リンとの話が終わり、僕たちは連邦生徒会の車で、ミレニアムサイエンススクールへと向かっていた。
リムジンのような大きい車を出してくれたので、僕と少女4人は一つの車に乗れている。
車の中で、僕はリンとの会話を要約しながら女の子たちに伝える。
「つまり遊戯さんはアテム先生がこのキヴォトスへと連れてきた人……ってことですか?」
「うん……もう1人の……いや、アテムと勘違いさせてごめんね。僕と彼の容姿はあまりにも似てるから……」
「いいえ! 勝手に間違えたのは私たちですし……」
「で、でも……本当に、似てるね……」
「うん! あ、でもよく見たら髪型が少し違うのかも? あと目つき、くらい?」
ピンクの子に隣に座られて、至近距離でジロジロと観察される。
(このピンクの女の子、小学生くらい距離が近いような気がするけど……今の女子高生ってそうなのかな……?)
「それで、君たちはいったい……?」
「あ、そうだ! 自己紹介がまだだったね! 私は才羽モモイ! こっちは双子の妹の……」
「ミドリです。よろしくお願いします。」
「わ、私は……ユズ、です……そして、こっちが、アリスちゃん……」
「……! は、はい、アリスです。」
「私たちはゲーム開発部っていう部活の仲間で、日々ゲームをしたり、ゲームを作ったりする活動をしています。」
「え!? 君たちもゲームを作ってるんだ!」
「はい……あれ? 君たちもってことは、ひょっとして先生もですか?」
「うん。僕もゲームの開発者だよ。」
「え!? そうだったの!?」
この子達も僕と同じゲーム開発者だったなんて。なんだか急に親近感が湧いてくる。
「す、すごい偶然、ですね。 先生は……どんなゲームを、作ってるんですか?」
「僕はよく作っているのは対戦型のゲームかな? 今作ってるのは球体型のボードゲームのようなもので、他にもいろんなゲームを作ってきたよ。」
「ボードゲーム! すごいなぁ……頭良くなきゃ作れなそう……!」
「私たちは16ビットのRPGをよく作るよ!」
「レトロRPGかぁ。僕は作ったことのない分野だなぁ。なるほど、ストーリーがあるゲームを作ってるんだね。」
「はい。 私がイラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当してます。お姉ちゃんがシナリオライターで、アリスちゃんがプログラマー。そしてユズちゃんが部長で企画周りをやってくれてます。」
「ふふん! 私たちのゲームは、ミレニアムプライスで特別賞を取ったこともあるんだから!」
「へぇ! それはすごいね!」
特別賞を取るってことは、それくらい評価されたってこと。
「ね、ねぇ、もし先生が、よかったらだけど……私たちのゲーム……やってもらおうよ……!」
「あ、いいね! 先生どう? ゲーム開発部の部室に着いたら、私たちのゲーム、『テイルズ・サガ・クロニクル』をやってみない?」
「うん! 君たちが良ければ、是非やらせて欲しい!」
今後のゲーム作りの参考になるかもしれない。
「やったぁ! できればTSCと、続編のTSC2両方やってもらいたいな!」
「うーんでも時間あるかな? アリスちゃんが初めてTSCをやった時は3時間かかってたけど……ね、アリスちゃん。」
「……! は、はい! そうですね……!」
「でも遊戯先生はゲーム開発者だし、もっと早くできるんじゃない?」
「……」
女の子たちが話している中、僕はアリスの方に目を向ける。
アリスは話を振られると返事をするが、会話に参加しようとしていない。
僕とは目すらあわない。どこかボーッとして、心ここに在らずといった感じだ。
「あの、アリス……」
「ッ! は、はい、なんですか……?」
「ごめんね、君が期待するような結果にならなくて……」
「い、いえ、その……大丈夫です。」
ずっと探していた先生だと思ったら、姿形が似ている別人だったのだ。
落胆の気持ちが強いのだろう。
僕がアリスに再び声をかけようとしたところで、車が停車した。
「皆様。目的地に到着いたしました。」
