戦闘狂のヒーローアカデミア   作:ゴマだれ

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これからもなるべく早く投稿していくつもりなので宜しくお願いします!



戦闘訓練その2

 

(さて、どうしたものか…)

 

離人達が演習場を出てから少し経ったモニタールームでNO.1ヒーローオールマイトは悩みに悩んでいた。

 

内容は勿論、映像に映る離人である

それはOFAの存在を認識しているという事実だけでなく、彼の好戦的過ぎる一面にある。

 

(文武両道の天才だからこそ、自身と対等に戦える相手を探してのことか…はたまた別の何かなのか)

 

天才ゆえの孤独、オールマイトはそう考えていた。

この短期間で緑谷の異常性や爆豪の心理をある程度理解出来る頭脳に観察眼はオールマイトにすら計り知れないものだった。

 

(それに彼の戦闘力はおそらくプロのヒーローを含めても並ぶ人間は片手で数えられる程だ…独学とは思えない。)

 

離人の実技試験の結果は言わずもがなOFAを未熟ながら使っていた学生時代のオールマイトすら越えていた。それは中学からの膨大な喧嘩の戦闘経験だけでは説明し切れない。

 

(まさか奴の…いや、それは考え過ぎか)

一瞬、オールマイトの脳裏にチラついたのはかつての宿敵AFOだった。仮に離人が彼の手下だったらその戦闘力には説明はつく、しかしそれにしては目立ち過ぎな為すぐにその線は捨てた。

 

「(何れにしろ、彼とは一度二人きりで話しておかなければな)それじゃあ始めるぞ!屋内戦闘訓練第2回戦、スタート!」

 

オールマイトは不安を感じながらも訓練開始のアナウンスを流す。この試合は先程とはまた別の波乱の展開を巻き起こす事になるのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

(さぁて、どう出ようかねぇ…!)

 

オールマイトの開始の合図より少し前。

離人達ヴィラン側は最上階の核兵器のハリボテが置かれている部屋にいた。

 

「離人くんめっちゃ鍛えてるけど

やっぱ私も鍛えた方がいいのかな…」

 

「戦闘スタイルにもよるが葉隠はやった方がいいと思うぞ、お前の個性の場合、フルに使うとなると武器も使えないから己の身一つで戦う事になるからな。」

 

緊張感の無い会話をしながら離人は内心どう戦うか考えていた。勿論自分が出るのは確定だが向こうも轟だけではない。正直な所、轟とは1VS1(サシ)でやりたい身としては障子と尾白の存在は鬱陶しいことこの上なかった。

 

(…仕方ない、3人まとめて相手するか)

 

実力的に言えば3人まとめてかかって来ても勝率が揺らぐことは万に1つとしてないが、戦いを楽しみたい離人としては残念でしかなかった。

 

「それで何か作戦とかある?」

 

「葉隠はここで核兵器の防衛、俺が迎え撃つってだけだ」

 

「思ったよりシンプルだね…」

 

先程まで計算高い一面を見ていた葉隠にとっては離人の作戦は少し拍子抜けだったようだ

 

「とは言っても昨日の個性把握テストを見るに初撃の予想はつく…障子の個性をみるにおそらくこちらの位置はある程度探知されるだろうな」

 

「あ、そうなると私はそんなに動かない方がいいのか」

 

「だから俺が出る…それにここに来て初めての戦闘だ、楽しまねぇと損だからなぁ…!」

 

(あ、離人くんってそういう感じなのかぁ…)

 

戦いへの興奮を抑えきれず笑みを浮かべる離人に対して葉隠は離人がどのような人間なのか少し理解した。元々好戦的な性格を醸し出していたがそれが常軌を逸しているとは思っていなかった。

 

離人本人は緑谷をイカレていると評しているが、離人自身も充分にイカれていることに葉隠は気づいた。

 

『それじゃあ始めるぞ!屋内戦闘訓練第2回戦、スタート!』

 

そこでオールマイトの開始の合図により、葉隠の意識は思考の海から現実へと引き戻される。

 

「離人くん、私ちょっと本気出すわ。手袋もブーツも脱ぐわ」

 

「いや、待て…ブーツは履いておけ」

 

「?なん―――」

 

パキパキ…!

