戦闘狂のヒーローアカデミア   作:ゴマだれ

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ウレシイ…ウレシイ…

今回から体育祭編の方を書いていきます
宣誓の時何て言わせよう…


独白と挑発

 

「俄には信じがたい…これを1人の生徒がやったというのか?」

 

USJのヴィラン強襲から約数時間が経過した

既に侵入してきたチンピラ達は全て捕縛され、教師陣のプロヒーロー達は事後処理に追われていた

 

そんな中、USJの損壊状況の把握と復旧に当たっていたヒーローの1人であるセメントスは周囲の状況に唖然としていた

 

「一部始終を見てたオールマイトはそう言ってるわ…にしてもどういう戦い方をすればこうなるのかしら?」

 

控え目に言ってUSJの状況は壊滅的と言わざるを得ない。地面は砕け割れ、電源含め送電システムはほぼ全滅、USJを覆うドーム状の天井すらも半壊しており復旧にはその手の個性のヒーローに協力を仰いでも数日はかかるだろう

 

「負傷者の方は?」

 

「13号とオールマイトが重傷、それ以外だと生徒の中だと緑谷君が軽傷…そして負傷こそ無いけど源力君が意識不明、相澤君はさっき意識が回復したみたいよ」

 

「意識不明?負傷も無いのにか?」

 

「リカバリーガールとオールマイトの話から察するに個性の過度な使用による疲労によるものみたいね」

 

「正直、もう少しコンパクトに戦って欲しかったが…死人が出なかっただけ良かったよ」

 

不満を漏らすがそれでもこの規模の襲撃となると、死人の1人や2人出ていても何も可笑しくなかった以上多くを語る必要はないだろう

 

しかし主犯格のヴィランは未だに捕まっていない

教師陣にとってはそれだけが不安の種だった

 

 

 

 

 

 

 

 

「…んぁ…とこだここ?」

 

雄英本校舎の保健室

そのベッドの上でUSJ事件一の功労者でもある離人は目を覚ました。周りを見渡すと窓からは既に夕日が射しており、少しの間を置いて気絶する前のことを思い出す

 

(!!そうだ、あのクソヴィラン…!)

 

自身の至福とも言えるあの戦いの時間

それを1度ならず2度も邪魔したあの2人に離人は煮え滾る怒りを抱いており、あの場で仕留められなかった事に歯軋りをする

 

「おや、起きたのかい」

 

「!アンタは実技試験の時の…」

 

離人の目覚めに気付いたのは雄英の保健医リカバリーガールだった

 

「全く…最近の若者は自分の個性で倒れるのが主流なのかい?」

 

「そんな訳ねぇだろ…他の奴らは?」

 

「13号とオールマイト以外は無傷か軽傷だよ…アンタかいイレイザーを治したのは」

 

「あぁ」

 

「何で治療が出来るって事前に申告しなかったんだい?」

 

「言っとくがアレはアンタのソレより使い勝手が悪い、出来ても折れたり切断された四肢をくっつけるのが限界だ…別に0から1を作り出すもんじゃない」

 

「だとしてもだよ、それでもアタシの個性よりかは全然使えるじゃないか」

 

「…ま、治療(ヒーラー)なんて俺の柄じゃねぇし」

 

「あんな派手な戦い方をすればそうなるだろうね」

 

離人が目指すのはあくまでも()()、後方支援の治療役なんて本人としても真っ平御免だった

 

「大丈夫そうなら帰る前にアタシに一声かけな。親御さんには連絡してあるから」

 

「あいよ」

 

そう言ってリカバリーガールはベッドを覆うカーテンの向こう側へと姿を消していった

 

「んで、アンタはアンタで酷いザマだな…少し痩せたか?」

 

「少し所では無いと思うが…」

 

ふと離人がカーテンを開けて隣のベッドを見る

そこにはガリガリに痩せた骸骨みたいな金髪の男がいた

 

「良いのかオールマイト、俺の前にその姿で居て」

 

「…やはり分かるか」

 

それは数刻前まで戦っていた筋骨隆々の男、オールマイトだった。離人は個性で感知していた為その正体にも既に気づいていた

 

「アンタの状態は最初の授業で分かっていた筈だが、まさかそこまでひでぇ状態だとはな…今はどれだけ動けるんだ?」

 

「1日1時間半ってところかな…少なくとも私がヒーローとして活動出来る時間は」

 

「そうかよ」

 

