彼女達が寝ている部屋から物音が聞こえてくる。
きっと彼女たちが起きたのだろう。
「♪〜〜」
俺は鼻歌交じりに昼ごはん(夜ご飯)を作っている。
あかねの家の食材を勝手に使わせてもらっている。流石に日曜日の昼から何も食べていないのは不味いからな。親はたまたま泊まりがけの仕事なのか分からないが偶然いない。そのおかげで俺らは何一つ怪しまれることなく月曜日を迎えた。
………学校勝手にサボってしまったから、母さんと蓮の野郎からはアホほどLINEがきてるけどな。
「「零君っ!!!/レー君っ!!!」
「おう?やっと起きたか、この寝坊助共め」
「……ったく、どうしたんだよ?そんな真っ青な顔でさ」
部屋から飛び出てきた彼女達の顔は驚くほど真っ青だった。
何か怖い夢でも見たんだろうか?
「だってぇ、起きたらレー君横にいないから……」
「また零君がいなくなっちゃったんじゃないか……って」
「安心しろ、俺はどこにも行かん。ここにいるだろ?」
「……ゔ………ん」
「あーもう、そんなに涙で顔ぐちゃぐちゃにするなよw」
「……だってぇ」
俺がいなくなっただけで泣いてしまった彼女達を見て、不覚にも俺はこんなにも愛されているんだなと思ってしまった。
………いや、なんかキモいな。
「とりあえず、今はご飯作ってっから少し待っててくれ」
「すぐ出来るから」
「「うんっ!」」
良い笑顔だなぁ。
こいつらに喜んでもらえるご飯を作るとしますか。
昼ごはん、改め夜ご飯を食べ終えた俺はリビングでテレビを観ながらくつろいでいた。あかねの親はまだ帰ってこないらしく、不幸なことに台風が近いからか、外は土砂降りの大雨でだ。
そのため、俺とアイはもう1日だけあかねの家に泊まることになった。
「……さてと、じゃあそろそろ話し合おうか」
「んー?なにをー?」
「……零君?」
ソファに座りテレビを観ている俺に対して両隣を陣取る彼女達。
アイは俺の腕を自身の胸の辺りで抱きしめて頭を肩に乗せてくる。それに対して、あかねは体を少し逸らして俺の胸に顔を少し押し付けるような体勢である。
2人からは絶対に離さないという意思が嫌というほど伝わってくる。
「………俺らの関係についてだよ」
「………関」
「………系?」
息ぴったりである。
いや、随分と仲良いね君たち?
「……アイ、俺とお前の関係はなんだ?」
「うーんと?恋人で婚約者で夫婦だよっ!!」
「……なんか色々おかしいけど、まぁ大体当たってる」
「じゃあ、あかねは?」
「んーとね、前世からの恋人で婚約者で唯一の理解者で………あとは夫婦かな?」
「ブルータス、お前もか………」
「まぁいい、………問題なのはその関係についてだよ」
「どゆこと?」
「?」
2人は何を言っているのか理解できていない様子である。
……2人が理解できてないから尚更良くないんだよなぁ。
「お前ら2人とも、恋人、オーケー?」
「オーケー!」
「お、おーけー……?」
「恋人、2人、ダメ、オーケー?」
「「……………」」
「………俺らが良くても周りが許さんだろーよ」
「で、でもっ、隠せばなんとか……!」
「そ、そうだよっ!?」
「………お前らが人前で自制できるとは思えないんだが?」
「「うぐっ……」」
隠し通せるのであれば、俺だって別にそれでいいのだ。
だが、考えてみろ?こいつらだぞ?………場所問わず、イチャイチャしたがるに決まってるだろう。アイはそれが当たり前だと思っているし、あかねはずっと会えなかった反動があるはずだ。
実際、あかねからは絶対に離れないという意思を至るところで感じる。
「……じゃあ何?レー君と付き合えるの1人だけだから、話し合って決めるってこと?」
「………ふーん、そっかぁ?」
「いやっ、別にそういうことを言ってるわけじゃ………」
「まぁ?そうなるならっ?前世とか一回抜きにして、今世で最初に付き合ってた私が選ばれるべきだよね???ね?」
「いやいやいやいや?前世から付き合ってた私じゃないかな?私は零君を追ってわざわざこの世界に来たんだよ??私だよね?」
「いや、あの、話を聞いて………」
「ねぇ?前世とか関係ないよね?幼馴染で『今』付き合っている私だよね?」
「零君は前世で一緒を添い遂げることを誓い合った私を選ぶよね?わざわざ零君に会うために自殺だってしたんだよ?私以外選ぶ以外のことないよね?」
「え、あの、その、えぇ………?」
2人の目が怖すぎる。
ハイライトが一切ない瞳で俺を見つめないでくれ。というか一度ぐらいは瞬きしてくれないか?流石に瞬きすらしないのは恐怖なんだが………?
