俺の従兄弟のおじさんが義妹になりまして   作:エイジアモン

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29.原因.T

 

みやびの様子は変わってなく、見ている限りでは今まで通りに見える。左隣の位置も変わらず、距離感も変わってないと思う。

表向きには変わらず、のはずだ、表に出さない様にしている。これはみやびも同じだろう。

スキンシップも変わらず、手は繋ぐ。頭を撫でる機会は殆ど無くなってしまったので分からないけど。

 

晩ご飯の準備をしているみやびを呼び止めた。

 

「みやび」

「ん、何かな?」

「いつもご飯を作ってくれてありがとう」

 

そう言って頭を撫でた。

みやびは少しビクッとした。

 

「な、何だい急に、びっくりするじゃないか」

 

そう言いながらも手を退けたりせず、気持ち良さそうにしている。

こんなに素直に受け入れてくれるのに何故ダメなんだろう、俺は思い切って聞いてみた。

 

「何でキスはダメなの?」

 

みやびの雰囲気が変わり、頭から手をやさしく退け、こう言った。

 

「ごめんね、もう少しだけ整理する時間が欲しいんだ、必ず、受け入れるから」

 

やはりまだ無理なようだ、心の準備が出来ていないという事だろう。

難しい、と言うか分からない。これが女心という奴なんだろうか。

 

―――駅

 

「おはようお二人さん、流石に敏夫達は早めに来るか」

「おはよう、そりゃそうだ、俺にはみやびがいるからな」

「おはよう敏夫君、みやびちゃんに頼ってばっかじゃダメだよ。みやびちゃんおはよう」

「おはよう2人とも、普段は何も言わなくても起きて来るから手はかからないよ」

 

皆纏まって海に移動しようという事で学校近くの駅に集まる事になっていた、時間としてはお昼より前な時間。

 

先に哲平と矢矧さんが来ていて、俺達がその後に来たというわけ。

そうして待っていると次に中広さんが来た。

後は智行だけどまさか遅れて来ないだろうな……。

 

「なんだ皆早いな、おはよう」

「お前が遅いの、っても時間ギリギリだから良いけどな」

「まあな、遅刻だけはしない様にしてるからな」

「よし、じゃあ揃ったし行くか」

「お前が言うのかよ」

 

―――海、砂浜

 

やっと海に着いて見渡すと、まだお昼前だというのにもう既に結構な数のビーチパラソルが見える、着替えるより先に場所を確保しなくては。

 

「ここ結構良いんじゃない?海の家も近いし、此処にしようよ」

「良いね、じゃあ此処に立てるぞー」

 

そう言ってビーチパラソルを刺して、皆でシートを広げた。

 

「着替えてる間も荷物の見張りがいるだろうから、俺が見張りをやるよ」

「よし、任せた」

 

皆は着替えに行った。

シートに座り、周りを眺めながら2人きりになれそうな場所がないか探している。

あそこの岩場の影辺りが良さそうだ、先客が居ないことを祈るか。

 

少し待っていると智行と哲平が戻ってきた。

 

「おう敏夫、替わるから着替えてこいよ。

「じゃあ行ってくる」

 

更衣室に向かうと途中でみやび達3人とすれ違った。

 

みやびの水着を見てビックリしてしまった、まさかの白ビキニ!そして紐!

2人きりになったらこの紐を解きたいと思った。

 

更衣室に行って着替えた、すでに日焼け止めなんかは塗り終わっているらしい。日焼け止めを塗るイベントなんかそうそう起きないか。

 

「お昼ご飯とかどうする?やっぱり海の家?」

「あ、一応おにぎりとか持ってきた。これだけあれば足りるよね」

「流石みやびちゃん、これだけあればおかずになりそうな物と食べたい物だけ買えばいいね」

「おお~、これがいつも敏夫が食べてるみやびさんのおにぎりか~、おいしそう」

 

