今回はUSJ事件の前座です
皆さんお待ちかねのvs脳無は次回になります
例のマスコミ騒動兼不法侵入者の一件から数日
離人の戦闘欲を嘲笑うが如く、この数日間は何も無かったかのように平和な時間が続いた
(未だにヴィラン共の目的も動きも無い。
…そんなに時間をかけられると期待しちまうだろ)
あの放課後、離人は持ち得るヴィラン達の情報を全て話した。しかし、今も尚何の連絡も無いということは手がかりや足取りは何も掴めていないという事だ
「さて、今日のヒーロー基礎学だがオールマイトに俺、そしてもう1人の教師の三人体制の下行う。内容は昨日までとは一新…人命救助訓練を行う!」
(えぇ…つまんな)
『人命救助』
敵退治に比べて一段劣るように見えるが敵退治よりも重要度が高い、しかし離人としては弱者に気を使わなければならないという面倒な事この上ないものだった
「救助か…今回も大変そうだな」
「言ってる場合かよ!救助こそ、ヒーローの本分じゃねえか!腕が鳴るぜ!」
「水難に関しては私の独壇場ね、ケロケロ」
そんな反面、他のクラスメイトは人を助けるというヒーローの本業に全員より一層気合が入っていた
「今回、戦闘服の着用は各自の判断で構わない。中には活動を制限するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗って移動する。出発は20分後だ。以上、準備開始」
その言葉と共に戦闘服の入ったケースを持って全員更衣室へと向かう
「―――おーい離人くんよ、話聞いてた?」
「ん?あぁ、聞いてるぞ。お前の体重が3kg増えたって話だろ?」
「ちょっとグーで殴っていいかな?」
葉隠の言葉で離人の意識は現実に戻る
周りにはバスに乗ったクラスメイトが各々何の変哲もない世間話をしていた
「大丈夫?疲れてるんじゃないの?」
「…かもな」
この数日間、昼夜問わずヴィランからの襲撃を警戒していた離人は周りから見ても分かるくらいには精神的な疲労が見え隠れしていた。
「私、思ったことなんでも言っちゃうの。
緑谷ちゃん、あなたの個性オールマイトに似てる」
「そ、そうかな!?どこにでもあるありふれた個性だと思うけど…」
「オールマイトは緑谷みたいに怪我しないだろ、梅雨ちゃん」
(オールマイトに似てるねぇ…)
その会話の中、話題に上がったのは緑谷の個性だった。その類稀なる超パワーは確かにオールマイトに似ているという意見もあったが離人はそれ以上のものだと理解していた
(緑谷が持つ複数の個性。個性は身体能力の延長線上に存在すると聞いた事があるが…もし仮にその超パワーが身体能力の直接的な底上げによるものならその複数の個性も…!)
離人の個性による超パワーは元からある身体能力の底上げとエネルギーの補助による外付けの強化を合わせたものであり、根本的なメカニズムでいえば緑谷とは少し異なる
そこで離人が予想するのは他の個性の大幅な出力と効果範囲の強化であり、もしこれが当たっていれば弱個性も強個性へと変わり保有している個性によっては国家の転覆すらも叶う代物だった
(だがそうなると引っ掛かる所もある
このタイプの増強型は長時間の鍛錬によってそこまでのレベルに到達するが爆豪の発言から考えても個性の発現はどう甘く見積っても1年以内と見るべきだがアレはどう考えてもそれ以上に鍛え上げられてる)
同じ増強型だからこその意見
緑谷のそれは鍛錬の量と個性の発現の期間に明らかな矛盾があった、だがそれを覆す根拠もあった
(まさか、オールマイトから個性の引き継ぎ…或いは力の分配に近い何かをされたのか?)
個性の引き継ぎ、それは本来なら離人にすら考え至らなかった想定だった。だが、それと似た存在を既に見ていた
(あの黒霧とかいうヴィランの個性も明らかに誰かから貰ったものだった。それと同じようなことがオールマイトにも?)
