貴方だけのアイドル⭐︎   作:Sh1ZuKu

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 ようやく、幼少期編が終わった!!!!やっとコメディに戻れるー!……わけでもないんですねこれが。しばらくはまだシリアスが続くんですよ。それにタイトル名から逸れた物語の展開にもなってるんですが、これもタイトル名通りの展開になるのはまだまだ先なんですよ。
 ………とりあえず、頑張って書き進めるしかないですね。はい。


海に手を伸ばして

 

 僕自身は、今まで『推しの子』の世界に転生したものとばかり思っていた。けど、僕に『推しの子』を創作物として知る前世の記憶が殆どないのだ。そしてつい先日、僕はyoutubeで偶然見つけてしまった動画を見た際に、とてつもない恐怖に襲われてしまった。明らかにあれは偶然ではない。必ず何かしらの理由があるはずだ。

 僕はあの『 桜木 澪 』という人物と自分が何かしらの繋がりがあると見ている。だけど僕は、この世界に転生してきた存在。いわば、異世界人と言っても過言ではない存在なのだ。僕からすれば創作物であるこの世界に、何かしらの関係を持つ人物がいること自体、本来ならあり得ないのだ。

 

 

 

「う〜む………、全くわからん」

 

 

 

「………マジでアレ(桜木 澪)と僕の関係性が全く想像がつかない」

 

 

 

 例の件から、かれこれ二週間は経過した。

 しかし、全く何も判明していない。前よりは確実に情報となるものは増えた。だが、それが逆に事態をより一層難解にさせているというなんとも皮肉な話である。

 

 

 

「にしても、アクア………かぁ」

 

 

 

 ある夢を見た。

 その夢の内容は殆ど覚えてはいない。しかし、夢の中で出てきた名前で少し聞き覚えがあるものがあったのだ。

 それが、『アクア』と『マリン』。この二つの名前が出てきたことだけは覚えている。そしてこの二つの名前が関係してくる人物が1人存在するのだ。

 そう、『星野 アイ』の息子にして『推しの子』の主人公でもある『星野 愛久愛海(アクアマリン)』である。

 

 

 

「会いに行くのが吉か?………」

 

 

 

「アイのこともあるし、アイを連れて会いに行くのは良い案ではある」

 

 

 

「しかし、遠いんだよなぁ………」

 

 

 

 星野アクアに接触するのは、間違いなく何かしらのヒントが得られると考えられるため得策ではあるものの、問題が1つあるのだ。

 距離である。僕やアイが住むこの地は北海道で、あちらの住んでいる場所は僕の間違いでなければ関東であるはず。即ち、あちらまで行く手段がまだ4歳児の僕らには無いのだ。

 

 

 

「困ったなぁ………」

 

 

 

「およ?どしたのレー君」

 

 

 

「あぁ、アイか」

 

 

 

 先程まで、我が家のお風呂を借りていたアイが部屋に戻ってきた。

 お風呂に入っていたせいか、隣にいるアイからはほんのりいい匂いがする。何かあったか?と言わんばかりの顔でこちらの顔色を伺ってくる。

 しかし、あまりにもその距離が近い。あと少し前に顔を動かしてしまえばキスが出来そうなくらいである。

 

 

 

「…………ちゅっ」

 

 

 

「………っ!?!?」

 

 

 

 いや、してくるんかい。

 ………ここ最近、我が家で過ごすようになってからアイの僕への距離感は明らかにおかしくなってきた。今のようにキスをするのは日常茶飯事。一緒のベッドで手を繋いで寝るのも、一緒にお風呂に入るのも最近は増えてきた。

 というか、当たり前ですけど?みたいな顔で迫ってくるから断りたくても断れないんだよ………。かろうじて、お風呂は3日に1回の頻度で納得させることはできたが、その代わりに朝と夜のキスは必須となってしまった。なんなら、外に遊びに行く時は手を常に繋いでいないとダメである。少しでも離れようものなら、僕は次の日までこの部屋に閉じ込められるのだ。

 …………いや、この部屋僕のだよね????なんで???

