【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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今回はみなみと龍珠組内部、そして新生日滅軍のお話を含みます。原作がくや様は告らせたいでも龍珠組の情報が乏しい為、オリジナル要素も多分に含まれています。1人だけヒューバグ原作にも登場した子がいます。


97話

ウチの名前は寿みなみ。

 

「……あかん、マーくんキャワワ///♡♡」

『え、エヘヘ///。ありがとう、みなみ。君に褒めて貰えるの、ちょっと恥ずかしいけど嬉しいや』

 

妖精姿の彼氏に内心身悶えている、グラドルの女子高生です。

 

現在、ウチは撮影後の休憩中。ソファーに腰掛けてのんびりしてたところにマーくんから電話が掛かってきた。テレビ電話でしたいとの事なので切り替えてみると、画面越しにとってもキュートなアイドルが現れました。

 

「でもええんです? JIFでお披露目する衣装をウチに見せたりして」

『特にそういう禁止事項は言われてないからね。それにみなみにも、おれのこの姿を見せたいなって思ったから」

「はい、良いもの見させて頂きました。お陰で眼福やねん、おおきにな」

『良かった』

 

マーくんが安堵した表情を浮かべとる。変に思われないかとか心配しとったんやろうけど、それは杞憂やで?

 

だってウチはマーくんの事を天使王子としても推しとるんで、こんな風に女の子な姿を見せてくるのは全然嫌やない。寧ろ大好きなまである。勿論、男の子としての姿も負けないくらい大好きやけどな。

 

「また女の子の衣装を見せる機会があったら……良いかな? みなみから感想を聞きたいんだ」

「勿論やで! 楽しみにしとる!」

 

これからもマーくんのかわええトコ、ウチに見せて欲しいな?

 

『そうそう、そのJIFなんだけど』

「うん?」

『8月の×日がお姉ちゃん達の出場日なんだ。みなみはその日、会場に来れそう? 社長の伝手でチケットも用意したんだけど……』

「ホンマ? 予定の方なら大丈夫やで? ウチもルビーちゃんの初デビューを見てみたいし、おおきに!」

 

実はフリルちゃんから当日見に行く話を受けた事をマーくんに伝える。なら不知火さんの分のチケットも用意するね、と言ってくれた。

 

『それでさ……その……』

 

するとマーくんが急に頬を赤らめてモジモジ……ちょ、待ってや。タダでさえ可愛いのに、そんな仕草されたら更に可愛いやんけ。

 

『もし時間が空いたらさ……2人きりで会場を見て回りたいなって?』

 

……はうあ!? ちょい待ち! これってまさか……!

 

 『も、勿論、不知火さんが一緒なんだし、おれの我儘でしかないから無理にとは言わないけど……』

 

初々しいなぁマーくんったら。ウチはクスリと微笑を浮かべる。そして同時に、胸も熱くドキドキしてくる。

 

「ええですよ? 一緒に回りましょう?」

 

彼氏のこんな可愛いお願いを聞かされたんや。そうでなくとも最初から答えは決まっとる。フリルちゃんには申し訳ないけど。

 

『ありがとう、楽しみにしてるね?』

 

それはそれは愛くるしい笑顔で、ウチを更に魅了させるマーくんやった。

 

 

 

 

 

通話後、ウチは一旦冷静に思考を巡らす。これって、もしかしなくともアレやな?

 

「マーくんから……デートのお誘い……」

 

一緒にライブ鑑賞したり、売店を回って美味しいものを分け合ったり……

 

「〜〜〜//////」

「みなみちゃ〜ん、そろそろ撮影再開……どうしたのさ顔両手で覆って足バタバタさせて?」

 

スタッフのお姉さんが不思議そうに声をかけてくる。ウチは慌てて立ち上がり、顔を振って誤魔化す。

 

「な、なんでもあらへんで……!? さ、さぁ撮影に戻りましょう!」

「え、えぇ……(みなみちゃん、前回の撮影から雰囲気結構変わったなぁ……より乙女らしくなったというか、大人っぽくなったというか……)

 

あぁ、当日が楽しみで仕方あらへん///

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

私の名前は龍珠桃。

 

「悪いな3人共。シノギの最中に呼び出してしまって」

 

元秀智院学園の生徒にして、日本最大の極道組織『龍珠組』の令嬢だ。

 

