この孤児院に来てから約6年が過ぎた。
今の年齢は、6歳だ。
この6年間結局ここがどこの国なのか、この世界はどういう世界なのか、まったく持ってわかっていない。
もちろん調べなかったわけではない。
まずは、本探しから始めたがまったく字が読めなかった。言葉は、日本語で喋っているのに本の文字は異世界語だった。
そのため字の練習そして異世界語の発音などマスターするのに3年もかかってしまった。この時にはすで5歳。
そしてようやく本の文字が読めるようになったので本のコーナーへ‥‥否。絵本のコーナーだった‥‥
この世界に関するものはなかった‥しかし絵本にも一つぐらいこの世界に関することがあると期待をふくらませたが‥‥一つもなかった。
この世界の世界地図も何もなかった。一つ心あたりがあるのは、先生の部屋だ。先生とは、僕たちを世話している人だ。文字も言葉も教えてくれたのがこの先生だ。
先生の部屋に何度も入ろうと思ったことがある。さすがに先生の部屋に入れば何かしらあるだろうと考えて、しかし思った通り部屋の扉はしっかり鍵がかけられていた。中を覗くことも不可能。さすがに扉を壊せば怒られるしさらに扉が頑丈になる可能性がある。
扉の鍵も探したことがある。さすがに机の上など子どもが触りそうなところにはない。だが先生がもっているのもみたことがない。
先生の部屋に入るのは無理だった‥‥
なので次なる手は外から先生の部屋に入ること。そのために一年も待った。外で遊べるようになるのは、6歳からだった。
そしてようやく昨日、6歳の誕生日が来たのだ。一年はとても長かったが先生の部屋に入るため我慢し続けた。
そしてようやく「さぁアイラちゃん、外で遊んできていいわよ。」
「はい!」
ようやく来た。外に出られる日が、さっそく外にでた僕は、先生の部屋の窓を探したが‥‥早々に絶望することになる‥‥
なぜなら先生の部屋に窓がなかった。こうなると絶対に入れないという強い意思を感じる。
結局振り出しに戻ったわけだ。しかしどうにもおかしい。先生は、なぜ言葉や文字は教えてくれるのにこの世界の歴史などを教えてくれないのだろう。知ってはいけないことでもあるのだろうか?
しかしここは、孤児院育ててくれる親が見つかればここから出ていくはず‥‥
外に出れば教えてくれなくともいずれ知ることになるだろう‥‥
なぜ?頭の中がはてなマークで埋め尽くされていく‥‥
しかし次の日にアイラは、また自分の運の悪さを恨むことになる。
次の日
結局外に出て先生の部屋に窓から入る計画は、失敗に終わってしまった。
「はぁ、僕を育ててくれる親が見つかるまで何もできないのか‥‥」
そう考えていると‥
「カルシス様お待ちしておりました。」
「歓迎ありがとう。12歳の子どもたちをもらいにきたわよ。」
「はい。こちらでございます。」
そして12歳の子どもたちは、馬車に乗っていった‥‥暗い顔で。
「はぁ、少ないわね‥3人なんてもっと子どもを用意できないのかしら?」
「申し訳ございません。こちらも新しい子どもを探しておりますがなかなか見つからず‥」
「言い訳は、結構よ。今年はそうね‥‥10人は用意なさい。」
「10人でございますか‥そのような大勢の子どもは‥‥」
「なに?できないというのかしら?誰のおかげであなたちちが生きていけるとおもっているの?死ぬ気で用意なさい。用済みになってあの頃のときみたいに戻りたくないでしょう?」
「は、はい。承知致しました‥」
「それでいいのよ。じゃあまた一年後に。」
こうして馬車は帰っていた。この話の一連を通してこう思った。あの偉そうな女の人は、子どもを道具としか見ていないと‥
もらいに来ただの、用意だの、人間に使う言葉ではない‥‥
なぜ‥‥なぜもっと早く気づかなかったのだろう‥
ここは、孤児院などではない‥
ここは「子どもの奴隷」を生み出す施設‥
よくよく考えて見ればわかることだった。この孤児院に、新しく育ててくれる親など見たこともない。毎年くるのはあの偉そうな女の人だった。毎年同じ人しか来なかったのは確かに疑問に思っていたがまさかそんなひどいことをしている人物だったとは‥‥
なぜ僕が、ここまで推測できたのか。それは昨日の夜のことだ。
たまたま昨日の夜僕はあまり眠れなかった。その時に先生が話していた話の内容だ。先生たちは、子どもたちに聞こえない声で話していたが僕の耳は他の子どもたちよりも遥かに良かった。なので話の内容はよく聴こえていた。
その話の内容は‥‥
「ねぇ、もう私こんなことしたくない。あんな貴族に、子どもたちを渡したくない‥‥」
「わたしだって!わたし‥だっていやよ。あの貴族に渡すのは‥‥かわいそうじゃない‥あの貴族に奴隷として育てられて他の貴族に売られるだなんて‥‥」
「でも‥私たち二人じゃ。どうしようもできない‥‥逆らえばまたあの貴族に奴隷のように働かされる‥」
「それだけじゃ‥ないでしょ‥‥」
震えながら先生はこういった‥
「逆らえば‥この施設に設置されている爆弾を起動すると言われているでしょ。」と‥‥
僕は、この話は嘘で欲しかった。確信が欲しかった。だからあの貴族が来たとき盗み聞きした。
しかし嘘ではなかった。確定‥してしまった。
だからこの施設からの逃亡決意した。
もちろん‥みんなで先生たちも含め。
はっきりいってどう逃げれば大丈夫か、わかっていない。そのためにまずは外を探索して見ることにした。
この施設の外は、子どもたちがのびのび遊べるように広々としたものだ。もちろん遊ぶところには高い壁が設置されていた。そのため外の景色を見ることは不可能。
僕はまず一番奥になにかがあると信じて進んだ。
ある程度進んだところで、大きな木々が現れた。木々だけで柵などはないが立ち入り禁止という看板が立っていた。この先に逃げ出すためのヒントがあるかそれとも何もないか‥‥
いずれにしても進む以外に選択肢はない。なにかあるそう信じて進んでいくとあったのは‥‥大きな壁だけだった。なにも‥なかった。
絶望した。逃げ出すヒントさえなかった‥‥
僕は気づかなかった。絶望していたせいで‥‥ある誰かが見ていることに‥‥
そして近づいてきたいることにも気づかなかった。
そしてその人物はこう聞いた。
「ねぇ君は誰?」と