交代でお昼を買ってきて、俺達もその後買いに行った。

買ってきたものは、焼きそば、浜焼き、フランクフルト、イカ焼きとスタンダードな物ばかりだ。

適度にシェアしつつ、皆でお昼ご飯を食べた。

 

「こんなに沢山のおにぎり、作るの大変だったでしょ、ありがとうね」

「敏夫は何か手伝ったりしてないのかよ」

「手伝ったに決まってるだろ、握ってはいないけど、うちわで仰いで冷ましたり、具を準備したり、氷水を準備したりだな、結構大変なんだぞ」

「うん、敏夫に手伝ってもらって凄く楽になったよ、ありがとうね」

「そう言って貰えると頑張ったかいがありますよ」

 

楽しくお昼ご飯を済ませたので、次は遊びだ。

 

まずは事前に膨らませておいた浮袋や浮き輪なんかを使って海に入って遊ぶ、問題は誰が留守番をするかという所だけど、それは智行が引き受けてくれた。

 

水を掛け合ったり、浮袋をひっくり返したり、人が乗った浮き輪を運んだりなんかして小学生に返った気分で遊んだ。こういう時は冷静になっては楽しめないものだ。

 

一通り遊んでパラソルに戻ると、多分俺達に気を使って先に戻った中広さんと智行が何事か話ししていた、カップルとまでは言わないけど皆が仲良く慣れたら良いなと思う。

 

俺達はお喋りしながらも休んでいた、思ったより疲れているみたいだ。

その後はビーチバレーや砂遊びなんかを楽しんだ。

 

さて、そろそろ俺はみやびと2人で抜け出そうと思う。今は各自が適当に話したり、砂で遊んだりして時間を潰している。

事前に智行と哲平には話してあって、それとなく俺達だけ距離が離れている状況になっている。

 

 

「みやび、ちょっと散歩がてら適当に歩きませんか」

 

緊張を隠しながらいつものように話し、散歩に誘った。

この誘いは正直に言って、何かをしたい、というのがバレバレだ。

みやびは少し考え込んでから答えてくれた。

 

「うん、いいよ、ちょっと歩こうか」

 

多分みやびは察しているだろう、それでも付いてきてくれたという事は、期待してもいいのだろうか。

軽く今日の出来事なんかを話しながら歩き、岩場まで来た、ここは砂浜からは見えない場所になっている。

 

「みやび、今まで言うタイミングが無かったけど、その水着、とても似合ってる、とても綺麗だね」

「え?あ、そう?、褒めてくれて嬉しいよ、少し恥ずかしいんだけどね」

「正直な事をいうとちょっと露出が多くて、目のやり場に困ってる、それに他人には見せたくないって思いもある、……でもそれ以上にそういう姿のみやびを見たいって欲もあって、とにかく、その水着を着たみやびは素敵だと思う、もっと見ていたい」

「―――そこまで言われちゃうと照れちゃうし、この格好も悪くないなって気がしてきちゃうなあ、敏夫が守ってくれるんならこんな格好はいくらでもしてあげるよ」

「うん、ありがとう、今度は2人きりで水着になれるような場所にも遊びに行こうね」

「うん、そうだね」

 

みやびは恥ずかしがりながら頷いた。

ちょっとは雰囲気が良くなってきたんじゃないか?

よし、行くぞ。

 

「―――みやび、キス、したい」

 

赤面から一転、困惑が見える表情になるみやび。やはりダメか。

 

「―――――うん、分かった、……受け入れるよ」

 

そう言って、みやびは目を閉じた。

歓喜に溢れ、思わずみやびの両肩を掴んでしまった。

 

みやびはビクッとし、肩が大きく跳ね上がり、目を開けた、それは拒否感を感じる目をしていたが、直ぐにみやびは目を閉じた。

浮かれていて、その目に気付かなかった。

 

「うれしいよ、みやび」

 

