『ピーピーッ!! 自爆モード作動』
『ドドドドドドドドッッ!!』
モモイ「うわぁああああああッ!! また来たぁ!!」
ミドリ「ちょっ! お姉ちゃんいきなり全力疾走しないで! ちゃんと私の背後守ってよ!」
モモイ「だってコイツら、時間が経つと自爆しようと近づいてくるんだもん! 反則だってこんな兵力! 鬼畜ゲーの極みだよッ!」
ミドリ「やっぱり数が多すぎる……! ヒマリ先輩やヴェリタスのハッキングの影響で量産スピードが遅くなっているけど、それでも……!」
次から次へと立ち塞がってくる、機械兵の数々。
ケセドに近づくことすらできない。
「お〜い! みんな〜!」
「「「「……!」」」」
遥か前方から聞こえる声に、全員の視線が向く。
「こっちこっち〜!」
「うう……こんな前に……」
そこにはケセドの上に乗っているアスナ先輩とユズちゃんの姿があった。
モモイ「あ、アスナ先輩!? ユズ!? いつの間に!?」
ミドリ「どうやってこの数の機械兵に気付かれずに前へ!?」
アスナ「いやぁユズちゃんが持ってたダンボールの中に入りながら移動したら、なんかバレずに来れちゃった!」
「「「「「……」」」」」
アカネ「す、すごい隠密術ですね……」
アカネさんも苦笑いをしながら笑っていた。
アスナ「というわけでノアちゃん! 指示通りケセドの上までこれたよー!」
ノア「ありがとうございます♪ これでケセド攻撃への準備は整いましたね。」
ケセドが装甲を開く時間は、わずか18秒。
装甲が開いた瞬間から、0.1秒たりとも無駄にはできない。
アスナ先輩とユズちゃんには、ケセドの装甲が開いた瞬間から攻撃に転じてもらうために、前へと出てもらった。
後は、機械兵を全て倒すだけ。
ノア「エンジニア部の皆さん、お願いします。」
ウタハ「あぁ。この時をどれほど待ち望んだことか……」
エンジニア部は背負った荷物の中から部品を取り出し、組み立てていく。
カリン「ウタハ……?」
アカネ「いったい何を……?」
ウタハ「この作戦が計画されて……私たちに与えられた任務は、『より敵を多く倒すことができる武器を作成する』ことだった……」
ヒビキ「でも、作成したはいいもののその兵器を使用することなく、はや3ヶ月が経って……もういい加減、この兵器を試したくてウズウズしてた……」
コトリ「要塞都市エリドゥで使った『最新式遠隔スピーカー』を、いただいた予算の全てを注ぎ込んで改良した……!」
「「「最新式遠隔扇風機!」」」
「「「「「……」」」」」
エイミ「……扇風機?」
ウタハ「工場の中は暑いからね。熱中症で倒れないように、スピーカーから扇風機に改良したのさ。」
エイミ「どう見てもただのバズーカなんだけど……」
ウタハ先輩がその場で組み立てたのは、もはやキャノンと言っても差し支えないくらいの大きさの、超大型のバズーカだ。
ちなみに発射口とは反対方向に扇風機が付いてる。
かなりの重量があるのか、持っているウタハ先輩もフラフラしている。
コトリ「以前の『遠隔スピーカー』は設置型でしたが、流石に敵が多い今回の戦いで時間をかけて設置している時間はないと思って、持ち運び可能にしてみました!」
ヒビキ「そう……その代わり、めちゃくちゃ重たいけどね……でも、ウタハ先輩や私たちの筋力でもギリギリ持てるくらいには調整した。」
モモイ「説明はいいから早くしてー!! まだ追いかけられてるんだけどー!!」
モモイの悲鳴を聞き、ウタハは扇風機を構えた。
「行くよ。全てを吹き飛ばす……最新式遠隔扇風機ッ!」
『ドウンッッッ!!!!』
ウタハはバズーカを射線高く、機械兵のはるか頭上へと撃った。
カリン「!? ど、何処に撃ってるんだウタハ!?」
ヒビキ「大丈夫……ウタハ先輩はミスしてない。」
コトリ「説明……するまでもなく、すぐにわかります!」
ウタハの放ったロケット弾は、空中で縦に割れ、
無数の小さなロケット弾に分かれた。
その一つ一つが自律追跡機能によって、敵を感知し、降り注ぐロケット弾
『ヒューン』
