ヒンメルはもういないじゃない【完結】   作:HAJI

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第四章 王都訪問
第十七話 「依頼」


魔王討伐から二年後。中央諸国グレーゼ森林にある村にて。

 

 

 

窓から差し込んでくる朝日の眩しさと温かさ。パンと卵が焼ける匂い。それらに包まれながらいつものように朝食の準備を整える。身に纏っているエプロンに違和感を覚えなくなってしまったのはいつからだったか。もはや考えることをあきらめてしまった。ようするにそうなってしまうぐらいに私はこの生活に慣れてしまったということなのだろう。

 

 

「……いつまで寝てるわけ。さっさと起きなさい、ヒンメル」

 

 

その元凶である誰かさんは未だに二段ベッドの上で布団に包まったまま。微動だにしない。こっちは朝食の準備をしているのにどういうつもりなのか。こいつを起こすのまで請け負った覚えはない。だがこのままではせっかく作った朝食が無駄になってしまう。なのでベッドを揺らすも

 

 

「うーん……お母さん……」

「誰がお母さんよ」

 

 

意味不明な寝言が聞こえてくるだけ。一体私を何だと思っているのか。そもそもお母さんとはどういう意味なのか。自らを生み出した女性のことなのだろうが、人間たちは本当にそれが好きらしい。魔族にとっては人間を欺く上での命乞いにおいての常套句であり、子供の頃であればより有効な物。まるで魔法の言葉ではあるが、残念ながら私には何の意味もない。どころか不愉快になるだけ。なので仕方なく勇者にとっておきの魔法の言葉を使うことにする。

 

 

「……さっさと起きないとヒモになるわよ、勇者様」

「おはよう、アウラ。今日もいい天気だね!」

 

 

その魔法の言葉によってまるで最初から起きていたかのようにヒンメルは目を覚ます。魔法ではなくヒンメルにとっては呪いに近いのかもしれない。意味合い的には無職と大差ないはずだが、ヒンメルにとってはこっちの方が効くらしい。最近村人たちがそう噂しているのを伝えてからは特に。勇者であるヒンメルからしても不名誉な称号なのは間違いない。

 

 

「全く……夜遅くまで書き物なんてしてるからそうなるのよ」

 

 

悪態をつきながら朝食をテーブルに並べていく。そういえば昨夜は夜遅くまで何やら手紙などをしたためていた。そんなことをしているから起きれなくなったのだろう。自業自得でしかない。

 

 

「仕方ないだろう? 僕は勇者だからね、ファンからのラブレターが絶えないのさ」

「あっそう。良かったわね。今朝もラブレターがたくさん届いてるわよ。選り取り見取りね」

 

 

適当にあしらいながら今朝届いていたラブレターとやらを手渡す。その中身はともかく、選り取り見取りなのは間違いない。ざっと見ても十通以上はある。ファン云々は別にしてもそれは珍しいことではない。腐っても勇者は勇者。色々と付き合いがあるのだろう。直接村にやってくる人間も一人や二人ではない。寝坊のことは抜きにしても忙しいのは間違いないだろう。

 

 

「これは……」

「? 何? ようやく妄想の番から手紙でも来たの?」

「ち、違うさ。仲間から……ハイターとアイゼンから手紙が届いたんだよ」

 

 

若干引きつりながらもヒンメルはそう手紙をこちらに見せてくる。どうやら妄想の類ではないらしい。

 

 

「ああ、あの僧侶と戦士からね。前も来ていなかった?」

「大体一月に一度だね。離れていても僕たちは固い友情で結ばれているのさ」

 

 

さっきまで寝坊して狼狽えていたのが嘘のように格好をつけながらヒンメルは自慢してくる。それはどうでもいいとして、確かにこの二人からは定期的に手紙が送られてきている。勇者一行のパーティのうちの二人、僧侶ハイターと戦士アイゼン。かつて私も戦ったことがある敵でもある。それはつまり今の私の状況も奴らに伝わっていることに他ならない。目の前のヒンメルだけでも面倒なのに本当に厄介なことだ。どうすれば私はこの状況から脱することができるのか。

