番外編 モーニングルーティーン① 緋花夕輝
みなさん!はじめまして、
その前に、まずは家族構成です! 我が家の家長、お父さん
解体屋さん? で働いていて、家ではよくパンツ1枚でウロウロしています。年頃の女の子としてはちょっとヤメて欲しいです……
次は長女、お姉ちゃんの
私もお姉ちゃんの動画を見たんですけど、もうビックリ‼︎ あの、お姉ちゃんが歌って踊って、すごくキラキラと輝いていました。私の自慢のお姉ちゃんです!
そして私、
ということで! さっそくお姉ちゃんのところに突撃しちゃいますよ。時刻は6:00。部屋を飛び出てコンコンコン、と聞こえてくる音の方へ向かってみると、そこにいるのはエプロン姿のお姉ちゃん! 大根を切っていますね。
「ん〜、夜都弓? どしたの? 今日は1人で起きれてんじゃん?」
そう、お姉ちゃんは毎日ギリギリまで寝たい私を朝食の前に起こしてくれます。
「なになに、スマホなんか構えちゃってLTuberごっこ? 最近、学校で流行ってる感じ?」
ん〜、まあそんな感じってことにしちゃいます。あがり症のお姉ちゃんには自然体でいて欲しいので。
「ん?なんか言った」
「ううん、何でもない何でもない! 今日の朝ごはんは?」
「今日はお姉ちゃん、上機嫌だから朝から頑張っちゃった。夜都弓の好きなサバの塩焼きと、残り物じゃない出来立てのお味噌汁だよ。それと、卵焼きも作っちゃうんじゃん?」
今日は朝から、てんこ盛り! この前、寝坊してしまったのを気にしているのでしょうか……。
それはともかく、お姉ちゃんの作るご飯は絶品です‼︎ こうして、お姉ちゃんの朝は家族の朝食とお昼のお弁当を作ることから始まります。
「ふふっ、変な喋り方してないで、早く着替えて支度しちゃいな」
ということで、変に怪しまれる前に1度退散します。
※
時刻は7:15分。朝食を食べ終わったお姉ちゃんは自室でゲキ甘カフェラテを飲んでくつろいだ後、歯を磨いて身支度をします。
制服姿のお姉ちゃん。ドレッサーに向かっていますね。昔からちょっと雰囲気が怖いことと、ぶっきらぼうな根っこの性格から勘違いされがちですが、メイクはしっかり行っています。
「夜都弓〜! 準備出来てる? そろそろ行く時間じゃん?」
毎日、家はお姉ちゃんと一緒に出ています。途中まで、ですが一緒に登校します。こうやって大声で私を呼ぶのが、お姉ちゃん流です。
「うん! いつでも出れるよ」
コレがお姉ちゃんのモーニングルーティーンです。毎朝、誰よりも早くに起きてご飯を作り、身支度も欠かさない。さらに最近は、毎夜グループメンバーの美烏さんと自主練をしているんだから、お姉ちゃんには頭が上がりません。
カメラの前では飄々としている、お姉ちゃんの意外な魅力! みなさん伝わったでしょうか。
「忘れ物ない?」
「うん、大丈夫」
「そう――って、ダメじゃん。私が忘れてた……」
――そういうと、スマホのカメラの内側で夕輝は手のひらを目に当て上を仰ぐ。
「忙しいからって、やっぱり忘れちゃダメじゃん? ほら、行くよ。毎朝の行ってきますの、あいさつ」
「あ……――」
――スマホのカメラを構えたまま、夜都弓は夕輝についていく。そして、向かった先は緋花家のリビングであった。決して広くはないが、テレビ、棚、観葉植物とそれなりに物は揃っている。
――そんな部屋の隅の一角に、ポツリと広く設けられたそのスペースの前に夕輝と夜都弓は正座した。
「じゃあ、行ってくるね。ママ」
「行って来ます」
――夜都弓のスマホがとらえたのは、リビングの隅に置かれた仏壇と、そこに飾られる笑顔が素敵な女性の写真。
みなさんに紹介するのを忘れていました……私たちのお母さん。
お母さんは、私が小学生の頃に、癌で死んじゃって……そのせいでお姉ちゃんが…………って、そんなこと言っちゃダメだよね。ここはカットだよ、カット!
「ん? 夜都弓まだLTuberごっこやってたの?」
「え? あ、うん」
「へえ、楽しいのそれ?」
「ん〜、まあ後に期待的な?」
「ふ〜ん、そなんだ。お姉ちゃん、よく分かんないや。だいたい美烏とかもそうだけど、カメラに向かって喋るとかイミ分かんないからね」
――投稿した後の反響を想像してか、夜都弓はイタズラな表情でニタリと笑う。そんな妹を優しく見守りながら、今まさにカメラに向かって喋っている夕輝はぶっきらぼうに吐き捨てた。そして2人は揃って家を出て登校するのだった。
――後に、夜都弓が撮影した動画は巡り巡って美烏の元へと送られて、その後フランクな夕輝の姿は白日のもとへ晒されることとなるのだが、それはまた別のお話。