「あ、着いたみたいだね!」
運転手に声をかけられ、モモイがドアを開けて外に出る。
「さぁ、つきましたよ遊戯先生。ここがミレニアムサイエンススクールです。」
「……え?」
デカい。童実野高校と比べたら、何十倍もある。
建物も何個もあって、高校ではなく大学、いや、それ以上の規模だ。
「すごい……学園内にモノレールまで走ってる……」
「お話が終わりましたら、向こうの駐車場に車を停めますので、この車に戻ってきてください。私がシャーレの部室までお送りいたします。」
「あ、う、うん。ありがとうございます。」
運転手の女の子は運転席に戻ると、車を駐車場に向けて走らせる。
「じゃあ遊戯先生! 早速私たちの部室に……」
「いやちょっと待ってお姉ちゃん!」
モモイに腕を引かれ、その反対の腕をミドリが引っ張られる。
「え? なにどうしたの?」
「遊戯先生の容姿を見てよ! このままミレニアムの校内を歩いたら、行方不明だったアテム先生が帰ってきたって大騒ぎになるでしょ!」
「あー……確かに……」
「う、上着を頭に、羽織っていけば……?」
「うーん……でも遊戯先生の服って上着ないし……」
確かに僕の服は紫色のワイシャツと紅色のネクタイ。
そして灰色のベストだ。ジャケットは着ていないから、上着を羽織ることはできない。
「あ! いいのあったよ!」
カサカサ……
モモイが何かを手に持っている。
それは先ほどまで地面を転がっていた、たい焼きの袋だった。
「……お姉ちゃんそれ本気で言ってる?」
「い、いくらなんでも、ゴミを先生に、被らせるのは……」
「お姉ちゃんに常識がないことは知ってたけど、まさかこれほどだったなんて……」
「で、でもこれ以外に方法ないよ!? じゃあミドリが上着を貸してあげれば!?」
「なんで私なの!? は、恥ずかしいよ!(ちょっと汗もかいてるし……) お姉ちゃんが貸せばいいじゃん!」
「あぁいいよ! ミドリは先生のことよりも自分の恥ずかしさを取るんだね! 私はそうじゃないけど!」
「お、お姉ちゃんのバカ! もっと羞恥心をもって……!」
「わ、わかったからそれ以上その話題で喧嘩しないで!」
結局たい焼きの袋を被って行くことになった。
流石に女子高生の上着で顔面を覆いながら歩くのは、男性の大人として抵抗があった。
目のところに穴を開けて、マスクのようにして頭からかぶる。
「フシュー……フシュー……」
「なんか覆面被った犯罪者みたいだね……」
「でもキヴォトスのどこかには覆面に水着を着て銀行を襲う犯罪者集団もいるらしいし! これくらいへーきへーき!」
「……」
本当に大丈夫なのだろうか、この都市は。
僕たちはコソコソ隠れながら部室を目指した。
「とうちゃーく!」
「ふー……な、なんとか、ついたね……」
「途中でユウカに会いそうになった時は終わったって思ったね……急いで隠れたから何とかなったけど。」
「……ここが、君たちの部室。」
連れてこられたゲーム開発部の部室。
今どき珍しいブラウン管のテレビと、床に置かれた大量のゲーム機。
そして棚に仕舞われた、大量のゲームソフト。
この子達が、本当にゲームが大好きなんだということが、この部室から伝わってくる。
「じゃあ先生! 早速テイルズ・サガ・クロニクルをやってみましょう!」
「ちょっと待っててね! 今準備するから!」
モモイがコードを探し、セッティングをしている。
「そういえば、どうしても一つ聞きたいことがあったんだ。」
「はい? なんですか?」
「どうして君たちは、ゲームセンターでオンライン対戦していた僕をアテムだと思ったの?」
「あ、あー……」
「それは……」
みんなの視線がアリスへと集まる。
そうか、僕と対戦していたのはアリスだ。
「……アリスちゃん。」
ミドリがアリスの背中に手を当てる。
アリスが頷いて、ポツリポツリと話し始めた。
「遊戯先生とゲームをした時、遊戯先生のテクニックが、アテム先生とそっくりだったんです。」
「僕と、アテムのテクニックが……?」
