宮東ガンジュの悲喜こもごも   作:みのやき

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アビドス編3章が始まっちゃったよ…やばいよやばいよ…半沢直樹みたいな証券バトルが始まっちゃったら別の意味でもヤベーよ…ついでに会計担当なのに債権のことも知らないセリカちゃんがヤベーよ。


アビドス編3 (日記)

〇月×日

 

今日も皆で仲良くマン・ハント。

シロコさんたちの日常業務を手伝った。

カタカタヘルメット団以外にも複数の武装集団に纏わりつかれていたので、それらを掃討する作業に没頭していた。

制限時間は50分です。

おなじみのスケバンクックにヘルメットラージャンを100体ずつ討伐しましょう。

 

先生の迷子イベントが省略された所為で、物語に数日の誤差が生じて、浮いた時間を全て狩りに費やしているように思われた。

差し引き変化なしだろうか。

このまま何事も無く最後まで進んでほしい。

順調に進んだ結果、何がどうなるのか分からないという問題からは目を逸らしておく。

 

連日『人狩り行こうぜ!』なノリだった。

先生はもちろん対策委員会も、よそ者の私を直ぐに連携に組み込んでくれた。

みんな凄いな。

 

反面、不良集団はそんなに凄くなかった。

地元でもそうだけど変なやつしかいなかった。

 

ムレムレヘルメット団

セーラー服の下にサウナスーツを着込んでいた。凄く蒸れていた。ダイエットを兼ねて略奪を繰り返しているそうだ。脳みそだけは減量に成功していた。

 

魑魅一座・砂羅砂羅 (さらさら) 流

暴れる時にひたすら砂を振りまくのが流儀らしい。砂を仕入れるためにはるばる百鬼夜行から出張ってきて、ついでに傭兵のアルバイトをやっていた。倒して砂を掃除させて、それを持って帰ってもらった。

 

チーム:スケバンバスピス

サカバンバスピスのお面を付けて、サカバンバスピスのように無心で戦うことを信条としているとのことだった。バスピスが無心で生きていたのかどうかは知らないので何とも言えず、無言で鎮圧した。何だか皆も同じような表情になっていた。

 

以下省略。

 

ヴァルキューレ警察学校から配布されている手配書リストと睨めっこしながら、値札の付いているチンピラゴボウやバスピスを優先的に収穫した。

はした金だけど無いよりはマシだろう。

 

 

 

〇月×日

 

ヴァルキューレが唐突に惣菜と鮮魚の値下げを宣告してきた。

更には引き取りを渋る様子もチラつかせてきた。

そういえばカヤピクミンetcが、カイザーとズブズブの関係なんだっけ。

アビドスに支払うチップすらケチりたくなったようだ。

今は証拠が無いので黙って従うほかない。

どの道、学校の周りをうろつかれても困るので、やることに変わりは無い。

 

明確に拒否られる前に、皆で仲良く刈り尽くしてトラックごと置いてきた。

ヴァルキューレのアビドス中央署を工事現場のように様変わりさせて、お小遣いをむしれるだけむしっておいた。

後よろしく。

 

何やかんや言っても一連のマン・ハントだけで2ヶ月分の利子に相当する額を稼げた。

少しは役に立てただろうか。

 

 

 

〇月×日

 

武装集団の数が激減した。

連中の逞しさとカイザーのマネーパワーが組み合わされば、まだ見ぬケセドに匹敵する物量作戦を展開できそうな気がするけど、何かあったのだろうか?

 

ジョジョの奇妙な静寂の時間が訪れた。

対策委員会は周辺の雑草を刈り尽くしたと判断して、アビドス公会議を開いて今後の方針について検討した。

打開策としてはマルチ商法プラン、生徒を拉致して強制的に転校させるバスジャック案、スクールアイドル計画、そして銀行強盗の勧めが提示された。

そして最後にプッツンしたアヤネちゃんのちゃぶ台返しが炸裂して幕を閉じた。

やる気あるんだか無いんだか。

この時点では何割か諦めムードだったのかもしれない。

どこか緊張感に欠けていた。

9億6235万円の借金を抱えていては無理もない。

“前”の国家予算に比べると小規模にも思えてしまうけれど、キヴォトスにおいては1校区を運営できるレベルの大金だった。

 

