僕には不思議な姉さんがいる。
髪も肌も嘘みたいに白くて、それに反する様な紅い瞳をした美人な姉さんが。正直言って家族の誰に似たんだろう?ってぐらいの美人で、美の女神が見たら裸足で逃げ出すんじゃないかって思ってる。
それに比べて僕は平凡だ。多分、小説とかの物語だとモブAって立ち位置だと思う。
この世界が物語としてあるなら姉さんは主人公か、そのヒロインなんだろう。…そう考えるとモブAではないか…。なんかちょっと安心しちゃった。
姉さんはその容姿から小さい頃から人気者で、基本的に誰にでも分け隔てなく会話するから、上級生にも下級生にも人気だった。……まあ、だからこそ当時の僕は大変だったんだけどね、姉さんはなんでか知らないけれど僕にめちゃくちゃ構ってくるから。
過保護って言われるぐらいには僕に構ってきた。授業が終わって、休み時間になると当たり前のように僕の教室に来るし、必ず隣に座る。僕が体育で怪我をした時には、真っ先に駆けつけてくれるし、ただなんとなく一緒に歩いている時には姉さんの方から手を繋いでくる。
あと、姉さんと全然似てない平凡な容姿が災いしてか一時期は恋人同士だと思われていたらしい。というか、こんな行動をほぼ毎日していればそう思われるのは当然だったんだろう。
姉さんとそういう関係だと思われていた時期は、男子からも女子からも目の敵にされていて、いついじめが始まってもおかしくなかった。
結局、それに気づいた姉さんが率先して誤解を解いて姉弟って事が広まったから治ったんだけど……。
その後も厄介事は続いた。姉さんと繋がりを得ようとしてか、男子たちが変に僕に絡んでくる様になったり、女子からは姉さんにラブレターを渡してくれと頼まれる様になったのだ。
姉さんが大人の女性の様な落ち着きを小さい頃から持っていたから、それに感化されて憧れの気持ちとか、高身長でイケメン美女な所が合わさって恋愛の感情になったんだと今ならわかるけど…当時は本当に女子同士で恋愛ってあるんだ…と、その時にそういう道の片鱗を味わってなんか戦慄していた。
因みに普通に仲良くしたいから仲介役をしてくれない?とかの頼みもあった。それが一番楽な頼み事だったなぁ…姉さんは基本的に友達という存在になる事自体は拒まないから。
まあ姉さんはその関係以外興味なかった?様で、ラブレターとか告白関連は全部断っていた。僕が断られた事を一々報告するんじゃなくて、姉さんが直々に断りに行っていたからまだいいものの、断られたマイナスの感情を僕にぶつけてくる人も居たから本当に辛かった…結局はそういう人も姉さんがなんとかしてくれたんだけどね。姉さんのバブみの様な王に仕える騎士の様なカリスマ性があったから成せた事だと思う。
って、なんか姉さんの愚痴みたいになっちゃったな…。
僕とは不釣り合いなくらい凄い姉なのに…。
まあ、今から紹介していこう。僕の姉さんは基本的に物事や自分から得た知識を忘れない。所謂完全記憶能力とかいうとんでも体質を有しているのだが…本人からは『昔からそういう習慣をしていただけで、いつのまにか身についてしまったもの』と言っていて、本人曰くそういう体質とかじゃないと言っていた。聞いたのが小学生の時だったので、おねぇちゃんって凄いんだね!くらいの感想しか出てこなかったと思う。
因みにその時は姉さんが常に満点のテストしか取らなかったので何か勉強のコツを聞き出そうとした時に聞いて分かった。考えてみれば習慣づけしたとしても小学一年生の時からそれが身についているのはおかしい。
一度はやっぱりそういう体質なんじゃないの?と思ったけれど特に嘘を吐く必要もないし、姉さんはそもそも嘘は吐かない性格なのでそれはないと思った。本当にそういう習慣づけでなったんだと考えたたんけど…一体それなら姉さんが物心を持ったのはいつなんだろう?少なくとも0歳の時からって事になる…とは思うんだけど…姉さんが教えてくれないから分からない。
次に凄いのは姉さんの身体能力だ。運動神経が抜群とかそういうレベルじゃない。鬼滅の刃の甘露寺さんばりに細い腕をしているのに、甘露寺さんばりに力が強い…いやそれ以上かもしれないけど。上級生の男子にも運動面で負けた事がなかったから薄々は感じてたけど、本格的に感じたのは僕が家に忘れものをして姉さんが取ってきてくれた時のことだったと思う。
あの時は先生に怒られたらどうしよう…間に合わなかったらどうしよう…姉さんに迷惑をかけてしまった…とか色々と焦っていたから気づかなかったけど、当時は小学生の足だったとはいえ片道30分の道のりを走って往復10分で済ませるってどういう事よ…。オリンピック選手を軽く超えてない?あの時姉さんも必死だったのか、息を荒くしていたけど…それでも充分に凄いと思う。
後、酔っ払い相手だったけど大人の男の人にも腕相撲で圧勝していたんだから脚力だけじゃなくて多分腕の力も相当なものだと思う…小学生に圧勝されたせいかその大人の人酔いが冷めて、顔も冷めてたけどね…。あっちからふっかけてきたとはいえ可哀想になった…。大の男が小学生の女子に負けたんだから相当落ち込んだんだろうなぁ……。
姉さんが凄いところはまだまだある。
これは最初から言ってる事なんだけど姉さんは凄く顔がいい上にプロポーションが抜群だ。黄金比と言っても過言じゃない。その年々としどしの完成形の身体をしてるんじゃないかといつも思う…。姉さんは神にでも愛されたんだろうか?