 

 

「それはどうでもいいけど……じゃああのエルフはどうなってるの? 一度も手紙が来てるの見たことないけど」

 

 

そういえば、と思い出す。勇者一行の最後の一人、あのエルフの魔法使いからは手紙が来ているのは見たことがない。一体何故なのか。

 

 

「彼女はちょっと変わっているからね。まだきっと彼女の中では僕たちと別れたばかりなんだ」

「……?」

 

 

それにヒンメルは理解できない答えを口にしてくる。一体何を言っているのか。ヒンメルをして変わっていると言わしめるあのエルフは何者なのか。きっと似た者同士に違いない。もしかしたらヒンメルが嫌われているだけなのかもしれないが。

 

 

「そういえば時々手紙じゃない物を書いてるけどあれは何なわけ?」

 

 

ようやく準備が終わり、椅子に腰かけながら尋ねてみる。手紙はもちろんだがヒンメルは夜な夜な本のようなものを書いていた。ちらちらとこっちの様子を窺いながら執筆している光景は煩わしいことの上なくスルーしていたのだが思わず触れてしまった。そう気づいたものの

 

 

「! ようやく聞いてくれたね。これさ! 何を隠そうこれは僕の自伝なのさ」

「自伝……?」

 

 

待ってましたとばかりにヒンメルは食いついてくる。きっと聞いてくるのをいつかいつかと待ちわびていたのだろう。失敗だったか。本当に子供みたいなやつ。その子供勇者はその手に持った本をこちらに見せびらかしてくる。

 

 

「そう。昔も書いていたんだけど旅の途中で失くしてしまってね。そのリベンジってわけさ。後世に僕の後日譚を伝えないといけないからね。読んでみるかい?」

「いいえ、遠慮しておくわ。時間の無駄だもの」

 

 

こっちに差し出された本を丁重にお断りさせていただく。何が悲しくてそんな物を読まされなくてはならないのか。ようするに自分が服従させられてからの記録、私にとっては屈辱でしかない。分かってやっているのだとしたら大したものだ。もっともそんな気は毛頭なく、ただ見せびらかしたかっただけなのだろうが。なんにせよそんな時間があるなら村長の家にでも行って読書した方が百倍有意義だろう。

 

 

「それもそうか。君はもう僕の後日譚を直接見ているわけだしね。そう考えるとこの自伝ももしかしたら必要ないかもしれないね。これからは自伝じゃなくて日記にしようかな」

「何でそうなるわけ?」

 

 

そんなこっちの心情を読んだわけではないだろうが、ヒンメルはどこか嬉しそうにしている。ますます意味が分からない。どうして自分がそこで出てくるのか。

 

 

「だって君はこの先、僕よりもずっと長生きするんだ。君に僕の物語を伝えてもらった方がずっといいからね」

 

 

そうだろう、とばかりにこっちに目配せをしてくるヒンメルに呆れるしかない。信じられない。本当にこの男は自分が死ぬまで自分を従えるつもりなのか。知らず冷や汗が流れる。あり得ない。しかもその相手に自分のことを後世に伝えてもらうつもりでいるらしい。どこから突っ込んだらいいのか分からない。

 

 

「……お断りよ。何で私がそんなことしないといけないのよ」

 

 

何よりも自分が死んだ後のことを何故こんなにも楽しそうに語ることができるのか。魔族であればあり得ない。自分が死ねば全ては終わる。その後のことなんて考えても意味がない。なのに何で人間は、ヒンメルはそんなことを気にしているのか。もう自分がいない世界に何の意味があるというのか。

 

それは残念、と言いながらもどこか満足げにヒンメルは朝食を食べ始める。いただきます、という言葉と共に。私も同じように食べ始める。それが私の一日の始まり。この一年で当たり前になった日常だった――――

 

 

 

「もうこんな時間か。じゃあ僕は仕事に行ってくるよ」

 

 

