命をォォォォオ燃やせェェェェェエ!!!(ガチ)   作:ツーカーさん

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超短い短編。ある程度品出しもしたし、1000~2000文字をポンポン出した方がいいかもしれない。

今回は会話文多め。


第9話 一人称

 

 「提案なんですが、女性体の時の一人称を『私』など他の一人称に変えた方が良いと思います。ベロブルグの殆ど全員に嘘を吐く形になるんですし、少しでもバレる可能性は減った方が良いです」

 

 「ふむ…ならば本来の薬師に倣って『吾』か?」

 

 「まあ、一応他の人々にも蚩尤先生よりも年上だという事は広まっているようですし、アリですね。一般の人にはまだ違和感があると思いますが…許容範囲内です」

 

 「それ相応に口調も超然とした風にしなければならないか…あの剣士みたいだな…」

 

 「剣士?」

 

 「1200年ほど前に手合わせ……というのは俺の感覚か。アイツからしてみれば殺し合いだったのだろう」

 

 出会い頭、氷柱が心臓に突き刺さったのは本当に驚いたな。

 驚いただけだが。

 

 「それはまた…物騒な話ですね」

 

 「薬師の没滅は仙舟の民の悲願だからな…薬師の居場所を常に知る俺は仙舟の民にとって一番の近道、あちらからすれば豊穣の忌み物である事に変わりはないし、会って早々に戦闘になる事は何も可笑しくはない。仙舟の人々と豊穣はそれ程長く戦ってきた。…早く解放されたいのだろう。だが、こちらとしても俺を愛してくれた伴侶の殺害だ。当然反抗する」

 

 「それ程の確執がありながら、講談の中では随分と仲が良さそうでしたね?」

 

 「色々あったからな……本当に色々」

 

 仲良くするまでの軌跡は透明な時間と称して正しいか?…涼んでいたら勝手に横に寄ってきた猫というか…。殺伐としていた空気も長い時間を得た中で無くなっていった。まあ、それが仙舟から狙われなくなる理由ではないが……休戦っといった感覚に近いだろう。

 

 「まあ、個人的な一人戦争だったから300年ほどで終わったな。決着は嵐が降臨したのが原因だ。後ついでに何故か降臨したアッハ。久しく生命の危機を感じ取ったというか…存在消滅の予知をしたが、俺は奴らの力の半分を消耗させ撤退に成功した。アレは奇跡に等しかったな」

 

 苦虫を噛み潰した顔をしているのが自分でもわかる。アッハと仮面の愚者たちが参加してきたのは本当に謎だった…まあ、謎だから愉悦足り得るのだろう。そして意味不明だからこその愉悦。星神のアッハは俺たちを平面として閲覧する何者かの娯楽の為のみ行動する…愉悦の意思に指向性はなく、湧き出た悦楽が大小際限なく巻き起こる。…奴に干渉された力がピクピクと動いているのがわかる。…『アッハ』…いても居なくても困った奴だ。

 

 「……待ってください。さらっと、2柱の星神を下していませんか?」

 

 「下してなどいないさ。アレは…もっと悍ましい結末だった」

 

 俺自身、何が起こったのか覚えていない。気づけば去っていく嵐と、嗤い続けて消えていったアッハの光景しか見ていない。だが、その時に理解した。『あらゆる存在を拒絶する何か』が起きたのだと。…俺自身も含まれていたのか…それは分からなかったが、何者かの介入があったのは確かだ。星の神よりも強大な…何か…。

 

 「……そうですか。これ以上は詮索しませんが、結局、口調や一人称をどの様に変えるつもりですか?」

 

 「まあ、今言った剣士スタイルで……あ、駄目だ。もし弟子に師匠を真似てみたなどバレれば絶対厄介な事になる。それはゴメンだ」

 

 「じゃあ、薬師さんの口調で話しますか?」

 

 「いや……それも厳しいな。天才クラブや博識学会の者なら理解は容易いが、ベロブルグで彼奴の言葉一つ一つの言い回しは理解されにくいだろう。俺も模倣できるとはいえ演るのは面倒だ。精々参考人程度っといった具合か…」

 