 

葉隠のブーツを脱ぐ発言に待ったをかけた離人。

それに対して葉隠が理由を聞こうとした瞬間、室内の温度が急激に下がり氷が割れるような音が鳴る

 

「ちょっと失礼」

 

「おわっ!?」

 

ドスッ!

 

離人の行動は早かった。

まず、葉隠を腕に抱えて空中へと飛び上がる。

そしてそのまま近づいてくる天井に貫手を繰り出し、体を空中に固定化させる。

 

「問題ないか?」

 

「う、うん!」

 

「なら、作戦通り

葉隠は防衛で俺が遊撃で行くぞ」

 

「わ、わかった!」

 

葉隠は何も言えなかった

いや、離人が何も言わせなかったというのが正しいのかもしれないが。葉隠を下ろしそのまま核のある部屋を出て行く。

 

(おそらく氷結を回避したのはバレているだろう

まぁ、俺のやることはどちらにしろ何も変わらん)

 

離人が向かうのは核兵器の置いてある階層とは1つ下の階にあるかなり広い一部屋である

 

(核兵器のある部屋に行くにはここを通るしかない。建物の外壁を登る選択肢もあるにはあるが、建物ごと凍結させちまえばそう簡単には行けないだろ?)

 

離人が想定した侵入ルートは2つ

1つは轟が真正面から突入し、尾白と障子が建物の外壁を登り核兵器のある部屋に窓から侵入するルートである。これは非常に勝率の高い反面、尾白と障子に外壁が登れるのかという疑問がある為選ばれなかったのだろう

 

2つ目は3人で正面突破である

しかし、この作戦には致命的とも言える欠点が存在する。それは尾白と障子を持て余すという点だ

轟の個性は広範囲ゆえにある程度実力が伴っていないと攻撃に巻き込まれる恐れがあるため必然的に轟が加減をするか轟を単騎で戦わせるという選択になる

 

(さて、時間的にはそろそろだろ)

 

少し経ち、部屋の入口に目を向けると扉が開き轟の姿が現れる

 

「やっぱお前は避けてくるよな」

 

「あの程度の薄氷でどう捕えるつもりなのか聞きたいな」

 

「テメ―――」

 

ズドォン!

 

現れた轟に対して煽る離人

それに言い返そうとした時、密かに生み出していた離人の光弾が轟に向かって炸裂した

 

「―――テメェ…いい度胸してんじゃねぇか」

 

「へぇ!これを防ぐとは中々やるな」

 

しかし、轟は氷壁を瞬間的に形成し防御した

完全な無傷とは言えずとも不意打ちの一撃を防げたのは離人にとっても想定外だった

 

「(氷の形成速度はかなり速いと見るべきか?)仮にもヒーローがヴィランの言葉に耳を傾けるのはどうなんだよ」

 

「…あぁ、そうかよ!」

キィン!

 

離人に氷結の波が襲い掛かる

しかし、離人は焦ることもなく身体強化をしそして容易く砕く

 

バコン!

 

「こんなもんか?」

 

「言ってろ!」

 

パキパキ!

 

(一見感情に身を任せた単純な攻撃、だがちゃんと俺の逃げた先に氷結を偏差で仕掛けてるな…悪くない)

 

轟の猛攻に対して顔色一つ変えずに分析しながらも一見派手ながらも小細工を感じる轟の技術に評価していた

 

「だが良くもない」

 

ズガァン!

