ルビーちゃんは知っています。   作:ブラウンドック

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稀に日刊ランキングに今作が異物混入してます。とってもニッコリで感謝です。




業の深いお兄ちゃん

 

ルビーちゃんは知っています。

 

お兄ちゃんが仕事現場で殴られてきたことを知っています。ほっぺたが腫れるほどではありませんでしたが、ほんのりと赤くなっていました。

お兄ちゃん曰く、自分から当たりに行ったとの事です。ルビーちゃんは知っているのです、お兄ちゃんはそんな下らない嘘なんてつかないのです。

 

よって、確定しました――()()()()()()()M()()()!!

 

間違いありません、お兄ちゃんは誇り高きドM族です。あの澄まし顔で堂々とした実質的ドM宣言にはルビーちゃんも慄きました。

まさか、お兄ちゃんがカッコイイ男の人に殴られて快感を覚えるタイプだとは思いませんでした。もしかすれば、撮影に応じたのもロリ先輩ではなく彼が目的だったのかもしれません。

 

………ロリコンの次は男色ですか?性癖の多い兄を持つと大変です。

 

これが単純にストライクゾーンが広いだけなら、ルビーちゃんだって喜びますとも。そこにシスコンが含まれる可能性が超増するからです。

ですが、お兄ちゃんはもはや病気です。こんなに"ちょーぜつぷりてぃ"なルビーちゃんには見向きもしないのに、長らく顔を忘れていたロリ先輩とか初対面の男の子に靡くのです。

その気取った髪型をバリカンでめちゃくちゃにしてやりたいです。もしくはお兄ちゃんの私服を全て世紀末系ヒャッハー兄者ファッションに変えてやりたいです。

 

ロリコンで男色ドMなお兄ちゃん。一体、ルビーちゃんはどうすれば良いのでしょう?ルビーちゃんは誇り高きブラコンの最高峰なので両手で軽く受け止め抱擁しますが、このままでは高校でもお兄ちゃんが浮いてしまいます。

ルビーちゃんはお兄ちゃんに悲しい思いはさせたくありません。ロリコンは世間では絶対に受け入れられませんし、お兄ちゃんは将来的にルビーちゃんと共依存する予定なので男色もドMも枷にしかなりません。

 

困りました。困り果てました。

 

困っているということは、困っているということです。街は街だ。困惑してperplexityです。

 

こんなこと、ミヤえもんにも相談できません。ママぁのお墓にも持って行けないタイプの悩みです。社長さんは次こそマジギレするでしょう。

ロリ先輩はもってのほかですし、監督さんはルビーちゃんのライバルなので頼まれても相談なんかしません。……こうしてみますと、ルビーちゃんの周りには相談事に向いている人材がいません。嘆かわしいです。

 

 

ルビーちゃんは冷静に考えました。

 

果たして、本当にお兄ちゃんはドMなのでしょうか?今まで、そんな雰囲気を感じたこともありません。

 

考えました。考えて――結論付きました。やはりお兄ちゃんはドMだったのです。

 

考えてもみてください。お兄ちゃんは"自分から殴られに"行きました。共演者の手が滑ったとか、台本ではそうだったとか。そんな可能性を潰すようで、そもそも台本にもあんな本気で殴られろとは記載されていないハズなのです。

アドリブにしても、少々やり過ぎではないでしょうか。人が殴られるだなんてショッキングな映像、編集さんが何とかするハズなのです。

 

なのにお兄ちゃんはわざわざ自分から当たりに行きました。よって、そこから考え付く答えはマゾヒズムです。被虐症です。

 

 

結論、お兄ちゃんは業が深い人です。

 

――――――――――――――――――

 

ルビーちゃんは知っています。

 

ぴえヨン体操がかなりキツイことを知っています。

 

ぴえヨンは苺プロの稼ぎ頭で、覆面筋トレ系ユーチューバーです。苺プロはネットに強い事務所と謳うだけはあり、ティックトッカーやユーチューバーも少なくないのです。と言いますか、割と多いです。

その中でもぴえヨンは別格です。噂によれば、年収は九桁クラスらしいです。はい、ぴえヨンはすんごいです。

 