そう言って顔を近づけていく途中、みやびの表情が目に入った。

その顔は強い拒否感を表しているのが分かった、分かってしまった。俺はみやびにこんなに無理をさせていたのか。

 

歓喜の波は引いていき、頭が冷静になった。

一体何をやっているんだ、俺はみやびに無理矢理迫りたいわけじゃない、きっとみやびは俺が何度もキスを迫るから諦めて受け入れただけだ、そんなの、そんなのは俺が望む関係じゃない。

ここでキスをしてしまったら、きっとみやびの心は遠くに行ってしまうだろう、表向きは同じように見えていても、だ。

みやびにも求めて欲しいと思っている。だからこんなのはダメだ。

みやびの肩から手を離した。

 

「みやび、ごめん、やっぱりキスは止めておくよ」

「―――え?」

「ちょっと俺が焦りすぎたから、みやびに無理させちゃうから、だから、ごめん」

「え、え、でも、大丈夫だから!ちゃんと受け入れるから!」

「みやび、無理しなくていいから、それにみやびは何も悪くないから」

「―――本当に、いいの?」

「といっても諦めたわけじゃないですからね、次はみやびが求めてくるくらいにするから覚悟してくださいよ」

「う、うん……本当にごめんね」

「謝らないで下さい、悪いのは俺なんですから」

 

そう言って手を繋いで岩場から出て皆の所に戻ると智行からこっそりと上手く行ったか?と聞かれるけど、失敗したとは言えないのでまあな、とだけ答えた。

他の皆もなんとなく察してくれているようだ、まあ恋人同士がこっそり抜けて行ったわけだし、なんとなく察するよね。実際には失敗したわけだけどさ。

 

その日は暗くなる前に撤収した、電車に乗りながら近くの駅でそれぞれ解散していった。

俺達は学校近くの駅で一緒に降りた、少し気まずい雰囲気のような気がしたのでスーパーに寄ってから帰る事を提案し、それを切っ掛けにまた話せる雰囲気に戻っていった。

 

―――自宅

 

努めて明るく振る舞い、さらに気にしてない風に手を繋いだり、頭を撫でたりしていつもよりスキンシップをした。

そうする事で食事の時間にはいつもの時間に戻れた。

 

お風呂上がり、いつものようにみやびが上がってくるのを待っている、上がってきたら冷たい麦茶を出すつもりだ。

みやびはソファーの左隣に座るようになってからは大きめのパジャマを止めてサイズのあったパジャマを着ている。やはり今までより覗かれてしまうのが嫌だったようだ。そりゃそうだ。

 

みやびがリビングに戻ってきたようだ、俺は直ぐに冷たい麦茶を準備するとみやびの前に置いた。

そしてみやびを見ると、以前の大きいサイズのパジャマを着ていた。

一体どうしたというのだろうか。サイズが合う方は今洗濯しているとか?

 

「私も何かしないといけないなと思ってね、こういうのは嫌いかい?」

「いや、とても好きですけどね、でも、いいんですか?」

「好きならいいじゃないか、私だって空気を悪くしたいわけじゃないんだよ、それにこのパジャマより昼の水着のほうがよっぽど露出が大きいと思わない?」

「確かにそうですけどね、いや、まあ、嬉しいんで良いんですけど」

 

みやびなりに今日の空気をなんとかしたいと考えてくれているようで、それが嬉しかった。

 

 

みやびは俺がキスする際に拒否反応が出ていた、ソレはどう云う時に出ると感じるのだったかと考え、思い出した。

初めの頃は確かまだみやびに男の心がまだあって、それが男に対して拒否反応や無理だと感じる、と、そう思っていたはずだ。

俺はもうみやびには男の部分は無くなっていると思っていたけど、本当はまだ残っていて、それがキスに対して反応しているんだろうか、多分そうなんだろう。

 

であれば俺はどうすれば良いか、考えた。

考えた結果、明日、みやびにあらためて告白する事にした。俺の気持ちをもう一度伝える為に。

 

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