前例の存在、それさえあればこの思考に至るのは単純な道理だった。ここまでの考え自体は仮説でしかないが、あまりにも辻褄が合いすぎていた
「派手で強ぇって言ったらやっぱり轟と爆豪、それに離人だよな!」
「チッ…」
自身の名をあげる切島の声に目を向けると爆豪は舌打ちをしあからさまに機嫌を悪くする。
「でも爆豪ちゃんはこの中であまり人気がでなさそうね、すぐにキレるから」
「んだとコラ!だすわ!こんな半分野郎やイカレ野郎なんかよりも出してやるわ!」
「ほらキレた」
「この短い期間でクソを下水で煮込んだ様な性格なのが周知されている時点でねぇ……?」
「なんだよ!てめぇのその無駄なボキャブラリーは!死ね!」
上鳴の的確すぎる表現にブチ切れる爆豪
この場にいる全員が上鳴に同意するしか無かった
「でも離人は別格だろ、近接も轟を瞬殺できるレベルとかチートだし、弱点らしい弱点も無いし」
「…一応言っとくが俺の個性もガス欠とかあるから言うほど万能じゃねぇからな?」
「いや、お前の場合のソレは弱点になんないだろ」
「まぁな、基本的に食べれば回復する上に太ることも無いから量さえ増やせばどうとでもなる」
「え?太らないの?」
離人の個性の副作用に芦戸は突っ込む
基本的に食べたのものはエネルギー、つまり質量などが存在しない概念的な存在となるので脂肪などが出来ない体質になっていた
「なにそれめっちゃ羨ましい…」
「?別に食った分だけ動けばプラマイゼロだろ」
「それが出来たら苦労しないの!」
「いやなんでお前キレてんだよ」
「おい、そろそろ着くぞ。準備しろ」
相澤の声で一先ず葉隠の怒りは収まったがこの男が敵に回したのは葉隠だけでは無いことに未だに気づいていない
バスから降りてドーム状の建物に入るとそこにはテーマパークを彷彿とさせるような光景が広がっており、夢の国にも引けを取らないだろう
「これ…USJかよ!?」
「はい!これぞ僕が設計した『嘘の災害や事故ルーム』…略して!USJ!」
(((ホントにUSJだった!)))
(その内訴えられるぞ)
かなり際どい名前に反応する生徒達の前にいるのは宇宙服のような戦闘服を着る一人の教師でありプロのヒーローでもあるスペースヒーロー『13号』
「えー、始める前にお小言を一つ二つ・・・三つ・・・、四つ・・―――」
((((増えてる…))))
(それはもう小言じゃねぇだろ)
「皆さんご存知だとは思いますが―――」
そこから始まるのは自分達の持つ個性の危険性についてだったが、そんなものは露知らず離人は話を聞き流していた
(校舎から離れた環境、周囲から隔離され外観からは中の様子がわからない、そして少数のプロヒーロー…まさか――)
「以上、ご清聴ありがとうございました!」
「ステキー!」
「ブラボー!ブラーボー!」
「んじゃ、そろそろ―――」
数日前のヴィラン、そしてこの環境
だからこそいち早くソレに気づけたのだろう
ズズズ…
「…マジかよ」
「お前ら一固まりになって動くな!13号、生徒を守れ!」
「なんだ?もしかして入試の時みたいにもう始まってるパターンか?」
「違う!あれは…
「どこだよ、オールマイト…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…子どもを殺せば来るのかな?」
どこかで見た黒いモヤのワープゲート
そしてあの特徴的な手を着けたリーダー格の男
離人の予想は幸か不幸か当たることとなった
「ヴィラン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「何にせよセンサーが反応してねぇのなら、向こうにそういう事が出来る個性のヤツがいるって事だな。バカだがアホじゃねぇ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」
「13号避難開始!学校に連絡を試せ、上鳴お前も個性で連絡を試してみろ」
「了解っす!」
「先生はどうするんですか?個性を消すって言ってもあの数じゃ!」
「安心しろ緑谷、一芸だけじゃヒーローは務まらん。・・・13号、ここは任せたぞ」
しかし、流石はプロヒーロー
踏んで来た場数の経験による避難までの対応も早く、既に戦闘体勢に入っておりヴィランへと向かって行く
「…あれ、離人くん!?」
しかし、避難しようと動き出すその直前に離人の不在に気付く
ドゴォン!
