「ね、ねぇ………ほんとに話しかけて大丈夫かな??」
「大丈夫だから……」
目の前で狼狽えるアイ。
俺はそんなアイを後押しする言葉をかける。
「………でも、信じてくれないってことも」
「あの2人も前世があることは知ってるんだろ?なら、アイが生まれ変わってましたって言われても疑いはしないっての」
「それに、アイが生まれ変わってることをこの世で最も望んでるのはアイツらで間違いないんだから
「も、もーまんたい……?」
「伝わらんか………」
そんなやり取りをしながら俺は彼女が前方にいる双子に話しかけるのを待つ。
彼女曰く、どうにも緊張や不安で中々話しかけに行きづらいらしい。………いや、自分の子供達でしょうが。
あかねも一緒にアイが彼らと再会する瞬間を見届けるとばかり思っていたが、彼女は俺のいる学校に転校する手続きだかなんだかで普通に学校に行かなければならないらしい。そのため、合流するのは夕暮れ時になる。
「はぁ……、しょうがない」
「へっ?」
「今すぐに話しかけに行けたら何でも言うこと聞いてやるから、さっさと行ってきな」
「ほんとっ!?!?」
「いや声でかいっての!?」
「な、なな、なんでもって………」
「一回、落ち着こう?さっきまでの狼狽えはどこに??」
「だ、だって、『なんでも』………だよっ!?それってあんなことやこんなことしてもいいってことだよね?寝てるレー君にあんなことしたり、レー君とお外で存分にイチャイチャできるってことだよっ!?それに学校でレー君を呼び出してピーなことしてピーしてもいいってことだよねっ!?それにそれに!家でレー君をピーしてピーってしてピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「いや流石にアウトだよっ!?!?」………そ、そうだよね………ダメだよね…………」
さっきまで自信に満ち溢れていたはずなのに一瞬で元に戻ってしまった………。いや、しょうがないじゃん?流石にあれ全部受け入れるのは不味いだろ。
とはいえ、やはりアイのために受け入れるしかないのか……?
「はぁぁぁぁぁ…………、しょうがないから少し抑えてくれんなら聞いてあげないこともない」
「…………言ったね?」
「おう、言った」
「言質取ったからね?録音もしたからね???」
「いや、いつのまに撮ったんだよ………。嘘じゃないからさっさと話し─────
「ねぇっ!? 2人とも、今時間あるかなっ!? あるよねっ!?!?」
──────速すぎだろ…………」
かの有名なあのボ○トもびっくりな速さで前方にいた彼らの元まで走り、そしてさっきまでの狼狽えはどこに行ったのかと疑問になるほどの元気さで話しかけているアイを見て俺は驚きの言葉を口から漏らす。
「………はぁ、俺も行きますか」
俺は一歩遅れて彼女の後に小走りで続いていくことにした。
☆ ☆ ☆
「え………うそ……」
自分に突然話しかけてきた人物を見てルビーはありえないと言わんばかりの顔をする。
それもそのはず、目の前にいるのは10年近く前に死んでしまった亡き母にそっくりな少女なのだから。
「……そん…な」
アクアも同じく動揺が隠せていない様子。
………しかし、アイのことだからこのまま説明するのも忘れて俺のところに話しかけることが出来たという報告をわざわざしに来る可能性がある。
「レー君っ!!話しかけられたよっ?!これで約束守ってくれるっ!?!?」
「いやお前なぁ………」
アイさんや、目の前の2人を見てごらんなさいよ。
母親が生まれ変わって、今目の前で生きているかもしれない。そんな希望をアイを見て抱き始めたっていうのに、肝心のアイはただ一言話しかけて終わりって………。
時間あるかな?って聞いたくせに、それだけ聞いて俺の方速攻来るとか………ちと、冷たすぎじゃありませんこと? 見てみろ2人の様子をさぁ……めちゃくちゃ活気に満ち溢れようとしてるっていうのに、そんな2人を放置ですか?
というか、約10年ぶりに会う我が子なのに俺に何でも言うこと聞かせる約束の方が大事なんですかね。そこまで俺を好いてくれるのは嬉しいんだが、素直に喜べないぞこれは………。
「………アイ、それは後でいいから。まずは、2人の相手をしてやれ……」
「………あっ、そうだったそうだった!」
「………ほんとにママなの……?」
「誰もが目を奪われる一番星とは私のことよっ!!そう、私がかの有名なアイドルの星野アイ本人なのです!ででんっ!」
「………まぁ?今はレー君だけのアイドルだけどっ?」
「余計なことを言うなアホ。そして、説明の仕方が意味わからんすぎる」
「あー!アホって言った!私別にアホじゃないもんっ!アホって言ったレー君の方がアホだもんっ!!!」
「なんでお前はここまで雰囲気をぶち壊せるかなぁ………」
「え……?え、なにこの状況……」
ほらみろ、言わんこっちゃない……。
アイの変な暴露のせいで、せっかくの感動の再会になるはずだったのに、気まずい雰囲気になり始めてるんだが?
