俺の従兄弟のおじさんが義妹になりまして   作:エイジアモン

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16.体育祭.M

MIYABI View

 

―――体育祭の朝、自宅

 

今日は体育祭だから、いつもと違っておにぎりを作ったり、タコさんウィンナーなんかの手の込んだ物を入れようと思う、まあ偶にはいかにもお弁当!というのも良いでしょう。

いつもより大きめなお弁当箱に入れて、敏夫君に渡した。

 

「今日のはいつものより大きいんですね」

「まあ偶にはね、こういうのも良いだろうと思ってね」

 

―――体育祭

 

200m走参加者の呼び出しアナウンスが入った。

その時私はももかちゃんとさなちゃんの3人で話をしていたけど、敏夫君は200m走参加のはずだから何か声を掛けようと思い、呼び止めた。

 

「なんですか、みやびさん」

「敏夫君、200m走頑張ってね、練習見てたけど君ならきっと1位取れるよ」

「ありがとうございます、毎日見ていてくれたみやびさんがそう言うなら間違いないですね、1位取ってきます」

「光野くんがんばってね」

「1位取っていいとこみせなよー」

「ありがとう」

 

「1位取れるといいねー」

「絶対1位取ってくれるよ、取ってきますって言ってたからね」

「敏夫君の事、信じてるんだね」

「そうかな?……うん、そうかも知れないね」

 

そう、私は敏夫君の事を信頼している、ちょっと過剰かも知れないけど、敏夫君はやると言ったらやる男なのだと感じてる、なぜそこまで信頼出来るのかは……なんでだろうね、長い事一緒にいるからかも知れないね。

 

敏夫君が走っている最中はしっかり応援した、がんばれーって、そしてちゃんと1位を取ったのだ、流石は敏夫君だ。

敏夫君はゴール後、私の方を見てガッツポーズをしていて、私達は拍手をしていた。

 

「今のってさ、みやびちゃんへのアピールだよね、間違いなく」

「そんな感じだよね、1位取ったよ!っていう」

「そ、そうかな」

 

そうやって言われると意識してしまって恥ずかしくて頬が紅くなる、そうかー私へのアピールかー。

でも私が期待して、敏夫君が結果で返してくれたんだ、私もしっかり返さないといけないな。

戻ってきた敏夫君に声を掛け、しっかり称えて上げて、私も嬉しい事を伝えた。

 

「これもみやびさんの応援のお陰です、いつも以上の力が出ましたし、ありがとうございます」

「私は大した事はしてないよ、敏夫君の実力だから、でも力になれてよかった」

 

自分で言っておきながら、この言葉に何故か嬉しくなって感極まりそうになっている。

……もしかして、敏夫君の力になれたのが嬉しいんだろうか。そしてそれを実感したからかも知れない。

 

大縄跳びは、特に可もなく不可もなくという感じで最後まで引っかからなくて良かった。

回す敏夫君が大変そうだなと思ったくらいかな。

 

お昼ご飯は校庭脇の芝生の上で、そして敏夫君はいつもより嬉しそうだ。

やはり運動してお腹が空いているのだろうか、敏夫君がいつもより沢山食べている気がする、あんまり食べ過ぎるとお昼からの競技にも影響しちゃうと思うんだけど。

 

「みやびさん、おにぎりメチャクチャ旨いです、いくらでも入っちゃいますよ」

「うん、ありがとう、おにぎり良いよね、私も好きだな」

「でもこのおにぎり形がいいですよね、型とか使ってないんですよね」

「型は使ってないよ、単純に練習したからかな」

「こんな綺麗で美味しいなんて最高です、それにおにぎりには玉子焼きとウィンナーが合う!最高です!がつがつ!……!?、んぐぐ…!」

「あーあー、そんなに急いで飲み込むから、ほらお茶飲んで落ち着いて」

「ゴクッゴクッ……ぷはー、助かりました、ありがとうございます」

「ふふ、ゆっくり食べようね、誰も盗らないからさ」

 

本当にこの2人だけの時間が好きで、毎日、毎食一緒にいても、毎回とても幸せな気分になれる。

作ってる時だって、今じゃ敏夫君の喜ぶ顔を想像しながら作っているくらいだ。

 

そんな幸せな時間が終わり、応援合戦なんだけど、私と敏夫君が参加して、特に何も無く終わった。

 

そして借り物競走の時間が迫ってきて、少し緊張してきた。

敏夫君が来てくれて、応援してくれるのかなと思ったんだけど、後ろに2人、敏夫君の友達もいる、確か前に登校初日の食後に声を掛けてきた前出(智行)くんと大鷹(哲平)くんだ、少し身構えてしまう。

敏夫君と言葉を交わした後、2人とも声を掛けてきた。

 

「光野さん、敏夫の友人として応援してるよ、頑張ってね」

「みやびちゃん、この前はごめんね、敏夫の友人として応援してるから、頑張って」

 

大鷹くんは普通に、前出くんは前回の事を謝ってくれて、2人共敏夫君の友達として応援してると言ってくれた、これは一応線引きはしてますよ、という意思表示だろうか。でも……。

敏夫君を見た、ニッコリと微笑んで頷いてくれたので、敏夫君がそういうならば私も2人を信用する事にした。

 

「う、うん、ありがとう」

 

やはり、告白の件からどうも男の人は少し苦手な気がする、普通にあいさつを交わす分には良いんだけど、言葉を交わすとなると少し。敏夫君だけは平気だけど。

 

