命をォォォォオ燃やせェェェェェエ!!!(ガチ) 作:ツーカーさん
燃え盛る業火とは生温い。
相対するのが絶対零度の使徒なれば、こちらは神滅の怪炎。
全てを凍え止める理の氷と総てを焼き動かす絶対の炎は見つめ合い、嗤ってやった。
その炎は止むことを知らぬ、その炎は酸素を供給してはおらぬ、焚べるは生命。燃やすは信念。
「神の権能に酔いしれたか。痴れ者が」
最早、目の前の女がかつて知るべき女なのかどうかも怪しい。
世界の理を動かす虚数エネルギーを操る歌者に本来の意思はあるのか…いや、未だ新生世界で新たな人類の再興を望む愚かで憐れな建創者か…。
譫言のように「新たな世界…」「星核が全てを…」と呟いている。
「……嘗てのお前は好きだったんだがなぁ」
霜が急速に熱され蒸気が凄まじい。周りにいる者たちは過度の温度変化で生体機能にバグが生じてきていた。
「幕切れだ…」
狂熱が常冬峰全体の雪原を晴らす。
それはヤリーロに誕生した新たな人類の灯火であった。
運命にそぐわない魂を見た事があるだろうか。
人は誰しも運命の奴隷だ。最もたる例が自分自身であることを観測者は自負している。
だが、見よ。今しがた生まれた魂は、かの
今、彼を見つめているものは星神だ。自身らには在るものを宿していない彼に、己の運命を受け継ぐことなく生まれた彼に…寵愛を受け継ごうと運命を宿そうと、愚かな見つめ合いをしている。
刹那の時五年の月日、均衡を破り、最初に触れ、その魂に
運命を授けた途端に星神達は彼に興味を無くし、去って行ってしまった。
ただ、最初に彼を愛した「豊穣」-薬師-を除いて…。
彼には運命が宿された。…星神の中でも苦難と苦痛伴う最も残酷な運命を…彼は宿してしまった。
5年という短い時間で自分に何が出来ただろうか。
神神の睨み合いに付け入る隙などあっただろうか。
彼は運命にそぐわない強さを持っていたものの、星神を打倒出来るほどの超自我を持っていなかった。
…あぁ残念だ。
自分からも彼への興味が失せてしまった。
豊穣に愛された者達の末路はよく知っている…せめて、彼がそうでないと祈るばかりだ。
───とある観測者が発狂死する前の手記
湯水に浸かった身体が痙攣を起こし飛び起きる。
気づくと翡翠色の葉に身を包まれ、無数の目に凝視されていることに気がついた。
目に写り込んできた人物は…いや人物?
人とは形容しがたいが、人を模した
私が目覚めたのを確認するやいなや、六つの腕が私を包み込み抱き寄せられる。
途端、湧き上がる感情は未知への畏怖、遥か高位な存在への敬愛、そして根源的な欲の性欲…いやこれは繁殖欲?…ともかく、その形容しがたい恐怖物は美しかった。
慈愛を宿した瞳が億千万と自分を撫で付け、魂を潤す波動が鼓膜によく響いた。
「嗚呼、運命を知らぬ子よ。吾は汝が愛おしい」
其の声には明らかな愉楽の色が聞き取れた。
「唯、運命を存ぜぬ身のみで汝は涯有る身。吾は其れが酷く悲痛だ…。吾は汝を愛そう。永遠に深く…唯、唯一に。汝だけを愛そう。其の身から重荷を捨て、解脱し吾の愛し人になっておくれ」
まだ生まれて5年…遥か高位なる存在は私に求愛?いや、これは求愛というものでもない。独占といっても良いだろう。
独占される気分がこんなにも最悪だとは生まれて初めて知った。
六つの腕が顔に寄せられ、口付けをされるが……離されない。
遥か高位の存在はそのまま舌?(恐らく舌と思われる器官)を捻じ込み私の口内を犯してきたのだ。
快楽とは言えぬ快楽が身体を襲い、何度も絶頂してしまった。
生まれて早5年の私には、その刺激は強烈過ぎたのだ。劇毒と言ってもいい。
何度壊れそうになったか分からない。歯をくいしばる事が出来ない以上身体中にあらゆる万力を込めて、意識を保たせる。
果たしてその時間が幾らばかりか測りかねるが、正しく刹那的永遠と言って正しい。
名残惜しそうに口元が離れ、高位の存在、「豊穣」の薬師は話し始めた。
「嗚呼…残念だ。吾が愛した故に愛す理由が亡くなってしまった…。だが、一度愛した汝を吾は捨てはせぬ。有言通り、永遠に汝を愛そうではないか。吾が伴侶よ。共に「豊穣」の運命を歩もう」
彼女に口付けをされ、何かを混入させられた事は分かっていたが、快楽を超越した感覚に身体が追いつかず、ただえずく。
何かを混入させられた時、確かに見えた景色には、万物が際限なく成長し、やがて残ったのは忌み物が悲しく叫んでいる姿…?だったように思う。それも一瞬でよく分からなかったが。