「構いません。お嬢様のご命令とあれば例え火の中水の中」

「澤本の姉御の言う通りっす。お嬢達龍珠家を御守りするのが、俺等“龍の蹄”の一番の役目っすからイテッ!?」

「お前はもう少し畏まった喋り方しないか宗弥!」

「何も殴る事ないでしょう姉御ッ!」

「大丈夫ですか雪河の兄貴? 澤本の姉貴はこういうところ厳しいですから言葉には気を付けないと」

 

今日、私はある重大な仕事を与える為、超武闘派の男女3名を本部の執務室へ呼び出した。それがこの彼等、普段は警備会社を運営している美男美女だ。最年長の女はスーツ姿だが、少し後ろに控える若い男女は比較的ラフな格好をしている。

 

「……取り敢えず続けて良いか?」

「あ、はい! 失礼致しました」

 

30半ばで、組内では中堅に位置する女極道『澤本楓(さわもとかえで)』。その舎弟であり、若干24歳でありながら猛者として名を連ねる青年『雪河宗弥(ゆきかわそうや)』。そしてクリーム色のミディアムヘアを靡かせた、少女のような印象を持つ20歳の女『楠木菖蒲(くすのきあやめ)』。組内でも100人弱しかいない最精鋭”龍の蹄”に属する彼等に、私はデスクに座ったまま告げる。

 

「傘下の警備員を率いてJIFの警護を主導して欲しい」

 

途端に宗弥と菖蒲の雰囲気が変わって真剣な目付きに。楓は変わらず冷静のままだったが、鋭い眼光を宿す。

 

龍珠組は表の警備会社を通じてイベントのセキュリティを請け負う事が多い。……だが今回の業務は危険度が高い。

 

「お嬢様。JIFの警護という事は、北九州の件が関係しているのですか?」

 

尋ねる楓に私は頷き、広げた見取り図のポイントを指差す。

 

「あのテロはアイドル界隈に大きな影を落とした。運営委員会は警戒を強めていて、龍珠組の力が必要だと頼ってきたんだ。……しかしお前達程の精鋭なら、どんな脅威も排除可能な筈だ」

「へへ、そう言って貰えると俄然気合が入ってきますぜ、お嬢!」

 

龍の蹄。武闘派組織としての側面も持つ龍珠組の中でも、特に選りすぐりの戦闘者で固めた超武闘派集団だ。親父や私の命令で動く直属部隊であり、一人一人が天羽組や京極組等の主力級とも渡り合えるポテンシャルを秘めている。『龍珠家の近衛兵団』とも呼ばれる通り私等一族の護衛が主だが、今回のような重要任務に駆り出される事も少なくない。

 

「警備会社からは女性警備員も多く派遣し、バックステージの警護も徹底しろ」

「お嬢様、我々の方からも女性中心に武闘派を派遣すべきでしょうか?」

「……ふむ、出場するアイドルは女が大半だからな。男の人員では入り辛い場所の警備もしやすいし……楓、人選は任せても?」

「はい、お任せ下さい」

 

楓や菖蒲を見ても分かる通り、うちの組は女極道が多く所属する異色の組織だ。その比率は全体の約3割に達し、特に龍の蹄は龍珠家の人間に女性が多い事から半数以上が女極道で占められている。

 

完全男社会の極道界に何千人もの女性構成員を迎えているなんて、他の組織からしたら愕然ものだろう。だが、この柔軟性こそが龍珠組を日本最大の任侠集団へ押し上げた要因の一つでもある。

 

「ただし何度も言うが――」

「殺しは極力避けろ……っすよね?」

「そうだ宗弥。本当に危なくなるまでは、決して敵であろうと命まで奪ってはならん」

 

他の理由としては……この不殺の徹底であろう。

 

「ふふん、私達なら慣れたもんですよ。殺さずに無力化するくらいなら」

「油断はするなよ菖蒲? 相手は本気で殺しに掛かってくる場合もあったんだからな? 特に同じ裏社会勢力であれば。必要あらば腕の数本は折ってやっても構わん」

 

甘いと思われようが、うちは広域指定暴力団として目を付けられている巨大組織。殺しなんかすれば非常に目立ち、警察による大規模な介入を招きかねない。一昔前のように警察や司法が機能しにくい時代なら大目に見て貰えたかもしれないが、そんな狂った時代はとうに終わっている。環境に合わせて極道も柔軟に動けなければ、暴対法で雁字搦めにされている私達は破滅一直線だ。