まあ…学校のこと然り、それが原因で困ってることもあるんだけどね。それは、姉さんが躊躇なくお風呂に入ってくること。家族に対してとことん甘い姉さんはとりわけ僕にとても甘かった。弟というよりかは多分子供の様に思われていたんだと思う。その意識を姉さんは持ってるから「今日は2人で一緒に入らないか?」とか頻繁に言ってくるんだと思う。事前にそういう事を言ってくる日もあれば、突然入ってくる日もあるから本当に心臓に悪い…。僕はいつからToLOVEっていたのか。何度見ても姉さんの裸は見慣れない…それぐらい見飽きない体なんだ…ちょっと気持ち悪い表現だけどね……。
それにあのチート生徒会長らしく、自分の体や生き様に恥ずかしい所が無いっていう理由から見られても恥ずかしく無い様で基本的に姉さんは自分の胸とか秘部とかを隠さない。
…僕だって最初は気にしなかったよ?そりゃ小さい頃は何も感じずに無邪気に洗いっこしたりしてたけど…段々と大きくなるにつれ自然とそっちに目がいく様になってしまった。これは男としてしょうがない思う…それに姉さんはその視線に気づいているのに、何も咎めないから僕はさらに見てしまった…今じゃあんまり見ない様にしている…筈……。姉さんは気遣って欲しい…男子中学生に姉さんの裸なんて見せたら毒という事を。
あぁ、また愚痴見たくなっちゃった。
でもまあ、姉さんに色々と迷惑をかけられてるのは事実だからなぁ。
…それでもまあ、姉さんの事は好きなんだけど…。
姉さんは同い年という括りの中なら僕の唯一の理解者でもあるから。
姉さんは知識欲旺盛とでも言えば良いのか、ノゲノラのジブリールみたいな感じで、色んなことに興味があった。 それに加えて完全記憶能力なんて物もあるのだから、必然的に知識を集める為に本を読むことが多かった。
小さい頃はあまり物欲がなかったから誕生日のプレゼントの時はどうしようかと悩んでいた両親も本を求め始めた姉にやっとプレゼントを渡す事が出来て嬉しかったのか、望む本を大量に買ってしまって、今の姉さんの部屋は工藤新一かなぞなぞ博士の私室を一瞬想起させる様な部屋になっている。…というかいくらお金が余っていたとは言え、部屋の改造に使うだろうか普通。今更ながら親の愛が深い…うん。
あ、いや、それでね?姉さんが本を読む様になった時に僕も丁度ラノベとかに手を出し始めてたんだよね。姉さんが僕の部屋に来た時にそれに興味を示したのか、一度貸したんだけど……まさか一時間で読み終わるとは思っていなかった。それ程ハマったって事なんだと思う。あれ、一応400ページくらいあった長いやつだったんだけど…それから姉さんもラノベを読む様になって、どんどんアニメとかゲームとかハマってしまった。今じゃ姉さんも立派なオタクになっている。だから、そういう立場は有り難かった。
僕はその当時まだ共通の趣味を持っている友達がいなかった。同じ趣味を持っている人と話したい欲求のあった僕はその状況を窮屈に感じていたんだけれど…姉さんがハマった事によってそれが無くなった。少し前は月に2回くらいあるかどうかの頻度だったんだけど、段々と増えていって、今ではほぼ毎日読んだことのあるラノベやゲーム、アニメや映画の感想を言い合っていてその時間がとても好きになった。
これだけは親にも邪魔されたくない時間で、多分人生の中で一番心が落ち着いてる時だと思う。
まあ、そんな顔も体も頭も性格も完璧な姉がいるものだから…僕も頑張った。
何とかして姉さんの弟として誇れる様に努力した。この決意をしたのが、確か中学一年の最初の期末テストの結果からだったと思う。
その時の姉さんは当然のように全ての教科で満点を取っていてトップに立っていたんだけれど、僕はそこまで良くはなかった。半分より下は取っていなかったけど、高い点数を取れているものは何一つなかった。
その時は多分…落ち込んでいたんだと思う。そんな僕を見てか姉さんは「勉強を教えようか?」と提案してきたけれど、僕は断った。今までの自分から考えつかない様な冷たい声で…。
情けなかったんだと思う。今まで、小学生のテストや中学生の中間までならまだ高い点数を取れていて、姉さんと釣り合っていると思っていた。けれど……期末で思い知らされた。
思い知らされて…本当に姉弟なのか?とクラスや他クラスの人からも口々に馬鹿にされた。そう言われ、本当に僕も姉弟なのか?と思ってしまった。性別も、性能も、容姿も何もかも似ている部分がない自分たちは本当に家族なのか?と。
不意に、姉さんにそう質問してしまった僕はどうかしていたんだろう。