もう諦めてノノミさんの実家に頼ればいいのに。

どの道アビドスがアビドスでなくなってしまうのであれば、形だけでも残る方が。

そうしない理由についても一悶着あったらしいけど分からない。

本当に中途半端なところで“前”の人生をログアウトしてしまった。

せめてサービス終了して最後の設定資料集が発売されて攻略Wikiも完成して私がそれらの情報を熟読するまで待って欲しかった。

 

先生は連邦生徒会に掛け合って、公的な支援を引き出せないか試みてくれるようだ。

多分、駄目だろう。

会長失踪による連邦全体の機能不全に加えて、カイザーに侵食されているようでは。

 

ちなみに生徒募集の話が出た際、何故か私も誘われた。

「ガンジュちゃん、ウチにこない~?」

アビドスケサランパサランが冗談交じりに転校を勧めてきた。

何を思ったのか、

『転校してくれたらノノミちゃんの膝枕を何時でも堪能できる』

という誘い文句を添えてくれやがった。

悪魔の誘惑だった。

アホ毛がピコピコと、ワニガメの疑似餌のように揺れていた。

(ちなみにネル先輩のアホ毛はいつも炎のように轟々と燃え盛っている)

ノノミさんも本気なのか冗談なのか、おみ足をポンポン叩いて満面の笑みを浮かべていた。

悩んだ末に断腸の思いで断った。

ホシノさんたちのことも好きだけど、この5人の固まり切った輪に入り込める自信が無い。

シロコさんとは仲良くできそう。

ただお近づきになる条件の一つに銀行強盗が含まれているので微妙。

 

 

一日の終わりはやっぱり柴関ラーメン。

ホシノさんたちがアヤネちゃんを宥める光景を眺めながら、再び大将秘伝の醬油味を堪能した。

そうこうしている内に彼女たちが来店した。

便利屋68。

一杯のかけそばならぬ特盛ラーメンを分け合いながら、ノノミさんたちとわちゃわちゃしていた。

明らかに汁の量が足りないけどいいのかな?

近日中に彼女たちと戦うことになる。

精強で知られるゲヘナ風紀委員会の大軍ですら、『ヒナ委員長さえいなければどうとでもなる』と豪語するアウトローたちと。

 

緊張はするけど、できることもやることも変わらない。

装備の手入れと、ついでにアビドス校のお手伝い。

先日分の日記に書き忘れていたけれど、アヤネちゃんのリサイクル事業をサポートしている。

母校を守るために涙ぐましい努力を続ける彼女たちは、不良集団が使っていたロボットの残骸から生み出した再生怪人たちを学校の防衛にあてていた。

その部品の吟味と組み立て作業を補助していた。

リオ会長の100分の1程度の技術レベルでもこのくらいはできる。

元々、単純明快で汎用性を重視した構造を持つ機種ばかりだった。

整備や改造の手順も確立されていて、銃と同じように何とでもなる。

半ばレゴブロック感覚だ。

どうとでもなるまで成熟するほど戦闘が日常に溶け込んでいて、つまりいつものキヴォトスだった。

多分、カイザーがチンピラでも取り扱える品物を選択して供給しているのだろう。

幸か不幸か材料は腐るほど発掘できて、予備パーツまで備蓄ができてきた。

おかげで学校周りの警備網が完成した。

 

少しなら材料を使ってもいいと言われたので、警備用とは別にオートマタを組み上げた。

私にしてはよく出来た重量二脚のオートマタ小隊。

ACっぽく言ってみたけど、見てくれは陸戦型ガンダムみたいになった。

カイザーに08小隊ファンでも居るのかな?

この世界にガンダムは無かったけど。

っていうか、ACとMGSがあって何でGだけハブられんだろう?

