【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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てか、ポンタロスの目にも星が宿ってる事に今更気が付いた……(こっちは五芒星ですけど)。


113話

ウチの名前は寿みなみ。

 

「みなみちゃーん!」

「あかねちゃん! 稽古は終わったん?」

「うん、今日は事務所仲間がJIFに出るって言ったら、早めに上がらせて貰えたんだ」

 

遅れて会場に駆け付けた友達を迎える、キャノンファイアのグラビアアイドルや。

 

「あれ? みなみちゃん、こっちの人は?」

「え、あぁ、この子はな――」

「どうも、ただの超有名人です」

 

隣に立っていたフリルちゃんが変装を解くと――、

 

「てえぇッ!? 不知火フリむぐ「ビー、クワイエット」」

 

案の定、目ん玉飛び出してもうたあかねちゃん。すぐさまフリルちゃんが彼女の口を抑えたから、周囲に正体が露見する事はなかったけど。

 

「はぁ、はぁ……ご、ごめんなさい。あ、私は黒川あかねと申します……」

「ララライの舞台女優さんね。みなみちゃんから話は伺ってるわ。改めまして、私は不知火フリル。驚かせてしまってごめんなさいね?」

「い、いえいえ。まさかあの有名な不知火フリルさんに会えるとは思いませんでした。宜しくお願いします」

「――あ、ちょっと2人共。出てきたで?」

 

2人の自己紹介も終わり、3人でブロンズステージに上がる人物を見上げた。

 

 

 

「――以上! ”ラブ×ラブ×ヒロインズ”より、『ヘビィ・ナイトメア』でした! 皆さん、ラブ×ラブ×ヒロインズの女の子達に盛大な拍手を!!」

 

 

 

華やかなアレンジを加えられた改造巫女服を纏い、マイク片手に叫ぶ司会の少女。彼女の声掛けに合わせてアイドル達を膨大な拍手が包み込んだ。パフォーマンスを終えたばかりで疲れてるだろう彼女達は、それを一切見せる事なく観客の熱狂に笑顔で答えていた。

 

「マーくん、何時になく生き生きしとるわ。あのままアイドルになってもええと思うけどなぁ」

 

そんな中、ウチだけは司会の子だけに意識を向け続ける。どのアイドルよりも遥かに綺麗で可憐な少女に見えるけど、れっきとした男の子で――ウチの彼氏さん。

 

「!」

 

ん? マーくんと目線が合っているような気が……

 

(やっほー、みなみ~!)  ニコッ!

 

「ッ!?」

 

はうあッ!? メッチャええ笑顔で手を振ってきをった!

 

(何もせず立ったままでも可愛いのに……あんな振る舞い見せられたら心臓バクバクになってまうやんけ)

 

でも……これだけの群衆の中からウチを見付けてくれたんやな。何というか凄いし、ものごっつ嬉しい。胸が熱くなってくる。

 

「……ねえ、あの司会の女の子とんでもなく可愛くない?」

「笑顔が最高過ぎる! 何処の事務所の子なんだろう? 俺、あの子のファンになろうかな?」

「あの子も後で此処のステージで踊るのかな? 楽しみ~」

 

「……」

 

ふっふ~ん、ええやろええやろ~? 実はウチ、あの子の彼女なんやでー?

 

「みなみちゃん、みなみちゃん」

 

やっぱ彼氏が褒められるんは気分ええなぁ。自分事みたいで誇らしくなってくる。

 

「みなみちゃんってば」

「うわッ!?」

 

ってフリルちゃん!? ビックリしたわ!

 

「どうしたの? さっきからニマニマしてさ?」

「え、いや、何でもあらへんで!」

「「???」」

 

首を傾げるフリルちゃんとあかねちゃん。あっかん、顔に出てたんか……恥ずかしい、危ない危ない。

 

「では一旦ここで休憩に入ります! 再開は18:00からとなりますので、宜しくお願い致しまーす!」

 

あ、交代の時間が来たみたいやな、マーくん。

 

「ごめん2人共。ちょっと……」

「マリアくんとデートでしょ? いってらっしゃい」

「私の事は気にしないで、2人で楽しんできなよ?」

「おおきに」

 

するとフリルちゃん、無表情のままあかねちゃんの腕に抱き着いた。当然、あかねちゃんは目をパチクリ。

 

「代わりに黒川さんには私と一緒に回って貰うから」

「え、不知火、さん?」

「これも何かの縁だし、一緒に楽しまない?」

「は、はい……(あ、あの大物芸能人の不知火フリルと? 私は夢を見てるのかしら……?)」

 