 

借り物競走がスタートした、借り物指定位置にそれぞれ借り物を指定した紙があり、それを借りて検査係の人にチェックしてもらい、そのままゴールまで走る形式になっている。

借り物指定位置は好きな場所にいける、ただ何が指定されているかは分からないため、結局は自分に近い位置に行くのが良い気がする。

 

という訳で自分に一番近い所についた、紙を開くとそこには"イケメン"と書いてある。

 

ピンときた、敏夫君は間違いなくイケメンのはずだ、練習で毎日見ていて思っていたし、失礼だけど周りと比較しても一番格好良いと思う、私の贔屓目を抜きにしてもクラスで一番だと思う。

だから、すぐに私はそちらに走っていった。

 

敏夫君の前で声を掛けた。

 

「敏夫君、一緒に来て!」

 

そう言って、手を伸ばした。

敏夫君は聞き返したりする事はせず、直ぐに私の手を取ってくれた。

流石敏夫君だ、ここで"なんで?"なんて言われて問答していたら遅くなってしまう。それにイケメンだから来て欲しい、なんて大声で言えるはずも無い。

クラスメイトはなんだなんだ?という顔をしている、ももかちゃんとさなちゃんは私達を見てニヤニヤしている。

 

説明する気がないので直ぐに検査係の人に向かって走り出した。敏夫君はしっかり手を繋いで付いてきている。

検査係に"イケメン"と書かれている紙を渡して結果を待った。敏夫君なら大丈夫なはずだ、君は格好良い!

敏夫君をジロジロと見た後残念そうな顔をして、OKが出て、直ぐにゴールへ向かって走り出した。そして無事にゴール、1位になった。

 

「みやびさん、一体なんの借り物だったんですか?」

「んー、まあ、後で分かるよ」

 

私の口からはとても言えない、"イケメン"だなんて、これは私が敏夫君の事をイケメンだと思ってると公言するようなものだ、それはつまり、私の好みは敏夫君です、と言うようなものだ、例え私がそう思って無くても。……いや、今の私から見ると敏夫君は好みかも知れない、少なくとも他の男よりは。

いやまてよ、敏夫君"は"好みより、敏夫君"が"好みのほうがより正しいんじゃないかな、私は敏夫君"が"良いのだ、ふふ、……いやいやまてまて!思考が脱線している!

 

えーと、他の男よりは敏夫君のほうが好み、という話しだな、うん。それなら間違いない。だから"イケメン"と言えば敏夫君なのだ、これでヨシ!……あれ?

 

まだ敏夫君と手を繋いだままだ、段々と敏夫君と手を繋いでいる実感が湧いてきた。

前に手を繋いだ時に感じた、大きくて暖かい手、それに加え今は頼もしくて力強く感じる、どこから見ても男の子の手、そして私は小さくて、細くてか弱い、女の子の手、その差、なるほど頼りたくなる訳だな。

これからも色々と頼らせてくれよ、敏夫君。

 

順位の下から借り物が発表される、次は私の番なんだけど、あれこれって。

 

「1位の光野さんの借り物は……"イケメン"です!」

 

その言葉を聞いた時、私は頬を紅潮させて、敏夫君を見られなかった。

分かっていたけどやっぱり恥ずかしい、敏夫君も私の好みが敏夫君だと気付いてしまっただろう。

そして、全校生徒にそれが伝わった事も。これは公開処刑じゃないかなあ。

 

だってイケメンで1位を取ってしまったのだ、それだけ早く検査でOKを貰ってゴールしたという事、検査でNGされていればネタ枠として良かったんだろうけど、1位じゃあネタじゃなくて本気にしか見えない。

 

その後の事は余り覚えていない、とにかく注目を一杯浴びたのだけは覚えている。

クラスの席に戻った時はクラスメイトから好みは光野くんなんだねとかやっぱりねと言われた、またしても恥ずかしい。

こんな見世物みたいな事に巻き込んでしまった敏夫君には謝っておかないと。

 

「敏夫君ごめんね、迷惑かけちゃって」

「何言ってるんですか、嬉しいですよ、役に立てて」

 

敏夫君はきっと色々思っているだろう、それでも許してくれた、嬉しいとも、優しくて私は嬉しくなる。

 

「見てたよ、まさか敏夫君を連れて行ったのがイケメンだったからなんてね、でも納得だよ」

「一番に思いつくくらいには好きなんだよねー、そろそろ認めたらいいのにー」

「違うから、そういうのじゃないから、でもイケメンなのは間違いないと思うのだけど」

「まあ確かに」

「じゃあ合ってるよね」

「認めたほうが楽になるよー」

「違うってば」

「まあまあ、今はそういう事でいいじゃない、ほら次はみやびちゃんのイケメンの出番だよ、応援しないと」

「だから、言い方!」

 

そう、最後はクラス対抗リレーがある、敏夫君は2番手、応援しなければ。

 

「敏夫君、リレー頑張ってね、これが最後だからね」

「はい、1位でバトン渡せるように頑張りますよ」

 

結果は2位、敏夫君はしっかり1位でバトンを渡していた。まあしょうがないね。

 

体育祭が終わった、もしかしたら今までの体育祭で一番楽しかったかも知れない、……それはやっぱり、敏夫君が居たからだろうか、そんな気がする。今日はそれを実感した日だった。




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