祖なる龍は世界最恐   作:ツーカーさん

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第3話

 一度話を終え、次に向かった場所ははたまた豪華絢爛な城であった。王城の名は紹介されなかったが、国名がハイリヒ王国なので、ハイリヒ王城とかそんなのだろう。

 そんなハイリヒ王城の中に入って早々、サツキちゃんと美羅は飾られてある美しい絵画や彫刻品などに悪態…というか、呆れの念を言の葉に乗せて伝えていた。

 

 「なんか、王様とか貴族とかってやたら絵を飾りたがるよな。あと高そうな壺とか。一般市民には理解できない美的感覚ぅ〜とかそんな理由で見下すためか?」

 「さぁな。己が裕福だという事を誇示するためのものかと思っていた。そんなものは己の肥え太った脂肪だけで充分わかると思うのだが……まあ、それもあるのか?」

 「いや、姉さん。貴族の中にもちゃんと痩せてて善良なのちゃんと居るからね。確かにこういう異世界モノってなんかでっぷり太った悪徳貴族多いけど…ほら『このすば』のダクティネス家みたいな人達も必ず居るから…」

 「それは分かっているが、どうも私は王族や貴族というものは毛嫌いしてしまうタチでな。まあ、『このすば』の貴族はアルダープ以外はかなり好んでいるつもりだ。アイリスも勿論好きだぞ。あの娘はきっと良き王になる」

 「なぁ、今ここでそれ話す必要あるか?」

 

 清水君から差し込まれた一言に少しだけ苦笑いをする。

 うん、絶対に必要じゃなかった。というか王城の内部で思いっきり貴族や王族に喧嘩売るような事言ってたよ僕たち。不敬罪で早速死刑なんてこともあり得るのに…さっき僕たちが…というより姉さんとサツキちゃんがしでかした事も含めて絶対イシュタルさんに良い印象抱かれてないよ。

 

 その一言は至極真っ当だったのか、サツキちゃんも姉さんも黙ることにしたようだ。正直、心の中でホッとしている。というか姉さんって、上級階級に住む人達や軍事的なことと関係することになると負の感情が大きくなるの何でだろ?いやまあ、確かにラノベとかのサブカルチャーが要因で貴族=悪人みたいなイメージ抱きやすいし、軍=戦争みたいな悪い偏見持ってしまうのは仕方ないけど…姉さんのソレってまたちょっと違ったような気がする……というか、ラノベに触れる以前から嫌っている節がある。

 まあ、心の底から憎んでる訳じゃなくて、毛嫌いしてるだけで、理解をしようとその人の立場になって考えること多いから…これからやる王様との謁見も大丈夫だろう。……流石に……きっと……うん多分…大丈夫だよね?

 

 そのまま姉さんたちの動向を探りながらも移動していると、どうやら目的地に着いたようで、これ以上に豪華な扉はあるか?という感想を抱くほど絢爛な扉をくぐり、謁見の間へとやってきたらしい。正直言って、さっきの姉さん達の会話を聞いたからか、あの扉が悪趣味なように感じるのは僕だけじゃないはず…とチラッと横目に見てみれば清水くんもなんとなくだが…扉を気にしている風に見えた。

 

 少しの間、意識を違う方へ飛ばしていて気づかなかったが、恐らくこの国の王様である人物がイシュタルさんの手の甲に触れない程度のキスをしているのが見えた。諸にこの国が宗教国家である事がわかり、本当に古代ローマみたいな国だなっと思えてしょうがない。

 

 「ぶっちゃけ、おっさんが爺さんの手の甲にキスしてるシーン見て誰得なんだ?王得と書いてお得?」

 「お前何言ってんの?つか今言うことじゃねぇだろそれ!?いや、少し俺もウエッとしたけどさぁ…」

 「清水くんも静かにね!?ちょっと周りの衛兵っぽい人たちから攻撃的な視線感じるよ!?」

 「なあ、私達がみんなの立場をさらに悪くしてないか?」

 「それは否定しねぇ。アタシ元々この国の奴ら嫌いだし」

 「だから黙れよ!!?お前だろ最初に迂闊に動けねぇつったの!?迂闊に動きまくるんじゃねぇよ!?前回のお前なんだったの!?」

 「明日は明日の風が吹くんだよ」

 「意味ワカンねぇよ!?それに、その言葉の意味と今のお前全然関連性ないぞ!?」

 「中々ボケとツッコミが鋭いな…良いコンビだ」

 「姉さん、多分これお笑いじゃないよ…」

 「多分じゃなくてもお笑いじゃねえ!というか今する場でもねぇ!!」

 

