俺の従兄弟のおじさんが義妹になりまして   作:エイジアモン

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27.定位置.T

 

―――自宅、朝

 

「敏夫!起きなさい!敏夫!」

 

身体が揺さぶられている、まだ眠い、まだ寝たい。

まどろむ俺を揺さぶる何かが居て、うっとおしく思い、ソレを掴んで胸元へ引き込んだ。

 

「うわっ、コラ!いい加減にしろ!流石に怒るぞ!」

 

ソレは俺の胸元でそう騒いでいる、うるさい、布団でも被ってろ。

 

「オイコラ!―――怒ったからな――」

 

ソレは俺と布団に挟まれて何事かモゴモゴしている。

って!痛ってぇ!!

余りの痛さに目を覚まし、ガバリと身体を起こした。

 

「お、やっと起きたか」

 

急速に覚醒する意識、刺すような痛みを発している脇腹、状況に気付いた俺は猛烈に後悔した。痛みをそっちのけで。

俺の身体から離れて身だしなみを整えるみやび、綺麗な金髪がボサボサになっている。そして時計を見ると時間が危ない。

 

「お、おはようございます!みやびさん!ごめんなさい!寝ぼけてて―――」

「いいから、時間無いから早く支度して、朝ご飯食べる時間も無いからね」

 

そう言って先に部屋を出て階段を降りていった。

慌てて着替えて身だしなみを整え―――いいや、もう時間が無いから少し濡らして手櫛で。

着替える時に脇腹を見ると一点が赤くなっている、みやびは何をしたんだ。いや全面的に俺が悪いんだけど。

 

「準備出来た?それじゃあ少し急いで行こうか」

「はい」

 

幸いな事に家と学校は近いので交通機関に影響されない。

一緒に家を出て少し早歩きで学校に着いた。

 

「おはよう、今日はギリギリじゃないか、寝坊したんか?……まさか朝まで?」

「んなわけねーだろ、単純に俺が寝坊したんだよ、みやびに起こして貰わなかったらマジでヤバかった」

「おはようさん、朝から色々聞こうと思ってたのに遅すぎだろ、全く」

「すまんすまん」

 

―――学校、休憩時間

 

「付き合い始めたのはマジなんだな?」

「嘘つく理由がないだろ」

「みやびさん、マジで敏夫と付き合い始めたん?」

 

後ろの席に座ってるみやびに声を掛ける智行、こういう時は席が近過ぎるのも考えものだな、みやびはみやびで中平さん達と似たような事を話していた。

 

さ「てか普通に6人で話した方が早くない?」

 

矢矧さんの提案でみやびの席を中心に6人で話し始めた。

 

「で、付き合い始めたのは間違いない、と」

「そうだね、昨日から正式に付き合い始めたよ、ね、敏夫」

「あ、ああ、ちゃんと告白して、OKを貰った」

「ようやくだな」

「せーのッ」

 

「「「「おめでとう!」」」」

 

パチパチパチパチ、と拍手をし始めた。

釣られてクラスメイトも拍手してくれる奴なんかもいて、最後は殆ど全員が拍手してくれたんじゃないか?結構おおごとに。これはクラスに言わないといけない空気に。

 

立ち上がり、みやびにも立つように促した。

 

「みんな!ありがとう!俺達は付き合う事になったから!よろしくな!」

「あ、うん、みんなよろしくね」

 

と2人でクラスに挨拶をした、みやびは顔を真っ赤にしていた。

もしかしてクラスに周知させる事が目的だったとか?――それは考えすぎか。

 

「浴衣買っといて良かったでしょ、みやびちゃん」

「そうだね、まさか直ぐに着る事になるなんて思わなかったけど」

「次は水着かなー?」

「え?水着も買ってあるの?」

「そうだよー、敏夫くん楽しみにしといてねー」

 

そりゃあ良い事を聞いた、みやびの水着姿かあ、思わずビキニをイメージしちゃったけどそれは期待しすぎだと思うのでワンピースタイプだろうな。

 

「ニヤついてんな敏夫のやつ、全く良いご身分だこと」

「というわけでさ、来週から夏休みだし6人で海でも行かない?」

「哲平も偶には良い提案をするじゃないか、どうかな?」

「そうだね、8月入ったら実家に帰省するからどうせなら7月の内に行っときたいかな」

「敏夫、多分私達も実家に一度行く必要があると思う」

 

あー、そっかみやびはまだ実家に行った事が無いか、俺もそろそろ戻っとかないと不味いしな。

みやびが来てから一度も実家に帰って無い事を思い出した。

 

―――学校、昼

 

お昼ご飯の時間なんだけど、いつもと違う気がした。

そういえば恋人同士になって初めての食事だ、朝は俺が寝坊してみやびの朝ご飯を無駄にしてしまったんだった、それを思い出すとみやびに悪い事をしたと思う。

 