 

「龍珠組の誇りに掛けて、アイドルと観客達を守り抜け」

 

「承知致しました」

「了解です、お嬢様!」

「誰かを幸福へ繋ぐ人間でありたい。今回の任務もその想いを胸に励んでみせます!」

 

夕陽が部屋を赤く染める中、3人は私の執務室を後にする。

 

例え爪弾きの扱いを受けようと、龍珠組は罪無き堅気の為に戦い続ける。任侠道を貫き、外道を潰し、弱者を守る。それが私達の生き方だ。

 

 

 

 

 

「――雪河の兄貴。”誰かを幸福へ繋ぐ人間でありたい”って、どういう意味ですか?」

「ん?」

 

龍珠組本家の廊下を歩いている龍の蹄の3人。その中で最年少の菖蒲が後ろ手を組みながら前方の宗弥に話し掛けた。

 

「そういえば菖蒲には話した事は無かったんじゃないか宗弥?」

「確かにそうっすね。別に隠す程の事じゃねえし、話してやるよ」

「やった!」

 

とても極道とは思えない程無邪気に喜ぶ菖蒲。そんな彼女に宗弥は自身の身の上話を始めた。

 

「……もう16年以上前になるかな? 俺の父親はロクデナシの屑野郎だった。お陰で俺も母さんも地獄みたいな生活を強いられた」

 

宗弥の家庭環境は劣悪の一言だった。何故なら傲慢で暴力的な父親に自分と母は支配されていたから。

 

「ある日の事だ。公園に差し掛かった所で、俺の眼前で母さんが屑野郎に殴られそうになった」

 

 

 

『テメエはなんだ、その口の利き方は!』

『ごめんなさい、やめてえええ!?』

『あ、あぁ……』

 

切っ掛けは酒が用意出来ない件で母と揉め事になったからである。父親はブチ切れて暴力で従わせようとした。

 

『女。子供に見せるな、目を覆え』

 

そんな時だった。母親にギュッと抱き締められた宗弥が、父親以外の男の声を耳に拾ったのは。

 

『餓鬼の前で母さんを殴ってんじゃねえ!!』

『ゴべエエエエッ!!?』

 

次の瞬間に聞こえてきたのは――知らない男の声に混じった父親の断末魔と、骨や肉が砕ける嫌な音。

 

『お前、顔が気に喰わねえんだよ。死んどけ』

 

その言葉を最後に声は聞こえなくなった。母親が漸く自分を解放してくれた時には、顔が醜く腫れ上がった父親が転がってるのみ。他には誰も居なかった――。

 

 

 

「――親父が再起不能になった事で、俺と母さんは彼奴から逃げ出す事に成功した。その後も苦労は絶えなかったけど、奴の支配から解放された俺達は漸く幸せに暮らす事が出来たんだ」

「へえ、兄貴も父親に酷い扱いを受けてたんですね。――それで兄貴は任侠者を目指そうと?」

「あぁ、当時の極道は自警団として半グレとか悪い奴から市民を守ってたからな。俺と母さんを助けてくれたのも、何処かの極道に違いないと思ってよ」

 

宗弥が極道になった理由はその恩人の存在が大きい。

 

「その人のお陰で俺は幸せになれた。だから俺も同じように苦しんでる人を窮地から救い、幸せな未来へ向かう切っ掛け的な存在であろうと決めたんだ」

 

今尚何処かに居る恩人を探す為。そして何時か恩人と再会し、助けてくれたお礼を言う為。

 

その未来は意外な形で訪れる事になるが、果たして宗弥がそれに気付けるかどうか……

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

その日の夕方。龍珠組本部から遠く離れた榎並家の屋敷より。

 

「――情報を入手しました。やはり北九州の件をJIF運営委員会も警戒しているようです。龍珠組の要が動き出そうとしています」

『“龍の蹄”か……厄介な連中が来ちゃったね』

「はい、女性の暴力団員が多数占める事で有名な戦闘集団です」

 

この屋敷の令嬢――榎並詩織が部下の兵士から得た情報を精査し、軍団長の宮里薫に報告の電話を入れていた。

 

『凄い話だよ。完全男社会の極道界に、性別問わず人員を引き入れるなんてね』

「えぇ。それにより龍珠組全体で3000人以上もの女極道が所属しています。全極道のリーダー的な立場ながら、非常に異色に満ちている」

『極道界も漸く男女共同参画の時代が到来、か。暴対法で多くのヤクザが廃れる中で彼等だけ急成長出来た絡繰りは、きっとそれなのかもね』

 