「はい、キャラクターの足運び、技を出す順番、攻撃のパターンやガードのタイミング、その全てが、アテム先生とそっくりでした。」
……そっか。
僕はずっと、彼の後ろを追いかけて
ずっと彼の戦いを見てきた。
だから、自然と似ているのかもしれない。
彼ならどう動くかを、僕はゲームの中で無意識に考えていたんだ。
「だからアリスは……遊戯さんを先生だと思い込んだんです。」
だから、このアリスの思い込みは間違ってないともいえた。
僕の心の中に残っている、もう1人の僕をアリスは感じたんだ。
「そっか……たった一回のゲームでわかるくらい、君とアテムは一緒にたくさんのゲームをしてきたんだね。」
「はい、アリスは、先生とゲームをしている時間が大好きでした。」
アリスの顔に微かに笑みが咲く。
「常にアリスの予想を超えてくる一手。次に何をしてくるかわからないアテム先生のプレイングは、まるで初めてゲームをした時と同じようなワクワク感を与えてくれました。」
今までの記憶を掘り起こすかのように、瞳を閉じて話す。
「だから……今日の格闘ゲームは、本当に楽しかったです。先生が、もう一度アリスとゲームしてくれたような気がして……」
アリスが目を開けたときその瞳は微かに潤んでいた。
「本当にありがとうございました。アリスにもう一度、夢のような時間を与えてくれて……!」
アリスの顔を見て、もう1人の僕がこの子にどれだけ好かれていたのかが、痛いほど伝わってくる。
「こっちこそ、ありがとう。アリス。」
僕の胸の中で湧き上がる気持ちは、感謝だった。
「僕にとっても、アテムは本当に大切な存在なんだ。親友という枠を超えて、『もう1人の自分』と言えるくらいに。だからアテムが好かれていると、自分のことのように嬉しい。」
こんなに思われながら、一緒にゲームをしていて
だから……もう1人の僕も、きっと……
「君とゲームをしている時、きっとアテムも君と同じくらい楽しかったんだと思うよ。」
「そう……ですか……? 本当に、そう思いますか?」
「うん。僕とアテムは、本当に長い間苦楽を共にしてきた。だからわかるよ。」
「……」
アリスは一度俯いて、
「嬉しいです……先生にも、そう思っていただけているのなら……」
涙を指で拭きながら顔を上げて笑ってくれた。
「第48回……」
「……え?」
「ゲーム開発部対抗ゲーム大会!!」
「「「「!??」」」」
いきなり叫んだモモイに、僕たちは驚いた。
「お姉ちゃんいきなりどうしたの!?」
「みんなでゲーム大会しようよ! 私たちが親睦を深めるには、ゲームが一番でしょ!」
「先生にテイルズ・サガ・クロニクルをやってもらうって話は……?」
「それはまた今度! 開発者の私たちがいればいつでもできるし……それに……」
「そ、それに……?」
「アリスだけ遊戯先生とゲームしたなんてちょっとずるいよ! 私もやりたい!」
「それが本音だね……」
「で、でも、いいかも……私も、遊戯先生とゲームしてみたい……」
「そうだね、私も……それに……」
ミドリがアリスの手を握った。
「アリスちゃんも、もう一回遊戯先生とゲーム、やりたいんじゃない?」
「……はい! アリスも、ゲームしたいです!」
そこからは、いろんなゲームをした。
格闘ゲームも
「うわーん! モモイがハメ技を使ってきます!」
「ふっふっふ! 運営が認めた立派な作戦だよ!」
「でも今の一瞬抜けれる間が……」
「ちょっ! 先生教えちゃダメ!」
「わかりました!」
「あぁ! せっかく練習したのにー!」
パズルゲームも
「せ、先生が……19連鎖してる……!」
「うそぉ! 初めて見た!」
「私の画面がおじゃまゼリーで埋め尽くされた……」
レースゲームも
「ちょっとお姉ちゃん! いつの間にミドスナなんて技を……!」
「それも練習の賜物……あッ! バナスナされたぁ!」
「ミドスナで威張ってるようではまだまだです。アリスはもうすでに次のスキルを習得しています。」
「お、お先に……」
「待ってぇ!!!」
「……フフッ」