洗い物をしている私に向かってヒンメルはそう声をかけてくる。どうやら今日は仕事だったらしい。ならちょうどいい。今日は部屋の掃除をしようと思っていた。ヒンメルがいないならちょうどいい。そう思っていると

 

 

「じゃあ僕は仕事、に行ってくるよ」

 

 

聞こえていないと思ったのか。これみよがしに仕事を強調してくる無職の勇者様。いや、今はヒモになるのか。よっぽどそれが堪えているらしい。その汚名を返上するために必死なのだろう。私が働いているのもその理由に含まれるのかもしれない。本当に負けず嫌いな奴。

 

 

「……分かったわよ。いってらっしゃい。精々稼いできて頂戴」

「任された。夕食の方も忘れないようにね」

 

 

ひらひらと手を振って、背中越しにヒンメルを送り出す。そんな自分の姿に満足したのかヒンメルも出かけていく。慌ただしい朝の終わり。

 

 

 

「さてと」

 

 

洗い物を済ませ、エプロンも脱いだまま立ち尽くす。本当ならこのままゆっくりしたいところだがそういうわけにもいかない。ヒンメルではないが、私も仕事をしなければ。主には家事。今はそのほとんどを私が担当している。理由は色々あるが一番は私自身がこの生活に慣れてきたからでもある。畑仕事の効率もよくなり、畑仕事は一年中あるわけでもない。何よりヒンメルと分担していると煩わしく思うことが多くなった。端的に言えば自分のやり方と違うヒンメルのやり方に。結果的に家事は私が担当することになり、それ以外のことはヒンメルがすることに。その主となるのが労働、賃金を稼ぐことだったのだが最近はそれすらも怪しくなっている。何故なら

 

そんなことを考えていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえてくる。驚くこともない、当たり前の出来事。問題があるとすれば

 

 

「どうぞ、開いてるわよ」

 

 

その来訪者が誰であるかということ。それによって私の今日の一日が決まると言っても過言ではない。確率は三分の一。その結果は

 

 

「おはようお姉ちゃん。お仕事お願いに来たの」

「おはようリリー。遊びに来たんじゃないのね」

 

 

少女、リリーの来訪だった。どうやら今日はシュトロではないらしい。もっとも後から来るかもしれないので油断はできないが。ただリリーの口ぶりからすると今日は珍しいパターンかもしれない。それを示すように

 

 

「おはようございます、アウラ様。いつも娘がお世話になっています」

「ええ、そうね。いい迷惑だわ」

 

 

リリーの後ろにはその母親であるミラの姿がある。どうやらリリーの言う通り、今日は仕事の依頼らしい。同時にその様付けにどこか違和感を覚えてしまう。

 

アウラ様。それが最近の村人たちの私の呼び方。きっかけはそう、シュトロに昔はどう呼ばれていたのか聞かれたことだった。特に考えることなく私はそれに答えてしまった。大魔族である私は様付けされるのが当たり前だったのだから。だがそれが間違いだった。瞬く間に私は村中からそう呼ばれるように。こちらに敵意があってそうしているわけではないのは理解できるが敬われている訳でもないのにそう呼ばれるのは気持ち悪い。極めつけはヒンメルだった。事情を知るや否や当然のように様付けをしてくるように。報復として三日三晩口をきいてやらなかったのだが、相当堪えたのか本気で謝罪してくるほどだった。以来家では様付けは禁止に。村人たちに呼ばれるのは仕方ないとあきらめるしかなかった。そのうち慣れてくるだろう。

 

そんなことを考えている間にリリーとミラはその手に抱えた大きなかごを持ってくる。その中には大量の洗濯物が入っている。恐らくは数日分はあるであろう量。それを置くために大きなテーブルを奥から引っ張り出してくる。今はもう慣れてしまった仕事場の準備。

 

 

「今日はこれだけ?」

「いいえ、もう少ししたら他の村人たちも来ると思います。良ければ私たちも畳むのをお手伝いさせてもらってもいいですか?」

「わ、わたしもお手伝いに来たの!」

「そう。じゃあお願いするわ。その分料金は割り引いておくから」

 

