俺の従兄弟のおじさんが義妹になりまして   作:エイジアモン

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12.離れて見る.M

MIYABI View

 

―――午後のHR

 

体育祭かあ、私が男だった時の高校は9月にやってたけどなあ、正直あまり覚えてないんだけど。

あまり運動神経が良いほうじゃなかったから、体育祭は苦手だったな、今の身体もどうやら運動は得意ではなさそうなんだけど。

そうなると出場競技は限られていて、障害物走とか借り物競走とか、そういうのしかなくて。

借り物競走で良いかなと思ってそれに決めて、ジャンケンで運良くそれに決まり、団体競技は大縄跳びと応援合戦への参加になった。

 

敏夫君はどうかというと足が早くて背も高い、という事で200m走とクラス対抗リレーに大縄跳びと応援合戦みたい、大縄跳びは回すほうだけど。

それで私達は白チーム、他は赤青黄の3色。

 

正直にいうとあんまりやる気が出ない、クラスメイトと交流できる良い機会だとは思うけど運動を頑張る性格じゃないからね。

かといってサボる訳でもなくて、まあそれなりに参加してそれなりに騒いで、それなりで終わる、そういう感じ。

 

早速今日から体育祭の練習解禁日という事で授業後に着替えてまずは大縄跳びからやる事に。

大縄跳びは幸いな事にももかちゃんとさなちゃんがいるので心細くなくて安心できそう、敏夫君もいるし。

 

着替える前のタイミングで敏夫君が声をかけてきて、終わった後はお互い待って一緒に帰ろうという提案だった。

多分私が待つ事が多くなるのだろうけど、それ自体は問題ない、ただ場所を決めておかないと不味いかなと思って、それを伝えたら。

 

「練習中はスマホも使えないし、1人にしときたくないんで、出来れば見える所で待ってて欲しい――」

 

なんて言ってくるじゃないか、確かにそうかも知れないけど、見える所かあ、心配性だなあ君は、まあ特に行きたい所も無いし敏夫君の練習でもじっくり観察するとしようかな。

 

 

大縄跳びの練習なんだけど、飛ぶだけだろう?簡単簡単、なんて思ってたりはしないだろうか?1人で飛ぶならともかく、大人数で飛ぶとなると前後の距離感が変わってそっちに気を取られると飛ぶのが遅れたり、早すぎたりで引っかかる、今やらかした実体験なんだけど。

だから意外と馬鹿には出来ないみたいだね。

 

後はなんというか男子のギャラリーが多くて、明らかに女子の胸を見ている、それが分かる、気持ちは分かるけどこんなに露骨なものだったろうか、不快になるのも理解できちゃうなあ。

 

大縄跳びの練習が終わり、ももかちゃん達と3人で居ると敏夫君が近づいて来て、ももかちゃんとさなちゃんはお昼の事を謝って、敏夫君はそれを気にしてないと言って許していた、この3人の近くにいられる事は幸運かも知れないな、まともな子達だ。特に敏夫君は、うん。

 

「それでこの後リレーの練習なんだよね?着替えたら戻ってくるから、場所が分かるように手でも振って教えてね」

「分かりました、お願いします」

 

3人で更衣室に移動してたんだけど、さなちゃんが。

 

「さっきの戻るって何?まさか、終わるまで待ってるとか?」

「うん、そのつもりだよ、一緒に帰るからね、それに心配だから近くで見てて欲しいってお願いされてて」

「―――え!?それって」

「もしかして光野くんはみやびちゃんのお守りを任されてるとか?」

「そうなんだよね、まだ慣れてないから1人で行動するのは危険だって、お姉ちゃんにも言われてて」

「冗談だったんだけど当たってたみたい、うん、でもそうだね、こっちに来てまだ間もないもんね、それにみやびちゃんが独り歩きとか確かに危ないかも」

「ねえ、実は付き合ってるとかないの?」

「ないない!それは無いから!」

「えーでもどうみてもー」

 

いきなり付き合ってるとか何言ってんのさなちゃん、そういえば今日のお昼の恋人同士発言もさなちゃんだったか、この子はそういう目で私と敏夫君を見てるのだろうね。

それはそれとして、ももかちゃんも私の独り歩きは危険だと思うのね、確かに運動神経も余り良くないし、何かあっても逃げられる自信はないかも知れないね。

私自身も敏夫君と一緒に帰る事はやぶさかではないし、1人で帰るよりは一緒のほうが安心できるし、何も問題は無いから。

 

着替えが終わり、今ひとつ納得していないさなちゃんと気をつけてねーと送ってくれたももかちゃんと分かれて、私は校庭に戻ってきた、多分トラックにいるんだろうなーと思って見渡してみると、敏夫君が私の姿を見つけたのか手を振ってくれている。