 「そこの方々!静かにしていただけますか!勇者の仲間といえど、ここは王の間ですぞ!」

 

 流石に煩すぎたのか初老の貴族が声を上げて注意をしてきた。流石にこちらに非があり…というより侮辱罪とかも加算されそうな勢いで無礼を働いているので当然である。逆に注意してきただけで終えたので、その男性の懐の広さが伺える。

 

 『はい!すいませんでした!!』

 「うむ。すまなかった。些か此方が五月蝿すぎたようだ」

 

 即座に反応し、頭と腰を下げるハジメと清水。その横で美羅も失礼した、と頭を下げる。正直、そんな彼らを見てクラスメイトの大半や畑山先生は同情的な視線を向ける。本当は畑山先生も止める側の人間の筈なのだが……サツキが相手となると、先程のイシュタルへの抗議をする際に遮られて話の主導権を握られた経験もあり、どう切り出せば良いかと言葉を頭の中で巡らせていたところ、間に合わなかったのである。

 

 「この通り、こいつらも謝ってるから許してくんねぇか?」

 「お前どこのクレヨンしんちゃんだ!?あともうマジで黙っとけ!!」

 

 なんとなく清水君とサツキちゃんの関係性がわかった気がするハジメであった。

 

 (清水君すごいな……。あ、また姉さんが吹いてる…。なんかサツキちゃんが絡むと姉さんって笑いのツボ浅いよなぁ…)

 

 

 一波乱あり、少々というか…やっぱりというか…『黙ってろよ美人』とはよく言ったものだと全員が痛感した。サツキが発端となると、普段は冷静沈着というレッテルを貼られてる筈の美羅まで騒ぎに加わるのだから、余計に対処しにくくなるので、是非サツキには黙っていて欲しいところだ。じゃないとこの収集がそもそもついていない状況が更に収集つかなくなる。

 

 檜山含めた男子の数人は、純粋にハジメと清水に尊敬の意を示した。正直自分では全くこの場を抑えきれそうにないからだ。かつて白崎や美羅に恋慕の念を抱いていた各々は、最初こそハジメは男子全員の不倶戴天の敵であると思い込み、排他していたものだが、今となってはあのような胃が痛くなる場面を何度も味わってきたのだと思うと苦労が窺いしれる…ハジメ、お前は良く頑張ってきた。これからも頑張ってくれ…。清水…お前もよく対等にサツキとボケ漫才を繰り広げてるよ…本当に。それと…あんまりこっちにソレ近づけんなよ?

 そんな感じに、知らず識らずハジメと清水の男子達からの株価は上がる。あ、一部の頭勇者くん(笑)を除いて。

 

 そんな密かな想いを紡いでいるとは露とも知らず、げっそりとしたハジメと清水は、互いに励まし合い、香織から激励の言葉を頂き、奮起していた。因みに、現在は国王や王妃、王子などなどの自己紹介が終わり、歓迎の晩餐会が開かれているのだが、その横でサツキと美羅は雫や畑山先生から説教を受けていた。

 

 その姿を見て、なんとはなしにクラスメイト達はまだ高校に入ったばかりの頃を思い出した。高校一年生の時代はよくこういった風景が日常だったのだ。特に男子達が恋慕の情熱を間違った方向に注いでいた時には。

 

 と言ってもまあ、男子達からすれば自分達がハジメにした虐めの応酬を喰らい、思い出したくもない事を思い出させ、女子達からすれば「そういえば最初の美羅ちゃんとサツキちゃんこんな感じだったよねぇ〜」くらいの感動だ。思わず身震いが走った男子達はこの教室の大半を占め、その様子を見ていた女子達は首を傾げている。

 

 

 

 

 

 人間の三大欲求である食欲を満たしたからか、それとも少し昔のことを思い出し郷愁を感じたからか、一部のクラスメイト達は思考に余裕が出来つつあった。そして、先程美羅が言っていたことを思い出す。

 

 『戦争への参加』

 『魔人族を殺し尽くす使命』

 『人を殺せるか?』

 

 この言葉が鉄の鎖できつく結び付いたかのように離れない。美羅が言う前から仄かに感じ取っていたもので、正直あまり考えたくないことだ。蚊やハエ、蟻ならまだしも、動物を殺せと言われて、途端に動けなくなる自分達に何が出来る?