詩織は自室のデスクに座り、開いたノートパソコンに龍珠組の情報を表示させる。軍団長の声が電話越しに響く中、彼女は画面をスクロールして組織構造を分析する。連中の動きは、彼女達にとって大きな障害だ。

 

『……まあそれは別に良いとして。詩織、対策の方は?』

 

押し上げた眼鏡のガラス越しに光る、分析者らしい冷徹な瞳。対策は既に練り始めていた。JIFでのテロを成功させる為にも、龍珠組の動きは封じなければならない。

 

「現在は夕日さん率いる科学隊と連携し、潜入ルートの洗い出しを進めています。アイドルに女性が多い点を利用して、こちらも女性兵士をメインに場内へ浸透させます」

 

とはいえ龍珠組のような大きな極道組織の介入は想定内。治安が大きく改善された現在でも、未だに暴対法に喧嘩を売るかの如く極道に警備を依頼する一般勢力はそれなりにいる。

 

そして多くの極道がフロント企業として警備会社を運営している。其処を上手く利用して、堂々と正面から兵士を侵入させるのだ。こうすれば武器弾薬すら容易に中へ搬入出来てしまう。

 

「龍珠組傘下の警備会社は2つ。その両方でライブ警護の為の人員募集を始めているそうです。ここは他の部隊からも兵士を集めて応募させるべきかと……人数は多い方が作戦を遂行しやすいので」

『良いだろう。各隊から70~80人程度選抜して警備員として潜入させようではないか』

 

薫は少し小馬鹿にするような笑い声を上げる。

 

『それにしても、急拡大した弊害が出てるようだね龍珠組。ライブの為の警備員募集を堂々と宣伝しちゃうなんて。工作員が市民のフリして応募してくるかもしれないのに』

「はい、危機管理意識が十分に行き渡ってない様子です。北九州の大東組は、その点をしっかり対策してましたのに」

『日野崎が捕まえたホームレスを人間爆弾に仕立て上げる必要があった位だからね……まぁ逆に大東組は葵に負ける程度の層の薄さだったから、侵入は容易かったけど』

 

龍珠組。彼等は当人達も未だ気付いていない最大の弱点を突かれてしまっていた。




マリア「ヘクチ! ……うぅ、誰かおれの噂でもしてるのかなぁ?」




オリ勢力・オリキャラ紹介

○龍の蹄

龍珠組構成員の中でもエリート中のエリート揃いの超武闘派。通称『龍珠家の近衛兵団』。総勢およそ100名。その内の半数以上が女極道で占められている。
主任務は龍珠家や要人の護衛。他にも大きな案件に駆り出される事も少なくない。
今回は以下の3名が傘下の警備員に混ざってJIFの警護を固める。

・澤本楓(イメージCV:後藤邑子)

30代半ば。黒髪ロングにスーツ姿の中堅幹部の女性。生真面目な性格で、舎弟の雪河宗弥の口の軽さによく物理的なツッコミを入れている。様々な武具や武術を使うオールラウンダー。

・雪河宗弥(イメージCV:畑耕平)

24歳。薄赤の髪にラフな格好の若手極道。楓の舎弟で、彼女から戦闘術を伝授されている。この若さで龍の蹄に選抜される程の優秀さを持ち、後述の菖蒲と共に龍珠組のエースとして期待されている。
極道(と本人が勝手に思っている相手)に助けられた事で任侠に目覚め、龍珠組の敷居を跨いだ。極道になった現在も母との仲は良好。
実は菖蒲から少なからず好意を抱かれてるが、とうの本人は気付いていない。
喋り方や声色は隼瀬組組長の常盤哲っぽい。

・楠木菖蒲(イメージCV:高橋李依)

20歳。楓と宗弥の舎弟ならぬ舎妹。クリーム色のミディアムヘアの、明るく活発な性格の持ち主。全体的に少女らしい印象で信じ難いが、これでも立派な任侠者である。
引掛けが先端に付いた2本の強靭な縄を装備しており、それらを巧みに操って強力な攻撃を繰り出してくる。
宗弥と共に龍珠組のエースとして将来を期待されている。
喋り方や声色は『このすば』の めぐみん っぽい。
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