【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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○裏神漫才withあかね&Kakabel

香坂「搾取されれば謀反を起こされる、当然の話です――略して”砂糖”」

鳳崎「それ前にもやったネタやんけ! 天丼や!」

反町「トップアイドルだったお嬢様がテロリスト化とは……有能な人材は相応の物を与え育ててこそ莫大な恩恵を得られる。それを分からず目先の利益だけを狙った搾取で有能を潰すなど、極めて無能だ」

葵「麻薬を通じて他人の人生を壊す貴方達も立派な搾取者では?」

Kakabel一同『全く持って同意ですわ』

香坂「おやおや、これは手厳しい。……ですが、既に貴女方も我々の事をとやかく言える立場にないのでは?」

Kakabel『…………』

あかね「あの、そろそろ私を家に帰してくれませんか……?(うぅ、何で犯罪者に挟まれながら漫才しなきゃいけないのぉ……?)」

全員『ダメです(だ)(や)』

あかね「かなちゃーん! みんなー! 助けて~!!(泣)」




前回でヴィランメインのお話が終わる予定でしたが、予想以上に長くなったのでもう少しだけ続きます。


93話

その後、葵達は大量の死体処理の為に応援を呼んだ。

 

「派手にやっちまったなぁ。阿鼻叫喚とはこの事だぜ」

「申し訳御座いません、日野崎さん……」

「なぁに気にするな。この無駄に肥えたスーツ野郎に恨みが山ほどあったんだろ? 如何にも弱え奴を食いまくってブクブク太った豚って感じで、俺も見ててハラワタが煮えくり返りそうだ」

 

連絡を受けて駆け付けたのは日滅軍参謀を務める半グレの男、日野崎新太である。彼は30人近い兵士達を引き連れてきていた。

 

「薫の奴からコイツを粛清する話は予め聞いてたからな。既にアスファルト工場には連絡済みだ。あと5分くらいで業者が此処に来るが、お前等は別に参加する必要はねえ。さっさと血塗れの服を着替えてお家に帰りな?」

「はい、ありがとうございます」

「後を宜しくお願いしますね」

「おう、お疲れ」

 

後始末は日野崎達が対処する事となった。遣り取りが終わり、日野崎が離れたタイミングでKakabelの元へ集う男女が10名程度。

 

「アオさん、腕を怪我してますよ!? 手当しますので見せて下さい!」

「大丈夫です、こんなの掠り傷ですわ」

「ダメです! ちゃんと治療しませんと!」

 

葵の腕の傷に気付いた医療担当の女性兵士が、彼女の断りを遮り消毒に入る。男性兵士が他の6人へ心配そうに声を掛ける。

 

「皆さんも怪我とか大丈夫ですか? もし御座いましたら直ぐ申し出て下さいね?」

「はい、今のところ問題は御座いません。心配して頂きありがとうございます」

「当然です、皆さんは今でも俺達にとって推しの子なんですから」

 

20歳から20代半ばまでの若い人間ばかり。Kakabelのファンでもあった彼等は推し達が心配で仕方ない。

 

「でも、やりましたね。とうとうクルミさんの仇が取れた」

「こんなゴミ屑にクルミさんが苦しめられてたなんて……日滅軍に入らなければ私達、全く知りませんでした」

「こんの、クソ野郎が……! よくもクルミさんを!」

 

そんなファン達にとって推しを地獄に落とした谷山は死んで当然のクズでしかない。葵の手当をする女性兵士以外は奴を睨み付けたり、亡骸を蹴ったりする者も出てくる。それを咎めるでもなく、百合花が兵達に穏やかに笑い掛けた。

 

「……ありがとうございます皆さん。胡桃さんの苦痛を少しでも理解して下さる。それだけでも彼女にとっては救いとなるでしょうから」

「何を言うんですかユリカさん、我々は貴女達のファンでもあるんですよ? ここまで知った以上、何もしない訳には参りません。これからも皆さんの革命のお手伝いをさせて下さい」

「推しの力になれるなら、私達はファン冥利に尽きます!」

 

「えぇ、宜しくお願いしますね?」

 

『勿論です!!』

 

推しからの期待に目を輝かせ、力強く返答するファンの兵士達。本来であれば微笑ましい筈のファンとアイドルの交流が、大量の死体と血が散乱する中で底冷えする狂気を漂わせていた。ファン達はKakabelの所業を目の当たりにしても咎めたりせず、それどころか盲従し暴力革命に加担する始末。推しへの崇拝と献身が極端なまでに歪んだ一例だろう。

 

 

 

 

 

倉庫の隅で着替えを済ませ、血塗れの軍服や武器を兵達に預けたKakabel。明日以降も会社に大学に、名家の娘でもある彼女達は兎に角忙しい。

 

