黒い兎   作:森の狐

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第十話

先導するハバキリを時折チラ見しながら、クロウサギは脱出口とやらへの指示を出す。

廊下を進み、階段を3階まで上がりすぐさま二階に戻りさらに廊下を進む・・・その合間に見かけた光景は、クロウサギを心底イラつかせるモノだった。

 

不自然に明るい教室にハバキリを歩を止め、少し調べると言い中に入る。

そして、脳内によぎる光景・・・戦中で諸々困窮しているにも関わらず、団結し乗り越えようとする同じ教室の連中、そこに自分が欠かさず書いている日記の超絶ハイテンションそのままに輪の中に入って・・いけない。

まるで壁でもあるかの様に、その光景を眺めるだけ。

現実でも最初は、引きつり笑いを浮かべながら対応していた者もいたが一人、また一人と相手にしなくなっていった。

 

フッと思考が現実に引き戻される・・次いで出る舌打ち。

 

「何でなんだ、ぼくに友達の作り方を教えてくれた人は・・・それで良い、間違ってない、いずれ皆君が正しいのが分かるって・・・挙句ぼくを悪者呼ばわりした奴にお仕置したら、式姫達までも・・・なんで・・くそが、なんで僕のともだちになりたくないんだ、なんでこんなものが見えるなんだ、ぼくはともだちをくらないと行けないのに・ああ・・イライラする・・・」

 

【なぜ、ともだちをつくろうとする?】

思考の深遠からにじみ出てくるようなふとした疑問。

 

(決まってる、皆、ぼくのともだちにならないといけないんだ・・・なりたいじゃnくて?・・いや、してあげるんだ・・・・ずいbnうえkらd・・・式姫の友達が居ると幸せになれるんだろ?だから・・・ほnとuにsれだk?・・・)

 

 

ふと横を見ると、恍惚の表情で

 

「しろうさぎちゃぁ~~ん、うふふふ・・・妖怪から庇ったとき、プイッて横向きながらありがとうって・・・うへへ・・・・しろうさぎちゃんのツンデレいただきましたぁ~~~」

 

陰陽師もかくやな業の深さを晒し続けるハバキリの姿。

 

(こいつも、あいつらと同じだ・・・誰か大切なやつが居る、それはぼくじゃなくてだからぼくは一人で・・・・)

 

【ほんとうに?大事に思う者は居ない?】

(居ないに決まってるだろう!いないから、皆ぼくをのけ者ににしたからいま此処でこうしてるんじゃないか・・・・いるkmよ?・・・いたはずcwdnkcn@;smk/・・・・)

 

思考が混雑してくる、自分自身にもイライラしてきたのでもう考えるのを止めるクロウサギ。

そして、いまだ妄想ワールドから帰って来ないハバキリに・・・もはやラップ音LVの盛大な舌打ちをしながら、腰をパシン!!と叩いた。

 

(このアホ教師・・・ああ、そうだ・・・追い出すだけですますもんか・・・ああ、そうだ・・こいつは誰か探しに来たんだんだった、僕を見てそうだと・・同じ黒兎?なら・・あいつか・・そうだ、あいつの目の前でコイツを殺してやったら・・此処にはぼくとあいつしか居ないと分かればともだちになるかも・・・もうすぐ三人目もくるから・・そしたら・・・)

 

「あたた・・・ごめんごめんつい過去の至福が脳内を・・・って・・・くろうさぎちゃん?大丈夫?」

 

うつむきブツブツ呟き続けるクロウサギ、肩に触れようとしたハバキリの手をスルリとかわし。

 

「も、もういい・・・で、しょ?・・・後は、あとはね、正面玄関から出たら・・すぐ出口だよ」

 

クロウサギの鋭敏な聴覚でしか聞き取れない小さな足音・・その足音が近づいてきているのを確認しながら、先へ進むのを促す。

 

 

 

 

 

「うう・・・こう帰りは術とかで、ぴゅーんて送ってくれるかと思ったのに・・・」

少々ゲームに毒され気味の思考で呻きながら下山している黒兎、一先ず帰りはゆっくりと体力を温存しつつ・・・その間に色々情報を纏める黒兎。

 