「…聞かないのか、私に何が起きたか」

 

「誰にだって知られたくない秘密の一つや二つあるだろ、他人の問題に土足で踏み込む程血迷ってねぇよ」

 

この答えはオールマイトにとっては意外の一言に尽きた。それは今まで常識外れの狂気を孕んだ一面が目立っていたことによるギャップもあるかもしれない。

 

「とはいえ、君が私と緑谷少年の関係性について知ってる以上私の秘密については全て話した上で協力を頼んだ方が良さそうだな」

 

「いいぜ、一応タダって訳にはいかねぇけどな」

 

「(分かってはいたが、やはり何か要求してくるか…!)その条件は?」

 

オールマイトとしても何かしらの要求が来るのは承知の上だった。問題はその内容。離人の性格上考えられるのはオールマイトとの一対一(タイマン)だろうが万が一にもとんでもない要求をされるのではと危惧した。

 

「条件は一つ、『俺の言うことを1つだけ聞く』

内容についてはまだ決めてないから必要になったらその場で言う。ただし、『雄英生徒及びヒーローに対して危害を加えない』これは守るつもりだ」

 

「(あれ?意外と問題ない…?)…分かった、それでいこう」

 

てっきりオールマイトは自身と戦うことを条件に出すと思っていたが、わざわざ傷つけないという条件を自ら提示してきた事実に少し驚きながらも了承した

 

「それで、何から話してくれるんだ?」

 

「まず、私の個性からだ」

 

そこから離人はオールマイトの話に時に驚き、時に唖然としながらも耳を傾け続けた。昔に強大なヴィランを相手に取った後遺症で自身の身体がボロボロになったこと、個性を緑谷に受け継がせたことなど事細かに話した

 

「なるほどねぇ…凄い人生送ってるな」

 

「まぁね、にしても意外だったよ…君の事だから要求の内容は私との戦闘かと思っていたが」

 

「まさか、アンタとは授業形式的にどっかでぶつかる事になるだろ…さて、俺はそろそろ帰るか」

 

そう言うと戦闘服を着たままの体を起こし、ベッドから立ち上がる

 

「もう大丈夫なのかい?」

 

「問題ない、むしろ腹が減った」

 

元から身体的なダメージがなかった離人は既に疲労も回復しており、その足でも十分帰宅できた。

 

「それと明日は休校だよ」

 

「あいよ、そんじゃまたな」

 

まるで友達に話しかけるような感覚でオールマイトに別れを告げて保健室を後にする。しかし離人は気付いていなかった。オールマイトに深手を負わせたその巨悪の興味の矛先が自身に向いたことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして休校日を間に挟んだやって来た登校日

休校日の間に完全に疲れと消費したエネルギーの補給を済ませた離人だが、身体に違和感を覚えていた

 

(朝から妙に調子がいい…もしかしてUSJの時のあの感覚が原因か?)

 

それは離人が脳無との再戦時に感じていた限界を超えた強化出力の時であった。一時的ながらも現状の練度では到達出来ない境地に踏み込んだ事で離人の個性『エネルギー』の質そのものが上がっていた

 

(…これは鍛え直しが必要だな、多分前より出来る事は格段に増えてるはずだ)

 

死柄木達の介入があったとはいえ脳無に負けてしまったのは紛うことなき事実、離人自身もそれは痛感していた

 

そんな感情を持ちながらも教室の扉を開く

 

「あ、おはよう離人くん!体大丈夫?」

 

「おはよ、問題ねぇよ」

 

クラスの視線が一時的に離人へと向く

あれだけ派手な戦闘をしてその上戦闘後に気絶となれば誰しも安否は気になることなのだろう、だが葉隠はいつもと変わらぬように話しかける辺り人の良さが滲み出ていた

 

「離人!お前大丈夫なのか…?」

 

「だから大丈夫だっつってんだろ、元から身体的なダメージは全くねぇよ。むしろ腹が減りまくって帰りに特盛ラーメン5杯おかわりしたわ」

 

「フードファイターかよ…」

 

いつも通り変わらない離人の様子に切島も少し安心したような様子を見せる、そのまま席に着きしばらく経つと教室の扉から相澤が入ってくる

 

「おはよう」

 

「先生!無事だったのですね!」

 

(俺が治したからな)

 

相澤には一切の外傷もなく傍から見れば完全復活を遂げたように見えるがこれには離人のささやかな働きがある事は当事者以外誰も知らない

 