『ヒューン』
『ヒューン』
それが、敵の頭上に雨霰のように降り注いだ。
『ピピピピッ! エマージェンシーッ! エマージェンシーッ! 回避不能ッ!』
『ドドドドドドドドドドドドッ!!!』
『ドガァンッ! ドガガガンッ!!』
ミドリ「すごい……! 今の一発の攻撃で半数以上の敵を倒した!」
カリン「なんて威力だ……こんな武器があるならもっと早く出せばよかったのに。」
モモイ「すごいすごい! ありがとうウタハ先輩! 私も撃ちたい!」
ウタハ「あぁいいよモモイ。だが少し欠点があってね。」
モモイ「欠点?」
コトリ「説明しましょうッ! この『最新式遠隔扇風機』は敵の殲滅力に関しては他の追随を許さないほどの力を出せるわけですが……」
ヒビキ「もちろん、その威力の反作用も大きくて……」
「「「撃つと肩が脱臼する(します!)」」」
「じゃあやらないよッ!!!」
モモイ「1発打つごとに肩脱臼するってどういうことなの!? あッ! ていうかほんとだ! ウタハ先輩脂汗すごっ!」
ミドリ「も、もしかして本当に脱臼してるんですか……?」
ウタハ「ふ……それほど私たちの作った武器の性能が凄まじいということさ……」
ヒビキ「使用した人はもちろん戦闘に参加できなくなるし……言ってしまえば足手纏いになっちゃうから、今まで使ってなかっただけ。」
コトリ「瞬間的な反動はスーパーノヴァの反動を軽く超えます! おそらくですがアリスが使用しても、脱臼はしないにしろただではすまないでしょう!」
モモイ「じゃあもう使わないほうがいいよ! ウタハ先輩の両腕がなくなっちゃうよ!」
ウタハ「それに関しては大丈夫だよ。」
ヒビキ「うん……次は私が打つから。」
ミドリ「ひ、ヒビキちゃん!?」
ヒビキ「私たちは先生を見つけ出したい。だから、この扇風機を作った時、覚悟を決めたよ。」
コトリ「そうです! 先生を探し出すためなら、腕の一本や二本なんのその!」
ウタハ「ひょっとしたら、この先のマイスター人生に支障をきたすかもしれない。でも、それよりもっと大切なことがあるんだ。」
そう言い放った3人はどこか吹っ切れたような
とても清々しい顔をしていました。
ヒビキ「じゃあさっそく、次は私が……」
モモイ「いやいやいやいや!! ストーップ!! なんか良い話みたいになってるけど、これ以上戦闘不能になったらこっちも困るんだけどッ!!」
ウタハ先輩からバズーカを受け取ろうとするヒビキちゃんを、モモイちゃんとミドリちゃんが止める。
ミドリ「落ち着いてヒビキちゃん! 覚悟はわかったけど、敵はもう残り少ないし、あとは私たちでなんとかするからッ! ノア先輩もそれでいいですよね!?」
ノア「そうですね。エンジニア部のおかげで、敵をだいぶ倒すことができました! 残りの敵は我々が頑張りましょう!」
ウタハ「そうか……まぁまた機械兵が増えてきたら出番があるだろうし、この兵器が必要になったらいつでも呼んでね。私は隅で大人しくしてるから。」
ノア「わかりました。ウタハ先輩とペアのコトリさんはウタハ先輩を守ってあげてください。」
コトリ「わかりました!」
ウタハ「じゃ、あとは頼んだよ。」
たくさんの銃声が飛び交う中。
アスナとユズはケセドの頭上に腰掛けながら、装甲が開くその時を待っていた。
「みんなすごいすごい! どんどん敵が倒されていくよ!」
目の前でバタバタと倒されていく機械兵を見て、アスナはパチパチと手を叩きながら喜んだ。
「そ、そうですね……みなさん、気合いの入りようがすごいですね……」
「気合いかー……うん、そうだよね。」
それはそうだろう。
3ヶ月前にヒマリが言った言葉を思い出す。
『今回の事件、急にケセドの力が増したことと、先生が行方不明になったのはなにか関係があるのではないかと私は考えています。』
「必死なんじゃないかな? みんな。」
「……はい。そうですよね。」
みんなにとっての、大切な人を探すためだから。
もちろん、アスナやユズにとっても。