 

「クッソ…!」

それでも目の前にいるそれに対しては小細工で埋まる差では無かった、地面を拳で砕くだけで風圧が吹き荒れ地面の凍結すらも掻き消される

 

(広大な出力とそれに見合わない繊細さを兼ね備えた個性とそれを扱える技術!良い、だが、だがだ…)

 

轟の技術と個性に喜びを浮かべる反面、この短時間の戦いを通して感じた轟の違和感に気づいた

 

「轟、何のつもりだ」

 

「…何が言いてえんだ」

 

「惚けてんじゃねえよ

お前の個性、氷だけじゃないんだろ?」

 

離人は気づいていた

先日の個性把握テストで氷結を解凍するのに炎を使用していたのは確認していた、この戦闘下で使わない手は無いと離人は考えていた

 

「悪いが、俺は戦闘において()は絶対に使わねぇ」

 

「…は?」

 

轟のその発言にどんな思いが込められており、どんな過去を背負っているかは離人には分からない

 

ただ1つ分かるのは

離人にとってその発言は闘争における()()()だという事だけだった

 

「…そうか、お前はそういう奴だったんだな」

 

「さっきから何ブツブツと―――」

 

「もういい」

 

離人は理解した

この男には爆豪のような勝利への渇望も、緑谷のような目的達成の為なら自傷すら厭わない精神性もない中途半端な人間であり、もっと別のものを見ているのだと。

なら、今までのそれはただの茶番に過ぎないと

 

「茶番は終わりだ、潰す

 

ズズズ…!

 

「ッ!」

 

離人はこの茶番を終わらせるために個性の出力を爆発的に上げる、それを直に感じた轟は生命の危機を感じ周囲の被害を無視した大出力の氷壁を使おうとした

 

ボグォ!

 

しかし、それよりも速く離人の拳が轟を捉えその身体を吹き飛ばす。殺す気こそ無かったがその威力は轟の意識を優に飛ばすことが出来た

 

「失望したぞ轟

…さて、その分はお前らで埋め合わせてもらおうか」

 

「…俺達には気づいていたか」

 

気絶した轟をよそに入口の方に目を向けると障子と尾白が出てきた

 

「大方轟がタイマンすると言い出したんだろ?

だが結果はこのザマだ、どうする?」

 

「悪いが、降参は選択肢にはない」

 

「勝ち目が薄いから降参は違うだろ…!」

 

「いいねぇ…燃えるじゃねぇか!」

 

成すすべ無くやられた轟を見ても尚降参せずに立ち向かうその精神性は流石ヒーロー候補生と言うべきだろう、離人もそれに受けて立つ。

2VS1

先に仕掛けたのは障子達からだった

 

ピッ!

 

(さっき俺が壊した氷塊の欠片か!

軽率に距離を詰めない、そこは評価しよう)

 

いつの間にか握られていた拳大の氷塊を離人の顔面目がけて投擲するが当たらない、しかしその間に2人は距離を詰める

 

ズガガガガ!

 

(クソ!)

 

(何でコレが捌けるんだ!)

 

(手数の障子と一撃の尾白、次手までの組み立ても早いがそれ以上にタイプこそ違えどここまで連携が取れるのか!)

 

繰り出される障子の6本腕を利用した手数の攻撃と尻尾による変則的かつ重い一撃を繰り出す尾白、二人とも即興のコンビとしては十分な連携が取れていたが相手はそれすら凌駕する規格外、たった一人でそれを対処する

 

6本腕&尻尾vs2本腕

数には圧倒的な差こそあれど、それを純粋な力と技術で逆転出来るほどの差があった

 

「良いねぇ…下手したらさっきの轟より優秀だな」

 

「そりゃどうも…!」

 

「褒めるくらいなら一撃くらい当たってから言って欲しいな」

 

離人の評価は爆上がりだった

二人がかりとはいえ純粋な格闘戦でここまで食らいつくことのできたこれが初めての事だった、だからこそ少しだけ手心を加えることにした

 

「なら、こっちもそれなりの対応をさせてもらうぞ」

 

(…嘘だろ?)

