黒い兎   作:森の狐

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第十四話

数十年ぶりに親交を深め合ったくろうさぎと天邪鬼。

黒兎とハバキリがこっそり部屋を出たのは知っている、合流しようと扉を開けると目の前の壁に貼られた書置き。

どうも例の部屋を探しに行く、あまり遠くへは行かないという旨だ。

 

「あはは!き、気を使わせちゃったかな?」

「だ、だね・・・・そ、うだ・・・ほかに、情報ないかな・・・この本に光を絶やすなって、書いてたん、だ」

「へえ・・・・あ、あれ!?これ貴常月村封土記だよな?何故、ここに?あれ?アタシ達この本の中に入ってきたんだけど、それが何故ここに?」

 

困惑した顔で書物を見つめる天邪鬼、特に注意深く観察した訳ではないが、どう見ても図書室で見つけた本にしか見えない。

 

「え?・・・へ・・?そ、そういや・・・取り込まれたのに、そうだよね・・・と、取り合えず、もう一度、見て・・・ええ・・・・!?」

 

例の事柄が書かれていたページ、そこにはクロウサギを封じた顛末が書かれていたはずだ。

そのページは、そこだけ相当古びており黄ばみ紙魚に食われたように所々穴が空いている、端に至っては黒ずんでボロボロだ。

記述の内容も擦れほとんど読み取れない、紙魚に食われた穴から別ページの文字が上手いこと合わさりこう読める。

 

【ひ か り は い つ つ】

 

「光・・・は、五つ・・?ええと、あの部屋が、5つある?」

「ど、どうだろう・・一先ずハバキリ先生達の意見も聞いておこうぜ」

「そ、うだね・・・・・」

 

突如、天邪鬼がくろうさぎを突き飛ばし、棍棒なのか斧なのか分からない奇妙な得物を横凪に振るう!

 

カッ!カカカッ!!

 

一振りで三つの矢を弾き返す天邪鬼、そして廊下の暗闇の奥から旋風が如き速度でクロウサギが姿を現す!

一切の表情の消えた貌、黒紫色に澱んだ輝きを孕んだ双眸に篭められた重ったるい殺意に、天邪鬼は怯む。

 

シュッ!

 

風切り音と共に、一瞬動きを止めた天邪鬼に矢が突き進む・・・が、それは彼女には届かなかった。

加護を意味する梵字が一瞬浮かび矢がポトリと落ちる。

 

「ふん、護法障壁か・・・何故、斧姫のお前が使える・・・?」

「へっ!助ったぜ、みーちゃん!」

見ると、いつの間にか天邪鬼の懐から顔を出していたみーちゃん、その鱗は霊力に満たされ淡く輝いている。

 

「はあ?その蛇ただの蛇だろ?・・・術を使えるなんて聞いた事ないぞ、なぜだ。」

「お前に教える義理なんかねーよ!バーカバーカ!!」

「あ、そう・・まあ、ころすのが一匹増えた、だけだ・・・しねよ、しね、しね、しね。」

 

矢を乱射するクロウサギそれを弾き返す天邪鬼、天邪鬼の得物が大型なのが幸いした、

前に構え盾のように使える、点での攻撃である矢に対して面で防護できるそれは有利に働いた。

 

「くろうさぎ!!二人を呼んできてくれ!!」

「で、でも・・・・い、いや・・・わ、わ・・・わかった・・!!

そいつの矢は即死だ!絶対受けないで!」

「分かった!!・・みーちゃん!」

 

シャッ!威嚇音と共に、みーちゃんの口腔から聖属性のエネルギーが迸る、軽く身を翻し避けるクロウサギ。

その隙を突き、一気に駆け出すくろうさぎ!