 「では、概ね人物像が決まったと言う事ですね。後は実行するだけです」

 

 「簡単に言ってくれるな…」

 

 「5万年も生きていれば色々な経験をしていると思ってますので」

 

 「まあ、そうだな…今まで怪盗染みた真似をやったこともあったしな…他人になりすます事なら得意だ。マジックが得意な青年ともみあげの濃いコミカルな男に教わった。多用はしていないが事あるごとに便利だな」

 

 「蚩尤先生が怪盗…ですか?意外ですね…」

 

 「幻滅したか?」

 

 「いえ、幻滅よりも先に意外性が来ましたね。…まあ蚩尤先生の事ですから何か理由があるんでしょう?」

 

 「とある少年からの契約で一時的に星核ハンターという組織に属していた…まあ、その時に払った代価とでも言っておこう。詳しくは言えない。契約の一部にあるからな」

 

 「…星核ハンターとは?」

 

 「君が知るべきことではない。ただ…あのコートを送った張本人も一緒に所属している。とだけ言っておこう。……恐怖を知らぬ強き子の代価履行は近づいて……ん…いや、今の言葉は気にしなくていい」

 

 「……時々、蚩尤先生は自分でも不理解な事を話しますね」

 

 「星神に干渉されたからか、時折虚数エネルギーが見せる幻覚があるんだ。それは既知の未来か未知の過去か…分からないが、偶に存在が曖昧になった感覚がある。おそらく、ソレのせいだろう」

 

 だが、時空を司る虚数エネルギーなぞ…『終焉』のテルミヌスだけだった筈だが…アッハが何かに干渉したか?いや、星神が星神に干渉し得るか?…駄目だ。アッハだしなぁ…が最終結論として出てしまう。

 

 「また私の知らない単語が出てきました…。虚数エネルギーとは何ですか?」

 

 「虚数エネルギーとは言ってしまえば、運命を操作するエネルギーだ。その運命に属した事なら大抵のことは出来る。豊穣の運命なら人や物への治癒が虚数エネルギーで出来る、壊滅なら破壊の虚数エネルギーが生み出され、物体や概念の破壊も可能といった具合にな。知覚できないが故に『虚数』と名付けられている。案外何処にでもあるものだが、使える者はかなり少ない。俺の幻覚はその中でも一番意味不明な虚数エネルギー『愉悦』だ。極少量の筈なんだが…流石は星神と言うべきか…影響力が強い。今度、薬師に再会したら本格的に診てもらおうと思っている。因みに星神は全宇宙に存在する虚数エネルギーを自らの《運命》に対してのみほぼ完全に掌握をしている。故に、ソレ以外の行動が出来ないらしいが…俺と薬師の関係はその根底を揺るがす物で、一度学会が荒れた。一人の存在に星神が釘付けになるなどあり得ないからだ。俺自身、全く分からんし、そうなってるからそう。としか言えないが…学者たちは納得できなかった様だ…ヘルタに120時間問答され続けるのは疲れたな。何せ、俺が覚えているのは、溺れる様な快楽と口内の蹂躙劇で……メェイとスクリューガムが止めてくれなかったらどれ程…そういえばなんか3人ともその時様子が可笑しかったな」

 

 「真面目な事を聞いているのに急に男女の睦言を事細かく言われれば誰だって怒りますよ…」

 

 「そうか?あの3人は星神の生殖ともなれば逆に事細かに知りたがっていたぞ?少し話すのが恥ずかしかったが、星神との行為は神秘である事に変わりはないからな、俺も薬師の蜜の味など詳しく解説して……あれ、でも最後の方はなんか変だったな…」

 

 「……3人とも破壊されたのね」

 

 「何がだ?」

 

 「脳が」

 

 「脳が?…いや電子回路?そういえばスクリューガムの光センサが可笑しな挙動を…」

 

 「今更ですが、学者の知り合いも多いんですね…蚩尤先生は」

 

 「一応、学者もやっていたからな…3万年程前に。まあ、最近復帰した事もあったが、またすぐに辞めてしまった。…尤も、俺が学者をやる機会よりも実験台にされる機会の方が圧倒的に多かったな」

 