「では日野崎さん、また一週間後の会合で」

「おう。時間は19時からだ。遅れんなよ?」

「はい、失礼致します」

 

日野崎にもう一度一声掛けてから撤収する。

 

「……」

「葵? どうした?」

「「葵お姉様?」」

 

しかしふと何を思ったのか葵は立ち止まり、彼にとある質問を投げ掛けてみた。

 

「……日野崎さん、貴方について気になる事が」

「なんだ、葵?」

「日野崎さんはどうして兄様と一緒に革命を目指そうとお考えに? 貴方も何らかの搾取を受けた経験が?」

「……そういや話した事なかったな」

 

到着した業者の車に遺体を運び込む兵達を眺めながら、日野崎は頭髪をガリガリと掻く。

 

「もう16年も昔になる」

 

過去を語る奴の声には、怒りと屈辱が滲んでいた。

 

「俺も上からの無理強いで一度破滅したようなもんでよ。所謂親会社の無茶な命令で子会社だった俺の所属組織が全滅したんだ。杠葉胡桃が受けた地獄とはベクトルは違うが、彼女の苦痛は理解出来るつもりさ」

「親会社、ですか?」

「あぁ」

 

日野崎は腰に手を当てたまま彼女達に振り返った。

 

 

 

「――羅威刃。っていう親会社さ」

 

 

 

少し前まで表社会で生きてきたKakabelも、その組織名は知っていた。つい最近の報道で初めて存在を把握したばかりだったが。詩織が眼鏡を指で調整しつつ、7人を代表して答える。

 

「”羅威刃”……この間ニュースに出てきた半グレ組織でしたね――16年前に原因不明の壊滅を遂げたという。確かトップである城ヶ崎賢志の死亡が漸く確認され、被疑者死亡で書類送検されたと」

「少女連続失踪事件の主犯である風見組組長の証言から判明したらしいですね」

 

Kakabel全員が不愉快そうに整った顔を歪める。

 

「風見組。胡桃さんくらいの年齢の女の子を地獄に落とした外道組織が……」

「構成員はほぼ全員逮捕され、組織は完全解体となったそうです。清々しますわ」

 

先月、風見組が海外マフィアと手を組んで起こし、そして解決した事件――13歳から19歳の少女を拉致し、腎臓を抜いて海外へ売り飛ばす。少女連続失踪事件は、テロを起こしたKakabelから見ても憤慨すべき出来事であった。胡桃の場合とは状況は異なるものの、年端も行かない少女が搾取された事に変わりはないのだから。

 

しかし、彼女達も組織の命令とはいえ少女達の未来を奪った存在。自分達の悪行を棚に上げて、風見組の犯罪を非難したところでダブルスタンダードでしかない。

 

「俺はその羅威刃の……城ヶ崎の無茶ぶりで破滅したんだ。異を唱えただけで殺すようなイカレ野郎に、ボスも仲間も全員犠牲になった。――彼奴、路地裏で孤独にくたばったらしいぜ? ざまあみろってヤツだ」

 

舌打ちする日野崎。その表情はおれに対する憎しみで歪んでいた。

 

「自身も幹部連中もあんだけ強え癖によ……黒焉街くらい最初から自力で奪えってんだ」

「日野崎さん? 何か?」

「何でもねえ、独り言だ」

 

おれが率いていた羅威刃の傘下に属してただろう半グレ。前世の因縁は、今尚おれに牙を向こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――城ヶ崎。お前の所為で俺は仲間を失い、10年以上も惨めな生活を強いられた。今こそ復讐の時だ」

 

Kakabelの帰宅を見送った後。奴は口角を上げ、誰にも聞こえない声でこう溢す。

 

「お前が俺等に認めた手法で大勢を地獄に落としてやる。テメエは死んでも世界からバッシングを受ける運命だ」




○宮里薫(イメージCV:中村悠一)
新生日滅軍軍団長。旧軍のトップ、松村美津留が遺したブログに感化され、暴力的な革命思想に目覚めてしまった。北九州テロや谷山の粛清も彼の指示の下、実行されたものである。
しかし妹とその仲間達の無念を晴らす想いも確かであり、複雑な人間性の持ち主。

○日野崎新太(イメージCV:ヤシロこーいち)
新生日滅軍参謀にしてNo.2(ただしトップの薫とは実質対等な立場)。幹部陣の中では唯一半グレ出身の裏社会の人間。北九州テロではホームレスを自爆させる手法を立案し、葵や兵士達に実行させた。
かつてはとある組織の幹部であり、羅威刃とは只ならぬ因縁があるようだが……



日滅軍軍団長と参謀も一応松村よりは戦闘力がありますが、真田を裏切った吉木や、前回殺された海砲須のボスレベルで、Kakabel(特に戦闘隊長)には及びません。
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