「事の発端は戦時中に起きた闇式姫の案件で、試作本に黒幕諸共封じられた、それが今になって何故かそれが図書室にあって僕が読んだ事で縁が出来て、闇式姫が動き出した・・ハバキリ先生の様子を見るに、多分過去にも動き出した事があったんだ多分・・・それとあの夢、もしあの夢が闇式姫が生まれてしまった顛末だったら・・・縁が出来たことで、闇式姫の過去に接触してたのだとしたら・・・」

 

ゾクリッと身を震わせる黒兎、正直他者との付き合い方など自分にもほぼ分からない、もしそんな自分が何らかの理由で、一定期間内に友人をたくさん作ろうとしたら・・・・。

案外、自分もああいう感じで斜め上にカッ飛んでいってしまうかもしれない、しかしそれにしても闇式姫がまともだった頃主だった陰陽師だどうなったのだろうか?

少なくとも、闇式姫と対峙したのは別の陰陽師だろう・・・あの闇式姫は陰陽師に認められたくて、友人を欲した、ならば主の言葉なら・・主がそういう事はしては行けないと言えば、もっとマシな結末だったのでは?

 

下山を終えたのはもう昼過ぎという時刻だった、そういえば朝にお茶請けを食べたきりだ・・それを思い出した途端に「クウ~」となる胃袋。

今日の事にお礼を言おうと社務所に向かう・・・幾人かの参拝客が集まっておりちょっと声を掛け辛い。

・・・と、その内の一人が黒兎に気が付いたのか。

 

「ンホオオオ!!!黒兎タンでござる!皆の者!我らコミュ障の期待の星!黒兎タンですぞおお!!!」

 

境内では静かに!後、他の参拝客の迷惑にならないように!

そんなバイト巫女の注意などどこ吹く風、2~3人の如何にもな井出達の男性が黒兎を取り囲む、挙句の果てに無許可で録画開始。

頑張って昨日フロに入って服も洗濯しました、でもこべりついた不精臭は消えません・・そんな中途半端な悪臭が、黒兎をさらに追い詰める!

しまった!黒兎は内心でため息を付く、そういえば忘れていた。

狛犬の狛犬やイザナミ、夜摩天、閻魔のキャラもの御朱印目当てに、式姫ファンが時折参拝するのだ・・9割9分は善良なのだが、やはりどの界隈にも人間性に欠ける者は一定数居る。

 

「おお、おお!激ぷりちーでござる!」

「困り顔クンカクンカクンカ!!」

「しょ、しょしょしょ小生!らは!けっして危害は加えませぬぞ!だ、だから・・安心s・・・透けてる!!!!」

「何!?」「おお胸当てがなんという事」「これは大変だ」「どどどどdどうす!どうすれば!」「簡単なことよ我らが汗を吸い取って乾かして差し上げるのだ!」「天才降臨!!」「そ、そそそそそそんあ!!!しょ、小生は!小生は!!!」

 

胸を隠しながら、足がガクガク震えだす黒兎社務所では警察に連絡を入れる声が聞こえる、DQNや妖怪の場合そ知らぬ顔で蹴散らせるが、この手の「ねちゃり」とした手合いは嫌悪が先に来て体がまともに動かない。

スマホを構えながらジリリッ・・!半歩詰め寄る男達、ギュっと目を閉じる黒兎。

 

次の瞬間!茶色いナニカに激突され、男達はまるでボーリングのピンのようにまとめてカッとんで行き、境内のど真ん中で眼を回す!

恐る恐る眼を開けると、そこにはボーリングの構えのままドヤ顔をする赤髪の式姫・・・天邪鬼だ!

横を見ると、投げつけられたアシモノヌシに吹き飛ばされ目を回す男達。

 

「へへ、名づけておきつねボーリング!・・・お、おい・・・だ、大丈夫か?」

 

微妙にキョドりつつ黒兎に声をかける天邪鬼、うんうんとガクガク首を縦に振り肯定を示す。

 

ブギャン!ギョーーーン!!!!