こんな風に、誰かとワイワイ楽しくゲームをするのは、久しぶりだったかもしれない。
「遊戯先生、楽しいですか?」
「うん、アリスも楽しい?」
「はい! こんなに楽しいのは久しぶりです!」
アリスの表情も、先程とは打って変わってイキイキとし始めている。
「えーそれでは今までの対戦結果から、決勝戦はユズちゃん対遊戯先生!」
「いよいよ決勝戦だね! がんばってユズ! ゲーム開発部部長の意地を見せるんだよ!」
「遊戯先生もがんばってください! アリス、応援してます!」
「よ、よろしく、お願いします……」
「うん! 全力で戦おう!」
「……! は、はい!」
大人になって、ゲーム開発が忙しくなって、忘れていた感情。
これが
ゲームが楽しいってことなんだ。
『WINNER! UZQueen!!』
「ゆ、ユズが勝った……! 2人ともすごいよ!」
「素晴らしい戦いでした! アリス感動です!」
「いやぁ……僕の負けだ。 本当に強いねユズ!」
「ほ、本当にギリギリだった……あと一手遅れていたらやられてました。」
「また戦ってくれる?」
「……! は、はい!」
ユズと僕が握手をし、僕たちは激戦の余韻に浸る。
「ねぇ、お姉ちゃん……」
「ん? どうしたの?」
「なんだかこうしていると、本当に先生が戻ってきたみたいだね……」
「……うん、ほんとうにね……」
僕はコントローラーを置き、みんなへと向き直る。
「ねぇ、みんなに聞かせて欲しいことがあったんだ。」
「聞かせてほしいこと?」
「そういえば行政官も言ってましたね。遊戯先生が私たちに聞きたいことがあるって。いったい何ですか?」
「アテムと、君たちの物語。」
「「「「……!!」」」」
「もしよかったら聞かせてくれない? 今まで君たちがどんな足跡を辿って来たのか。」
「うん……! もちろんいいよ!」
「え、えっと……どこから話せばいいのかな……?」
「最初アテム先生と出会ったのは、モモイとミドリだと聞きましたが……」
「そうだね。最初はですね? お姉ちゃんがぶん投げたプライステーションが、先生の頭に直撃したことが始まりだったんです。」
4人は話してくれた。アテムとゲーム開発部の物語を。
ゲーム開発部が廃部の危機にさらされていたこと。
そこでモモイとミドリが、シャーレに手伝ってほしいと依頼をしたそうだ。
G.Bibleを見つけるために廃墟へ旅をして
そこでアリスと出会ったこと。
鏡を取り返すために、一緒に武力組織と戦ったり。
ミレニアムプライスで特別賞をとって、一緒に喜んだりしたこと。
でも、楽しいことばかりじゃなくて
時折苦難もあったそうだ。
アリスが『key』という別の精神に体を乗っ取られ
大切な人たちを傷つけてしまったこと。
死を選ぼうとしたアリスを助けるために
もう1人の僕とゲーム開発部が、仲間たちと一緒に要塞都市へと戦いに行ったこと。
「先生は、絶望的な状況でも決して諦めず、ゲームの主人公のように笑みを浮かべて、みんなと一緒に要塞都市の戦いに勝利しました。そして……」
もう1人の僕のことを話している4人、特にアリスの表情は、どこまでも輝いていて。
「闇の中を彷徨っていたアリスの心を、ゲーム開発部のみんなと一緒に、助け出してくれたんです。」
この表情を見られるなら、この話をしている時間が、ずっと続いてもいいって思った。
「それで……!……ぁ」
アリスが次の話をしようと僕と目を合わせた瞬間、アリスの顔から笑顔が消えた。
なにかを悟ったような、そんな表情
「……? アリス?」
アリスは一度俯くと
「え、えへへ……」
顔を少し歪ませながら、笑顔を僕に向けた。
苦しいのを底の底に押し込んで、無理矢理作った笑顔。
「あの、えっえっと、それでですね……そ、それで……」
必死に、言葉を紡ごうとする。
笑顔で
笑顔で
笑顔で
「せん、せぃは……」
でも、無理だった。
アリスの瞳から、大粒の涙が零れた。
「せんせぇ……」
「アリス……」
僕とゲームをしているうちに、アリスは本当にアテムが帰ってきたように思えたのだろう。
でも