「私たちは家族であり、そして姉弟だ。ハジメは私の可愛い弟で、いつだって自慢している私だけの弟だ。容姿に似ていない部分が無かろうが、能力に差があろうが、そんなのは関係ないだろう?かけがえのない大切な私の弟なんだ。そう悲しい事を言わないでくれ………頼む……」
悲しそうな顔をしながらも姉さんはそう言ってくれた。あの時、僕は姉さんの胸の中で泣いてしまった。我ながら恥ずかしい…。 甘えに甘え尽くされてまだ精神の成長が遅かったのもあるけれど、中学生が姉の胸の中で泣くって…ちょっと…どころじゃないけど、絶対に友達とかにはバラされたくない。
嗚咽をしている僕に姉さんは優しく話しかけた。
「ハジメ、落ち着いた時でいい…ハジメを馬鹿にした連中の名前を教えてくれないか?何、心配する事はない。家族が受けた仇は絶対に覚えている様にしているんだ。そして、仇を絶対に返すのが私の中での鉄則だ。安心してくれ…」
何を安心すればいいのか分からなかったけど…取り敢えず、姉さんは容赦がなかった。という事だけは言っておく。まさか、学校一の人気者の優等生が暴力沙汰を平気で起こそうとするんだから僕も流石に止めた。僕のせいで姉さんの評判が下がるのだけは嫌だったからね。
あの時僕が抑えなかったら多分、先生でも姉さんを止められなかったと思う。それ程姉さんの力は強かった。もう、本当にその力のまんま直進すれば壁とか平気で突き破るんじゃないかと思った。
「ハジメの好意からお前達を殴るのはやめておく、だがもう二度と私の友だと名乗るな」
そう言ってから、姉さんは本人達が泣くまで口撃し続けた。さながら大人が本気でブチ切れた様な雰囲気を纏っていたから周りの誰も何も言えず、ただただ姉さんの意外な姿を見て、驚いたり、畏怖していた。僕もこんな姿を見る姉さんは初めてで正直怖かったけど…それ程僕の事を思ってくれてると思うと自然と嬉しいと思ってしまっていた。
だから、そんな姉に少しでも近づくように勉強をした。元々、地頭は良い方だったんだと思う。勉強時間を増やすだけで点数は飛躍的に伸びていって、今では姉さんと僕は常にトップ争いをしていることが多い。運動面は一度努力してみたけど、姉さんは何もしなくてもあの成長率なのだから多分追いつく事は出来ないと悟った。一応、努力自体は続けているけどね?
今、僕は姉に相応しい弟でいられているのか分からない。ただ、努力する姿だけは認められて欲しいな…とは切に願う。
……まあ、姉さんは相応しいとか相応しくないとかそんなの関係なく僕が弟だという事を肯定してはいるんだけどね。そりゃそうだろうけど…僕の気持ちの問題でもあるし、姉さんを輝かせたいっていう僕の我儘でもあるから…。
今回の話は3回ぐらい書き直しました。
1回目は祖龍様視点、2回目はハジメ視点、3回目は2回目の文を全体的に改竄した感じ。
因みに、ミラさんは前世基本的に鱗に覆われてましたけどほぼ全裸でしたし、人の文化を遠くから眺めて服というものをなんとなく分かっていたのですが、つける意味は全く分かっておらず、取り敢えず親しい者以外の前では服を着る。みたいな認識です。最近ではやっとオシャレって事が分かってきたけど、本人は全然気にしてない模様。それに、ハジメがそういう反応を示しても、雄としては子孫を残せるのは良い事だな!という事なので何も咎めはしないです。
書いてないけど誰も見てない所だとほぼ裸族。偶にハジメが姉の部屋に入るとカーテンから差し込まれた光と共に幻想的なまでに美しい少女の裸体が見れるという。そして、本人は特に気にもせず「どうした?」と言ってくる。ここまでエロいミラはいただろうか。
ミラさんの友の定義だけど…ぶっちゃけそこまで友達と認識してない、言っちゃえばそういう関係になっただけで特に何をしてやる訳でもないぞ?的な。少し意識を向けてるだけの他人みたいな感じ。親友になると家族ばりに甘やかしてくる。でも、真の友達である前世の人間の友人はそういう感じではなく。マジでくだらない会話を楽しむフレンドオブザフレンド。ミラさんの心救済係ともいう。寿命で死んだのでミラさんは最も敬意を示しながら弔った。そしてその夜に静かに泣いていた。
作者が悪人キャラ描くの慣れなすぎて、ただの狂人しか書けない……。(お陰で生徒たちの悪口シーン何度も書き直す羽目になって、結局は文面だけの出演になった)
あと、中盤から終盤までは夜更かしして書いちゃったから文が安定してなくて、後々編集されてるかもしれない。(という報告)