訊きたいけど訊く人が居ない。

 

全身にハードポイントやコネクターが設けられているおかげで、工作機械の少ないアビドスでも割と自由なカスタムできた。

どうせ生徒相手には嫌がらせにしかならないので、堕ちにくいようにした。

引っぺがした装甲版をペイロード限界まで搭載。

何ならシールドも分割して装甲に転用できる仕様だった。

流石に多少は動けないと困るので跳躍ユニットと姿勢制御用バーニアも増量。

 

ついでに私のモーションパターンをOSに組み込んでおいた。

立ち回りの訓練と、研究を兼ねてミレニアムで収集した戦闘データ。

こんな感じで使えるかもと思って持ち出してきた。

私自身は弾を避けたいお年頃なので08小隊とはミスマッチだけれど、無いよりはマシだろう。

本当は100%丸ごとインストールしてしまいたかった。

相手も粒ぞろいだから、手加減なんてしている余裕はない。

残念ながら一応は機密情報であるため、リオ会長からSTOPが入った。

結果、全体の20%程度に簡略化された劣化コピーと相成っている。

 

奇しくも08小隊と同じ3機がロールアウトした。

陸ガンらしく適当に使い潰す。

ホシノさん達の邪魔をしないように、私たちから少し距離を取りながら主に攪乱戦法で運用。

便利屋との戦いに投入して、生き残ったら風紀委員会やカイザーとの戦いにも。

銃身が焼け付くまで嵐の中で輝いてもらおう。

 

ちなみに所謂『輝き撃ち』と呼ばれる砲撃体勢は遠近法による誤解から生まれた。

実際には盾を地面に突き刺して、その隣で片膝立ちの陸ガンがポンポン撃っているだけだ。

ガンプラで再現しようとすると盾のサイズが明らかに小さすぎる。

『それでも!』と叫ぶモデラーは、今日も『輝き棒』をはじめとした工夫を凝らして実現を目指している。

悲しいね、先生。

 

 

 

〇月×日

 

ついに便利屋68+アルバイト傭兵団と青春する日がやってきた。

 

アルバイト傭兵って、考えてみたら凄い単語。

政情不安な紛争地帯ならいざ知らず、“前”は傭兵なんてアルバイトでやる仕事じゃなかった。

ああ、つまりキヴォトス全土で治安が悪いということで以下略。

しかも定時帰りとか訳が分からない。

誰も驚かないので自分だけ驚かないように注意した。

 

紙芝居では正面からゾロゾロと攻めてきているように見えたけど、実際にその通りだった。

えらく行儀のいいアウトローだった。

少し拍子抜けしてしまったが、戦闘能力は全く気の抜けないレベルだった。

 

ゴロツキとは比較にならないスピードとパワー。

本人たちの努力は勿論、内包する神秘の量も桁違いに多いのだろう。

社長の頭にどれだけヒットさせても、白目を剝いて『痛い痛い』と飛び跳ねるばかりで一向に倒れなかった。他の面子も同じく。

 

分かってはいたけれど、私が便利屋を仕留めるなんて無理ゲーだった。

無名の司祭の名台詞が聞こえてきそう。

いつも通り先生の指示に粛々と従い、ホシノさんたちのサポートに回った。

 

神秘の濃度はアビドスの方が上。

それ以外の能力は甲乙つけがたい。

先生という強力なバフ要員を差し引いても、総合的な戦力ではアビドス勢が上だろうか。

この場における個人としての最強はホシノさんで間違いない。

 

チャイムが鳴り響く前に首尾よく撃退することができた。

傭兵の中にも値札の付いている生徒が混じっていたけれど、ヴァルキューレが使えないので収穫は断念。

 

08モドキも全機生還した。

妙に頑張った。

本当にスパイ容疑を掛けられたヘル&ヘブン隊長が率いる不死身の小隊みたいだ。

凄い凄い。

じゃあ次はゲヘナ風紀委員会の大軍ね? (無慈悲)

 

便利屋だけは最後まで粘り強く抵抗した後、風通しの良くなった兵員輸送車で撤退していった。

ムツキだけは穴から顔を覗かせてアヤネちゃんに手を振る余裕を見せていた。

やっぱり真面目で健気なメガネっ子がストライクなのかな?

 

あと社長が『クライアントのことは言わない』って、依頼人の存在を堂々と教えてくれちゃった。

いいのかな?

