ガンダムビルドダイバーズ 〜お狐メイド長のGBNライフ〜   作:真莉藻

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お世話になっております。
毎度お待たせしてしまっていますが、第八話になります。
前回でユウくん、ハルさんと一緒にミッションに出掛けることになったマリモさん。
はたして無事にクリア出来るのか…。


第八話

「ユウちゃん、そっち行ったよー!」

「わかった…! これ以上行かせないよ…!」

「2人とも、味方部隊の被害は今のところ軽微です。 順調に進んでいますわ。」

 

次々と襲ってくるウィンダムと105ダガーを蹴散らしつつ、私はユウくんとハルに声をかける。

私たち3人はユウくんのダイバーランクをDに昇格させるため、「オルドリン自治区防衛」というミッションを今まさに攻略中だった。

ミッション内容は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の物語冒頭の戦闘を再現したものになっており、C.E.75年のオルドリン自治区を舞台に、襲撃してきた地球連合軍のブルーコスモス残党部隊をザフト軍の守備部隊と共に撃退するというものである。

劇中と異なり、キラ・ヤマト率いるコンパスのMS部隊が介入してこないのだが、途中敵の増援として出現するデストロイガンダムが破壊目標に設定されており、これを倒せばミッションクリアとなる。

逆に自分たちが撃破されるか、守備部隊が全滅してしまうと失敗になってしまうため、味方の状況にも気を配らなければならなくなっている。

 

「Eランクのミッションだから強さは大したことないけど、とにかく数が多いなぁ〜。

ユウちゃん、また2機、そっちに行ったよ!」

「大丈夫、任せて…!」

 

2機の105ダガーがユウくんのディランザに接近しビームサーベルで斬りかかろうとするが、ユウくんは手持ちの大型ヒートアックスのリーチを活かし、ビームサーベルの間合いに入る前に2機とも薙ぎ払って見せた。

 

「ユウちゃんないすぅ〜!

流石はお姉ちゃんの弟だよ〜。」

「凄いですわね…。

GBNを始めてまだ数日とは思えませんわ。」

「もう、ハル姉ちゃん…。

マリモお姉さん、ありがとうございます…!」

 

私とハルが褒めると、ユウくんが少し照れくさそうに応える。

使っているガンプラこそ初対面の時から変わらず素組みのディランザ(ラウダ機)だが、動きはGBN初心者とは感じさせないものになっていた。

 

「これもお姉ちゃんとの日頃の"デート"の成果だね。♪」

「デ、デート!?」

「ちょっと、ハル姉ちゃん…! 恥ずかしいからやめてよ…! 一緒にゲームして遊んでただけじゃないか…。」

「むぅ、別に良いじゃ〜ん。

お姉ちゃんにとっては、ユウちゃんと遊ぶことは"デート"なの。」

 

"デート"と聞いて一瞬固まってしまったが、2人は日頃から色々なゲームを一緒に遊んでいるらしい。

幼馴染なので別に普通ではあるのだが、なんと羨ましいことか。

 

「…コホン。

2人とも、また敵が来ますわよ? 備えて下さいまし。」

「は、はい…!」

「おっと、ごめんなさ〜い。

さーて、もうひと頑張りしますか〜!」

 

ハルに惚気続けられるのも癪だったので、私は強引に会話を切り、再び迫ってくるウィンダムと105ダガーをマルコシアスの両手に装備させたライフルで1機ずつ撃ち抜いていく。

今回、私はあまり手を出さずに危なくなったら助けるくらいでと思っていたのだが…。

 

「ふん、どれだけ数が多くたって私のライノグレイズには近づけないんだから!」

 

ハルのガンプラに接近しようとしていた数機の105ダガーがあっという間に消し炭になる。

ハルが使用しているガンプラは、グレイズの下半身を戦車型に変更し、重武装と重装甲を施したガチガチの重装タンク機体だった。

Eランク帯のミッションとはいえ、さっきからかなりの数の敵の攻撃を真正面から受けているのだが、びくともしていないところを見ると随分と作り込まれているのだろう。

ユウくんの成長もさることながら、ハルが思っていたより強かったのでこれなら私の出る幕はなさそうである。

別に格好をつけたいというわけではないのだが、少しくらいユウくんに良いところを見せたいという気持ちはあったので、少し残念である。

そんなことを考えていると、コクピットに新たな敵が出現したことを知らせるアラートが響く。

 

「さて、いよいよ本命がお出ましですわ。」

「凄い…。これがボス機体…?」

「そう言えばユウちゃん初めてだっけ?