 

 

 

「………まだ夜のキスの時間じゃないと思うんですけどー?」

 

 

 

「うん、それとは何の関係もないただのキスだよ?」

 

 

 

「………あ、はい」

 

 

 

「それはそうと、何について悩んでたの?結構、真剣な表情してたみたいだけど?」

 

 

 

 言っていいものだろうか。

 彼女には、僕が自分の前世について探りを入れていることなどをまだ伝えてはいない。それどころか、あの日の出来事さえも。

 しかし、あの時僕を介護した彼女ならもしかしたら見てしまっていてもおかしくはない。僕が自分の前世についてのヒントをまとめた紙などを。

 であるならば、言ってしまってもいいのでは?

 

 

 

「………アイはさ、あの日見た?」

 

 

 

「何を?」

 

 

 

「僕が色々まとめてた紙だよ」

 

 

 

「………あー、見てないよ?」

 

 

 

「別に隠さなくてもいいよ、本当は見たんでしょ?」

 

 

 

「うん………」

 

 

 

「ごめん、不可抗力だったんだ」

 

 

 

「いや、別に怒ってはないから安心して」

 

 

 

「ただ、あの紙を見たんなら安心して今僕が悩んでることを伝えれるなって」

 

 

 

 そうだ、彼女が知っているのなら何の問題もない。

 ただ、問題は何処まで伝えるかだ。彼女の息子であるアクアが何かしら関係していることまで伝えてしまってもいいのだろうか?根拠はないが、僕の頭がそれに対して危険信号を出している。きっと、まだ伝えるべきでないのかもしれない。

 無理に伝えてしまうくらいならば、まだ言える範囲で言うのが最善であろう。

 

 

 

「『桜木 澪』、この名前は覚えてる?」

 

 

 

「うん、覚えてるよ」

 

 

 

「僕は、この人物が僕の前世と何かしらの関係があると見ている」

 

 

 

「あの時の僕を見ていたアイも、それについては考えてたりしたんじゃないかな?」

 

 

 

「………うん、私も少し考えたよ」

 

 

 

「この人が、レー君の前世の人なのかなって」

 

 

 

「だよね………。僕もこの人が自分の前世にあたる人物ではないかなって少し思ってるんだよね」

 

 

 

 本当は少し違う。

 僕にはこの世界が創作物である世界の記憶がある。だから本当は、もう少し違うものだと考えているが、彼女にこの世界が創作物である世界で過ごした前世があると伝えるのも酷な話であろう。

 だから、この伝え方で問題はないはずだ。

 

 

 

「そっかぁ………。でも、それで何を悩んでたの?これについて悩んでたかって言われるとそうは見えなかったし………」

 

 

 

「前世で少し思い出したことがあってさ」

 

 

 

「うん?」

 

 

 

「………アイの子供達についてだよ」

 

 

 

「えっ…………ど、どうして?」

 

 

 

「本当に何となくだけど、少し考えてることがあってさ」

 

 

 

 星野アクアに関する名前が前世の記憶と思わしき夢で出てきたことは今はまだ言わない方がいい。けど、僕としてはアクアにできれば接触したいと考えている。

 であるならば、アイには申し訳ないが2人の子供達を心配して会いに行ってみないか?と提案するという、変に勘繰られずに済むやり方で僕はアクアへの接触を試みる。

 

 

 

「………会いたいんでしょ?それはきっと君の子供達も同じ気持ちのはず」

 

 

 

「だけど、子供達は君が生きていることを知らない」

 

 

 

「そして、君が殺されたことで何かしらの精神的な疾患を患っていたりしたら?」

 

 

 

「幼少期に目の前で母が殺されて、何もないなんて方がないでしょ?」

 

 

 

「だから少し心配してたんだ。けど、どうやってアイと子供達を接触させればいいのかなって」

 

 

 

 

「えっ………会ってもいいの?私もう死んじゃってるんだよ?……」

 

 

 

「え?いや、それの何が問題なの?」

 

 

 

「生まれ変わっただなんて信じてくれるかな?………」

 

 

 

「その辺はきっと大丈夫だよ、アイなら問題ないさ」

 

 

 

「どっから出てるのさ………、その自信は」

 

 

 

「アイが彼女彼らを愛すことができたのなら、きっと分かってくれると思うよ」

 

 

 

「………そっか」

 

 

 

「で、まぁ、話を戻すんだけどさ?」

 

 

 

「どうやって2人に接触すればいいのかなって」

 

 

 

「そもそも、接触できるのかも分からないし………」

 

 

 

「うーん……」

 

 

 

「あっ………」

 

 

 

「アイ?」

 

 

 

 何か思いついたのだろうか?

