「は、はいっ…!」
少し上擦った返事が返ってきた。
声から考えて小さな男の子だろうか。内心変なスイッチが入りそうになるのをなんとか理性で抑える。
(これは可愛らしいショタの予感…い、いけませんわ。今はこの子を助けないと…。)
「何とか間に合ったみたいで良かったですわ。
もう大丈夫、あとは私に任せてくださいまし。」
そう言って私は残った2人の初心者狩りの方を見る。
可愛い男の子(おそらく)を寄って集ってボロボロになるまでいたぶったのだ。
その罪は重い。
「さぁ、残るは貴方達2人だけですわ。
初心者相手に3人で寄って集ってイキリ散らすなんて恥ずかしいと思いませんの?」
「うるせぇ! そっちこそいきなり割り込んで来てヒーロー気取りかよ!?
俺はテメェみたいなヤツが一番嫌いなんだよ!」
「初心者狩りくらいが何だっていうんだよ!
邪魔しないでくれるか!?」
私の問いかけに対して、ジンクスIIIのダイバー2人は逆上して突っかかってきた。
全く、マナー違反を犯しておいてこの開き直りっぷりなのだから聞いて呆れる。
「…弱い犬ほどよく吠えると言いますけれどその通りですわね。
貴方達みたいなお馬鹿さんには何を言っても無駄のようですわ。」
「…っ!? テメェブッコロシャァ!!!」
「こっちはまだ2人いるんだ!
お前も俺たちのダイバーポイントにしてやる!!」
我ながら安い挑発だったが、頭に血が上ったのか2人ともまんまと乗ってきた。
1機はGNビームライフルを、もう1機はGNランスに内蔵されているビームガンを乱射しながらこちらに向かってくる。
「お可愛いこと。
そんな豆鉄砲、私のマルコシアスには効きませんわよ?」
私は相手の攻撃を避けずに、敢えて全身で受けてやった。
マルコシアス含め、『鉄血のオルフェンズ』に登場するMSのガンプラには"ナノラミネートアーマー"のアビリティがデフォルトで備わっており、素組みでもある程度のビーム兵器に対する耐性がある。
その上、私のマルコシアスはGPDでの現役時代から修理と改造を繰り返して作り込んで来たのだ。中途半端な完成度のガンプラのビーム攻撃程度では傷一つ付けられない。
「ちっ! いくらナノラミでもこれっぽっちも効かないなんてアリかよ!?
こうなりゃ、これでどうだ!!」
「援護は俺がやる!お前は構わず突っ込め!」
自分達の攻撃が全く通じないことで動揺するかと思ったが、意外に冷静なようだ。
ビーム攻撃が効かないとわかるや、そのまま近接戦に持ち込もうとGNランスを装備した方のジンクスIIIが突撃、もう一方のジンクスIIIはこちらの動きを牽制しようとGNビームライフルでの射撃を続けている。
「くらいやがれっ!!」
突撃してきたジンクスIIIがGNランスを突き出してくる。
「なるほど、ただのお馬鹿さんではなかったみたいですわね。でも…」
私はGNランスの刺突をバスタードメイスで受け流し、そのまま強引に打ち上げた。
「なっ…!?」
「その程度の攻撃、止まって見えますわよ?」
突き出したランスを腕ごと打ち上げられる形になり、無防備になったジンクスIIIの頭の上からバスタードメイスを振り下ろす。
当然避けられるわけもなく、突っ込んで来た方のジンクスIIIは頭から叩き潰され、そのまま爆散した。
「さぁ、あとは貴方だけですわね。」
「くそっ…!!く、来るなぁ!!」
仲間を一撃で倒されて流石に堪えたのか、残った1人は狂ったようにGNビームライフルを乱射した。
私は構わず距離を詰め、バスタードメイスの範囲まで近づくとGNビームライフルを持っている方の腕に叩きつける。
金属のひしゃげる嫌な音をたて、GNビームライフルは持っていた腕ごと砕け散った。
「ぐっ…、この化け物めぇ…!!」
なんとか体勢を立て直すと今度は頭部に装備されているGNバルカンを撃ってくるが、悪あがきもいいところである。
「口の利き方には気をつけたほうが良いですわよ? さようなら、お馬鹿な初心者狩りダイバーさん。
…二度とそのツラ見せんじゃねぇ、ですわ♪」
私はマルコシアスの左腕のクローを展開すると、そのままジンクスIIIの股間部分にあるコクピットに突き立てた。
コクピットを破壊されたことで撃墜判定が下り、3機目のジンクスIIIもテクスチャの塵になって消えた。
「…ふぅ、いっちょ上がりですわ。
さっきの3人は運営に報告するとして、まずはあのボウヤをロビーまで連れて戻りましょうか。」
(せっかく始めたGBN、あんな馬鹿どものせいで辞めるなんてことにならなければ良いのですが…。)
そんなことを考えながら、私はディランザの初心者ダイバーのところまで戻るのだった。
第弐話、お読みいただきありがとうございます。
順次書きながらの投稿になりますが、気長に待っていただければ幸いです。
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