 

「・・・ふん、アシモノヌシ!」

 

くろうさぎを阻むように、両方の壁から三つの巨人が如き黒い腕、天井からミミズがのたくったような目をしたイヌ科の肉食獣の頭部が生える。

「ぬはは!うさぎのおじょうちゃ~ん、捕まえるぞ捕まるぞー捕まったら・・・・・・えっちな事をしちゃうぞぉ?ぬはは!!具体的に言うとねー(以下自主規制)」

「へ、変態だーーーーーーーーーーーー!!!」

露骨に薄い本めいてウネウネ蠢く巨腕を何とか避けながら、くろうさぎの姿が暗闇に消えていく・・それを追いかけていくアシモノヌシ。

 

「く、くそ!無事合流してくれよ・・・!!」

身を捻り、矢をかわしながら天邪鬼は嫌な汗が背中を伝うのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが、幸せの部屋・・・なるほど・・・・・」

黒兎は入学当初の頃を思い出していた、何やらの資料集めとかいうのでやって来たOB。

やさふろ姫と朋妖である青行灯だ、偶然出会い各々本の虫という事で意気投合する三人、その日は宿直の教師に促されるまで本談義に花を咲かせた。

その後、二人は夜の校舎に残ったのだが・・あの日ほど、話したのは久しぶりだった。

 

周囲を見ると、先ほどのどんよりした空気を祓うような真昼がごとき明るさに変貌した教室。

「これ、どんだけの部屋あるんだろ・・・?」

『ふう・・・・・レヴィアちゃん、ファラちゃん、クジャタちゃん・・・どこから来て何処へ行く・・・そんなものこの私が抱き占める!ファーホホホ!!』

「先生、ステイ、てか、せーがーしそう。」

『・・・・はっ!!!お、おほほ!この部屋に来ると、子供達の事が思い出されて・・・』

 

と、ここでスッと真剣な雰囲気に変わるハバキリ。

『ねえ、黒兎ちゃん・・・一つ疑問に思うことがあるのだけども。』

「う、うん・・。」

『貴常月村封土記って昭和50年代発刊だったわよね?・・・でも、クロウサギの案件は戦時中、おかしくない?まだその頃、この本無かったわよね?』

「・・・・・・あ・・・・・・・」

 

何故、ここに来てまで疑問に思わなかったのだろう?

『ねえ、黒兎ちゃんは転遊術で此処に来たのよね?・・なら術者とはコンタクト取れるわよね?』

「え?そ、うなの・・・?」

『ええ、少し・・術者に話しかけてみて?』

「う、うん・・・・と、とらいさーんーー・・・・い、いる?」

 

数秒間をおいて、黒兎の脳内に直接とらいの言葉が響く

『ん?あれ?術者とリンクしてるの言ったか?』

「え、と・・ハバキリ先生に教えてもらった・・・あ、あのね・・・その本、本当に貴常月村封土記?」

『ん?・・・あ・・ああ、おー!おーー!そうかそうか!そういや、戦中の妖封じるのに私の著書使うのは不自然極まりないな!チョイ待て、調べる。

ちょい維持がサブ動力になるからその間コンタクトは取れん、調べがついたらこちらから連絡する、OK?』

「わ、分かった・・お願いします・・・」

 

事の顛末をハバキリに話す黒兎、ハバキリはカタカタと刀身を振るわせる・・何か考えているようだ。

『・・・これ、アシモノヌシに色々直接聞いたほうが手っ取り早いかもね』

「だ・・・ね・・・あれ!?」

 

ガラリ!!扉を叩き付ける様に開けてくろうさぎが転がり込んでくる!

「ハァ!ハァ!・・ぜえ・・・た、大変だ!あ、いつが!襲撃してきた!天邪鬼と、みーちゃんが、応戦して、る!!」

言い終わると同時かそれより早いか・・・

 

ドン!!!ドン!!!!

壁ごと叩き壊そうとするような音が教室を揺らす!

 

「あ、アシモノヌシが来た!・・・・え、エッチな事、されちゃう!」

『・・・・なんて?』

押し殺したような殺気がハバキリから漏れる。

「あ、えと、捕まえたら、その、えっと・・お前の三つの兎の巣穴が、アナコンダの巣穴になるって・・・」

『・・・・・・・最低。』

「・・・・・・・死ねば、いいと、思う。」

 

ドンドン!という音を聞きながらどうしたものかと思案する・・もっとも、アシモノヌシをどうにかしないと、天邪鬼たちの援軍にはかけつけられない。

 

『ねえ、黒兎ちゃんは自力戦えるわよね』

「う、うん。」

『くろうさぎちゃん、そのあんなのと戦うのは怖いと思うけど・・・本当申し訳ないんだけど・・」

「あ、あの・・・でもぼく、式姫としての力は・・・」

『分かってるわ、だから・・・先生を振って。戦い方は体に直接教えるわ』

「え・・あう・・・・おう・・・・う、うん・・・うん・・・分かった、ぼくももう、逃げるだけなのは嫌だし・・やろう」

 

黒兎の矢筒からハバキリを取り出し、引き抜く!