 

(見立てが甘かった、さっきまでのは威力偵察に過ぎなかったか!)

 

個性の出力を1段階だけあげる

しかし、それでも先程までとは見違えた強さへと変貌する離人に底知れなさを感じていた

 

「ほら、打ってこいよ」

 

「「!」」

 

その声が聞こえた時には既に離人は2人の目の前にいた、この状況に尾白は反射的に攻撃を放つ

 

ズドドド!

 

「―――ぁ」

 

(まずは1人)

 

放たれた尾の攻撃を片腕でいなし、そして鳩尾、喉、顎に的確に放たれる高速のジャブ。人体の弱点を捉えた正確な攻撃は尾白を遠い世界へと飛ばした

 

「ハァ!」

 

「!」

ズガ!

 

そして遅れて動き出した障子は攻撃、ここで一度距離をとると思っていた離人は内心少し驚きつつもそれを片腕でそれをガード

 

「少しは楽しめたぞ」

 

ドゴ!

 

頭に直撃した蹴りが脳を揺らし、膝をつける

離人の予想を遥かに上回る2人との戦闘はそれでも結果は覆らなかった

 

(あぁ、やっぱ戦いって最高だ!)

 

勝利の感傷より自身の予想を超えていく戦闘に離人は心を踊らされていた

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんて戦闘センスだ…!)

 

誰もが注目する最凶の男の戦い

結果は言わずもがな驚くべきはその過程だった

 

(あれだけの戦いをしておきながら未だに余裕を残しているのもそうだが、彼は1度たりとも本気を出していない)

 

あれだけの圧倒的な戦いを見せつけておきながら、オールマイトすらも離人の本気を垣間見ることすら出来ていなかった

 

「…正直、離人が勝つことは分かってたけど

ここまで一方的になるなんて思ってなかったぜ」

 

「あの戦いようといい、まさに鬼神だな…」

 

常闇の鬼神という比喩すらもこの場では誰も否定できなかった、むしろ鬼神そのものではと思えるほど

 

「轟もスゲェって思ったけどよ…離人の前だとすげぇ霞んで見えちまうな、俺らアレ見てこれから普通に出来ねぇよ?」

 

まだ訓練は2回戦しかやっていない

しかし、あまりにも濃すぎる内容に見ているだけで疲れが生じる程だった

 

(せめて、彼が素晴らしいヒーローになれるように私たちが導かなければ)

 

オールマイトは離人がヴィランにならずに雄英(ここ)に来てくれたことに心の底から安堵する反面、離人がヒーローになれるように指導することを再び決心した

 





・失望はしたがそこそこ満足できた離人くん
念願の初戦闘にメッチャワクワクしたが、轟に意味わからん縛りプレイされてマジ失望した。ただ、その後の尾白と障子が想像の倍は頑張るのでそこそこ満足した

・離人くんの本質に気づいた葉隠さん
今回、抑えきれない興奮を垣間見て戦闘狂なのに気づいた人。訓練終わったあとに満足気な離人見て全てを察する事になる

・戦闘狂Ptが下落した轟くん
離人からめっちゃ期待されていたが戦闘狂の地雷(勝手な手加減)をして評価が手のひら返しになった
なお、この後放課後まで起きなかった

・戦闘狂Pt爆上がりの尾白と障子のコンビ
この2人格闘戦だとA組の中でも上澄みなのでは?
という作者の考えの元、離人くんとそこそこ張り合えた2人。本日のMVPです

・ホッとしてるオールマイト
圧倒的な戦いを見せられてコイツヴィラン堕ちしなくて本当によかったと安堵している、いずれOFAについても話す必要があるとは感じている

・圧倒的な差を見せつけられたA組のみんな
先の二試合が濃すぎて正直俺らにこれをやれと?みたいな感じになりかけてる、なおどこぞの爆発さん太郎は圧倒的な実力差に絶望していた
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