その日の夜、香霖堂で集まりジャグラーの案内で屋台に向かっていく。さほど香霖堂から離れていない場所にその屋台は開いていた
「こうがその屋台か?」
「そそ! 大将〜? 席空いてる?」
「‥……ん? 誰も居ないようだけど……?」
暖簾をくぐり屋台の中を見ると焼き鳥や焼き魚などのつまみが出来ているが肝心の大将の姿が何処にも見当たらない、初めてくる瑛須と霖之助は居ない大将を探しているといつの間にかカウンターのテーブルに三人分の箸と皿、お冷が出されていた
「なっ……いつの間に……」
「あー……言い忘れてましたけど……ここの大将、手しか無い幽霊なんですよ、ほら」
カウンターの向こう側に目を向けるとそこには宙にうく両手が見えた、その手が紙に文字を書きこちらに渡してくる
驚かしてしまってすいません……そちらの声は聞こえていますので、注文の際は声を掛けてくだされば大丈夫ですので
「なるほど……ならもも塩と枝豆をお願いします……霖之助は?」
「僕も同じ物を頼もうかな……」
「大将! 俺いつもの!」
こちらの注文を確認した事の表現なのか右手でサムズアップをする大将、その後それぞれ頼まれた物がカウンターに並びそれぞれの盃に酒を入れる
「んじゃ! かんぱ〜い」
「「かんぱーい/乾杯」」
盃を交わし飲み始める三人、ちびちび飲み始める瑛須と霖之助に対して注いだ酒を一気飲みするジャグラー
「いい飲みっぷりだね? でもあまり飲み過ぎ無いようにねジャグラー君……」
「分かってますよ霖之助さん! ほらほら早く食べないと冷めちゃいますよ?」
「…………上手いな、いい焼き加減で味も酒に合うように工夫されてる」
まさかこんな穴場があるとは思わなかったと思い、今度来る時は霊夢も一緒に連れて来ようと思う瑛須。そうして行くうちに酒も進み段々と顔が赤くなっていく霖之助とジャグラー
「本当なんで毎回俺が買い物担当なんすかね!? 偶にはバスニャが行けってんだ!」
「うんうん! 溜まっている鬱憤をどんどん出しなさい! 今日はとことん付き合うよジャグラー君!」
「もう出来上がるよ……」
最初から飛ばしていたジャグラーが酔うのは分かるが霖之助までもが酔うとは思わなかった。そんな瑛須は自分が酒に弱いのが分かっているので一定のペースで飲んでいく
「そんで瑛須! お前どうすんだ?」
「どうするって何が?」
「決まっているだろ? 君は一体誰と付き合うんだい?」
「! ゴホッ! ‥……ゴホッ! ……一体何言い出すんだ、霖之助」
突然そんな事を言われ咽せてしまう瑛須に構わずどんどん質問してくる二人
「僕としては是非とも魔理沙と付き合って欲しいものだよ……そして僕の店を継いでくれれば尚いいね! あと僕の事は是非とも兄さんと呼んで欲しい!」
「今さらっと本音出たぞ? ……でも霖之助が良くても魔理沙がなんで言うか分からんからな」
「ならあの吸血鬼のレミリア‥‥だっけ? あの子はどうなんだ?」
「レミリアは……まぁ……」
レミリアの話題を出されて黙る瑛須をニヤニヤと見るジャグラーと霖之助、その後も酒が入りどんどん酔っていく二人
「本当瑛須はモテるよなぁ? 見た感じ紅魔館の主人に魔女、あん時の人形使いに魔理沙……英雄色を好むってか?」
「だからそんなんじゃ無いって……」
「でもあんまり引っ掛けると碌なことにならないよ? だからここは魔理沙と! 「はいはいお前は少し水を飲んどけ!」
それから数分、二人は完全に酔い潰れ眠っていた。どうやって二人を連れて帰ろうか考えている瑛須の元に誰かが声を掛けて来る
「困ってるようじゃ無いか? 手を貸してやろうか?」
「本当ですか? それは助かります! ってお前は……萃香!」
「久しぶりだね瑛須? 実に何千年ぶりだろうね?」
見た目は小さな女の子、だがその見た目には似合わない二本の長い角。白いノースリーブに紫のロングスカート、右手に紫の瓢箪羽を持ち三角錐、球、四角の立方体の分銅をつけた鎖を腰などに吊るしている鬼、伊吹萃香がそこにいた
「お前もこっちに来てたのか?」
「まぁね? それよりさぁ瑛須?」
瓢箪に入った酒を一口飲み、腕で口を拭い瑛須を見つめる
「私が起こす異変……手伝っておくれよ?」
「はぁ?」