 

そう言いながら私は魔法の準備を。リリーたちには洗濯物を机の上に並べてもらっていく。それができ次第、私は魔法を行使していく。その度に濡れていた洗濯物はまるで最初からそうであったかのように乾いていく。皴一つない、新品同然。それが完了した物から今度はそれらは畳まれていく。それが私の今の仕事。それを可能にしているのがこの手にある魔法だった。

 

『服を乾かす魔法』

 

数か月前、やってきた行商人から手に入れた魔法。曰くそれは神話の時代に存在したとされる伝説級の魔法らしい。その時の私には全く理解できなかった。それのどこが伝説の魔法なのかと。本当に人間は魔法を何だと思っているのかと。だがそれがいかに有用であるかを私は身を以て思い知ることになる。何故ならそれを使えば、家事の面倒事である服の乾燥という行程が短縮できるのだから。それによってどれだけの時間が節約できるか。その分を読書に、魔法の鍛錬に充てられる。それだけではない。それを仕事にすることで賃金を稼ぐこともできる。思いついたのは勇者だったが、流石と言うべきか。あっという間にその便利さは村中に伝わり盛況に。今となっては毎日村人たちが訪れるまでになっている。そのおかげで収入も安定し、ヒンメルの報奨金を切り崩さなくても問題なくなった。そういえばその頃から村人たちからのヒンメルに対する目が少し変わったような気がする。ヒモという言葉を知ったのもこの頃だったか。そういった意味でも自業自得と言えなくもない。

 

だがそう甘い話ではない。この魔法の唯一の欠点はその魔力の消費が激しいこと。数回使うだけで普通の魔法使いではその魔力を使い切ってしまうほど。それがこの魔導書が売れ残っていた理由だったのだが、私は五百年以上を生きた大魔族。そのぐらいは何の問題もない。こんなことのために研鑽を積んだのではないと思う私と、背に腹は代えられないとあきらめる私。そのどっちが勝ったかなどもはや口にするまでもない。

 

 

(村で暮らす上で絶対に欠かせないこと……か。本当に人間の社会ってのは面倒ね)

 

 

かつてヒンメルが言っていたことを思い出す。本で読んだ中ではそう、確か働かざる者食うべからず、だったか。その意味をこの一年で理解した気がする。仕事、いやお金という概念。人間社会の根幹をなす仕組み。魔族にはない概念。魔族であれば欲しいものは奪うか献上させるのが当たり前。物々交換がないわけではないが、弱肉強食が当たり前の魔族の世界であればなおのこと。だが人間たちは違う。

 

要はお金は人間にとっては魔力、強さにあたるのだ。それを多く持つ者は強者であり、地位を得ることができる。例え勇者であってもその例外ではない。強さだけではない、もう一つの概念。個ではなく、群体としての人間の在り方。だがそれによって貧富の差が生まれている。それを人間たちは良しとしていないらしい。矛盾している。生き物である以上、弱肉強食の掟からは逃れられない。なのに何故教典や書物の多くでは平等などという概念を重んじているのか。やはり人間の考えることは理解できない。

 

 

「聞いてお姉ちゃん、シュトロったらまた私のスカート捲ってきたんだよ」

「そう、なら今度ヒンメルと一緒にお仕置きしなきゃね」

「え……? ゆ、勇者様は関係ないんじゃ……」

「連帯責任よ」

 

 

もう一つの理解できない男どもの行動に辟易するしかない。とりあえず今度あのクソガキが来た時にはお仕置きが必要だろう。見せしめとしてもう一人の大きな子供と一緒に。

 

そんなことを考えながら結局二人と一緒に村中の洗濯物と一日格闘する羽目になったのだった――――

 

 

 

「ただいま、アウラ」

「おかえりなさい、早かったのね。まだ準備はできてないわよ」

 

 