いいのか。

いいや、社長だし。

 

これからもネームドキャラとの戦いが続くだろう。

足を引っ張らないように気を付けないと。

 

 

 

〇月×日

 

皆とブラックマーケットへ愉快な遠足に出かけた。

チンピラゴボウが使っていた武器の出所を探るために闇市を調査した。

途中でスケスケバンバンと戯れる阿慈谷ヒフミことファウスト様と出会い、

チョコミントアイスを口に捻じ込まれてイきそうになっている鳥の化け物について語り合った。

その後は闇の頭領が自らマーケットを案内しつつ情報収集にも協力してくださった。

にも拘わらず、全く情報が集まらなかった。

いっそ開き直って悪いことをしている連中の集まりなのに、その上で隠蔽工作を施している。

よほど後ろめたい事情があるんだろうと話していたら、カイザーローンの現金輸送車を見かけた。

色々と怪しいので、皆で仲良くカイザーの銀行を襲撃して証拠を掴むことに決めた。

 

ん、(キヴォトス基準で) 異常なし。

 

みんな口では危険だと言いつつ、割と軽いノリで犯罪者の巣窟へ乗り込んだ。

流石はスーパーキヴォトス人。

アビドス校に生息する希少生物たちは、母校を守るために割と修羅の道を歩んでいるし、銃火器と同様に、キヴォトスでは俗に言う“裏の世界”が、びっくりするほど身近に存在している所為でもあるのだと思う。

アビドスでなくても、お日様の当たる市街地をヘルメット頭とスケバンが普通に闊歩している。

 

 

私もカズサに連れられて少しだけ散策した経験がある。

彼女の案内で遊び歩いて、信用できる出店の見つけ方を教えてもらった。

『アンタ、変なとこで鈍いから気を付けな』とツンツンしながらはぐれないように手を繋いでくれた。

漫画みたいに温かいシチュエーション。

日常の奇跡の記憶。

 

歌舞伎町をサイバーパンク風味にアレンジしたような街並み。

ドローンが飛び回るネオン街を、チンピラファッションに身を包んだ獣フレンズや、マーケットガードのロボットたちがカチャカチャと歩き回っていた。

複数のマンモス校がすっぽり収まるほどの面積を誇る、悪い大人たちの寄り合い場所。

自責他責を問わず、学校に居場所を失った生徒たちの吹き溜まり。

お勉強についていけなくなったら、私もここに身を寄せていたのかもしれない。

性能の悪い人間は切り捨てられる。

特に知識の無い人が一方的な搾取を受けて、全てはその人の努力不足で片付けられてゴミ箱行き。

その辺は“前”と同じだ。

私も気を付けないと。

あまり連中のことを馬とか鹿とか言って笑えない。

 

ハイテク歌舞伎町の中を制服姿で顔も晒してゾロゾロと歩いた。

カイザーに限らず誰かに目撃されると困るので、変装したい気持ちはあった。

誰も着替える気が無くて、一人寂しくスケバンに変装してもかえって目立つので諦めた。

それに意外と大丈夫な場合もある。

これもまた生徒が持つ神秘の効能で、ある程度は『思った通りになる』し『言った通りになる』からだ。

私も生徒として暮らしてみて初めて知った。

身を潜めて動こうと思うだけで、相手の視界から逃れることができる。

正体を隠したいと思えば、周囲の人間も機械も、私たちの姿形を正確には判別できなくなる。

生徒のイメージが現実に反映される。

この発展形が、ユズやミユのステルスに、イズナたちの忍術なのかもしれない。

ただ限度はあるので、やっぱり変装なり電子欺瞞なり対策をするに越したことはない。

特に同じ生徒相手だと、ATフィールドのように神秘同士の中和が起きて露見しやすくなる。

実際、原作で便利屋の面子は覆面水着団の正体をあっさりと見抜いていた。

…社長は多分、アウトローな目出し帽に意識を集中させていたのだろう。

知らんけど。

 