シュイイイイイン・・・・!心地よい金属音を鳴らし誰もが息を呑むような美しい刀身が、教室の明かりに照らされ燦然と輝く。

 

『元来、私はこうやって振るわれる為のものだからね、久しぶりだわ。

しかも!!私を振るうのは少女!これで発奮しないハバキリが居るだろうか?否、居ない・・・!』

 

「そ、れでツヤッツヤなんだね・・・よ、よし・・・往こう!」

 

黒兎の号令を皮切りに、一気に廊下に躍り出る!!

黒兎達が出てくるのを確認すると、アシモノヌシは壁をぶち抜こうとするのを止め二人と一振りに振り返る。

 

「来たな?キタナ?あやつは、お前らを皆殺しにするらしい・・・戦中の式姫は、というか戦の世に身を置いた式姫は強い、ともすれば数人で城一つ落とせる程だ。

平和な世に生まれたお前らで太刀打ちできるかな?ヌハハハ!!」

 

『アシモノヌシ、いくつか聞きたい事があるわ。」

「おお、おお、構わんぞ?しかしチンタラ会話してると、天邪鬼はすごいリョナい事になるだろうし、あの白蛇は蒲焼よ?白蒸しでも可!!」

『じゃあ単刀直入に。クロウサギに友達を作る方法教えたのはお前?後、あの本は本来なんの本なの?」

「答えわなあ・・・全部知らん!言うかな?我があやつを認識したのは、あやつが町を追い出された後ぞ?

というか我は棄てられたモノと棄てたモノしか捕捉出来んのだ、神てのは自らの権能に関わる事柄でしか現世に干渉出来ん、そういうもんなのだ。」

『・・・・そう・・・・・・』

「じ、じゃあ・・・闇式姫に余計な事、したのは・・・・」

「別の誰かであろうなあ・・・あやつ、意中の者の気を引くために友人を求めてるようだが、肝心のその者を忘れておる。

さらにまだ半年しか経ってないと思い込んでおる、色々気に喰わぬ部分山盛りだが」

 

一度言葉を切り、ギロリと睨み付けこう言い放つ。

 

「神はそういうの興味ない、我が求むは棄てられたモノの庇護と棄てたモノへの祟り!

その裏でナニモノかが蠢こうが好きにすれば良い・・・さて、では遊ぼうか。」

 

そう言い放ち、アシモノヌシは尾の代わりに生やした3つの巨腕をおぞましく蠢かせ遠吼え一閃!

瞬間、ハバキリを構えたくろうさぎは前衛に躍り出て黒兎は矢を三本まとめて番え、放つ!

 

ドスッ!ドスッ!ドスッ!

アシモノヌシは避ける素振りすら見せず矢を全て受ける、間髪入れず跳躍したくろうさぎがさらにアシモノヌシの頭を踏み台に再跳躍、狙うは巨腕。

ゴリッ!ザッ!

肉と骨を絶つ音と共に、腕が一本切断されるその勢いのまま壁を蹴り残る二本を纏めて裁断!

そのまま一度距離を取り、黒兎と挟撃するような形で、アシモノヌシの背後に着地。

その瞬間、小型の竜巻がごとし高速回転を伴った矢がアシモノヌシの前足を吹き飛ばす!

 

「おうおう!やるじゃないか!刀技・竜跳虎臥と弓技・瞬矢と金剛矢か!ほうほう、平和ボケしてると思いきや・・・ちゃんと、研鑽と練磨を積んでおるではないか!・・・んが、甘い。」

 

にちゃり、そんな粘ついた笑みを浮かべた瞬間、全ての傷を再生させるアシモノヌシ!

『くっ・・・やはり再生能力があるのね・・・』

「あるとも!我を討つには、一撃必殺しかないわなあ?お前らに、出来るかな?・・・さあ、次は我の番ぞ」

 

大きく息を吸い込み、黒兎に向け青黒いブレスを吐き掛けるアシモノヌシ!

