ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜 作:真莉藻
少しだらだらと長くなってしまいましたが、お付き合い頂けると嬉しいです。
「すごい…!」
僕は助けに来てくれたガンダムタイプ(多分)のガンプラに見惚れてしまっていた。
あんなに怖かった赤いガンプラの攻撃を物ともせずに、残った2人をあっという間に倒してしまった。
(前に動画で見せて貰ったチャンピオンって人以外にも、GBNってあんなに強い人がいるんだ…。
僕もいつか、あんな風になれるのかな…。)
コクピットの中でそんなことを考えていると、さっきのガンダムがこっちに戻って来た。
僕がお礼を言うために通信を繋ごうとしていると、先にガンダムのダイバーさんから話しかけてきた。
「貴方を虐めた3人はしっかり懲らしめて来ましたわ。
一度セントラルエリアのロビーまで戻りましょう。」
「は、はい!
でも僕のディランザ、もう動かなくて…」
「大丈夫、私に任せてくださいな。」
ガンダムのダイバーさんはそう言うと、さっきの戦闘でボロボロになって動けなくなってしまった僕のディランザの肩に自分のガンプラの腕を回して助け起こしてくれた。
ディランザよりもかなり細身のガンプラなのになんてパワーなんだろう。
「これで良しと…。
それでは行きましょうか。しっかり捕まっててくださいましね?」
僕はそのままガンダムのダイバーさんに抱えられて廃墟エリアを後にした。
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セントラルエリア、ロビー。
GBNの玄関口であり、ミッションカウンターやショップ、カフェ等がある為多くのダイバーが行き交う場所である。
そこの一角で私はさっき初心者狩りから助けた、ディランザのダイバーを待っていた。
とりあえず、あの子にはボロボロになってしまった自身のガンプラの修理の為に先に格納庫の方に行ってもらっている。
手順等は移動中に教えてあるのでおそらく大丈夫だろう。
私はその間にさっきの初心者狩り3人組の件を運営に報告し、念の為あのGBNの案内役にしてお節介焼きのダイバーにも連絡しておいた。
「…運営とマギーちゃんへの連絡はこれでOKっと。
あのディランザのダイバーの子、大丈夫かしら?迷ってないと良いのだけど…。」
無事に落ち合えるか心配していると、不意に横から声が聞こえた。
「…あの…、お姉さんがさっき僕を助けてくれたガンダムのダイバーさんですか…?」
声のした方を見ると、そこには『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するアスティカシア高等専門学園の制服に身を包んだ、紺色のショートヘアの小さな男の子が立っていた。
緊張しているのだろう、両手で制服の裾をギュッと掴んで、少しもじもじとしながら上目遣いでこちらを見ている。
(…嘘、なんて可愛い子なのかしら…!!
本当にこんな可愛らしい男の子があのディランザのダイバーだったなんて…。私ツイてますわ!)
目の前の男の子のあまりの可愛さに、今すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られるが、流石にここで通報されるわけにもいかないので残った理性で強引に抑え込んだ。
「…アスティカシア高専のダイバールックということは、貴方があのディランザのダイバーさんですわよね?」
私は確認のため、男の子に聞き返す。
すると男の子は少し安心した様子で頷いた。
「無事に落ち合えて良かったですわ。
初めまして、私はマリモと申します。お会い出来て嬉しいですわ。」
「は、初めまして…!僕はユウっていいます。
さっきは助けてくれてありがとうございました…!」
私が挨拶すると、男の子、ユウ君はぺこりとお辞儀をしてお礼を言った。
仕草一つ一つが可愛くて仕方がない。
「ユウくん、良い名前ですわね。構いませんわ、たまたま近くにいただけですから…。
さて、貴方のディランザの修理待ちの間、少しお話しませんか?
もちろん、貴方さえ良ければですけど。」
ユウ君はどうしようと言った感じでおどおどしていた。
さっきの挨拶の時もそうだったが、だいぶ緊張しているのだろう。ゲームの中とはいえ初対面の、しかも自分と歳の離れた人間と話しているのだ。無理もない。
「大丈夫、別に取って食おうというわけではありませんわ。嫌なら嫌で構いませんし。」
正直なところ、せっかくこんな可愛らしい男の子に会えたのだからもう少し一緒にいたいという下心が無いといえば嘘になる。
しかし、さっきあんな酷い目に遭ったのだ。1人にしておくのが心配だった。
とはいえ、ダイバールックからして小学生くらいだろうか。このくらいの年頃の子が1人でGBNをやっているとは考えにくい。
今日はたまたま何か事情があって1人なだけで、一緒に遊ぶ約束をしている友達がいるかもしれない。
だとしたら私は"ただの通りすがりのお節介な人"でとどまるべきで、これ以上は関わらない方が良いのかもしれない。
私がそんなことを考えていると、ユウ君が口を開いた。
「…僕も、お姉さんにお話、聞いてもらいたいです…。」
そう言って恐る恐る私の顔を見てきた。
…本当になんて可愛いんだろうか。
私に話を聞いて欲しいと言ってくれた嬉しさもあり、このままお持ち帰りしてしまいたい衝動がこみ上げてくるが、無理矢理押し殺す。
「ありがとう。
ここで立ち話も何ですし、あそこのカフェに行きましょうか。」
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セントラルエリア・ロビー内のカフェ
「美味しい…!ゲームの中なのに食べたり飲んだりできるなんて、GBNって凄いです…!」
「本当にお腹いっぱいになったりはしないんですけどね。」