覆面筋トレ系ユーチューバーと名乗るだけはありまして、まず筋肉がすんごいです。ヒヨコの覆面とブーメランパンツのみの格好は、まさに恥じることなき筋肉の解放です。独特な路線で小中学生に大人気です。

 

そんなぴえヨンですが、色々な噂があります。前職はダンサーだったとか、あの有名な秀知院学園のラグビー部所属だったとか、過去に彼女にフラれたショックでドルオタになったとか。

全部、根も葉もない噂なのですが。ぴえヨンの正体はミヤえもんしか知らないのでしょう。少なくともルビーちゃんは知りませんし、正直、キョーミもありません。

 

ですが、とても意外なこともあります。

 

お兄ちゃんはぴえヨンと面識があるようです。関係性は知りませんが、事務所で顔を合わせたことがあったのでしょう。

お兄ちゃんは努力家ですので、ぴえヨンから学びたいこととかもあるのかもしれません。ママぁほどではありませんが、ぴえヨンは実力と奇抜性で駆け上がった人気者です。お兄ちゃんも惹かれているのだと、ルビーちゃんは思います。

 

ユーチューブが生活の一部であるルビーちゃんにとって、ぴえヨンもまた遠くて、でも越えなければいけない壁です。

 

トップアイドルへの道は険しいです。

 

―――――――――――――――――

 

ルビーちゃんは知っています。

 

高校に通うには色々な準備が必要なことを知っています。教科書や制服はモチロン、ルビーちゃんに必要なのは――そう、()()()()()()()です。

 

しかも、可愛いだけではなく大人びたカンジも醸し出したいです。ピンクだけでなく、紫や黒も混ぜたいお年頃です…肉体は。

きっと芸能科のみんなはキラキラとしているハズです。だって芸能人達ですモノ、みんなの憧れの対象なんですモノ。

 

ルビーちゃんも苺プロ所属のアイドルです。…正確にはまだアイドルではありませんけど、将来的にはママぁを超えるスーパートップアイドルになるんです。

そんなルビーちゃんは身だしなみや筆記用具にも拘るのです。憧れているだけのルビーちゃんではなく、憧れを向けられるルビーちゃんに進化するのは今しかありません。

よって、ミヤえもんにめっちゃくちゃオネダリしました。結果、お小遣いの前借りに成功しました。解せません。……ルビーちゃんの来月のお小遣いは儚い泡のごとく消えてしまった模様。

 

 

さて、です。高校とは前世では辿り着けなかった未知の領域です。とっっっても憧れている反面、同じくらい不安もあります。ですが、高校生活について創作物で学んだルビーちゃんに死角はありませんとも。

いえ、分かります。創作物は飽くまでも夢の詰め合わせなのでしょう。現実の生徒会は学校の全権限を握ってなんかいませんし、ハーレムを展開して周りから嫉妬される地味男子なんかもいません。

 

はい、つまり未知です。

 

お兄ちゃんはそんなに楽しいトコじゃないと言いますし、ミヤえもんは思い出に浸って青春の後押しをしてきます。

やはり、ワクワクするのと同時に不安にもなってしまいます。お兄ちゃんやミヤえもんの言葉を真に受けるなら、感じ方はそれこそ人それぞれです。

他の人と人生の経歴が異なるルビーちゃんはちゃんと馴染めるのでしょうか。ルビーちゃんの過ごした小学校から中学校は、昔馴染みのお友達もいました。

 

ですが、高校にはルビーちゃんのお友達はまだいません。全員が初めましてです。なので、この緊張感は仕方のないモノなのでしょう。

 

今世では初めての物事が多いです。

 

夢中になり、本気で目指せるモノを手に入れました。沢山の友達が出来て、寂しくありません。大切な家族がいて、遠慮のない関係を築けています。健康な体で、不自由のない生活をしています。

全部、ママぁやミヤえもんがくれた宝物です。そう思うと、不思議と心が暖かくなります。きっとルビーちゃんの臆病で嘘つきな所はママぁに似ました。不幸なことがあっても前を向けるのは、ミヤえもんに強く影響を受けたからでしょう。

 