ヒフミ様との出会いも無事に済んで何よりだった。

日にちがズレていたら、ボスはチンピラに取っ捕まっていたかもしれない。

彼女の身の安全については、実はそれほど心配する必要が無い。

ナギサ様が花京院のエメラルドスプラッシュを紅茶で再現しながら正義実現委員会を派遣してクレイジーツルギモンドがオラオラで何とかしていただろう。

何なら自力でも脱出していた可能性が高い。

ただここで覆面水着団にキヴォトス最凶の犯罪者を迎え入れることが、アビドス編のみならずエデン条約編にも大きな影響を及ぼしてくる。

アホみたいなイベントを割と重要な分岐点に据えてくるのが、ブルーアーカイブという物語の特徴なので油断ができない。

 

亜麻色の髪の乙女が朗らかな笑顔を浮かべながらブラックマーケットを案内してくれた。

まるでお勧めのスイーツ店を紹介するかのような気軽さと詳しさだった。

それは闇の世界に足を踏み入れてでもモモフレンズを極めんとするファウスト様の熱意の賜物なのだろう。

彼女に篭絡されたナギサ様が機密情報を垂れ流していた可能性もある。

解説を交えながら淀みなく歩を進める姿からは、事前調査だけではない経験の豊富さも見て取ることができた。

初体験のような言い回しだったけど、実際にはどれだけ出入りしていたのか知れない。

誰もツッコまなかった。

むしろこれ幸いと積極的に活用するバイタリティに満ち溢れていた。

こっちもこっちでどうかしていた。

 

これから銀行強盗だ。

相変わらず危ない橋を渡り続ける。

気の抜けない日々が続く。

誰にも言えないけど、少し疲れてきたかな。

 

 

余談だけど。

マーケットではアリウスの生徒たちも見かけた。

スクワッドではなく、ガスマスクを付けた一般生のようだった。

おそらくエデン条約の調印式で豪華な花火を上げるために資金や装備を調達している最中なのだろう。

“歌声”が風に乗って聞こえてきたので直ぐに分かった。

Vantas vanitatum et omnia vanitas

ヴァニヴァニと、呪いの言葉を延々と呟いていた。

本来は『全ては虚しいのだから、欲望に囚われず謙虚に生きよう』という意味だったらしい。

それをおばトリアのゲマトリーチェベアさんが破滅の呪文に捻じ曲げてしまった。

中世ヨーロッパのお貴族様を彷彿とさせる怖いおばさん。

放射能汚染で変異してしまった さるぼぼ のような出で立ちの人。

『舞台装置』と揶揄されてネタキャラにされていたけど、それは神の視点から見た話だ。

こうして現実としか思えない状況で、あんな頭のおかしな人と出会う可能性を考えるだけで寒気がする。

 

キヴォトスは“前”よりもいいところが沢山あるけど、悪いところも山積みだ。

どちらがいいんだろう?

今のところは、実はこちらの方が好きだったりする。

“前”よりは人が陰湿ではないと思うから。

 

 

 

〇月×日

 

覆面水着団の結成および初陣の日を迎えた。

地下アイドル風のユニット名に、ハムラビ法典リスペクトな活動方針を掲げる強盗団が産声を上げた。

団員は目出し帽を被った0号から4号。

鯛焼き袋の5号ことリーダーのファウスト。

ついでにカボチャマスクの6号「メフィスト」。

 

うん、言いたいことは分かる。

誰お前?

私だ。

このたび覆面水着団の初めから居る追加戦士という大役を賜ることに相成りました。

どんどん重い役職が増えていく。

ブラックマーケットの出店で投げ売りされていた安物カボチャなのに、額の部分に燦然と輝く「6」の数字が鉛のように重く感じた。

カイザーに反省を促すダンスを踊る気にもならなかった。

 

銀行強盗は決起集会の翌日に実行された。

はえーよホセ。

「ん、こんなこともあろうかと下調べは済ませておいた」

アビドススナオオカミ先輩が全ての手はずを整えていたからだ。

計画をぶち上げた次の瞬間、監視カメラの死角や警備員の巡回経路といった必要なデータを詳細に提示してきた。

何なら彼女から銀行強盗のレクチャーを受けた際、事例として挙げていたのが今回の標的だった。

『一番お金を溜め込んでいる』から、と…。

現金輸送車の件は奇跡的に見落としていた。

そのことを彼女はテラー化しそうな勢いで悔やんでいた。

まだVOL.1なのに一人だけ最終編の気迫を見せていた。

だから色々と早すぎるってばよ。

 

