幸せな幻想   作:おど・はわーど

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タイトル通り合間的なヤツです。時系列はまぁ…ご想像にお任せします。



合間

日は沈みかけ空が橙色へと染まり、ひぐらしや蟬の鳴き声が聞こえてくるある夏の夕方、君は博麗神社で夕飯を作っていた。

この神社の主である霊夢とは一年前から恋仲であり、基本的に妖怪退治や異変解決などで忙しい霊夢の代わりに君が、夕飯の番をしていた。

出来上がった味噌汁を小皿に少し盛って味見をする。

うむ、我ながら美味いと自画自賛しながらも、何気なしに玄関のある方向に目を向けた。

 

――霊夢は大丈夫だろうか。

 

そんな考えが君の頭をよぎる。

というのも最近の霊夢は、"新入り"の妖怪が里の畑や人に被害を出しているという依頼が立て続けに来ており、しかも中々にしぶといらしく、帰ってきてからは疲れ切った表情を見せるのも珍しくなかった。

それでも君がお疲れ様と声をかけると「ありがとうね」と年相応のくしゃりとした笑顔を見せていた。

いつもより帰りが遅いせいか、浮かんでくる不安をかき消すかのように君は意味もなく、お玉で味噌汁が入っている鍋をかき混ぜる。

霊夢に限って何かがあった、という事は無いだろう。

……無いはずだ。嫌な考えが浮かんでくる自分に大丈夫だと言い聞かせながら他の作業を進める。

彼女を信じて待つのも、君の大事な役目なのだから。

 

 

そうしていると、カララと玄関の戸を開ける音が聞こえた。

君はハッとし作業の手を止め玄関の方へと向かうと、そこには見慣れた真っ赤な巫女服、綺麗な黒髪に頭の大きな赤いリボン。君より一回りか小さい体。

俯いているせいで表情はよく見えないが、間違いなく霊夢だ。

君はお帰りと声をかけて近寄ろうとし―――…。

刹那、ぽすんと君の腹に衝撃が飛び込んできた。

君はその勢いを殺しきれずにゔ、と声を漏らしながら一歩二歩と後ろへ下がる。

その衝撃の元を見やると、霊夢が君へと抱き着いていた。

離すまいと君の身体にしっかり両腕を回してぎゅぅと痛いくらいに抱きついていて、君の胸に顔をうずめている。

突然の出来事に君が困惑していると、霊夢の口からぼそりと何か紡がれる。君は聞き取れず何かと聞き返そうと―…

 

「……ぎゅっとして」

 

それを聞くと君は何も言わずに、霊夢のその自分より一回り小さい身体を両腕でしっかり抱き締めた。

そして右の手で霊夢の髪をそっと梳くように優しく撫でる。

 

 

 

――そうして、どれ程経っただろうか。

君はポンポンと霊夢の背中を軽く叩き、そろそろいいかと声をかけた。

 

「……うん」

 

名残惜しそうに手が離れるのを見届けると、君はお帰りと改めてそう言った。

 

「…ん、ただいま。」

 

そうしてようやく、静かに霊夢は微笑んだのだった。

 

 

 

 

すっかり冷めてしまった料理を温め直すと、食卓に並べ二人一緒にいただきますをする。

温め直した夕飯を食べてながら事情を聞くと、どうやらようやく妖怪退治の依頼が片付いたらしい。

そして仕事続きで溜まっていた疲労が暴走した結果が先程のハグらしく、その顔を少しばかり赤くして話していた。

君は微笑を浮かべ、もし辛くなったのならいつでも甘えにきていい、一人で何もかも抱え込みそうになったなら、自分なぞでよければいくらでも聞き相手になれる。

 

――それが自分の役目なのだから。

 

君はそう言って胸を叩く。

霊夢は一瞬ポカンとした後にくすくすと笑い、

「……うん。ありがと。その時は優しい旦那様にいっぱい甘えさせてもらおうかしら」

とそう言った。君は笑った。霊夢も笑った。

ひとまずこれで一件落着というやつだろう。

めでたしめでたし、だ。

 

 

 

 

―……のハズだったのだが。

夕飯を食べ終えた君たち二人は食器を片付け、居間でお茶を飲みながらくつろいでいると唐突に、霊夢が部屋の四方へと御札を貼り始めた。

君が何をしてるのか、と問いかけると

 

「んーん、ちょっと邪魔が入らないようにしてるのよ。紫とかに入ってこられたら癪だし」

 

――?それは一体どういう―

意味、と言いかけてそれは強制的に中断された。

札を貼り終えた霊夢が君へと覆い被さってきたのだ。

―!?

君は何をと言いかけ、それもまた霊夢に唇を奪われ中断される。

 

「んー………ちゅっ…」

 

君と霊夢の唇の間に銀色のアーチができ、しかしすぐに途切れ、落ちる。

 

「最近二人の時間取れてなかったでしょう?ようやく一段落したし、甘えていいっていうから今日はずっと甘えちゃおうと思って。…ね?」

 

君が返事をする前に、またキスで口を塞がれる。

触れ合う柔らかな唇の温もりを感じながら、霊夢の身体に手を回して抱きしめる。

 

「ん、ぅ………ぁ……」

 

再び唇が離れ銀の糸ができ、そしてふつりと途切れる。

君は霊夢の目を見てこりゃあ逃げられないな、と苦笑しつつ今日は暑かったから汗臭いかもしれないぞと言う。

 

「私の好きな匂いなんだから別に良いのよっ」

 

返ってくる言葉と共に鼻をつつかれる。

君は笑みを浮かべると、今度はこちらから深く口づける。

そんな君に霊夢もまた、食むかのようにキスを返す。

永い、永い夜が始まろうとしていた――…。

 

 

 

 

 

 

 

「あの紫様、先程から一体何を…?」

 

「くっ…!せっかく覗き見しようとしたのに何て堅牢な結界…!藍!貴女もちょっと手伝って!」

 

「……………………。」

 

 

そんな会話があったとか、無かったとか。

 




甘えられて何も隠さずに本心で話せる相手が居るって、
とても幸せな事だと思うんですよ僕ぁ。
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