「俺の心配はいい、それより戦いはまだ終わってない」

 

この台詞に教室内は静まり返り緊張が張り詰める

まさかヴィランが来たのか、それともまた除籍の危機に晒されることになるのか、不安を持ちながらも顔を曇らせる

 

「雄英体育祭が迫ってる」

 

「「「「クソ学校っぽいの来たァーー!」」」」

 

久々の学校成分に教室の空気は先程とは一転し、明るいものへと様変わりした。ヴィランの襲撃から生き残ったとはいえ彼らも年相応の学生なのだ

 

(体育祭か…確か例年だと最後の方に一対一のデスマッチがあったなぁ、だが…)

 

ここで離人は横目で轟を見る

離人としては未だに半端な意志をもちあわせている轟とは戦いたくなかった。離人は轟に対し嫌悪感を抱いていた。

 

「各々どんな心構えでやろうと個人の勝手だが、年に一回…計三回の少ししかないチャンスだ。それを棒に振るかどうかはお前達次第だからな」

 

相澤は話を区切り、ホームルームを終わらせる

他のクラスメイトはどう感じとったのかは不明だが授業の準備を始める

 

(ま、それ以外にも良い奴はいるからな)

 

特に緑谷と爆豪との戦いは離人にとって願っても無い戦いであり、この機会はある意味転機とも言えるだろう。

未だ見ぬ戦いに思いを馳せながら離人も授業の準備を始めた

 

 

 

 

 

 

 

朝の体育祭の連絡のせいか授業はあっという間に終わり、既に放課後となっていた。離人も帰りの準備を始めていると

 

「離人くん…オールマイトのこと」

 

「…あぁ、昼に聞いてたのか」

 

緑谷が離人に話しかける

おそらく内容はオールマイトの秘密についでだろう

昼食時にオールマイトから呼び出されていたのは既に知っていた為、離人も話題については何となく分かっていた

 

「聞いた通りだ、同じ秘密を知る人間としてよろしくな」

 

「う、うん…それと思ったんだけど離人くんの個性でオールマイトの傷を治すことってできないかな?」

 

「生憎、他人の治療は自分の体の再生とは訳が違う。しかも俺の再生には負傷前後の差異…言わばイメージが必要だが、超がつくほどのオールマイトファンのお前が衰えを認識出来なかったのに俺が出来ると思うか?」

 

「そ、そうだよね…」

 

オールマイトの傷は今も変色しており、離人はタダの負傷では無く何か特殊な個性が作用している事も視野に入れていた。しかし、それ以上に離人の再生の条件はそこまで緩いものでは無くこれが1番の課題だった。1度植え付けられた認識と言うのは変えることは難しく、だからこそオールマイトの治療には課題が多く不可能に近かった

 

「あ、そうだ。もしお前が俺の前で個性を自傷無しで使えるようになったら鍛えてやるよ」

 

「え?!いいの!?」

 

「あぁ、構わん」

 

離人のこの提案には裏があった

個性というものは本来自身が1番よく使い方を知っているが緑谷のそれは後付けの個性であり、それは離人もよく分かっていた。

歩くことの出来ない子供に走る事を教えられないように今の緑谷は0か100しか無く、その間の力を意図的に出せるようになるのかは完全に緑谷次第だった

 

(もし1度でも0か100以外の出力で出せるようになれば話は早いんだがな…)

 

こればっかりは離人も手出しは出来なかった

そこに頭を悩ませていると入口の方から麗日の声が聞こえてくる

 

「な、なにごと・・・」

 

「何でこんなにも人が集まってんだ?!」

 

声のする方向に目を向けると教室の前の廊下が他のクラスから集まったであろう群衆に埋め尽くされていた

 

「敵情視察だろ?ヴィランの襲撃に耐えたやつがどんなのか体育祭前に見に来たってハラだろ。意味ねえし邪魔だ、どけモブ共」

 

「おめぇは知らない人を取り敢えずモブって呼ぶのやめろ!」

 

だが爆豪はそれに対して特に狼狽えることすらも無く、いつも通りの帰宅しようとする

 

「随分と偉そうだな。ヒーロー科の奴らって皆こうなのか?」

 

「あぁ!?」

 

「ちょっと幻滅しちゃうな」

 

しかしそんな爆豪を煽るかのように言う男子生徒

あまり見ない顔であったため恐らくヒーロー科などではなく普通科かサポート科の生徒だろう、爆豪に対しても突っかかるその態度は容易に離人の関心を生み出した

 