廊下全面をみっちり塞ぎ迫り来るブレスに、黒兎は全力で背後に脱兎!間一髪でブレスの効果範囲まで逃れる。

「まだまだァ!」

背後で攻撃チャンスを伺うくろうさぎに向け、体制そのままに後方跳躍し尻プレス!軽く回避するくろうさぎだが、それは罠。

突如壁から生えて来た巨腕三つが襲い掛かる!

ガッ!ガッ!ゴリッ・・・!辛うじてハバキリで撃墜するくろうさぎ、まだ2手目だが初めての戦闘で精神疲弊が大きいのか、呼吸が荒くなっている。

 

『ううん・・不味いわね、現状で有効打は与えれない・・・加えて・・遊んでるわね、こいつ』

「ぜえ・・ぜえ・・そう、なの・・・?」

『ええ、攻撃に殺意が欠片もないわ恐らく目的は時間稼ぎ・・・コイツはなんとか撒いて、天邪鬼と合流した方が良いと思う。』

 

固い声でハバキリは言う。

「せ、先生!僕が引き付ける!天邪鬼、を助けて、あげて!・・それに、くろうさぎ、一度休憩いるよそれ、僕は戦闘は慣れてるから・・・!」

『だめよ、こいつは一人でどうにか出来る相手じゃない!なんとか全員で・・・」

「んん?構わんぞお?そやつが我の遊び相手になるなら、お前らは見逃しても良い・・・それに、迷う暇はないぞ?今頃、矢襖で状態で、殺す前のリョナリョナお楽しみモードかもなあ?」

『・・・っ!!』

「い、行って・・・先生、早く・・!」

 

ギリィ・・・!刀身からまるで歯軋りのような音が聞こえる、そして・・・

『い、行きましょう・・・・くろうさぎちゃん・・・・』

「・・・・・・・・わ、分かった・・・・黒兎!絶対、ぜったい無事でいてね!!」

 

断腸の思いで場を離れるくろうさぎ達、アシモノヌシは一瞥だにしない、それより目の前の黒兎をジッと見つめている。

 

「さあ、再開しようか、まがつ神」

「ぬはは!ずいぶん肝据わってるじゃないか?もしかして結構荒事こなしてるかァ?」

「・・・・ハバキリ先生と同じくらいにはね、調査とか苦手で実働部隊一辺倒だけど・・・・さ!」

そういい終わるのと同時だった、矢が着弾した圧力でアシモノヌシの両の前足が吹き飛ぶ!思わずグラリとつんのめるその眉間にさらに根元まで矢が突き刺さる!

さらに矢の風圧が真空を作り上げ、それは廊下全域に広がりアシモノヌシを膾切りに切り刻む!

 

「ばかな・・・通し矢だと?お前それ、思兼の技だろう!基本亜種風情が使えるものじゃ・・・」

「・・・・そうだね、本来ならね・・・僕が小学校の頃の、担任が、思兼様でさ。

その頃も、学校で怪異事件あって、その時、教えてもらった、でもまだ威力暴発気味で・・味方が居ると、逆に、使いにくい・・・だから」

「あー真空刃それな?あやつらをも巻き込みかねんてか?

は・・・はは!これは良い、思わぬ展開だ、これならあやつとも渡り合えるか・・・ふむ」

 

なにやら一人ごち・・・・

 

「よし、通れ!」

言うなり、その姿はドロリと崩れ去り廊下に染み込み消えていく。

 

「・・・・・・は?」

突然の急展開に、黒兎は思わず間抜けな声を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・!はあ・・・・!」

所々に矢を受け、天邪鬼は窮地に立たされていた。

即死といわれていたが、毒化するだけでそこまでは行かない・・ただしみーちゃんは治療に掛かりきりで、それ以外の行動が取れない。

天邪鬼の一撃も涼しい顔で避けられる、そして攻撃の隙を突き一撃を加えられる。

相手は無傷、こちらは重症、みーちゃんもいい加減霊力の消耗が激しい。

 

「うん?しなない?・・なぜ?・・・まあ、良いか・・・苦しんで死にたいなら、お望みどおりにしてあげる」

 

言うが早いが太ももを矢が貫く、思わず膝をつく天邪鬼。

 

「あぐっ・・・・!ぐう・・・!!ず、随分、舐めてるじゃないか・・・」

「舐められる程度だからだろ、ほら、ほら!」

 

ドスッドスッ!ズッ!