「あかねちゃんさぁ? 前世がなんだか知らないけどさ……、少なくとも今世で最初に出会ったのも付き合ったのも私なんだよ? それにレー君はあかねちゃんとのことは覚えてないわけ。それなのに、前世で付き合ってたとか言われたって困るだけだと思うよ? あと、あかねちゃんがわざわざ死んでまでレー君のこと追ってきたって言うのも、言われる側にとってはプレッシャーにしかならないの気づいたらどうなのかな? 零君からしたらその頃のことなんて一切知らないのにそれを持ち出されて迫られて?挙げ句の果てには貴方に会うために死にましただなんて言われたって困るだけだと思うんだけど? そんなことも考えられないのかなぁ???」
「アイちゃんこそ、いっつもいっつも人前でベッタリくっついてさぁ? 迷惑だと思わないの? 零君は優しいからわざわざ黙ってくれてるだけでアイちゃんに対して沢山不安あるかもしれないよ? それに私は前世からずぅっと彼と一緒にいたの。彼をずっと私を愛してくれたんだよ? 零君だって、過去を知ろうと私に歩み寄ってくれたんだよ。私が恋人だって知ってもアイちゃんがいるのに会いに行きてくれたんだよ? それ程の覚悟があったってことだよ? やっぱりこのは零君に選んでもらうべきであって、私たちが今付き合ってる云々で言い争うべきじゃないと思うんだけどな?大事なのは零君が誰を愛したいかだよ?」
………怖ぇよ。
いや何?怖すぎない?これが俗に言う女子の格付け合いってやつか!?さっきまで普通に仲良かったはずなのに、男が絡むと即座に互いに攻撃し合うの解像度高すぎて怖いんだが????………いや、冗談抜きに普通に怖くてチビりそうなんだけど。
逃げるかぁ…………。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
「「──────!!──────!!」」
あれから約4時間、彼女達は未だに言い合っている。
間に入って止めたいけど怖すぎてそんなことできる気がしない………。
「別にどっちか選ばないといけないだなんて言ったわけじゃないんだけどなぁ………」
「「……は?」」
「………へっ?」
気がついたら背後に2人が立っていた。
「な、なんで? 言い争ってなかった……?」
「んー?それはねー?」
「私たち考えたんだ」
「………何をでしょうか?」
何やら嫌な予感をするのは零君気のせいかなー???かなー??
「元はと言えば、全部零君が悪いよね?」
「え、あ、はい?」
「あかねちゃんに聞いたよー?前世でも色んな女の子に手を出してたんだって?」
「……いや、覚えてないんすよ、はい」
「やっぱりー?色んな女の子に手を出すレー君が悪いと思うんだよね?今だって私がいるのにあかねちゃんに会いに行くし?受け入れるしー?しー?」
これほどまで絶望感漂う「しー?」があっただろうか?
………いやマジ勘弁してください。怖すぎて足がすくんで動けないんだが??誰か助けて?
「だからね?アイちゃんとは話し合ったんだ」
「レー君を2人で独占しちゃって、二度と他の女の子を誑かさないように………って」
「………えーっと、それはつまり?」
「「私たち2人でレー君/零君を他の女の子も見れないほど虜にするの」」
あ、思ってたよりは健全そう………?
「「監禁して、毎日愛を注いだりしてね?」」
……いや、全然健全じゃねぇな!?
「「ニゲルノ?」」
「逃げませんっ!!………だからその手に持った包丁置いてええ!!」
「んふふ、レー君かわいいなぁ……」
「また零君とずっと一緒にいられるんだよ?」
「が、学校は?………それにアイはまだしもあかねは……」
「あ、それについて安心して?もうお母さんに連絡したからっ!」
「な、なにを……?」
「零君の家にしばらくお世話になるって!」
「………へ?」
「それに零君のいる学校に転校することにしたんだっ!! …………嬉しい?」
「ウ、ウレシイナー………あはは……」
いや、今の数時間でなんでそこまで決まってんの……?
「レー君っ!私もだよっ!! 愛奈さんにあかねちゃんのこと話したら全然おっけーだってさ!なんなら2人でレー君のこと、狂っちゃうほど愛してあげてだってさ?」
「もちろん部屋は3人一緒だよっ!」
「レー君の家、大きくて部屋も多いから全然余裕だってさ」
「「楽しみだね?」」
「「いーっぱい愛してあげるからね?」」
「………ほどほどに頼むよ」
「「レー君/零君、だあいすきだよ♡」」
話し合いの意味って一体なんだったんだろうなぁ…………。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
「お兄ちゃんっ!早く早く!」
「少し……待ってくれ………」
「もぅ、相変わらずモヤシなんだからー」
「………うるさい」
「にしたって、なんで急に北海道なんかに……。しかも、学校サボってまで……」」
「………まぁ、色々あるんだよっ!」
「………はぁ……?」
「お前の我儘聞いてくれた上にここまで一緒に着いてきてくれたミヤコさんには後でちゃんとお礼言っとけよ……-」
「もう、わかってるってばっ!」
零兄は北海道で生まれ育ったって言っていた。
私の記憶が間違ってなければ零兄が転校する前に通っていた中学校の名前は本町中学だったはず。ならば、学校帰りの子に少し尋ねれば零兄を見つけるのは容易いに違いない。
そして、零兄の他にもう1人。………あかねちゃんだ。
何故だかあかねちゃんは劇団『ララライ』ではなく、北海道の劇団『マーガレット』に所属している。
───それはつまり、あかねちゃんも記憶があるかもしれないということ。
「………ルビー?」
「ううん、なんでもないよっ」
「早くミヤコさんの所にいこっ?」
「………あぁ」
───待っててね、零兄。
───今、会いに行くから
───今度こそ、零兄もアクア……せんせのことも
───救ってみせるから
───まぁ、それはそうと?せっかくのせんせとの2人きりの旅行だし?楽しむのも大事だよね?………うん、るびーしたごころとかまったくないよ?ほんとだよ?
『遂に
『
『廻り続ける魂は役目を果たすまで廻り続ける』
『その魂の周りにいる魂もまた、共に廻り続ける定めになっちゃうんだよ?』
『もう、彼女達を巻き込んでしまったからにはやめることはできないよ』
『君は一体どうするのかな?』
『………
オリキャラ要素はあまり無いです。………じゃあ、最後のは一体誰なんだろうなー?
近いうち、全員(有馬かな以外)が集まります!