大切な人を探す物語   作:お団子大家族

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行方不明になった先生を探す生塩ノアと、それを助けようとする武藤遊戯の話⑥

 

『ダダダダダダッ!!!』

 

『ドンッ! ドンッ!』

 

「ハァ……ハァ……」

 

 ケセドに攻撃を開始してから、いったいどれだけの時間が過ぎたか。

 

 敵を掃討し、ケセドへの攻撃を数回繰り返した後

 

 我々の体力も弾薬も、徐々に底を尽きてきた。

 

「チッ……弾薬もあまり残ってねぇ!」

 

「エンジニア部の武器も、もう全て使ってしまいました。このままでは次のケセドへの攻撃の前に弾薬が底をつきます。」

 

「「「う……うーん……」」」

 

 エンジニア部の3人は先程の大型バズーカを1人一回撃って、全員ものの見事に肩を脱臼し、部屋の隅でうなされている。

 

 3人はエイミさんが守ってくださってるので、心配はないが、4人抜けたことによる戦力の低下が……問題……

 

 

 

 

 

「ハァ……! ハァ……!」

 

 

 

「ーーーノア先ぱーー!! しっかーーー!」

 

 

 アリスちゃんの声が、遠くに聞こえる。

 

 

 身体に、力が入らない。

 

 

 視界が霞み

 

 

 敵に銃を向けても、狙いが定まらない。

 

 

 熱が、ここにきて……

 

 

 

 

『ガクッ』

 

 

「……!」

 

 

 

 

 

 

 膝が……!

 

 

 敵の銃口が、私に向いている。

 

 

 マズい……!

 

 

 今、この状態でダメージを受けたら気絶は免れないかもしれない。

 

 

 ここで、総指揮である私が倒れるわけにはいかない。

 

 

 ……私は……やはり……

 

 

 ここで、終わるのか

 

 

『ドンッ!!』

 

 

 無慈悲にも、引き金が引かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノア先輩!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霞む視界の中で、私はアリスちゃんの背中を見た。

 

 

「アリス……ちゃん……」

 

 

「大丈夫ですノア先輩! アリスが、あなたを護ります!」

 

 

 アリスちゃんが、私を守ってくれていた。

 

 

 襲い来る機械兵たちを前に、立ち塞がる。

 

 

『ダダダダダダッ!!』

 

 

「……っ!!」

 

 

 アリスちゃんは放たれる銃弾から、身を挺して私を守る。

 

 

 ダメ

 

 

 これ以上、使い物にならない私なんかのために傷付かないでほしい。

 

 

 私が倒れても、使い物にならない戦力が1人減るだけ。

 

 

 

 指揮はきっと、ネル先輩やヒマリ部長が引き継いでくれる。

 

 

 

 私のことは捨て置いて

 

 

 

 朦朧とする意識の中、アリスちゃんの背中に手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

「アリスは勇者です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

 

 アリスちゃんの叫びに、私は手を止めた。

 

 

「ここにいる皆さんは、パーティメンバーです! そして……」

 

 

「ノア先輩が、プレイヤーです!」

 

 

「……!」

 

 

「だからノア先輩がいなければ、この戦いは勝てません!」

 

 

「コマンドを、お願いします!」

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 強い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、ほんの数日前まで意気阻喪していたアリスちゃんか?

 

 

 

「……」

 

 

 

 わかってる。

 

 

 

 

 彼の、影響だろう。

 

 

 

 先生

 

 

 

 遊戯先生

 

 

 

 

 

 

 

『アテムが君に言ったことは間違いなんかじゃない。君が今まで頑張ってきたことも、決して無意味なんかじゃない。』

 

『アテムが君に下した評価が間違いじゃなかったって、証明しよう。』

 

『僕が、力になるよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの人は、私たちに勇気を与えてくれる。

 

 

 もう1人の先生と、同じように。

 

 

 立て

 

 

 あと少しだけでいい。

 

 

 次の我々の攻撃が、最後の攻撃となるだろう。

 

 

 最後の、瞬間まで

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさん! 聞いてください!」

 

「「「「「……!!」」」」」

 

 最深部の部屋を震わすくらい、私は声を張り上げた。

 

 皆さん、驚いている。

 

 こんなに大きな声を出した私を、今まで見たことが無いはずだから

 

「今からケセドに、最後の攻撃を仕掛けます! 全員、ケセドの射程内へ移動をお願いします!」

 

 ケセドの周りには、まだあと数百の数の機械兵がいる。

 

 

 これらを倒さない限り、ケセドにダメージを与えることはできない。

 

 

 周りの機械兵はどう倒すのか

 

 

 疑問に思ったが、質問はしない。

 

 

 全員が銃を構え、ケセドに攻撃が当たる、射程内へと走った。

 

 

『ノアがそう言うなら、きっとなにか、策がある。』

 

 

 みんな、そう信じている。

 

 

「アリスちゃん……」

 

 

「はい!」

 

 

