戦闘狂のヒーローアカデミア   作:ゴマだれ

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前回、主人公の個性が詳しくわかると言ったな
あれは嘘だ

すいません、文量の都合上ここで一度切ることにします。本当に申し訳ありません


入学試験その1

 

高校受験

それは人生において最初の試験であり、分岐点とも見て取れる一大イベントである

 

ある者は喜びに震え

ある者は涙を飲むことになる

表から見ればそれはただの丸とバツの取り合いだが当事者たちにとって、それは紛れもない蹴落とし合いの戦争である

 

「離人、そろそろ起きとけよ

もうすぐ受験会場に着くんだからな」

 

「…んぁ?あいよ…」

 

ここにも1人、その戦いに身を落とす少年がいた

自宅から車で揺らされること1時間

倍率300倍とも言われるヒーロー養成の名門校『雄英高校』へと辿り着いた

 

「ここで下ろすから荷物を纏めろ

忘れ物はないか?受験票は?筆箱は?」

 

「家出る前に5回くらい確認したろ

なんでアンタが受験生より緊張してんだよ」

 

「だって離人の大一番だぞ!

これに緊張しない親なんていないだろ?!」

 

「うぜぇ…」

 

離人も親代わりの叔父には確かに感謝はしていた

ただ、それとは別にウザすぎる

もしこの男に娘がいたらウザがられ、間違いなく嫌われていたことだろう

 

「そんじゃ行ってくるわ」

 

「おう、離人」

 

「なんだ?」

 

「受かる受からない以前に

まずはお前が楽しんでこいよ!」

 

「…おうよ」

 

叔父なりの激励

それは離人の顔にこそ出ていなかったが確かなエールとして会場までの足取りとして伝わっていた

 

「うぉ…デッケぇな、テーマーパークレベルの広さしてるんじゃねぇかこれ」

 

この世界にも同じく存在する夢の国やUSJと比べても圧倒的な敷地面積に流石の離人も驚きは隠せなかった、ひとしきり周りを見ながら他の受験生と同じく校舎に向かって歩きはじめる

 

(…ん?)

 

その間に顔を真っ赤にしながら話す緑髪の少年と明るい雰囲気を醸し出す茶髪ボブカットの少女が話していた

 

(何だこの違和感…まるで複数人のエネルギーが重なり合ってるみてぇだな)

 

違和感に気づいたのは自身の個性の副次的なものによるものだった、『エネルギー』を扱うため本来は観測すらできない力を可視化させることが出来る

 

しかし、緑髪のソレは他とは訳が違う

本来無いはずの複数のエネルギーが混ざり合うかのように形成され、それは息を潜めているかのように微弱なものだった

 

(面白い…ここはあんな例外がポンポンいるところなのか、ハードルをあげてくれるな!)

 

試験すら始まっていないこの短時間

しかし既に離人の想定を上回る好敵手にこの時点でワクワクを抑えきれず、そのまま受験生とは思えない浮ついた足で校舎内へと入っていった

 

 


 

雄英の試験は午前に筆記

昼食を挟んでそのまま実技試験を行う形となっており、多くの生徒が集まる食堂では既に何かを悟った様な顔をする者もいた

 

(筆記は多分9割行っただろ

無勉の5月の模試の時点でB、秋には余裕のAだ

あれなら多少のマークミスも問題ないだろう)

 

大抵の受験生が食事をとる中

その中でも離人は一際周囲の注目を浴びていた

 

(にしてもお前ら見すぎだろ

確かに量は食ってるがそういう個性だとは思わんのかねぇ…)

 

離人の弁当は一般的におせちの詰め合わせに使うような三段の重箱だった。勿論全部一人で作った訳では無いが半分は自身の力、もう半分は叔父に手伝ってもらってはいるがその量は食べ物だけでも5kgは越えていた

 

(補給はこんなもんだろ

…さて、実技はどんな内容かね?)

 

雄英の実技試験は基本的に外部に漏れないように受験生達にも守秘義務がベース、そのため卒業生である担任すらもそれに関しては話すことは出来なかった

 

(とはいえ、卒業式の終わりの時点で個性の練度を見せたら『お前なら受かる』って言うくらいだし割とシンプルなのかねえ?)

 

本人は理解していないが離人の基礎スペックは経験値によるものを抜きにすればプロどころかトップ争いに参入できるレベルなのはかなり可笑しいのである

 

「やっべ、そろそろ時間じゃねぇか」

 

考えをめぐらせてるうちに実技試験の説明会の時間が近づいていた。すぐさま荷物をまとめて早歩きで会場に向かい、そして指定された座席に腰をかける

 

(やっぱ多いな…さて、俺と渡り合える奴はいるのかな?)