もう片方の足そして両腕、もはや抵抗する手段を失った天邪鬼・・ニタリと初めて表情らしい顔を浮かべ、ツカツカ近づくクロウサギ、威嚇音を立て食らいつこうとするみーちゃんを裏拳でかるく弾き飛ばす。

壁に叩き付けられぐったりと動かなくなるみーちゃん。

 

「みーちゃん・・・あぐうっ!」

みーちゃんに気をとられたた天邪鬼を蹴り転がし・・・そのまま馬乗りになるクロウサギ。

 

「他の奴らも、今頃アシモノヌシの胃の中だろうさ・・・いや、もっとエゲツナイ目にあってるかな?

さあ、お前はどうしてやろうか・・・ねえ?」

 

ぬちゃあ・・と天邪鬼の耳を頬をうなじを舐めながら、刺さった矢をグリッと抉るクロウサギ、うめき声を心地よさそうに聞きながら問う。

 

「ねえ、チャンスを上げる、ボクのともだちになるなら命はた・・・」

「断る。」

即答、それにギリィ!と唇をかみ締め、弄んでいた矢を一気に引き抜く!

 

「あ、ああ、そう・・・そうかよ!じゃあもういいや・・・死ね。」

 

引き抜いた矢を両手で握り締め天邪鬼の心臓目掛け振り下ろそうとして・・・バネに弾かれたように跳躍回避!

あと1秒でもそれが遅れていたら、クロウサギは一撃くらっていただろう。

刀を構えなおし、天邪鬼を守るように立ちはだかるくろうさぎ。

 

・・・・と、さらに後ろから黒兎の呼ぶ声が聞こえてくる。

 

「・・・チッ!アシモノヌシの奴、意外に使えない・・・」

「ごめんて」

その背後にヌルリと姿を現すアシモノヌシ。

 

「おい、ちょい仕切りなおしだ・・・あいつら想像以上にやるぞ、天邪鬼はやる寸前みたいだが・・・執着するな」

「ふん、ボクの方は全然余裕だったんだけどね・・・まあ、良いよ、もうそいつは戦えない、クソ蛇も霊力は尽きたろう・・・後はゆっくり各個撃破も悪くない」

そう言うと、後方跳躍暗闇の中に消えていくクロウサギ。

それを確認すると、慌てて天邪鬼に駆け寄り抱き起こすくろうさぎ。

 

『とりあえず、教室の中へ』

くろうさぎは天邪鬼に肩を貸し、黒兎はみーちゃんを抱き上げ一度教室に入り、厳重に鍵を掛ける。

 

 

 

 

天邪鬼は正直重症だった。

目を覚ましたみーちゃんが残り霊力を振り絞り、解毒と出来うる限りの治療は行ったが前衛に出るのには厳しい具合だ。

一先ず、誰も欠けずに合流できたことを喜び合い情報交換も行う。

 

「なるほどな・・・あのアシモノヌシとかいうやつ、どうもやる気がないみたいだな」

『そうね、何か策があるのか・・内心クロウサギの事は諦めてるのか、それより黒兎ちゃん、そんな力持ってたのね・・どうして隠して?』

「だって、僕が割と本格的に討伐任務してるって、知ってたら、止めるでしょう?」

『当たり前よ、教え子が日常的に危険な任務に着いてるとか流石に止めるわ』

「だよね、うん・・・・あ、あ!そう言えば、幸せの部屋は5つだっけ?・・此処と、さっきみつけたので・・・あとみっつか」

「い、いや・・・君達が来る前、に・・ぼくが此処を合わせて三つ探し出したから、残り一つ・・・」

「なあ、その残り一つって・・その手帳とかじゃないか?」

『うーん、どうでしょう?この手帳はこの本の外部のものだから、少し違う気がするの。

・・・でも、クロウサギがこの手帳を見たら、もしかしたら忘れている事を思い出すかも』

「じゃ、じゃあ・・・まずするべきは、闇式姫を、かわしながら、最後の部屋を探す・・・」

『そうね、それで行きましょう』

 

一先ず、次の方針が決まった一行・・・一先ずは小休止と交互で見張りを立てながら、仮眠を取ることにしたのだった。

 

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