「みやび、朝はごめんなさい、俺が寝坊したからせっかく用意した朝ご飯を無駄にしてしまって」

「ああ、その事ね、もう良いよ、謝ってくれたしね、でも次からは気をつけてよ。ところでなんで今日は寝坊したんだい」

「実は恋人同士になった事が嬉しすぎて中々寝付けなくて、少し外が明るくなってたのは覚えてます」

「はぁ……全く君は、まあいいよ、それよりご飯は楽しく食べよう、はい」

「はい、いただきます」

 

 

―――学校帰り

 

「みやび、これから通学中は出来るだけ手を繋ぎたいんだけど、良いですか?」

「え、うん、良いよ、繋ごうか、恋人同士、だしね」

 

そう言ってみやびは手を差し出してくれた、俺はその小さくて柔らかい手を握り、幸せに浸りながら歩き出した。

 

6人で海に行く事は夏休みに入ってからと決まった、日程なんかは家に帰ってからビデオ会話で決める事に、でも俺は週末にデートに行きたい、出来ればお金を掛けないほうが良いんだけど、今回はそうもいかない。

2人で同じ物をペアで持ちたいと思っているからだ。

と言っても何千円、何万円なんて物は買えないし、そうなるとみやびがお金を出すと言うだろう、だからもっと安い物じゃないといけない。

お互いに精々千円程度までの小物を買って、いつも持ち歩くかカバンに付けたりとか、そういう恋人同士っぽい事をしたい。良いじゃないか、男だってそういうものに憧れるんだ。

 

「今週末の土日どちらかでデート行きませんか」

「いいよ、あ、買い物に行きたいから土曜にショッピングモールに付き合って欲しいな」

「あ、実は俺もショッピングモールでデートしたいと思ってたから丁度良いです、じゃあ土曜にしましょうか」

「ふふ、そうだね、それなら丁度良いね、よろしくね」

「ええ、こちらこそ、楽しみだなあ」

 

嬉しくて繋いだ手をぶんぶんと振ってしまった、身長差、体格差からみやびは身体毎振り回されていた。

 

「ああッ、すみません!嬉しくてつい!」

「う、うん、ちょっと腕が痛いから、次からは気を付けてね……」

 

 

―――自宅、食後

 

「2人一緒に映ってるのを見ると本当に同棲してるんだねー、マジでヤバそう」

「いや言い方よ、それにヤバくないから」

「いや同棲で合ってるだろうよ、あーあ、恋人同士で同棲とかな、羨ましい」

「俺達の話はいいから、ちゃんと海の話しようぜ」

 

今俺達はビデオ会話機能を使って6人、いや正確には4人+俺とみやびの2人、合わせて6人で会話して俺とみやびは2人並んでビデオに参加してるというわけ。

 

「もう新婚さんみたいな物だよね、結婚はいつ?みたいな」

「桃香ちゃんまでソレ言うの?、そろそろ本題に入ろうよ」

「じゃあ、本題に入るか―――2人の結婚はいつか?」

「いやもういいから、さっさと話し進めようぜ」

 

「じゃあ来週で一日空いてる日を出し合おうぜ、俺達は来週なら火水木だな」

「ナチュラルに俺達って言ってるのヤバない?」

「だな、2人セットが基本てお前」

「いいから!話し進めるぞ――――」

 

こういう感じでスケジュールは決まった。

事ある毎に俺達は何回もネタにされまくった。まあ何だかんだ言いながら俺達も楽しんでたけど。

 

「なんとなくだけど」

「なんですか?」

「さなちゃんと哲平くん良い感じじゃなかった?」

「え?そうでしたか?全然気付かなかったな」

「まあもしかしてっていう程度だけど、ちょっと気にして見ておこうかな」

「俺も見ときますよ、もしそうなら面白いんだけど」

 

そんな感じで新しいカップル誕生の予感を感じているみやびだった。

俺には全然分からなかったけど。

 

「そろそろお風呂入ろうか」

「みやび」

「ん?なあに?」

「家での座る位置、隣同士で座りませんか?」

 

みやびは少し考えていて、少し意を決したような表情をして。

 

「うん、良いよ」

 

そう言ってお風呂を沸かしに行った。

 

 

先に風呂に入りあがってリビングで暫くスマホを弄っていたらみやびが風呂からあがってきて、俺の左隣に座った。

 

今までと違う、距離の近い位置に座って、俺の鼻孔はみやびの髪の良い匂いに満たされた。

それに湯上がり姿は相変わらず大きめのパジャマで胸元が、今までも谷間が見えていたけど隣だから中まで見えてしまいそうで、思わず覗き込みそうになった。

みやびは俺の視線に気付き、胸元を隠しながら。

 

「流石に隣に座るならこのパジャマだと刺激が強すぎるね」

 

そう言って照れていた。

 

この日から、座る時だけじゃなく、俺の左隣がみやびの定位置となった。

 

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