僕の姿形がどれだけアテムと似ていても、ゲームの腕が同じくらいでも。
結局僕は、アテムじゃない。
そのことを、アリスは話しをしている内に悟ってしまった。
「せんせぇ……せんせぇ……せん……せ……」
アリスは、何度も彼の事を呼んだ。
気づけば、泣いているのはアリスだけじゃなかった。
モモイも
ミドリも
ユズも
みんなして泣いていた。
彼の事を呼びながら。
きっと、みんな、もう限界だったのだ。
アテムがいなくなってから
モモイは無理していつも通りに元気に振舞って。
ミドリは無理に自分の感情を押し殺して。
ユズは自分も悲しいのに、弱っているみんなを無理に支えようとして。
アリスは寂しさをどうしても我慢できなくて。
その思いが、アテムとの思い出を話して溢れてしまった。
目の前で彼を思って、涙を流している女の子たち。
僕はどうしても放っておけなくて。
4人をしっかりと抱きしめた。
「……!」
「……せ、せんせ」
「ごめんね……君たちにとっては、僕はどう頑張ってもアテムにはなれない。」
僕がこの子達にしてあげられること。
「でもアテムがいない間、僕が君たちのそばにいるよ。」
アテムになれなくても。
「君たちが苦しいなら、その苦しみが少しでも無くなるように寄り添うよ。」
先生として、この子達をずっと支えたい。
「そして一緒に探し出そう。アテムを。」
「「「「……!」」」」
4人は思った。
出会ってまだ1日も経っていない人なのに。
この人の言葉には『光』がある。
温かくて
優しくて
つい寄りかかってしまいそうになる。
そんな強さが、この人にはあった。
「……遊戯先生は、いなくなったりしない?」
モモイの願いに
「……そばに、いてくれるんですか?」
ミドリの願いに
「……あ、アテム先生を……一緒に、探してくれるんですか?」
ユズの願いに
「……一緒に、ゲームをしてくれるんですか?」
アリスの願いに
「君たちが望むなら。」
この人は力強く頷いてくれた。
『優しさ』
この人の心を一言で表すなら、それだった。
この人の優しさが、私たちの不安な心を溶かしてくれる。
あの人とは、また違った強さをもっていた。
私たちの心を覆っていた闇は、晴れていた。
「「「「はい……!」」」」
4人は心に刻んだ。
この人は、『先生』だと。
次の日、キヴォトス中に連邦生徒会から臨時ニュースが流れた。
『新たな先生が着任』
そのような文面が、僕の写真と一緒に載せられていた。
アビドス高等学校
「シロコ先輩……このニュースは……」
「……アヤネ、急いでホシノ先輩を呼んできて。」
「で、でも、ホシノ先輩は今日も先生を捜索していて、どちらにいるか……捜索中は携帯の電源を切ってますし……」
「……ん、わかった。私が探しに行く。アヤネはその代わり、ノノミとセリカに連絡して。」
「は、はい。」
シロコは自らの愛銃を手にして、急いで部屋を飛び出した。
「どうなってるの……先生……!」
トリニティ総合学園
『ドゴオオオオオオオオオオオン!!!!!』
「ヒッ……!」
「お、お待ちください! ミカ様!」
「一体なんの騒ぎですか!?」
「な、ナギサ様! み、ミカ様が……」
「寮の部屋の扉を素手で破壊し、どこかへ……!」
「……!? そうですか……」
「い、如何いたしますか?」
「すぐに追います。今すぐに部隊を編成してください。」
「は、はい!」
ナギサは扉が跡形もなく消し飛んだミカの部屋に視線を向けた。
部屋では先ほど自分も見た、連邦生徒会からの臨時ニュースが流れていた。
「ミカさん……」
ゲヘナ学園
「ヒナ委員長」
「……どうしたの? アコ。」
「その、お会いしにいかないのですか?」
「……そんなことしても無駄。」
「……」
「だってあの人は、先生じゃない。いくら似てても、別人。」
「で、ですが……」
「そんなことをしている暇があるなら、先生を探す。」
「……はい。」
アコが部屋から出ていくのを見て、ヒナは泣きそうになりながら静かに呟いた。
「……先生」
ヒナの呟きを聞き取るものは誰もいなかった。