「………本当にアイ………なのか?」
「そうだぞ」
俺はアイの代わりに答えながら体を彼らの方に向ける。
「………えっ?」
「………はっ?」
ルビーは俺の顔を見るなり驚き、徐々に泣きそうになりながら────
「……れ…ぃ…………に……ぃ………?」
小さな声でそう呟いた。
いや、お前もかよっ!?
あかねもMEMちょも記憶があるんなら、他にも誰か記憶を引き継いでる気はしてはいたけど君もなのかい……。
………そーいや、あかねにもMEMちょにもアクアやルビーのことは色々聞きはしたけど、俺との関係性はあんまり聞いてなかったっけ。「零兄」って呼ぶってことはそれなりに親しかったってことだよなぁ………後でアイツらに聞いとくかぁ。
「………本当に零兄なの?」
「……ルビー…? お前何を言って……」
………この感じからして、アクアは特に記憶を引き継いでるってわけじゃなさそうだな。
しっかし、どう説明したもんかなぁ。
「あー……詳しい説明は後っ!一回、全員俺んち行くぞ。詳しい説明はそっからな」
「あと、アイ。お前は俺に何かするのは全部の説明が終わってからな??」
「ギクッ………あははー……なんのことかなー……?」
「……うん、ちゃんと全部説明してね?」
「……いまいち話がよく飲み込めんが、一回そうするか」
今夜は騒がしくなりそうだな………。
けどまぁ、楽しくはありそうだ。
「どーせ、お前も来るんだろ?」
『んー?どうしよっかなぁ?私の姿をあかねやルビーに見られるわけにはいかないしー?』
「……とか言いながら、どっかで俺らの会話聞いてそうだけどなお前」
『えー?どうかなぁー?』
「………上の階」
『んっ?』
「上の階、誰もいねぇから好きに使っていい」
『えっ?ど、どうして急に……』
「今のお前がどうであれ、流石に女性を野宿させんのは不味いだろ……」
『野宿って………別に私は寝なくても大丈夫だから、あっちこっち飛びまくってるだけだよー?』
「眠らなくてもいい体だとしても、元々は眠らないとダメな体だったんだ。たまには眠りたい時だってあんだろ」
『ふーん………優しいね、零君は』
「……うっせ」
『あ、照れてる?かわいいね』
「……黙れっ」
『………住まわしてくれるのは嬉しいんだけどさー、バレたらどうするつもりなの?私のことも、零君のこともなに一つとして言うわけにはいかないんでしょ?』
「そうなったら死ぬ気で誤魔化す。それでも無理ならお前を連れてどっかに逃げる」
『愛の逃避行か何かかなっ!?………いいね、2人っきりでどこか山奥で暮らすのもありかも』
「はいはい、そうですかい」
『……そろそろ行かないと怪しまれちゃうよー?』
レイニィー!マダァー⁉︎
レークン!レークン!レークン!レークン!……
ハヤクモドッテキテクレ……アイガコワイ……
「……そうみたいだな。てか、なんか一つおかしくね??」
『あははっ、楽しそうでいいじゃんっ?………じゃあ、またあとでね』
「おう、またな。夕食は美味しそうなやつ適当に置いとくから食べといてくれ。多分、遅くはなっちまうと思うけど」
『……ううん、あるだけでも全然嬉しいよ。ありがとね』
「どいたまー」
『じゃあ……』
「………おう、また後で」
『うん……また後でね』
ワリィ!トイレガコンデテサ!
レークン!レークン!レークン!
モウッ!レイニィニナニカアッタンジャナイカッテシンパイシタンダカラネッ!
アイガコワイアイガコワイアイガコワイ
『ふふっ、楽しそうでいいね……』
『これでかなちゃんを除く、全員が揃ったわけ……かぁ』
『かなちゃんはどうしよっかなぁ………』
☆ ☆ ☆
「あーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくんあーくん………」ブツブツブツブツ
「………仕事は完璧。今の私を知らない人はいない。人脈も沢山ある」
「これなら………今度こそ…………」
「………あーくんを救える」
「絶対に、今度こそ救うんだ…………!」
「待っててねぇ?あーくん♡」
俺がMEMちょに聞いた
それが他の人物によって半分が進められていたことを俺はまだ知る由もなかった。
───そう、
───カミキヒカルがもう死んでいることを
───
「なぁ、アイ?俺は全部説明し終わるまでは何もするなって言ったよな?」
「……はい」
「じゃあ、この手は何だ?あぁん?」
「レー君のピーを触ろうとしてました……」
「何でそんなことしようとしたか言ってみろ?あ?」
「レー君のピーをピーしてそのままレー君をピーしてレー君のピーをピーでピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー……………」
「………アイ、しばらく俺んち出禁ね?」
「そんな殺生なっ!?!?」
最近、アイからの愛と共に強い○欲も向けられているのは気のせいだろうか………?
アイちゃん結構色んな意味で酷いですけど、実はあかねちゃんの方がもっと酷かったりします……?