邪魔にならないようにトラックを大回りして、邪魔にならない程度の近くに立って見物を始めた。

 

何人かが私をチラチラと見ているので、もしかして邪魔なのだろうかと周りを見回したけど、何も言ってこなかったのでとりあえずそのまま見物を続けた。

 

こうして少し離れて何かに集中している敏夫君を見るのは初めてかもしれない。

あらためて見ると、175センチという高い身長、何か運動をしていたのであろう細くしなやかな、だけどしっかりした筋肉が付いた体つき、端正な顔とシュッとした輪郭、私と食事や話している時には見せない真剣で精悍な顔付き……これは結構格好良いんじゃないだろうか。というか贔屓目じゃなくイケメンだと思う。

実は結構モテるんじゃないかな、なんて思う。

そういえば……友達の2人も背が高くて、それなりにイケメンだったように思うし、もしかして敏夫君グループはイケメングループだったりするのかな。

 

リレーの練習が休憩に入ったみたいで、敏夫君が私の方に来てくれた。

さっきまでと違う、優しく嬉しそうな顔、格好良いと認識してしまったからか、少し意識してしまう。

凄く汗をかいていて、私のハンカチで首元なんかを拭いても全然足りない、これはタオルが必要だね。

 

明日からはタオルを持ってくる事、代わりにお弁当は敏夫君が持ってくれる事に決まった。

 

練習が再開されたけど、すでに意識してしまったせいか、敏夫君を目で追ってしまう、目で追うようになると色んな表情が見えてくる、真剣な顔、全力の顔、必死な顔、終わった時のほっとひと息ついた顔、周りと和かに話す顔、どれも魅力的で、どれも格好良かった、……っといけないいけない、私は何を考えているんだ、彼は男で私だってまだ……でもなんだか、彼だけは特別な、そんな気がしてしまう、男として好きとかそういうのではないはずだけれど。

 

私はこの時から以前より敏夫君を自然と目で追うように、探すようになってしまっていた。

 

何事もなく練習が終わり、更衣室前までついていって、外で待っていた。

 

意識してしまっているせいか、何故か分からないけども、ハンカチに付いた敏夫君の汗の匂いが気になって、敏夫君が更衣室で着替えているタイミングでハンカチの匂いを嗅いでみた、自分の汗の匂いと敏夫君の汗の匂いらしきものが混ざっていたが、不思議と嫌な匂いには感じなかった。

それで思い出したんだけど、自分の汗を拭いたハンカチで敏夫君の汗を拭いてしまったのか、失礼な事をしてしまったなあ。

 

更衣室に出入りする人達が私を見ていく、男子更衣室前なんだからそこに女の子がいたらそりゃあ違和感で見ちゃうよね。

着替え終わった敏夫君が出てきたので一緒に帰る事に。ちょっと制汗スプレーの匂いがするかな、そういうとこちゃんとしてて偉いね。

 

帰りはいつものようにスーパーに寄って食材を買うんだけど、

 

「すみませんでした、練習結構長かったから、待ちましたよね」

 

と謝ってきたのだ、気にしないで欲しい、意外と退屈しなかったし若者が頑張る姿を見るのは嫌いじゃないんだ。

と、そんな事を伝えて、中学で何かやってるか聞いたら、バレー部だったという、だから身長が高いのかと納得してしなやかそうな筋肉はそういう理由かあ、なんて1人で納得していた。

 

「いいよねえ、身長高くて、私なんて150センチだよ、男の時でも171センチだったし、20センチ以上縮んだんだよねえ、15才ならまだ少しは伸びるかなあ」

「そうですね」

 

おや、敏夫君らしくない、適当な返事が返ってきた。

 

「……敏夫君今、適当に答えたね?」

「何の話でしたっけ?」

 

とぼけてきた、これはそういう事だろうね、いいだろう乗ろうじゃない。

嫌いなものを作るからと嫌いなものは何かと聞いたら、見事な切り返しを貰ってしまった。

こういう機転は良い、こういうやり取りは好きだな。

 

「―――敏夫君、素敵な返しだね、そういうとこ好きだな、機転が効いてて」

 

さらに乗っかるのも有りだと思うけど。私は素直に褒めた、こういうのは褒めないと駄目だと思う、ネタで誤魔化しちゃ駄目だし、笑っても駄目。

 

「お嬢様、お気に召しましたでしょうか」

 

なんて、敏夫君はさらに続けてきた、うん、良いね!そういうところ好きだなあ。

私も続けようとしたけどちょっと失敗してしまった、少し恥ずかしかったよ。

 

敏夫君は本当に好青年で機転まで効く、見た目も格好良いし、勉強も出来て運動神経も抜群、あれ?ちょっと完璧すぎるんじゃないかな。君を私のお守りに縛り付けてしまっていいのだろうか、とても勿体無い気がするんだけど。

 

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