そう考えたら、前世と今とではルビーちゃんやお兄ちゃんは凄く変わっているのかもしれません。

 

かもしれない、と言うよりも。お兄ちゃんは確実に変わりました。ルビーちゃんはゴローせんせーの素を知りませんが、でも前世の『私』に向けた微笑みが嘘ではないのを知っています。

なので、そんなお兄ちゃんが陰のオーラを発するようになってしまったのは、きっとママぁがお星様になったからです。

犯人は自殺したらしく、やるせない気持ちは復讐に向けることも出来ません。病気に命を奪われて、過激なドルオタにママぁを奪われて。いっそ、ルビーちゃんが疫病神なのではと疑いたくもなります。

 

実際はルビーちゃんも、そこまで悲観的な性格ではないので。不幸を全てルビーちゃんのせいにする気もありませんとも。悲劇のヒロインを謳うことなんてしません。

 

ルビーちゃんは……いえ、まず人間の思考は単純なモノではありません。単なる『好き』にも、○○が好き、でも××が嫌い、それでも■■のギャップが好き、と。はい、端的に言って面倒臭いです。

でも面倒臭い点はルビーちゃんも同様です。高校が楽しみなルビーちゃんと、相反するように不安が胸を占めるルビーちゃんがいます。ルビーちゃんは何をしたいのか。ルビーちゃんは何を思っているのか。

 

俯瞰しても分からないのは、ルビーちゃんの心情が複雑だからでしょう。

 

なんとも面倒臭い。ルビーちゃんは飽くまでも天真爛漫"キャラ"であって、根っからの素がそうなのではないのです。求められて、嫌われたくなくて。その末に身についた演技()

ルビーちゃん()認めています。欲しくなかった嘘の才能も、自分を騙し続けてしまう性根も、それでも愛して欲しいと願う傲慢さも。

 

『私』が否定するコトもルビーちゃんだけは肯定します。受け入れて、ルビーちゃんを構成します。それがルビーちゃんの役割であり、『私』には出来やしないコトなのですから。

 

この弱さも、決してルビーちゃんだけではないと知っていますので。自身の耐え難い醜さは誰でも身に秘めています。『私』が現実から目を背け続けるのも、ママぁにお母さんの代わりを求めてしまうのも、もう自分自身が分からなくなってしまうのも――

 

()()()()()()()()

 

ええ、きっとこれは開き直りなのでしょう。

 

楽観的にもなれず、だから愚直に受け止めたルビーちゃんの開き直り。本当に醜いです。気持ちが悪くて、吐き気がして、絶対に絶対にお兄ちゃんには見せられない部分です。

 

ママぁから貰った"ちょーぜつぷりてぃ"なお顔の裏には、こんなのを飼っているのです。こんなのを受け入れられるのはルビーちゃんだけなのでしょう。

ミヤえもんも、お兄ちゃんも、心の内では嫌悪を示すハズです。でもきっと、ママぁならカラカラと笑って『そっかー』と包み込んでくれるのでしょう。……()()()()()()()()()()

これは盲目的な幻視ではありません。『私』の中の常識が"そう"なのですから、そこを『私』の一部であるルビーちゃんが否定したりはしません。

 

全てを肯定して受け入れるのがルビーちゃんなのですので。

 

 

――閑話休題(お話が逸れました)

 

 

兎も角、ルビーちゃんは刻々と迫る高校生活に想いを馳せているのです。形容し難い甘酸っぱく、しかししょっぱい想いです。甘いのに酸っぱくて、しょっぱい…まるで不安な気持ちの現れです。と言うか不安定です。

 

取り敢えず、ルビーちゃんは可愛い筆記用具を揃えることにします。大丈夫です、ルビーちゃんはママぁに似て可愛いのですから、きっとお友達だって出来ます。

男の人が寄ってくるのは嫌ですけれども。"ちょーぜつきゅーと"なのでお兄ちゃん共々モテてしまうのは仕方がないのでしょうが。

 

怨敵、重曹を舐める泥棒子猫も警戒しなければいけないですし。ルビーちゃんの高校生活は大変そうです…

 





お兄ちゃん(ロリコンで男色家なドMシスコン)
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