そうだよ〜。あのおっきいのがデストロイガンダムだよ。」

 

数機のウィンダムと105ダガーを引き連れ、MA形態のデストロイガンダムがオルドリン守備部隊のジンやディンの攻撃を陽電子リフレクターで防ぎながらこちらに接近してくる。

フライトユニットに装備された2連装高エネルギー砲、"アウフプラールドライツェーン"がこちらを向き、砲口に光が宿るのが見えた。

 

「各機散開!

デストロイが撃ってきますわよ!」

「えっ…、あ、はい…!」

「ユウちゃん、こっち! 早く!」

 

私たちが攻撃を避けるため回避行動を取ろうとしたその時、デストロイの頭上から突如ビームの雨が降り注ぐ。

 

「「「は…?」」」

 

フライトユニットごと本体を貫かれ、爆発を起こしながらデストロイはその場に擱坐、随伴していたウィンダムたちもまとめて撃破されてしまった。

 

「…どういうこと? 全部やられちゃったんですけど…。」

「姉ちゃん、マリモさん、何が起こったの…?」

「今、この場に友軍のNPC含めあんな攻撃のできる機体はいませんわ…。

だとすれば…っ!? 2人とも、下がって!!」

 

突然、コクピットに高熱源反応のアラートが鳴り響く。

私がほぼ反射で2人の前に出て、マルコシアスにバスタードメイスを構えさせた瞬間、デストロイが攻撃された方向からビーム兵器による砲撃が飛んできた。

 

「…っ!? 随分と高出力ですわね!」

 

私はバスタードメイスを盾にして砲撃を受けたが、威力が高すぎて何とか受け流すので精一杯だった。

 

「くっ…、まさかこの私が押されるなんて…。

2人とも、大丈夫ですか!?」

「は、はい…! 大丈夫です…!」

「私も問題ないですよー!」

 

防ぎきれずに受け流した為、私の背後のエリア一帯が吹き飛んでしまったが、ユウくんもハルも上手く避けてくれたらしい。

2人の無事を確認すると、私は通信をオープン回線に切り替え、いきなり攻撃してきた不届者に呼びかける。

 

「何者です!?

ミッションに乱入し、荒らした上にこちらに攻撃してくるなどマナー違反も甚だしいですわ!」

「へ〜、今の攻撃耐えちゃうんだ〜。

ただの初心者さんたちじゃないみたいだね〜。」

 

私の呼びかけに返ってきたのは、甘ったるい女の子の声だった。

そして1体のガンプラ、ビビットなピンク色に染め上げられてはいるが、今私たちが受けているこのミッションの出典元と同じSEED FREEDOMに登場するラスボス機体、ブラックナイトスコード・カルラがデストロイの残骸の上に降り立つ。

 

「やっほ〜、宇宙一可愛いみんなの妹系G-TUBER、リリムちゃんだよ〜☆」

 

ピンク色の髪の毛をツインテールにまとめ、同じくピンク色のフリフリの衣装に身を包んだ可愛らしいダイバールックが特徴的な女の子ダイバーが、コクピットのモニターでビシッとポーズを決めていた。

 

「…?? 宇宙一可愛い…?」

「リリム…? リリムって…、あー!!」

「ちょっ、ハルさん!? どうかしましたの?」

 

突然の強烈な自己紹介にめまいを覚えたが、ハルが何か思い出したかのように上げた大声で現実に引き戻された。

 

「マリモさん、知らないんですか?

最近話題の有名美少女G-TUBERですよ!

…まぁ、有名といっても良くも悪くもって感じですけど…。」

「あら、そうでしたの?

すみません、知りませんでしたわ…。」

「姉ちゃん、じーちゅーばーって何…?」

「あー、ユウちゃんには言ったことなかったっけ?