 彼女の目の星はいつもよりもギラギラと光っているようにも思える。一体、何を思いついたのだろうか?

 ていうか、心なしか彼女の笑みが深みを増したような気もする。

 

 

 

「レー君にはまだ言ってなかったんだけどね? 私、レー君のお母さんとちょっと話したことがあってさ」

 

 

 

「レー君って、絶対修学旅行とか行きたがらないよねって」

 

 

 

「え、うん……………確かに行くのは嫌だけど……」

 

 

 

「レー君が行きたがらないのは大勢で行くからだよね?それなら仲良い人とかと行く旅行は別に問題ないよねって」

 

 

 

「う、うん?」

 

 

 

「そんな話をしてたらレー君のお母さんが、修学旅行で使うお金で個別に旅行行くのはどう?って」

 

 

 

「………は?」

 

 

 

 は?今なんて?

 

 

 

「修学旅行を休んで、私とレー君とレー君のお母さんの3人で旅行にするってこと!!」

 

 

 

 飛んだ爆弾発言が聞こえた。

 

 

 

「はぁぁぁぁぁ!?!?」

 

 

 

「………と言っても、修学旅行は小学生6年生の頃に行くからまだまだ先の話ではあるけどね」

 

 

 

「まぁ……ありではあるが」

 

 

 

「問題はそれまであと数年もかかるってことか………」

 

 

 

「そうなんだよね……」

 

 

 

「……アイはどう思う?」

 

 

 

 僕は彼女に問いかける。

 それなりにそれっぽい理由を立てて子供達への接触を試みてはいるが、別にアイに話した理由も嘘ではない。いくら『推しの子』知識があるとはいえ、何が起こるか分からないのが人生である。

 それに、アクアの方に関しては復讐心で染まりかなり酷いことにはなっていたはず。止めれるのなら、そこから止めたいというのが本音である。

 

 

 

 

「私は待てるよ。レー君の言うこともわかるけど、2人はまだ私たちと同じ4歳児だよ?今あったところで私のことを信じてもらえないと思うんだ」

 

 

 

「ならば、心も体もある程度成長した6年生の頃ってのはありなんじゃないかな?」

 

 

 

「住んでる地域が変わらないのであれば、ある程度は探しようがある」

 

 

 

「それに苺プロがあれば、そこに行けば間違いなく2人に会うことはできると思う」

 

 

 

 ふむ、確かにこう見るとありかもしれない。

 ……ミヤコ社長にも伝えるか?アイが生きていると伝えるのは子供達だけでいいのだろうか?少なからず、子供達を引き取り育ててくれてるであろう彼女にもバラすべきであるよね。

 

 

 

「………2人とも元気かなぁ」

 

 

 

「元気だよ、きっと」

 

 

 

「なんたって、アイの子供なんだからさ」

 

 

 

「えー?それどういう意味さー?」

 

 

 

「べっつにー???」

 

 

 

 兎にも角にも、これで彼への接触する手段は一応ではあるが確保できた。

 あとは、彼に接触して僕が何を得られるかだな。

 ……まぁ、何も得られなくてもアイの幸せな顔が見られたら僕は満足かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女の僕への惚れっぷりも結構凄いけど、僕も存外人のことを言えないほどの惚れっぷりなのかもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───こうして、僕とアイの幼少期は終わりを迎えるのであった。

 




 あくまでこの物語は彼女に愛を教えていく物語ですが、教えるためには己を知っていく必要があります。未だ明かされていない自らの過去に対面した時、レー君はどうなっていくのか?アイにどう愛を教えていくのか?そう言ったところに観点を置いてみて見てください。
 今回もご読み頂き、ありがとうございました!!
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