一頻り噛んだ後、まるで「心得てますよ」といわんばかりに、不埒者達のスマホを咥え社務所にもっていくアシモノヌシ・・自ら黒兎とのやり取りを記録しているのだ、状況証拠もばっちりだ。

 

「後のことは、神社の人らに任せて・・・な、なあ・・・聞きたい事があるんだけど、そのあの事件のこと追いかけてる式姫ってお前か?黒兎だし・・そ、その巫女さんに聞いたんだよ色々」

 

微妙にたどたどしく質問する天邪鬼に、そ知らぬ態度で返す黒兎。

 

「ふ、ふーん・・だ、だったら、どうなの?」

 

「い、いやあ・・アタシも追っててさ、な、何なら!共同捜査してやってもいいかなって!い、いや別に一人じゃ土地勘とかほぼないし、現地の式姫が居れば心強いとかそんなんじゃねーからな!バーカバーカ!」

 

「あ、そう・・・まあ、好きにしなよ・・・き、君は何か情報持ってるの?」

 

「い、いや・・此処で聞いた事くらいしかまだない、でも結構良いバイク持ってるんだ足にはなるぜ」

 

「そう、じゃあ・・・少し行きたい所があるんだ、連れて行ってくれる?」

 

「ああ、構わないよ・・で、何処に行くんだ」

 

「うん」そううなずき、スマホの地図で場所を指し示す黒兎、そこに記されていたのは。

 

『第二次大戦N県戦没者慰霊記念館』

 

 

 

 

 

 

足音と話し声・・・まだ離れているが自分の足なら追いつく。

くろうさぎは、渾身の速度で駆けていた足音は二つ・・・もしかしなくても、あの手の群れに遭遇したのか、それにしてはあの特徴的な足音ではない、もしかして複数でこちらに来たのか?

様々な思考が過ぎるが、一先ず合流が先だ!

 

「ギイイ・・」

 

扉を開く音・・位置的に正面玄関だ、不味い!別の場所に転移された、ふりだしかこれは?

ダッシュで辿り着くも、やはりもはや誰も居ない・・・ため息を付き、ふと気づく・・玄関は開けっ放しだ。

そして、そこに見えるのは屋上・・・・遠目だがハバキリとどことなく自分に良く似た後姿の女子生徒。

 

「せ、先生、ハバキリ先生!!」

 

くろうさぎは迷わず飛び込んだ。

 

「ねえ、あれが・・・そうなの?」

屋上の手すりに手を書けハバキリは外を眺める・・そこにあるのは暗闇のみ、時折唸り声のようなうめき声のような猛風音が聞こえる。

しかし、よく眼を凝らせば暗闇の中に渦巻く箇所があるのが見て取れる。

 

「う、うん・・・・時々、あそこから、外の空気、感じてたんだ・・・・あ・・・でも・・・時々真っ赤になるから・・・何となく・・・だけど、そ、そのときは、危ない・・・」

 

「そう・・・・・」

 

何事かを思案し始めるハバキリ・・・と「せ、先生、ハバキリ先生!!」

その声、くろうさぎが彼女を呼ぶ声が思案を中断させる!

 

「・・・え?くろうさぎちゃん?・・・え?くろうさぎちゃんが二人?」

思わず振り返るハバキリ、そこには確かにくろうさぎ・・しかし背後にもくろうさぎ。

 

「・・・え?・・・ええ!?ぼ、ボク!?え、まって・・・じゃあ、何十年も、延々、しつこく、ボクを追いかけ回してたのって・・・!?」

 

「うん、そうだよぼくはクロウサギだ・・・君が全然ともだちになってくれないから・・・でも、こうすればどうかな・・?」

 

かぶきりひめもかくや!というような精錬された動きで、矢を番え撃つ!

はばきりは避けない、避けれない・・・彼女が避ければ射線の先には、くろうさぎだ。

 

「トッ・・」

 

拍子抜けするほど呆気ない音を立て、ハバキリの胸に矢の花が咲いた。

 

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