G-TUBERっていうのは、GBNのミッション攻略とかガンプラ制作とかの動画を撮影したりしてG-TUBEに投稿してる人たちのことだよ〜。」

 

ハル曰く、異例の速さでSランクまで到達しガンプラバトルでも強く"天才"とまで言われた、あざと可愛いところが人気のG-TUBERとのことだが、近頃はミッション乱入や不正ツール使用などの問題行動が多く、よく炎上しているらしい。

私たちが自分の良からぬ話をしていたのが気に触ったのか、リリムが口を挟む。

 

「ふーんだ。あんなのリリムが可愛くてつよつよなことを僻んだかわいそーな人たちが勝手に言ってるだけだもん。

普通にゲームやっててもすぐにできちゃうからつまんないし、リリムはリリムが楽しければそれで良いの。」

「貴女ねぇ…。

個人プレイのオフラインゲームならどう楽しもうが個人の勝手ですが、これはオンラインゲームですわ。

他のプレイヤーの迷惑なるような行為は避けるべきではなくて?」

「何よ。リリムに逆らう気?

ま、"おばさん"たちじゃリリムに勝てないだろうけどね〜。」

「おば…っ!? …コホン。

ハルさん、ユウくん、ミッション放棄か強制ログアウトはできますか?」

「え? あ、ちょっと待ってくださいね。

あれ…、コマンドが反応しない…。」

「僕もダメみたいです…。」

「…なるほど、そういうことですか…。」

 

リリムに禁句を言われ、思わず激昂しそうになるがそれどころではないので、なんとか堪える。

本来できないはずのミッション途中の乱入、デストロイが倒されたにも関わらずミッション完了にならずにこのエリアに取り残されていることからおかしいと思っていたが、ミッションの放棄やログアウトもできないとなるとあのリリムというダイバーが何らかの不正手段を使っているとみて間違いないだろう。

 

(しかも、さっきの攻撃の異常なまでの威力から察するに、機体側のパラメータもいじられている可能性がある。厄介ですわね…。)

「あは! リリムからは逃げられないんだよ〜?

じゃあ、お話するのも飽きちゃったし、そろそろやらせてもらうね?」

 

リリムがそう言った瞬間、リリムのカルラは私たちの視界から姿を消していた。

 

「消えた…!? そんなバカな…。」

「そんな、一体どこに…」

「はいはーい、リリムはここだよ〜?」

「えっ…?」

 

私がリリムの声に反応した時には、既にハルのライノグレイズにカルラの装備しているドラグーンシステム、"サハスラブジャ"から放たれた無数のビームが降り注いでいた。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

「しまった…! ハルさん!!」

「ハル姉ちゃん…!?」

 

ドラグーンの一斉射を受けたハルのライノグレイズは、持ち前の重装甲も意味を成さず、あっという間に撃破されてしまった。

 

「あははは! あっけな〜い!

やっぱりおばさんたち、よわよわだね〜☆」

「…貴女、少々悪ふざけが過ぎますわよ!!」

「わっ! ちょっと、いきなり危ないじゃん!」

 

ハルを瞬く間に無力化し、油断して動きの止まっていたリリムの懐に一気に入ると、バスタードメイスを横薙ぎに振るう。

完全に不意を突いたはずだったが、左手に持った対MS強化刀で受け止められてしまった。

 

「ちっ! 今のを防ぎますか…!」

「ふーん、おばさん結構やるね〜。

何だかこのまま相手するのも面倒臭そうだし、ちょっと静かにしててもらおうかな〜。

"闇に堕ちちゃえ!"」

「なっ…!?」

 

SEED FREEDOM劇中にて、グリフィンがキラとシンの精神に干渉した際に使っていた言葉をリリムが口にした途端、私のマルコシアスは何故か動かなくなってしまった。

 

「操作を受け付けない…? 一体どういう事ですの!?

動きなさい、マルコシアス…!」

「どお? リリムはつよつよだからぁ、こんなこともできちゃうんだよ〜!」

 

リリムの口ぶりからして、こちらのガンプラに何か細工をしたのは間違いない。

動けない私のマルコシアスはなす術なく、リリムのカルラに右腕と両脚を斬り飛ばされてしまい、戦闘不能にされた。

 

「ぐぅっ…! 抑えるどころか一方的にやられてしまうなんて…!」

「そんな…、マリモお姉さんまで…。」

「さーて、おばさんとおねーさんは片付けちゃったしあとはボウヤだけだね☆」

 

ハルと私を立て続けに撃破し、リリムは最後のお楽しみとばかりにユウくんを次の獲物に定める。

可愛らしいダイバールックとは正反対の、嗜虐的な笑みを浮かべながらゆっくりとユウくんのディランザの方へ向かう。

 

「うぅ…、ハル姉ちゃんとマリモお姉さんがやられちゃったのに、僕はそれを見てるだけなんて…。 怖いけど、ぼ、僕だって…!

