この学校になってから2ヶ月が経とうとしてる。
2ヶ月が経つと言うことは3ヶ月目が始まると言うことです。
しかしその間…クラスメイトの友達は1人もできなかった!
仕方ない。タダでさえ病弱エミュしてて気を使わせてしまうのに人前で魔法を使いたくないと言うことで人目を避けがちだから本当に仕方ない。
魔法の練習も就寝前の自由時間でコッソリやるくらいだ。まあそれでも手を抜くなんてことはしない。ここでミダルさんを賢者にしておかなからばマズイことになるのは明白だ。
「う…!うぅ…う…♡こ♡……♡んん…んん!な…あ…゛っ!不゛っ躾っ!な♡…゛!様…♡♡゛を…ぉ…ぉ゛晒!しい…って♡ぇ゛っし…ぃぃい…っまぁあぁいぃ!申♡!しい…ぃい♡゛訳…!ごぉおっ!ざぁ♡ぁいい…♡いまぁぁ♡あ゛せぇ…え…♡゛っん…♡!」
まあコチラとしては彼女がいないとそもそも魔法すら使えないので非常に助かってはいる。今の俺は彼女がいないと魔法が使えないのだ。
「はい、それでは本日の授業はこれで終了です。比類無き海の怪物とその使者がもたらすと言われるものについてしっかり復習しておくように。」
これは世界史の授業だ。異世界ともなると歴史にも神の遣わした竜だの森羅万象を断つ無双の剣だの出てきてインパクトが半端じゃない。本当にあるのかは分からないがあったら是非とも一度は見てみたい。授業科目だと今のところ1番好きだ。
そんな事を思っているうちに放課後が始まる。就寝までの自由活動時間はかなり長く日によっては半日もあるくらいだ。
その時間にクラブ活動を行ったり食事や勉強、風呂など色々済ませないといけないのにそれでもかなり余裕のある行動が出来る。
まあその代わりに休日は長期休暇を除き殆どない。
一年生の間は必ずクラブに所属することが義務付けられているため各々席を立って行動を始める。
俺が所属を決めたクラブは真・超究極裏魔法薬探求クラブだ。
真なのか裏なのかどっちだよ。
錬金術クラブとも迷ったが向こうと比べコチラは素材採集でのフィールドワークが多く、自分が試験を受けた際にミダルさんが飲んでいた薬を思い出したのでコチラに決めた。
後で分かったことだが練金釜に材料を入れて混ぜて作る錬金薬と違い、コチラは材料に魔法をかけて作るので製品の質が製作者の能力にかなり関わるし難しい分幅広く、複雑な効果を持たせることが出来るそうだ。
均等な品質にするのが難しい分良い点も悪い点もあるんだなあと。
変な名前のクラブ名が刻み込まれた看板がかけられている教室に着いた。
これでも中々実績のあるクラブらしく設備はかなり充実している。
「やあアランくん。遅かったね早速1人私の新薬で犠牲になったところだよ。」
この人はサリュー・ドリスさん。我がクラブのリーダーにして変な薬ばかり作っては人に飲ませる危険人物だ。
そこで文字通り目から虹色の光を発して痙攣しているのがルルイ。
他寮の同級生だ。
もう1人先輩が居るのだが…初日以降顔を合わせてすらいない。
いわゆる幽霊メンバーという奴だろうか。
今日のクラブ活動は敷地内にある森での魔法薬の材料の採取だ。
薬草、ミドリキノコ、リコブディアの角一欠片を取ることになっている。
山歩きに必要な道具は全て購買で揃えた。クラブ活動の一環で成果品を販売している所もあるのでバカ高い雪山に登るような事でも無ければ大抵の道具は校内で揃う。全部魔法とアイデアが光る一品だ。
「ふむ…用意は出来ているね。それでは発光している一年を起こして裏の森に行くとしようか。」
あの…起こしてるのいつも俺なんですけど…
まあ良いや。
初のファンタジー森林探索だメチャクチャ緊張する。
目的の薬草とミドリキノコはすぐに見つかった。
有志が近隣の動植物について図や説明文と共にまとめてくれた図鑑を持ち歩けば間違えて毒のあるものを取ることはまず無いという。
薬草はこの国だと雑草並みに生えてるリコブの葉だ。これを煎じた茶を家で飲む機会があったが独特の匂いと苦味に慣れないうちはまあ嫌だった。
ミドリキノコは汎用性の高い材料であり初心者のうちは俺を混ぜておくと間違いないと言われるほどのものだ。普通に食べても美味しいらしく専門に栽培している農家も居るのだとか。
しかし森に入ってかなり進んだは良いものの動物らしい動物を全く見ていない気がする。カラスとか小鳥とかまあその程度だ。
「それではリコブディアの見つけたを教えようか」
唐突に話し出すものだから少し驚いた。
「リコブディアは名前の通りリコブの葉を主食とする。それが群生していてなるべく水場が近くにあるポイントを探すと良い。他にも丸いフンの湿り気や樹皮についた傷を目安にすると良いよ。ほらあんな感じにちょうど腰あたりにある奴。」
先輩が示した一本の木を見ると確かに傷がついているのが分かる。
先輩が言うには縄張りをアピールする為につけているものらしい。
貰ったヒントを頼りに探していると森の少し開けた場所に出た。
中央には小さな泉があり、夕焼け特有の黄金の木漏れ日が差し込み幻想的な風景を演出している。
リコブディアはらしきものを見つけた。
コチラをじっと見る鹿。今にも逃げ出しそうだ。
魔法による動物会話も人前ではなるべく避けたいのでどうするべきかもまごまごしていると
「今日は私が角を取って見せるから見ていると良い。」
そう言って微笑んだ先輩がステッキを一振りすると2,3頭の鹿が眠りだしあとは逃げ出した。
杖をしまった先輩はそっと鹿に近寄り掌で先端を包む。
その瞬間、手元が光ったと思ったらバツンッと軽快な音が鳴る。
先輩の掌には角の先端が握られていた。
「風魔法の応用でね。圧縮した空気を指定の場所に置換する事で綺麗に切断できるんだ。いきなりだと難しいから今日はこの糸鋸を使うと良い。」
そう言って革の鞄から取り出された糸鋸を受け取る。
こう…先輩の態度を見るに一つの技術でしか無いんだろうが魔法の深淵を除いたような気分だ。
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