突如として響き渡る爆発音
それはヴィランでも相澤によるものでは無く、生徒の中で行方のわからなかった離人だった
「ようやくだ…この数日間、どれだけコレを待った事か…!」
「な、なんだコイツ…」
両の手と足でヴィランを押し潰して現れた離人はチンピラから見ても異質な雰囲気を纏っていた、だが当の本人は何日も待たされ遂に来た戦いに笑っていた
「何だよ、来ないのか?」
「舐めやがって!」
離人の煽りに異形型の個性のチンピラが殴り掛かって来るがその腕を掴み取り、鈍器のように他のチンピラにぶつけまくる
バコン!
「ハッ、こんなもんかよ!」
「源力!」
ヴィラン相手に無双する離人の元に捕縛布を使ってヴィランを制圧しながら相澤が駆け寄る
「ったく、お前はつくづく問題を起こす」
「加勢するか?」
「問題ない…一応聞いておくがアレが?」
「あぁ、例の侵入者だ。手だらけの奴には気を付けろ」
「了解だ、お前は13号の方に行け。向こうに一人抜けて行った」
「えぇ…了解」
ドォン!
相澤の指示に従い、出入り口の方へと跳び上がる
そこには先日のヴィランの1人、黒霧が出入り口の前に立ち塞がっていた
「初めまして。我々は
ズガァン!
自分達の目的を高らかと語る黒霧に身体強化による飛び蹴りを仕掛ける、個性によって強化された肉体は砲撃すら生易しい威力に変貌していたが
「チッ、相も変わらず逃げ足の早いヴィランだ」
「貴方は…まさか、ここに居るとは」
ワープの個性故か直ぐに距離を取られる
ここでは職員室の時とは状況も異なり、充分な強化も行える為か初対面の時とは明らかな力の違いに黒霧も動揺していた
「源力くん!無事でしたか!」
「あぁ、アイツが
「ふむ、貴方の様な優秀な生徒が居たとは…だからこそ私の役割は散らして嬲り殺す」
黒霧はモヤを大きく展開
離人も回避は諦め、自身の1番近くにいた飯田をモヤの外へと投げ飛ばした
霧が晴れるとそこは岩肌が見える山岳地帯
空を見上げると天井があり、USJの中であることを示していた
「お?お前ら居たのか」
「離人か!お前がいれば一先ず大丈夫だわ…」
岩の陰から顔を出すとそこには上鳴、耳郎、八百万がおり、同じくここに飛ばされたメンバーだった
「というかここどこ…?」
「USJの中…出入り口には割と近そうだな」
「なら早くここから脱出を―――」
「させてくれる程―甘かぁねぇな」
そう言うと何処からともなくチンピラのヴィラン達が4人を囲む、おそらく黒霧が送り込んだヴィランだろう
「ハッハー!来たぜガキどもがぁ!」
「男が二人、女が二人か。いいねぇ、男はとっとと殺しちまおうか」
「だな!んで、女はマワそうぜ!片方は胸もデケェしな!」
下卑た会話に耳郎と八百万は顔を顰める
既に4人の周りには2、30人近いヴィランが取り囲んでおり逃走は難しそうだ
「へぇ、俺はそういうヴィランは好きだぜ」
「おいおい、ヒーロー候補生がヴィランに興味あんのかよ!」
「あぁ、何せ―――」
ボグォ!
「ブホォ!」
離人の言葉に興味を示し近づいて来たヴィランに身体強化によって研ぎ澄まされた拳が顔面に突き刺さる
「―――テメェらみてぇな外道はどれだけぶん殴っても、誰も文句言わねぇからな!」
「図に乗るなよ!クソガキが!」
この言葉にヴィラン達が襲いかかる
離人は個性による肉体強化で待ち構える、そして
「ちょっとそこ通るぜ」
バコォン!
高速でヴィランを通り過ぎる
生身とはいえ個性によって鋼鉄の肉体と化した離人の身体が超高速で通り過ぎる訳なので、下手な大型車両のものとは比べ物にならない衝撃がヴィラン達の体を襲った
「…え、これ生きてるよね?」
「仮にもヒーロー志望なんだから殺しやしねぇよ…寝たきりとかはあるかもしれねぇが」
「アウトだろ!?」
「おいおい…こんな奴が居るなんて聞いてないぞ?!」
「一先ず耳郎さん、これを!」
離人の圧倒的なまでの戦闘力に絶望する者もいる中、八百万によって着々と戦闘準備がなされていた
「そんじゃ、ここいる奴の9割は貰うぞ!」
「お、おう…お前一人でいい気もするけどな」
「待て待て!こんな奴相手してられるか!」
「巫山戯んな!何勝手に逃げようと―――」
ドコォ!
