日記
外から聴こえてくる鳥の鳴き声で目が覚める。
窓から差し込む日光は部屋一面を照らし尽くし、僕は目を細める。枕元に置いてある時計で今の時刻を確認する。
「もう朝か……」
ベッドから出ようと体を動かすと、身体中からバキバキと骨の鳴る音がする。昨日は学校から帰ってすぐベッドに入ったのだが、それ以降の記憶が全くない。きっと今までずっと寝ていたのだろう。昨日は外でボール遊びを学校が終わってから彼女とずっとしていたため、かなり疲労が溜まっている。
あいにく、今日は休日。溜まりに溜まった疲労を回復させるためにも今日は1日家で休んでいよう。うん、そうしよう。
「ん?あ、水発見………昨日の忘れ物か?」
机の上に置いてあるペットボトルに残ってる水を見つけた。昨日僕が遊んでいる時に飲んでいた水であるが、あまりにも水を飲む瞬間がなかったため、ほとんど新品である。
水を見つけた僕は目を覚ますためにそれを飲もうとすると。
「おはよう!!!!!」
扉を力強く開け、叩きつける音と共に彼女がやって来る。
人々を魅了する星のような笑顔をこちらに向けながら僕におはようと声をかけてくる。少し耳に響く大きな声だが、彼女の声を聞くと少し癒された気分になるのは気のせいだろうか。
そんなことを考えながら僕は彼女に返事を返す。
「おはよう、アイ」
そう、
僕の名前は、
前世の記憶がある。いわゆる転生者って言われるものらしい。何故こんなにも疑問系なのかは、僕が前世で死んだ自覚がないからだ。覚えている記憶は殆どない。だから今でも自分の記憶については模索中である。
ただわかることは、気がついたらこの世界にいた。この推しの子の世界にだ。最初こそは戸惑いはしたものの今じゃすっかり馴染んでしまっている。
「……ぇ……ねぇってば!!」
「はいはい聞いてるよ、今日も天気が良いって話でしょ?」
「いや聞いてないじゃん」
「聞いてるってば」
「ふーん……」
僕が適当な返しをするせいか、彼女を頬を膨らませながら拗ねている。
いや、頬を膨らませて拗ねるってかわいいかよ。なんか、リスみたいだな。
「で、何してるの?それ」
彼女は僕の手元を指差しながら聞いてくる。
おそらく僕が今書いてるこれのことだろう。興味があるのか少し目がキラキラしているように見える。
「ん?あぁ…これか」
僕は彼女に持っている物を見せながら説明する。
すると、彼女はまるで猫かの如く僕が右手に持つものに視線を寄せる。かわいい。
「なんて言うか……日記?」
「ずいぶん急だね……」
彼女は少し困惑した様子で言う。彼女がこんなに困惑した様子を見せるのは久々な気がする。僕が日記を書くということがそんなにも珍しいのだろうか?
「んまぁ〜なんとなくだよ」
「そうかなぁ?……」
彼女から疑惑の視線を向けられながら僕は日記を書くのを再開する。僕がこの日記を書こうとした理由は1つ。僕に起きた転生という不思議な出来事について書き記したかったのと、友人に転生譚ってなんかカッコ良くね?と唆されてしまったからである。
………自分でもバカだなぁって思う。
これは、愛を求めてた彼女が愛を見つける物語。
これは、ちょっと変わった彼が人に愛を教える物語。
これは、彼女を
これは、彼が自分を知る
物語
書き出しはこんな感じでいいだろうか?
これから書くものは僕と目の前にいる彼女との物語である。そのため、この書き出しだと何か今から黒歴史を錬成しようとしているのではないかと少し不安になる。いやほんとに黒歴史にならん?これ……。
なんかちょっと不安になってきたんだが?
「……ねぇ、レー君?何そんなカッコつけた顔しながら書いてるの?」
「あー、今めっちゃいいところだからかな?転生物じゃよくある独白って呼ばれるところを書いてるんだよ。あと、別に何かをカッコつけたりしていたわけじゃないからね??ほんとだよ?」
「ふーん、そっか」
「…‥まぁ、それは置いといて? 私はそんなものよりも構ってほしいなって我儘を君に言ってみたり?」
「……ごめんな?これ書き終わるまで待ってくれ」
「むー………いつまでかかるのそれ」
「んーと、一時間もあれば終わるんじゃないかな?」
「えぇ!?長いよぉ!!!…………」
「ごめんなぁ………後でいっぱい構うからそれで許してくれないかな?」
「………わかった、許す」
「というか、さっきから気になってたんだけどレー君それ何?…………明らかに日記には見えないけど」
「いや、蓮の奴にこういうの書いてみたらどうだって言われてさ、何となく話を聞いてるうちにありだなぁ……って」
「日記は日記でも、なんだろう?物語風に書く感じ?」
「………ふーん、にしてもこれちょっと読む感じだとつい最近までの私たちについての出来事をまとめた感じだよね?」
「うん、そうだよ」
「………それなのにこんな変な書き方の日記にする必要ある?」
「いいじゃん、思い出に残すぐらい」
「いいけど、こんな変な書き方はする必要ないじゃん!」
「いや、変なっていうなよ!?」
変だなんて、失礼だな。
俺だってちゃんと考えてそれっぽいもの仕上げようとしているって言うのに。というか、最初に言い出したのは蓮である。別に俺が考えついたわけじゃないし、俺がどうこう言われる必要はないのでは?
「人がせっかく真面目に書いてるのに、それを変とかバカにしちゃう悪い娘には髪の毛くしゃくしゃの刑な」
「……えへへ」
何てくだらないことを言いながら彼女の頭を撫でる。
この平和な日々がずっと続けばいいのにな。ずっと何も起こらないでいてくれよ?
「レー君、あのね?」
「んー?なした?」
「あのね、大好き!………えへへ」
いや可愛いなちくしょう。
この可愛さの前ならどんな悪人も罪を償おうとしてしまう気がする。というかしろ? あと、彼女俺のこと好きすぎないか?
「……俺もだよ」
どうやら相手のことが好きすぎなのは僕も同じだったようだ。
ずっとこの何気ない日々が続きますように。アイとずっと笑えますように。
───そんな願いを込めながら俺は日記を書き始めた。
申し分程度の現時点でのキャラ紹介
・天宮 零 あまみや れい
推しの子の世界に転生した転生者。この作品の主人公。元々いた世界では推しの子という漫画流行っていたのは知ってはいるが、彼自身そこまで漫画に興味はないためオタク友達から聞かされた内容とアニメの内容(七話まで)だけを知っている。彼自身は、前世の記憶を殆ど覚えていなかったりする。あだ名は「レー君」
・星野 アイ ほしの あい
【星野 愛】という名前の少女に転生した皆さんご存知一番星の生まれ変わりさん。この作品の準主人公。何番煎じかわからない転生者アイとオリ主のカップリングです。零に対してはとても大きく、そして重たい愛情を抱いてる模様。零に関して、昔から抱いてる不満があるとかないとか?
・尾崎 蓮 おざき はす
名前の読み方は「れん」ではなく「はす」である。零とは親友関係にあり、零やアイの転生事情については知ってる模様。また、親友キャラにも関わらず、出てくるのはまだまだ先である。そのうちきっと出します。