ユウ君は目の前のケーキの味に目を輝かせていた。
聞けば今日GBNを始めたらしく、さっき初心者狩りに襲われていた際にやっていたチュートリアルミッションが、GBNでの初めてのミッションだったそうだ。
嫌な思い出には間違いないだろうが、話を聞いている限りではトラウマにはなっていなさそうだったので、間に合って本当に良かった。
「初GBNの日に、一緒に遊ぶはずだったお友達が急用で来れなくなってしまった上に初心者狩りに襲われて…、災難でしたわね。」
友達のことは仕方ないが、あの3人はこんなに可愛い子のGBNデビューを台無しにしたのだ。もし万が一、どこかでまた会うようなことがあれば血祭りにあげてやろう。
「…あの時はすごく怖かったですけど、お姉さんが助けにきてくれて、嬉しかったです…。
悪いダイバーさん達をあっという間にやっつけちゃったお姉さん、カッコよかったです…!」
「まぁ!嬉しいことを言ってくれますのね〜!」
本当にたまたま自分が近くにいて、それでお節介を焼いただけなのだが、この子のヒーローになれたのならそれは純粋に嬉しかった。
それはそうとして、気になっていたことがあったので聞いてみることにした。
「ところで、ユウくんが使っていたガンプラ、ディランザでしたけど好きなのかしら?」
やはりガンプラ…、ガンダムが好きでGBNをやっている人間としては、使っているガンプラのことは気になる。
「はい…! 実は僕、まだガンダムは水星の魔女しか知らなくて…。さっき言ってた僕をGBNに誘ってくれた友達に教えてもらって観ました…。
そこで、エランさんのファラクト相手にグエルさんがディランザで決闘して…。
負けちゃいましたけど、あの時のディランザがすごくカッコよかったんです…。」
「なるほど…、そういうことだったのですね。
ディランザ、カッコいいですわよね。」
どうやらあのディランザはラウダ機だったようだ。あの時は中破状態でよくわからなかったが、そういば近くに大型ヒートアックスが落ちていた。
カスタム機とはいえ、この歳で量産型MSに一目惚れとはなかなかシブい。
まだ水星の魔女しか知らないということなので、これから色々なガンダム作品に触れていって欲しいところである。
「…お姉さんのガンプラは"ガンダム"なんですか…?」
今度はユウ君の方から聞き返してくれた。
しかし、水星の魔女の話が出た後に「ガンダムなのか?」と聞かれるとなんとなく変な気分になってしまう。
「その通り、よくわかりましたわね。
"ガンダムマルコシアスツヴァイ"、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』という作品のガンダムマルコシアスを元に作った、私の相棒ですわ。」
「相棒…、なんか凄く、良いです…!」
「貴方のディランザもそうでしょう?
一緒にGBNの世界を巡る相棒のはずですわ。」
「…!はい…!」
これからこの子は、あのディランザとどんな景色をみるんだろうか。
そんなことを考えていると、ユウ君にガンプラの修理完了の通知が届いた。
「あっ…、僕のディランザの修理、終わったみたいです…。」
「あら、もう時間ですのね。
それではそろそろ行きましょうか。」
私はユウ君を見送るために、一緒にカフェを出た。
時間も少し遅くなってしまったので、今日はそのままログアウトするそうだ。
「…ケーキとお茶、ご馳走様でした。
あと、お姉さんとお話出来て良かったです…。」
「私も楽しかったですわ。
…そういえば、まだフレンド登録、してませんでしたわね。」
「フレンド登録…?」
「そうですわね、リアル世界でお友達と携帯の連絡先を交換するようなものですわ。
フレンド登録をお互いにしておくと、メッセージやメールのやり取りなどが自由にできるようになりますわ。」
私はコンソールを操作してユウ君にフレンド申請を送った。
ユウ君も私がやったのと同じように申請を送ってくれたので、お互いに登録を済ませた。
「はい、これでOKですわ。
もし、また何か困ったことがあったらいつでも連絡してくださいね。
…お仕事があるので、すぐには飛んで来れないかもしれませんが…。」
「…あはは…、わかりました…。」
本当はいつでもどこでも飛んでいきたい気持ちだが、こればかりはどうしようもない。
流石にユウ君も苦笑いしていた。
「さぁ、遅くなるといけませんわ。
ディランザの様子を見に行くなら、メニュー画面のここから格納庫に直接行けますわ。」
自分のガンプラのことも気になるだろうと思い、格納庫へのショートカットの方法を教えていると、ユウ君が少し恥ずかしそうにしながら口を開いた。
「あの…、またGBNで会ったら、一緒にミッション、やってくれますか…?」
「…!」
なんとミッションのお誘いだった。
一瞬、嬉しすぎて天に召されそうになった。
向こうから誘ってくれたのなら、断る理由はない。
「もちろんですわ…!
是非ご一緒させて下さいな!」
「…ありがとうございます! 約束、です…!」
(マジで可愛い過ぎますわ〜!!)
心の声が漏れそうになるが、なんとか格納庫に向かったユウ君を見送った。
彼が完全にいなくなり、いつも通り1人になった。
(…ショタのフレンド、ゲットですわぁ〜!!
それにしても、あの可愛さは反則ですわ…!
あぁ…、もう色々とお世話してあげたくなっちゃう…!)
周りに他のダイバーがいるにも関わらず、さっきの余韻に浸っていると、よほど気持ち悪い顔をしていたのか、近くにいたダイバーから変な目で見られた。
(あら、私としたことが少し漏れてしまっていたみたいですわ。)
「コホン、そろそろ私も行きましょうか。」
私は今日の本来の目的を達成するべく、ミッションカウンターに向かった。
というわけで、マリモさんとショタっ子、ユウくんとの対面回でした。
ヤバいお姉さんに目をつけられたユウくんの運命やいかに…。
次回はマリモさんのリアルのお話をできればと思っています。