「知ってるか?体育祭の結果によっては普通科や他の科からでも、ヒーロー科編入も検討してくれるんだぜ?逆もまた然りだけどな。少なくとも俺は、調子乗ってると足元掬ってやるぞって宣戦布告に来たんだよ」

 

そう言うと言いたいことを言い終えたようでそのまま群衆の中に紛れて帰って行った

 

「おうおうおう!!隣のB組のもんだけどよ!えらく調子づいちゃってんなオイ!本番で恥ずかしいことなっても知らねーぞオイ!!」

 

それと同じように宣戦布告をしていく者もいるが爆豪はどういう訳か歯牙にもかけない

 

「ちょい待て爆豪!おめーのせいでヘイトが集まりまくってんだが!」

 

「知らねーよ」

 

「…は?」

 

「上に上がりゃ関係ねぇ」

 

「へぇ…」

 

この爆豪の言い様には離人も興味を持った

些細ではあるものの爆豪の中で何かが変わりつつあるのもそうだが、珍しく意見が合致したこともある

 

「同感だな、少なくともここでただボサっと見てるだけの奴には負けねぇよ」

 

「お前もかよ離人!流石に勘弁してくれ!」

 

「何だよ上鳴、こんな所でさっきの奴らみたく宣戦布告する訳でもなくただ時間を潰して自分を鍛え上げようともしないやる気のない奴らにどう負けるってんだよ?」

 

この離人の言い分に群衆の大半が図星を突かれたのか狼狽えたりたじろく者もいた、クラスメイトも一部の人間はどこか納得したかのような表情を浮かべている

 

「で、どうするかはお前ら次第だけど…まぁ、精々頑張れよ」

 

余裕しかないその立ち振る舞いは正しく強者の振る舞いであり、この場にいた離人と初対面の人間ですら彼が体育祭の優勝候補の1人として認識した。

 

そんな事は露知らず、離人も同じく帰路につく

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「よ、おかえり!」

 

離人の家でもある一軒家に着き、叔父に帰宅を知らせる。その顔は険しくも何処か嬉しそうな顔をしている

 

「地下室使っていいか?」

 

「お、いいぞ!何だよ〜珍しくやる気じゃないか!」

 

「うっせぇよ」

 

そう言うと離人は自分の部屋にあったトレーニングウェアに着替え、床に備え付けられたハッチを開く

 

(ホント、ヒーロー科目指すようになってからよく使うようになったな…)

 

そこはコンクリート製の頑丈で尚且つかなり広そうな空間だった、本来そこは叔父である源力光助がプロヒーローから依頼されたサポートアイテムや公安などから依頼されたヴィラン鎮圧用の非殺傷装備の試運転をする為の場所だったが今ではすっかり離人の修行環境となっていた

 

(…恐らくUSJの時に俺の個性は少し進化した。そして今まで出来なかった事も多少は出来るようになっているだろう)

 

成長を続けるのは緑谷達だけではない

この戦闘狂もより戦いを楽しむ為に自身の個性をより強く、そしてより自由に使えるように練り上げ続けていた

 

(アイツらも強くなるんだ、なら俺もそうしなくちゃなぁ…!)

 

2週間後に訪れるであろう戦い

それに思いを馳せながら離人は自身の個性の解釈を広めた

 

 





・オールマイトと取り引きした離人くん
OFAの真相とオールマイトの人生を知り弟子は師に似るものだと認識した。何を要求するかは実はちょっと決めている。実は宣戦布告してきた2人には割と評価高め
前回のPLUS ULTRA によって強化フラグが立った

・かなり頼もしい協力者を得たオールマイト
この度離人に全てを話し協力してもらうことにした
てっきり自分と戦うことを要求されるかと思ってたのに意外にも常識的な条件の提示に内心驚いてる
多分この人が頑張って離人を手引きすればAFOとか倒せるかもしれない

・同じく秘密を知る人間が出来た緑谷くん
オールマイトから話を聞いた時はちょっと驚いた
一応この子も離人君からの鍛錬によっては原作より強くなる可能性がある

・さり気なく回復してる相澤先生
本来ならミイラマンになる予定だったが離人の治療によって後遺症も無く復帰した

・さり気なくアップを始めた梅干し
オールマイトにイケメンフェイスを潰された梅干し
離人の個性に結構興味があるが本人が出向いたらワンチャン潰される可能性がある
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