「へぇ、ボウヤよりも強い2人をやっつけたリリムに向かってくるんだぁ?」

「ユウちゃん、ダメ…!!」

「いけません、ユウくん! 今の貴方の敵う相手ではありませんわ…!」

「やぁぁぁぁ…!!」

 

ユウくんはディランザのスラスターを全開にしリリムのカルラとの距離を詰めると、その勢いを乗せたまま大型ヒートアックスをカルラへと振り下ろす。

リリムは防御するでも避けるでもなく、無抵抗でその攻撃を受けた。

 

「え…?」

「あはははは!! ざんねーん☆ そんなよわよわなガンプラじゃ、リリムのカルラは倒せないよー?」

 

ディランザが振り下ろした大型ヒートアックスはリリムのカルラに当たった瞬間、粉々に砕け散ってしまった。

カルラを含むブラックナイツの機体が持つ"フェムテク装甲"には物理攻撃は有効なはずなのだが、ユウくんのディランザが素組みであることを考えても無傷なうえに武器側が壊れてしまうのはいくらなんでも固すぎる。

勢い余って体勢を崩してしまったディランザに、リリムは容赦なく蹴りを放つ。

ユウくんは咄嗟に両肩のシールドで防いだものの、素組のディランザが耐えられるはずもなく吹き飛ばされてしまった。

 

「うわぁぁぁぁ…!!」

「ユウくん…!」

「ユウちゃん!!」

 

リリムのカルラに蹴り飛ばされ、ユウくんのディランザは近くにあった建物の残骸に背中から叩きつけられた。

両腕はカルラの蹴りを防いだ際にシールドごともがれ、激突の衝撃でバックパックも破損してしまった。

 

「強いダイバーさんをボコボコにしてプライドをズタズタにするのも楽しいけどぉ、こうやって初心者さんをいたぶるのがやっぱり一番楽しいんだよね〜!」

「う…、あぁ…。」

 

機体ダメージが危険域に達し、アラートが鳴り響くコクピットでユウくんはへたり込んでしまった。

そこへ自身の欲望が満たされ、心底楽しそうなリリムが近づく。

 

「ユウちゃん、逃げて!!」

「いつまで寝ているのです!? 動きなさい、マルコシアス…!!

あんな小娘にユウくんをやらせるわけには…!」

「ばいばーい、ボウヤ☆」

 

動けないユウくんのディランザにトドメを刺すべく、リリムは対MS強化刀を振り下ろす。

が、"何か"がその攻撃を遮った。

 

「「「「…!?」」」」

 

ディランザを両断するはずだったカルラの対MS強化刀は弾き飛ばされ、地面に突き刺さっていた。

いつの間に入ってきたのか、ユウくんのディランザとリリムのカルラとの間に1体のガンプラが立っていた。

 

「…ちょっとぉ! 誰か知らないけど、せっかく良いところだったんだから邪魔しないでくれる!?」

「…だ、誰? 味方なの…?」

「あの機体、まさか…!」

 

突然介入してきたガンプラは、赤と銀に塗装された『機動戦士ガンダム』に登場するジオン軍のMS、グフの発展型に当たるイフリートだった。

私はそのカラーリングと機体に見覚えがあった。

 

「久しぶりだな、マリモ。

随分と手酷くやられてるじゃないか。」

 

赤と銀のイフリートから、少なくとも今私が一番聞きたくない声が聞こえてきた。

 

「…やはり貴方でしたのね、ガイキ…!」

 

イフリートのダイバー、それは私のGPD現役時代からの因縁の相手にして腐れ縁、ガイキだった。

 




というわけで、第八話でした。
今回、A-Key様(ID:243065)よりガイキさんをお借りしております。
うちのマリモさんとは、昔からの腐れ縁という設定にさせていただいておりますので今後のお話でもちょくちょく登場予定です。
それでは、また次回もお付き合いいただければ幸いです。
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