思ったよりも早く帰宅したヒンメル。そのせいもあってまだ夕食の準備はできていない。いや、今日はただの夕食ではない。それを示すように用意しているのは普段とは違う、顔よりも大きなハンバーグ。なぜこんなものを作らなければいけないのか。全てはヒンメルのせい。気づいていなかったが今日は私が服従させられてから一年になるらしい。その記念に特別な料理を、ということらしい。一体何の嫌がらせなのか。それを自分で作らされているという状況。悪夢でしかない。何でハンバーグなのかと聞いても戦士だからという訳の分からない答え。どうやらあのドワーフの戦士の故郷の風習らしい。ご丁寧にレシピまで手紙に添えられていた。願い下げではあるがもし出会う機会があれば文句を言ってやる。そんなことを考えていると

 

 

「構わないさ。早く君にこれを見せたいと思ってね」

 

 

朝以上に上機嫌にヒンメルはそのまま何かの包みを私に渡してくる。一体何なのか。まだこれ以上何か作れというのか。訝しみながら広げた先には

 

 

「何よこれ?」

「新しいローブさ。君にプレゼントしようと思ってね。前から商人に頼んでたんだけど間に合ってよかったよ」

 

 

一枚のローブがあった。鮮やかな赤で彩られた物。その手触りからそれが安物ではないのが伝わってくる。なるほど、これが手に入ったから今日はこんなに早く帰って来たらしい。きっと待ちきれなかったのだろう。自分の物ではないのに物好きなことだ。

 

 

「何で赤色なわけ? こんなの着たら目立つだけじゃない」

「いいじゃないか。どこにいても君だと分かるし、何より君の髪の色によく似合ってるからね」

 

 

自信満々に豪語するヒンメルに呆れるしかない。どうやら機能性云々は二の次らしい。確かにこんなローブを着ている奴なんて他にいないに違いない。迷子になることはないだろう。そもそもローブを被っていたら髪の色なんて分かるわけないのに何を言っているのか。もはや突っ込む気も失せてしまう。

 

 

「……そう、ようするにあんたの趣味ってわけね。あのコルセットドレスといい、良い趣味してるじゃない」

 

 

それでもそれだけは言っておかなければ。思い出すのは半年前。行商人から買った洋装のコルセットドレス。渋々一日着てみたが結果は散々だった。村中から奇異の目で見られ、ヒンメルに買ってもらった服だと口にしてしまったせいで、ヒンメルが私に篭絡されただなんて噂がたつ始末。結果あの服はクローゼットの奥深くに封印されている。もう解かれることはないだろう。

 

 

「そ、そんなことはないさ。大体あれは君が嫌がっているだけで村での評判は上々で」

「着せ替え遊びならリリーとしてあげなさい。きっと喜ぶわよ」

 

 

リリーならきっと喜んで着てくれるに違いない。もっともサイズが合わないのでもう少し大きくなってからになるだろうが。その頃には違う罪でヒンメルは捕まってしまうに違いないが。

 

 

「でも何でローブなわけ? この村で使う機会なんてないわよ」

 

 

その手に持つローブを広げながらそう尋ねる。確かに今自分が持っている古いものに比べれば上等な物には違いないが、そもそもこの一年ローブを使ったことなどない。この村では角を、魔族であることを隠す必要がないのだから。そういった意味ではこの胸にかけているアクセサリの方が意味があると言ってもいい。

 

 

「そうだね。でもこれからは違うのさ。君にはこれを着て僕と一緒に仕事をしてもらおうと思って」

「……何よそれ?」

 

 

待ってましたと言わんばかりにヒンメルは得意げにしている。その姿にどこか既視感を覚える。奇しくもそれは一年前。同じように困惑している私にもったいぶりながら勇者はその答えを口にする。

 

 

「――魔物の討伐依頼さ」

 

 

それがアウラがヒンメルと主従となってから一年目の終わりの日。そして初めてヒンメルと共に村の外に出ることが決まった日だった――――

 

 




作者です。最新話を投稿させていただきました。
今回から再びアウラの過去編となります。これからは村の内から、村の外へと話が広がっていくことになります。今話は六話と対になるエピソードになります。アウラがどう変わっているかを読み比べてもらうのもいいかもしれません。それでは。
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