 力は確かにあるかもしれない。光輝が言っていた通り、漲る力は不思議と感じられているからだ。

 しかし、それがあったところで、ソレを人に向けるとどうなるか?など考えたくもなかった。

 

 今、自分は拳銃()を持っている。相手も拳銃()を持ち、此方を殺す意思がある。自分にはない。撃たなきゃ…死ぬ。

 

 そんな状況に今、居る。しかもそんな一対一ではなく、多対多の戦争だ。目の前の相手をやったからとて、次が来る。

 

 

『あぁ、いやだ。この先なんて考えたくない……。殺されるのも嫌だし、殺すのも嫌だ』

 

『なんで…どうして、こんな目に自分は遭っているんだ?』

 

『アイツには死んでほしくないなぁ……』

 

『もう死に(逃げ)たい…らくになりたい』

 

 

 そんな思考がぐるぐる回っている人達がいる。

 

 

 

 

 食事が終わった後は、各自の部屋へと案内された。

 やはり、勇者御一行という事で待遇は良いのか、少しお高いビジネスホテルみたいだと感想を抱く。

 

 部屋にあった鏡を覗き自分の姿をなんとなく見てみる。

 そこには、ほんの少し後悔が滲んだ自分の顔だ。

 

 (あの場では言うには早過ぎただろうか?)

 

 何の後悔かはきっと、この世界にやってきて早々に行われた状況説明の場で自分が口出しした事だろう。

 

 (時期尚早だった……認識させるのは、もう少し彼等が力をつけた上で…やるべきだった)

 

 彼等は高校生だ。未だ不安定な精神を更にぐらつかせてどうする。せめて、少しでも自信取り戻してからも遅くはなかった。

 光輝のやり方もやり方だが、皆の事を考えると正しいかもしれない。まあ、戦争にすぐ参加する。と言ったのはなんとかして欲しいところなのだが…彼の歪で純粋な正義感がそうさせているのだろう。…せめて、この世界の情勢について調べる期間を設けて欲しい所だったが、それは私や畑山先生の役割か…。

 

 自分の悪感情を先走りにさせて、行動に移したのが悪かった。

 私も、完全な生命ではなくなった。…龍の時代の人を憎む心は未だ浄化しきれず、来世に至ってもそれは周りを汚染する。……あぁ、呪術廻戦の『愛ほど歪んだ呪いはない』とはこの事か。子への親愛が消えていないのだな…。

 

 子か……。

 

 ゆっくりと自分の腹回りを撫でる。今も欲しくないと言えば嘘になる。龍であった子らと人である今の子ら…種族は違えども愛したいという気持ちは変わらないが…失った悲しみを知った今では…産むのが怖い。更にいうなら、人は脆弱だ。弟のハジメもこの世界に来てしまい、いつ死ぬか分からない状況に巻き込まれている…。怖い…失った時の哀しみがとてつもなく怖い。私は正常なままで居られる自信がない…。

 正に神にも等しかったあの頃の私でも、自分の子らは守れなかった。……それが今では龍とも人とも言えない半端者になっている自分に成せようか…。

 

 ここで成してみせると大見得を切ることの出来ない私は随分と臆病になった…。自身のトラウマは…やはりトラウマのまま。あの人間と出会っていなければ今よりも酷かった可能性がある….…というよりも確信がある。龍であった私の唯一無二の親友…モンパ…。今は、そいつに逢いたい。

 

 コンコン。

 

 「おーい。ミラいっか?」

 

 親友と頭の中で考えたからであろうか。人としての私の親友が部屋に来た。

 

 ガチャ

 

 「お、居るんなら返事してくれよ。寂しいじゃねぇか…って何しけた面してんだ?」

 

 やはり、私は顔に良く感情の色が出るらしい。観念して事情を伝える事にした。

 