 「ちょっと、どう反応していいか分からないブラックジョークやめてくれませんか。…因みにそれって、かなり肉体の損傷を伴うものですか?」

 

 「そういうのもあったが、それは壊滅寄りの派閥に属していた時だな。もっとマイルドな物もあったぞ。試薬の治験とかな」

 

 「それも私は嫌ですが…というかそれって毒だったりしませんよね」

 

 「どうして分かったんだ?」

 

 「蚩尤先生の日頃の行いです」

 

 「そんなに悪いつもりはないんだがなぁ…言ってもいない事を暴かれる程とは…」

 

 「因みに、学者の方々とはどう言った関係ですか?」

 

 「俺は実験動物である事が一番多かったな。議論を交わす事もあったが、満足してもらえる回答を与えることは少なかった。だがまあ、少なくとも、彼、彼女らの友人としては扱われているんじゃないか…?」

 

 「何でそこで疑問形なんですか」

 

 「天才クラブも博識学会も一定を除いて人格破綻者ばかりだからな。俺が友人だと思っていても彼らは友人と思っていないかもしれない」

 

 「……学者に普通の人は居ないんですね」

 

 「居るには居るんだぞ?圧倒的に破綻者が多いだけで」

 

 「なんのフォローですか…」

 

 「スクリューガムを含めた比較的まともな天才達の風評被害だ」

 

 「そうですか…」

 




蚩尤先生が嵐&アッハと戦って生還出来たのは一時的に超えられない壁を超えたお陰ですね。蚩尤先生の元の存在が干渉しています。
あと少しでも蚩尤先生の覚醒イベントが遅れていたら薬師が降臨して、仙舟同盟は総力を挙げて薬師殺害を目指して更に戦争は長引いていたでしょう。『三つ巴戦争』と後世に名付けられたに違いない。因みにこの作品での正史ルートだと『伴侶討滅戦争』と仙舟側では記録されてます。(休戦扱い、継続中)

因みに暦を辿ると嵐君とナヌーク君は蚩尤先生より年下。
蚩尤先生が生まれたのは丁度先祖の仙舟人達が不老不死として出発する前なので。

薬師って黄昏戦争と宇宙の蝗害の後に生まれたんですね、ちゃんと調べてみると結構若い事が分かりました。(星神比)

蚩尤先生の本当の正体には関しては、正直描き切れないと思うのでこの小説(ベロブルグ編)が完結したらその最終話の後書きにちょろちょろと書いておきます。
物語の最後に謎は残さないタイプ(矛盾)

ルアンさんのストーリーやってて思った事は『蚩尤先生、ルアンさんの地雷色々踏んでそう』という事です。
忘却する事が生命の理、と考えているのに薬師の所為で絶対に忘れられない生命へと成り下がっている蚩尤先生。キャラ解像がまだまだなのでこれから構築されていくバックストーリーが楽しみ。


あと、ルアンさん、出逢ってすぐ反自白剤と記憶消去の薬を飲ませてきて、使令のコピーとぶつけさせてくるとは思っていなかった。天才クラブのヘルタの方が倫理観マシに思えた人物でした…流石見た目と性能はティア1だけど、性格と人格がティア4の女。

まあ、これぞ天才クラブだ!って思える人物でもあったので、面白かったです。

あと、今回の追加ストーリーはホラー脚色が目立ちましたね。直前にバイオハザードやってて耐性ついてましたが、やってなかったら普通にビックリしてたかも。

番外編でIF路線やるなら、「もしも蚩尤に最初に触れた星神が○○だったら」シリーズやれそう。

IF もしも蚩尤先生に最初に触れた星神が○○だったら〜

  • 存護 クリフォト
  • 貪慾 ウロボロス
  • 開拓 アキヴィリ
  • 調和 シペ
  • 均衡 互
  • 愉悦 アッハ
  • 不朽 龍
  • 秩序 エナ
  • 知恵 ヌース
  • 壊滅 ナヌーク
  • 巡狩 嵐
  • 虚無 IX
  • 記憶 浮黎
  • 神秘 ミュトュス
  • 終焉 テルミヌス
  • 純美 イドリラ
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