若干グダったけれど準備は万端だった。

だから全ての不安は杞憂に終わった。

厳重に守られたカイザーローンの本店に押し入り、大量の機密書類と現金を入手した。

本来であれば人生を賭けた一大イベントだろうに、さらりと流してしまえる簡潔さだった。

私もだいぶ頭がおかしくなってきた。

 

今日もホシノさんたちのおかげで何事も無く終わった。

相変わらず味方が優秀過ぎる。

アヤネちゃんの電子戦闘能力には下手なミレニアム生もタジタジだ。

一時的とはいえ、カイザーの強固なセキュリティ群を秘密裏に掌握して見せた。

今すぐヴェリタスに入部して、チヒロ先輩と一緒にミレニアムの外付け良心回路となってほしい。

これで一年生ってマ?

私も多少は手伝ったけど要らなかっただろう。

そういや彼女も宇宙戦艦のオペレーターやるわ…。

 

お金も、生きていくために必要なもの。

命の燃料。

それを人から物を奪うのは悪いこと。

やってはいけないこと。

相手がどうしようもない人格の持ち主であっても、それを免罪符にしてはいけないと言われること。

“前”だったら懲役5年から20年くらい。

殺人等の追加ボーナスで更に刑期増量。

犯罪行為。

だからみんな悪い人。

アビドス廃校対策委員会も、先生も、コユキも、リオ会長も、私も。

 

それでも今はやらなければいけない。

アビドスはもう真っ当な方法では状況を打開できない状態だから。

その意味では、原作は物凄く中途半端な対応だったと思う。

散々やらかしておきながら、お金だけは途中で置いていった。

ただ、そのお金が柴関ラーメンの再出発に必要な資金となる。

柴犬の大将は、アビドス勢にとって大切な心の拠り所だ。

私一人の薄っぺらい義憤に駆られて潰すわけにもいかないので黙っておく。

 

正直、カイザーに対しては超法規的な措置も普通にアリだと思う。

というかキヴォトスでは頭テロリストにならないと、割と真剣に何もできない。

真面目にルールの範囲内だけでやりくりしても、“前”よりもダイレクトに金と暴力で潰される。

潰し合いが日常に溶け込んでいるキヴォトスには、表向きは常識人ぶっていても、実際には話の通じないテロリズム信奉者がわんさかいる。

マイルドなGTAか、優しいロアナプラみたいなものだ。

暴力で解決はしないけれど、暴力で決着をつけるしかない事態が多発する。

だから結局は、必要だと思った場合には実行するしかない。

そうしないと“前”以上に、誰かの食い物にされるだけだから。

 

 

 

〇月×日

 

押収した書類の内容を確認した。

アビドスが今までせっせとカイザーに納め続けていた返済金が、そのままヘルメットキノコの栽培に充てられていたことが判明した。

搾り取ったお金でチンピラを養って襲わせるという酷い話。

セリカちゃんたちが憤慨するのは当然として、新たな疑問が湧いてきた。

カイザーによるイジメの手口は効率的ではない。

こんな子供じみたやり方で、手に入れたところでお金にならないアビドス校を狙う理由は何か?

この時点ではそれらしい理由を推測することができず、会議はいったんお開きとなった。

 

ホシノさんが私だけに分かるように目配せをしてきた。

『ガっちゃん、何か知ってんじゃない?』

アホ毛をグニャリと“?”の形に曲げていた。

頭を連獅子のように振り回して否定しておいた。

実際に知らない。

何もかも筋書き通りである保証は無いから。

この情報は、この時点ではごく限られた人しか知らない。

宮東ガンジュという生徒が、その情報を入手することは不可能だ。

リオ会長は承知しているのかもしれないけれど、それを私に伝える必要は無い。

だから私は知らない。

 

確か『ウトナピシュティムの本船』だったっけ。

初見でこれサラッと読める人は凄いと思う。

もっと簡単な名前にしてほしい。

そういえばD.U.も District Ut-napishitim の略だった。

 