「全ての機械兵を倒したら、私に構わずケセドへ攻撃をお願いします。」

 

 

「……! はい!」

 

 

「いい返事ですね……♪ モモイちゃん! ミドリちゃん!」

 

 

「よーし! 待ってたよ!」

 

 

「わかりました!」

 

 

 2人はポケットから一斉にカードを出した。

 

 

 

「先生ッ!」

 

 

 まずは、ミドリちゃんから

 

 

『わかった!』

 

 

 すぐに先生から返事が届く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『黒魔術のヴェールッ!」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒魔術のヴェールの効果でこの場にいない、最上級魔術師を召喚できる。

 

 

 

「『ブラックマジシャンッ!」』

 

 

 

 ミドリちゃんの前に、ブラックマジシャンが姿を現した。

 

 無論、ミドリちゃんはブラックマジシャンを操ることはできない。

 

 モンスターでの攻撃は先生の意思でしかできない。ブラックマジシャンを動かすことができるのは、今この場にいない遊戯先生のみ。

 

 でも、先生にはこの部屋のどこに敵がいるのかわからない。

 

 たとえ先生が外からブラックマジシャンへ攻撃命令を出したとしても、敵がどこにいるかわからない状況では攻撃は当たらないだろう。

 

 だから、モモイちゃんに渡されたカードがある。

 

 モモイちゃんに渡されたカード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『拡散する波動ッ!」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくよッ! お姉ちゃんッ!」

 

「うん!」

 

 2人が手を握り

 

 ブラックマジシャンが杖を掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「超魔導疾風弾ッ!!」」

 

 杖から放たれたエネルギーの塊が無数の刃に変わり

 

 全ての敵を切り裂いた。

 

『ドガァアアアアアアンッッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ケセドの、装甲が開いた。

 

 残り18秒。

 

「今ですッ!」

 

「待ってたぜ!!」

 

 現れたケテルを、全員による総攻撃で倒す。

 

 トキさんは主砲を

 

 アカネさんは大量の爆弾を

 

 ネル先輩は、2丁の龍の文様が入ったマシンガンを

 

 皆が、それぞれが用いられる最大の攻撃を

 

「いくぜッ!!」

 

 ケセドへと放った。

 

『ガガガガガガガガガッッ!!!』

 

「うおおおおおおおらぁああアアア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!」

 

 倒れろ

 

 四方八方からの全てをかけた攻撃だ。

 

 倒せなければ、終わる。

 

 残り、11秒。

 

 10

 

 9

 

「ネル先輩ッ!」

 

 

「いけッ! チビッ!!」

 

 

 ネル先輩の声で

 

 

 アリスちゃんが飛んだ。

 

 

 ケセドの機体へと狙いを定め

 

 

 勇者の剣を掲げた

 

 

「光よッ!」

 

 

 スーパーノヴァから放たれた

 

 輝かしい光の筋が

 

 ケセドの体を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残り、5秒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが

 

 

 それでもまだ

 

 

 倒せていない。

 

 もう一度、装甲に身を隠される

 

 身を隠されたら、また機械兵の量産が始まる。

 

 もう、私たちに大量の機械兵を相手する余力は残っていない。

 

 全員の心に、緊張が走った。

 

 

 

 

「でも……大丈夫です。」

 

 

 

 

 きっと、来る

 

 

 

 来てくださる

 

 

 

 

 先生は、きっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリスッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 男性の声が、部屋中へ轟いた。

 

 

 

 

 振り返ればそこには、入り口へと到達した遊戯先生と、ミカさん。

 

 

 

 

 私が残した、最後の策。

 

 

 

 

 先生の声に、アリスちゃんは呼応し

 

 

 

 

 

 カードを掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『シフトチェンジッ!!」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 入れ替わるのは、ケセドの正面にいるアリスと

 

 ミドリが黒魔術のヴェールで呼び寄せた

 

 ブラックマジシャン

 

 

 

 

 

 

 

「『ブラック・マジックッッ!!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラックマジシャンの杖から発せられたエネルギーは、ケセドの体へと吸い込まれた。

 

 

 

 

『ドガンッ! ドガンッ!』

 

 

 

『ドガァアアアアアアアアアンッ!!!』

 

 

 

『ピー……ピー……ブツン』

 

 

 

 

 

 

 

 ケセド本体が何回もの爆発を起こし、機能を完全に停止したとき

 

 戦いの終わりを告げる全員の嵐のような歓声が、響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ワァアアアアアアアアッ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 勝っ……た……

 

 

 勝利の歓声が

 

 

 私の耳には心地よく響いている。

 

 

 そうか

 

 

 私は

 

 

 

 やり遂げたんだ

 

 

 

『グラ……』

 

 

 倒れたはずの私の身体は

 

 

 光に優しく包み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノア

 

 頑張ったね。

 

 君は

 

 凄い子だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全てを預けたくなる光の中で

 

 私は、意識を手放した。

 

 

 

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