その思いを背負った者たちが、次々と機械兵を倒していく。
「そろそろ来るかな。」
「……はい。」
敵はもう残り10数体。
アスナとユズは立ち上がり
真下にいるケセドを見据えた。
「……ねぇ、ご主人様の居場所、貴方は知ってるの?」
アスナは、ケセドにそう質問した。
「……もしそうなら、答えてもらうよ。」
「アスナさん! ユズさん! ケセドの装甲が開きます!」
「私たちの『ご主人様』を、返して」
2人が足場としている装甲が開かれると同時に、アスナはユズを連れて真上に高く飛んだ。
「へ? わわ!」
「行っくよーユズちゃん! よく狙って!」
「は、はいぃ!」
空中を舞いながら
アスナがアサルトライフルを
ユズがグレネードランチャーを
姿を現したケセドへと向けて、連射する。
『ダダダダダダッ!!』
『ドンッ! ドンッ! ドンッ!』
この至近距離からの射撃。
全弾命中させる。
1発たりとも、外さない。
アスナとユズに続き、他の者たちもケセドへ攻撃が当たる射程距離へ到達し、攻撃を始めた。
2人が自由落下に従い、地面へと着地し、
そしてアスナのマガジンの弾が尽きた瞬間
「どけッ! アスナッ! おでこッ!」
「うんッ!」
「え? きゃッ!」
アスナがユズの体を片手で抱き抱え、もう一度真上に飛ぶ。
それと入れ替わるように、小さな身体と、機体を身に纏った少女が飛ぶ。
「邪魔すんなよ新人ッ!」
「しませんよ。ネル先輩こそ。」
『『ジャキッ!』』
2人は同時に、ネルはサブマシンガンを、トキは両腕のトライポッドをケセドへ向けた。
『『ダダダダダダダダダダダダッッ!!!』』
最後まで攻撃の手を緩めない。
命中するようにできるだけ近くで
かつ、他の人の攻撃を邪魔しない位置で
それが、作戦会議で話し合ったケセドを攻撃する時の重要事項。
他の者たちも、ケセドに総攻撃を開始する。
ケセドの装甲が閉じるまで残り
3秒
2秒
「部長!!」
「トキちゃん!」
「……!」
アカネとカリン、2人の呼ぶ声に、ネルとトキは空中で身を翻すと同時に、カリンのスナイパーライフルの射線を開ける。
ネルとトキと入れ替わるように、アカネが飛んだ。
『ドゥンッ!!』
カリンの弾丸と、アカネのC4爆弾が閉じかけている装甲の隙間を縫い
『ドガァアアアアンッ!!!』
装甲の間から煙を吹き出させた。
「よっしゃあ! かなりの数ぶち込んでやったぜッ!」
ネル先輩の声に呼応するように、他の者も歓声を上げた。
18秒という短い時間の中で与えた、ケセドへの大ダメージ。
しかし、喜ぶのも束の間
また機械兵の量産が始まる。
量産された大量の機械兵を倒し
ケセドにダメージを与える。
これを繰り返し、ケセドを討伐する。
我々がケセドを倒すのが先か
我々の弾薬が尽きるか、はたまた圧倒的な戦力を前に力尽きるのが先か
どちらにせよ、戦いの終わりの時は着々と近づいていた。
「あ、もしもしアリス? うん……そっか、ケセド攻略は順調に進んでいるんだね。 うん、こっち?」
アリスからの2度目の通信。
「『こっちは』終わったよ。」
目の前には、煙を吐き出して動かなくなったケテル。
ワイヤーが巻きつき、どこかに回収されていく。
「どこに運ばれていくのかな?」
「さぁ……? 追いかけたいけど、あんな凄いスピードで回収されちゃ無理かな? それに、今回の僕たちの目的は、あくまでケセド討伐だからね。」
「そうだね……うーん……! 流石にちょっと疲れちゃったかも。」
流石にミカと僕の2人で相手をするのは多少骨が折れた。
ミカもぐーっと伸びをする。
「頑張ったね。ミカは少し休んでて。」
これで、作戦は終わりじゃない。
ノアが立てた作戦通り、僕も動かなければならない。
「いやいや、私も行くよ。」
「でも……」
「護衛は必要でしょ?」
そう言って、ミカは僕に笑いかけた。
疲れをまるで感じさせない、そんな笑み。
「……うん、ありがとうミカ。とっても心強いよ。」
僕とミカは工場の入り口を見据えた。
「少し急ごう。もうあまり時間はないみたい。」