「仲間割れなんてするなよ、ちゃんと全員病院のベッド送りにしてやるよ!」
足は止めない
ただひたすらに殴り、吹き飛ばし、打ち込む。速度は落ちる所か上がり続け、そしてその矛先はより強いヴィランへと向かい続ける
離人は戦闘開始から僅か27秒で
山岳地帯にいたヴィラン約50名近くを制圧した
「はぁ…もっと歯応えのある奴がいてもいいだろ…お前らどうした?」
「…いや、何でもない」
「おい耳郎?!ツッコミを放棄しないでくれよ!」
「こんなの一々突っ込んでた方が疲れるわ!」
「とにかく、13号先生達のいる出入口の方まで急ぎましょう」
「いや待て、まだやる事がある」
ヴィランという阻むものが無くなった3人はUSJの出入り口に向かおうとするが離人が待ったをかける
「やる事?」
「あぁ、あのモヤの奴が言ってたろ?
オールマイトを殺すって、だからその策をコイツに聞く」
ドコォ!
「よお」
「な、何で俺が地中に隠れていると…!?」
離人が腕を地面に突っ込むと隠れて奇襲を仕掛けようとしたヴィランの首根っこを掴んだ、たとえ地中だろうと離人の探知の前には無いに等しかった
「地中に隠れてたのかよ…」
「おっと、下手に動くなよ?
テメェを殺すのは立場上厳しいが死すら生温い苦痛なら与えられるぞ」
「発言が完全にヴィラン側なんだけど…」
離人の冗談とは思えない脅しにヴィランも不用意に動けず、されるがままの状態に持ち込んだ
「さて、質問に答えてもらうぞ
お前らの持つ対オールマイト用の策ってなんだ?」
「クソッ、誰がそんなもん―――」
「八百万、ペンチ創ってくれ」
「は、はい」
尋問に対して口を閉ざそうとするヴィランにペンチを要求する離人、お嬢様育ちで純粋な八百万は不思議に思いながらも渡すが既に上鳴と耳郎は何かを察したようで青ざめた顔をする
「な、何をする気だ?!」
「口の堅い相手をするならこの手に限るだろ
選ばせてやる、一生ステーキの食えない身体になるか一生物を持てない身体になるか」
「待ってくれ!言う、言うから!
死柄木さんが連れてきた脳無ってデケェやつだ!」
「…初めからそうしろよ」
ヴィランの選択に迷いはなく、あっさりと情報を吐いたチンピラに面倒くさそうな顔をする
「…おい離人、お前まさか」
「ん?あぁ、脳無とやらと戦いに行く」
「いくらアンタでも無茶でしょ…相手はオールマイトを相手にできるんだから」
「…俺が負けるように見えるか?」
「それは…」
これまでこの教室において圧倒的なまでの実力差を見せつけ続けた離人、相手は対オールマイトという役目を背負ったヴィラン。負けるイメージがないとはいえ無事では済まないだろう
「(…とはいえ、俺も万全の状態で行くに越したことはないな)おいヴィラン、お前電気系の個性だよな」
「は、はいぃぃ!」
「よし、なら少し働いてもらうぞ。上鳴お前もだ」
「え、俺も?」
電気系の個性を持つチンピラと上鳴を見て何かを始めようとする離人、その場にいた全員の頭に?が浮かんでいたが離人だけは笑っていた
(せっかく対オールマイトという盛大な肩書きを貰ってるんだ、がっかりさせんなよ?)
この時、雄英史上最凶の生徒による戦いが起ころうとしていることはまだ誰も知らない
・気付いてはいけない事に気付いた離人くん
オールマイトと緑谷の秘密に気付いた人
取り敢えずこの話はやめようハイヤメヤメ!
そして漸く来たヴィランに内心ウキウキだった
対オールマイト兵器だと…やるしかねぇだろ!
・ちょっとどころか大分引いた山岳組
普通に自分達が戦うまでもなくヴィランを制圧する離人に凄く引いたし耳郎はツッコミを放棄しかけた
そして上鳴は何故かご指名を受けた
・自ら猛獣のいる檻に入っていった敵連合
オールマイトぶっ殺す為に来たのに別のヤバいのにロックオンされてる事に未だに気づいていない
特に脳無くん、君死んだよ