薬師はそれ以上は何も言わず、私を抱き締め続けた。次第に私と同等の大きさになったのに気づいたのは抱きついたまま30日ばかり経った頃だった。
私は何も食さずとも、眠らずとも生きれるようになっていた。もはや人ではなかった。
薬師とは5万年ばかしの時を過ごしてから、別れた。
これでも随分一緒にいたと思ったが…奴からすれば年齢の1000分の一にも満たないようだ。どれ程奴は生きているというのか…。因みに奴は年齢を聞かれて怒るようなタイプでなかった為、聞いてみれば生物の概念が生まれた瞬間…と答えられた。億は越えてるだろうが正確な値までは判断しかねるとのことだ。本人でさえわからない…と聞いた時は
因みに最も古き星神は琥珀の王『存護』クリフォトであるらしい。恒星の爆発に飲まれた瞬間を見た時は流石に死んだと思ったのだが、奴はケロリとしていた。おそらく、星という概念が世界に生まれた時同時に顕現したのだろう。それ程の格の違いを感じた。
最後まで薬師は別れるのを愚図っていたが…いい加減独り立ちをしたかったのもあり、無理を言って別れた。
奴との旅は楽しかったが…何より制限が厳しかった。何をするにしても奴の許可がいるし、他の女と喋るなと言われたり、目も合わせるな、視線も向けるなと言われ、大分苦労したのだ。
奴の嫉妬は分かり易かった。とにかく女絡みでなければ機嫌は直すし、案外チョロいので融通が利くが、一度私の黒が分かるとそれはもう大変に…大変に面倒くさい事が起きるので反省している。
アイツの閨で監禁されるのはもう嫌だし、犯されるのも疲れるから嫌だ。こちらの欲は枯れ果てたというのに、流石は星神とでもいうべきか、それとも繁殖を司る星神を呑んだからか…性行為する器官も無理やり作ってまで交尾したい気持ちは何なのだ。
これからは自由に豊穣の運命を辿る旅ができる…そう思うとなんだか涙が出てきた。
いっそのこと、
以前にも訪れたことのある世界に訪れた。
以前…と簡単に言っても1500年前程前の話だ。
少し寄り道しただけの星だったが生命の逞しさが顕著だったのを覚えている。「存護」のクリフォトが管轄していたらしく、薬師も特に何をするわけでもなかった。当然、やることなすこと全て薬師にやられていたので俺のやることもない。そもそも俺の仕事は精々が、薬師の側で一緒にいることぐらいだった。
薬師の与える影響は基本的には不朽、不老という面が目立つ。盛者必衰の理を許容出来ない運命に在るので仕方のないことだが。それを俺に押し付けないでもらいたい。これを五万年前のファーストキスの時に言えればどれ程良かったか…まだ星神に勝る程の自我が無かったのが本当に残念だ…。
ともかくまあ、このヤリーロⅥは薬師の魔の手から何故だか逸れたのだが──恐らく豊穣とは違う強い運命が結びつけていたんだろう──別の危機に瀕していたようだ。
緑豊かで温暖な気候でまかり通っていた筈だが、はて?
いつから霰と極寒が襲う死星に成り果てたのだろうか。豊穣の加護ととある技のお陰ですっかり寒さをものとしない体だが、裂界の生物までもが凍り付いている歪な現状に異常性ははっきりと分かる。
この星で何があったのか。探る必要があるだろう。まあ、十中八九このような惑星規模での災害と言えば万界の癌だろうが。
尚、開拓者達が来る20年前。
おそらく力を手に入れる前のオリ主は、豊穣系自己犠牲回復型ヒーラー兼アタッカー。(自分の体力が低くなるにつれ治癒量と攻撃力が上がる)
どっちにしても扱いづらい。
主人公の過去編は追い追いやります。長いし。仙州の人々との掛け合いが面白そうだからストーリー追加次第書きます。取り敢えず現状完結はヤリーロⅥ編のみ。
主人公の再生力は銀魂の虚さんやソウルシリーズの主人公を思い出してもらえれば想像がつきます。
13英傑組で千劫めっちゃ来て欲しいんですよね。スタレ世界に。エリシアも来て欲しい。
ケビンは巡狩か存護。氷属性か火属性。
エリシアは調和か豊穣。又は壊滅。物理属性か氷属性。
アポニアは虚無…か存護?雷属性。
エデンは調和一択。雷属性。
ヴィルヴィは知恵一択。物理か量子属性。
千劫は壊滅一択。火属性。
スゥは調和一択。風属性。
サクラは巡狩一択。氷属性。
コズマは壊滅一択。量子属性。
メビウスは知恵一択。雷属性。
グレーシュは調和…?。物理属性。
華は巡狩一択。物理属性か風属性。
フェリスは調和か虚無。氷属性。
こう言う予想するのが一番楽しかったりする。