 

自身と同じように腰をかけている受験生に視線を向けて見定めるように観察する

 

(いねぇ…潜在能力(ポテンシャル)こそあれど、この段階だと流石にいないな)

 

拍子抜け…否、最初のあの少年がおかしかったのだと理解した時、説明が始まった

 

「今日は俺のライヴにようこそ!!! エビバディセイヘイ!!!」

 

(…全員無視かよ、虚し過ぎないか?)

 

無理もない話である

受験で緊張しまくってる彼らにとっては返事をしろというのが無茶である

 

「こいつあシヴィー!!! 受験生のリスナー! 実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!! アーユーレディ!?YEAH!!!」

 

(…うん、なおもそのテンションで続けるその気概は流石の一言だな)

 

それでもテンションを落とさず自分のペースでやろうとする司会に離人は呆れを通り越して尊敬の念すら覚えていた

 

「リスナーにはこの後10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!演習場には仮想敵を三種・多数配置してあり、それぞれの“攻略難易度”に応じてポイントを設けて―――」

 

(難しい言葉並べてるけど要は鉄くず破壊だろ?

他の要点はポイントの差異と減点の条件だろ)

 

離人は既にこの試験においての注意事項の特定と要点を頭に入れ、理解を終えていた。その上で他の話も聞きつつ頭を休めていた

 

「―――そしてそこの君!先程からボソボソと気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻!ここから立ち去りたまえ!」

 

(あ?)

 

ふと視線を向けるとそこには今朝校門にいた緑髪の少年が責め立てられていた

 

「そこの君もだ!

先程から話を聞かずに上の空、ほかの受験生に失礼だとは思わないのか!」

 

「へぇ…」

 

離人は何でもかんでも生真面目すぎるそのメガネ委員長に腹が立っていた、普段ならやり過ごしていたがいいものを見せてくれた礼にと少年の擁護に回ることにした

 

「10分間の『模擬市街地演習』、その中で仮想敵を三種・多数配置してあり、それぞれの“攻略難易度”に応じてポイントがある、また他の受験生の妨害行為は減点対象であり、各演習場にはお邪魔として0Ptのステージギミックの仮想敵が配置されている…で?誰が話を聞いてないって?

…しかも、緊張してる受験生に対してピンポイントで指摘した上に退席を求めるその態度…どの口が言ってんだ?」

 

「っ!そうだったのか…そこまでは考慮していなかった、申し訳ない!」

 

「い、いや僕の方こそゴメン…」

 

「…すいませんね司会者さん、時間取っちゃって」

 

「オ、オーケーだ!」

 

((((なんだアイツヤベぇ…))))

 

完膚無きまでの言い返し

自業自得ではあるが10言ったら50にして返されたこの状況には誰もが離人にドン引きするしかなかった

 

「さ、さて俺からは以上だ。最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った…『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!

更に向こうへ!Plus ultra!

 

 

 

 

 

 

「あの、待ってください!」

 

「あん?…さっきの緑パーマかよ」

 

説明会も終わり、各々が会場へとはけていく中

離人は先程注目の的となっていた少年に呼び止められていた

 

「あの…さっきはありがどうございます

その、あの時言い返してくれなかったら…」

 

「なんて事ねぇよ、ちょっといいもの見せてくれたからな」

 

「…いいもの?」

 

なんのことかはさっぱり分かってない少年は頭の上にハテナマークを浮かべることしか出来なかった

 

「それよりお前名前は?」

 

「緑谷です、緑谷出久」

 

「そうか緑谷か…

俺は離人、あんまがっかりさせんなよ?

こちとらお前のその力に期待してんだぜ」

 

「えっ!?ちょっ何でそれを!?」

 

緑谷は驚かざるをえなかった

なんせ自身が持つその特別な個性を面識すらない初対面の人間にあっさりと看破されてしまったからだ

 

「教えてください、何処でそれを?!」

 

「ハッ、お前がこの試験に受かってたら教えてやるよ」

 

緑谷の声をよそに試験会場へと向かう

離人としては背中に火をつける気持ちで発したその言葉が今後、あらぬ誤解を招いてしまうとは思いもしていなかった





・とんでもない爆弾落とした離人くん

なんかアイツおもしれーやつじゃん!
とか思って少し味方してやった人です
実際はなんか複数人の個性の存在を認識してるくらいなのでそれがオールマイトの個性だとは思っていもいない

・なんかおもしれーやつ認定された緑谷

助けてくれた人から知るはずのない重大な秘密をほのめかされヒビッた人。この後オールマイトにチクって離人くんに警戒しまくる

・ボロボロに言い負かされたメガネ委員長

生真面目だったけど相手の心情を汲み取るのを忘れた結果、自ら地雷を踏みに行く形になった。
瀬呂並のドンマイコールが鳴り響いていたかもしれない
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