 「ん…いや、何。少し…後悔していたんだ。ほら、光輝が戦争への参加を表明した際のな」

 「んだよ。そんな事か。どうせ、アイツらが暗い気持ちになって、明日からの訓練にも参加しねぇんじゃねぇかって心配してんだろ?」

 

 「ん?訓練?」

 

 「あり?聞いてねぇのか?アタシの所には来たけどよ。明日から戦争に参加するための訓練と、一般知識を身につけるための座学があるんだとよ。アタシの専属執事が口説き文句添えながら伝えてきたぜ?」

 

 「そうか。……今聞くと、それもあるな。より深く掘り下げれば…私の言葉が原因で、戦争への参加を反対する者が増え、光輝やそれに付随する皆は好待遇のまま生活できるかもしれないが。戦争への参加を反対する者たちは見放されるか…最悪奴隷となってしまうのか…不安になってしまったんだ。この訳も分からない状況で、まだ言うべきではなかったことを言ってしまった。皆の状況を引っ掻き回してしまった…と」

 

 「なんかいつものミラらしくねぇとは思ったけど…こりゃ想像以上だわ。お前な、いつも場を引っ掻き回してんのはアタシの方だぞ?アレを引っ掻き回すとは言わねぇ。ありゃ警告って言うんだよ。それに、今回お前が言おうが言わまいが、いつか全員覚悟する事になんだよ。なんも支障はねぇ。あの馬鹿がああ言わなきゃそもそも、その必要も無かったし。その尻拭いをしたのはミラだ。別に誰もお前を責めなんかしねぇよ。というかアタシがゆるさねぇ。逆にクラスの奴らの心の整理がつくまでの時間を設けたんだし万々歳だろ。それに、ぶっちゃけ言えばそこまで深く考える奴らはこのクラスにあんまいねぇ。アタシらグループ除いても本当に極少数だ。安心しろ。つか、どうせあの頭勇者野郎がどうにかすんだろ。どこぞのジャイアンよりはカリスマ性あるし。クラスの奴らの大半はアイツの言葉を鵜呑みにするし」

 

 彼女の言葉に、だいぶ心のざわめきが落ち着いた気がする。彼女は本当に…彼みたいに私の心を救ってくれる。その感覚が本当に心地好い…。彼女には私の全てを知ってもらいたいと私が言う。…しかし、まだその時じゃない…ただ今は、この幸福を噛み締めていたいと思う。

 

 「…ふふっ。アハハ!そうか、そうだな!そこまで気負う必要もなかったか!つまらない話をしてしまったな!流石は私の親友だ!明日は明日の風が吹く、だな!」

 「よっしゃ!その意気だぜ!……そんで、元気になったついでに私がここに来た要件言うけどいいか?」

 「ん?あぁ、私の愚痴に付き合わせてしまったな。すまなかった。何の用だったんだ?」

 

 「アタシ、枕が変わると寝られない主義だからさ。いつもみたいに、腹貸してくれね?」

 「なんだ、そんな事ならお安い御用だ。今日は私もサツキちゃんと一緒に寝たい気分だしな…」

 

 

 

 

 

 同時刻。ハジメの部屋には香織が入り、二人はそのまま幸せなキスをして就寝。

 

 香織がハジメの部屋へ入るのを檜山が目撃し、グループ仲間とともに、どんな行為を行われているか予想したところ。どう頑張ってもキスで終わりと結論をつけ、皆が寝静まった頃に確認覗き見したところマジで何もやってない事が発覚し、「ハジメ、お前はもうちょっと肉食系でもいい」と、後日訳の分からないアドバイスを貰ったハジメであった。

 

 後に、覗き見がバレた檜山は語る。『推しの幸せを願うのが俺らの役目だるぉ!?』

 

 勿論、ハジメから制裁を食らった。『俺の女の裸ワンチャン見れるかもとか思っただろ』

 





打ち間違えて『肝が冷や冷や』を『肝がHear! Hear!』と変換されて、吹き出した作者は液晶画面をティッシュで拭いた。きたねぇ。

正直な話すると、今回の話はごちゃごちゃ過ぎて、後で消すかもしんないです。
後、投稿遅れてすいません。そして、全然話進まなくてすいません。
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