実は戦闘用ではあるものの戦艦ではないらしい。

『アトラ・ハシースの箱舟』なるトンデモ空中要塞を電子的に制圧するための、空飛ぶ巨大量子コンピューター。

カイザーはキヴォトスを征服するためにそれが欲しくて堪らない。

発掘するためにアビドスの土地を根こそぎ掌握しようとしている。

征服してどうするのかは知らない。

どこでどうやってそんなものが埋まっている情報を手に入れたのかも。

砂の海から新品同然で発掘されて、無名の司祭は『掘り起こされた』ではなく『顕現した』とか意味深な言い回しで表現して、そもそもカイザーコーポレーションの成り立ちからして未公開の情報が多すぎて。

ブルアカは好きだけど、意味不明な情報が多すぎて困る。

こうして現実としか思えない状況に巻き込まれてしまうと、特に。

ソースは黒服だったかな?

そしてその先生ファンクラブ会員第1号となるスレンダーマンは、カイザーを利用してホシノさんの身体を使った緊縛プレイを堪能しようと画策している。

ご苦労様。

暇そうで羨ましい。

あっ、ハサウェイのことじゃないよ。

お願いだから銃をしまって!

 

各々がいったん日常業務へ戻った。

私は食べ〇グ的なWebサイトの片隅に掲載されていた柴関ラーメンに最高評価を付ける傍ら、秘匿回線でリオ“先輩”へ中間報告を行った。

もののついでにコピっておいたカイザー銀行の機密情報を送信。

不正の証拠を押さえるためだからねちかたないね。

 

先輩は調べるだけ調べて、危なくなったら適当な理由を付けて撤退するように指示を下してきた。

正式にC&Cとして引き受けた任務ではないから、手を引いたところで戦績に傷は付かないと。

了解しておいた。

『危なくなければ逃げる必要は無い』と言ってくれたので、撤退はしない。

危なくないなんて、自分でもおかしなことを言っている自覚はある。

随分と前から。

金ぴかの慢心王になっているだけなのかもしれない。

先生たちが居るから大丈夫だと、筋書き通りに進むだけだからと。

ただここまで付いてきて、途中で逃げ出すのが後ろめたい。

 

それに非公式設定とはいえC&Cだから、お仕事を途中で放り出すことはしたくない。

ちびメイド先輩たちも、きっと『乗り掛かった舟だから』と残る道を選択するだろう。

私は彼女たちの中にも溶け込みたいと思っている。

折角の機会だから、そこに存在することを当たり前のように認めてほしい。

だからそれらしく振る舞う。

邪魔だって言われたら消えるしかないけれど。

 

そろそろ柴関が爆発する頃だろうか。

中途半端に把握していると、かえって面倒くさいな。

立場上どうしようもないけれどホシノさんにも睨まれている。

これからもっと大変なことになるのに、戦いとは別のことで気が重い。

 

仮にハルカちゃんの一人バルス!を防いでも、柴関ラーメン本店は失われる。

カイザーによる立ち退き要請が下っているからだ。

アビドス編2章が終了した段階では、未だ大半の土地がカイザーの手中にある。

骨を折って店舗を守っても、近日中に取り壊されてしまうだろう。

だからアコちゃんさんも『アビドスの土地ではない無人地帯』と認識して横乳を晒しながら凶行に及ぶ。

描写が無かっただけで、きっと所有者であるカイザーには話を通していた。

向こうとしても、壊して更地にする手間が省けるのだから都合がいい。

残念な現実ではあるけれど、彼女たちと青春 (意味深?) する時に周辺への被害を考えなくていいのは楽だ。

 

少しだけ余分な行動を取ってみることにする。

流れを変えないように自分に出来る範囲で、例えば今回だったら、柴犬の大将が怪我をしないように済ませるくらいはできるかもしれない。

 

まずは便利屋68と風紀を乱す委員会の動きに注意しよう。




やっと次はゲヘナ風紀委員会。
シナ委員長のようにヒナヒナになりながら書き綴る今日このごろ。
世間は地震やら何やらでえらいことになっていますが私は元気です (自己暗示) 。
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