うふふ、なんかフリルちゃんとあかねちゃんも素敵な友人関係を築けそうやな。

 

 

 

 

 

JIFの会場は、まるで巨大な祭りの渦中やった。ブロンズステージからゴールドステージまで色とりどりのライトが煌めき、観客の歓声が絶え間なく響き渡る。空気には売店のお菓子の甘い香りと、汗ばんだ興奮の匂いが混じり合っている。

 

「マーくん!」

「みなみ、お待たせ!」

 

そんな中でウチは胸を高鳴らせながら、仕事を一段落させた彼氏を待ち侘びていた。

 

「待たせちゃってごめん! ステージの締めが少し長引いちゃって」

 

ステージの袖から降りてきたマーくんは、改造巫女服のフリルが揺れ、金色の髪がライトに輝いていた。司会を終えたばかりの彼は少し息を弾ませながらも、ウチを見つけるなり柔らかい笑顔を浮かべて駆け寄って来た。

 

「わ、綺麗……」

「可愛い過ぎる……何あれ、妖精?」

 

……たったそれだけの行為なのに、周囲の人達の目を奪い、魅了させてまう。アイドルをやれば、きっとルビーちゃんにだって引けを取らないだろう。

 

「ええよええよ! マーくんの司会、ほんまかっこよかったで! 観客のみんな、ステージに上がってる他のアイドルそっちのけでメロメロやったわ」

「そう? おれはみなみを探すのに意識の過半を使ってたから、全然気付かなかったよ」

 

マーくんは照れたように頰を赤らめ、ウチの手を自然と握った。この子の手、温かくて何だか安心してまう。

 

「じゃあ……行こう。時間も限られてるし」

「――うん///」

 

手を繋いだまま、ウチ等は会場の人波に溶け込むように歩き始めた。絵に描いたようなラブラブカップルやけど、マーくんが女の子にしか見えない為か仲の良い女友達のように映っているらしい。擦れ違う人々が一瞬だけウチ等に視線を向けても、すぐに前を向いて去っていく。

 

「まずは何処から行こっか? ウチ、マーくんと一緒に回るの楽しみすぎて、ちょっと思い付かんくて……」

「あはは、おれもだよ。ん~、そうだね……」

 

このJIF会場は広大で、ステージ以外にもフードコート、グッズショップ、体験ブースが点在し、まるでテーマパークのようだ。マーくんは少し考え込み、ふと視線を上げて提案した。

 

「じゃあ、まずはフードエリアからかな。司会で喉乾いちゃったし、お腹も空いたし。何かご飯でも食べようよ?」

「ええなあそれ! ウチも丁度お腹ペコペコやったし」

 

という訳で、まずはフードコートへ直行。そこは数多のストリートフードが並ぶ楽園で、たこ焼きからクレープ、タピオカミルクティーまで、目移りするほど多彩な料理が用意されている。

 

お客さんの数は膨大で、当然需要も豊富。ブースを出す店員さん達はまたとないビジネスチャンスをものにしようと、誰もが気合を入れて料理と営業に励んでいた。

 

「うぉおおおおおおおおおおお!!! 売れる売れる売れまくるッ!! 通常の5倍以上も! JIF、最高だぁああああああ!!」

「夏といえばカキ氷! そして程良く冷やされた焼き芋! ダメ押しのパイナップル&マンゴー! これらを合わせた”冷やし焼き芋ONかき氷(JIFスペシャル)”は如何ですかー!」

「『氷誕屋バース』は貴凛町で通常営業してま~す。是非またお越し下さいませ~」 

 

わぉ、なんだか見るからに暑苦しそう。特にカキ氷機回しとる青髪のオッサンが。速過ぎて取っ手が扇風機みたいに動いていて強風が発生しとる……もはや人間やないわ。

 

「……あそこ、行く?」

「う~ん、でもお客さん凄い多いからなぁ。それにデザートやし……まずはご飯からいきましょう?」

「分かった」

 

「うぉおおおおおおおおッ!!!」

 

((喧しいッ!!))

 

いや凄まじい熱気と圧やな!? この喧騒をあのオッサン一人で塗り替えそうな勢いや! しかもそれがウケたのか長蛇の列が更に伸びとるし!? 確かに見映え良さそうやけど!

 

「なんか面白いというか……ユニークな店員さんだったなぁ」

「な? 熱くなり過ぎて熱中症にならんとええけど」

「松岡○造みたいだったね。見た目はクール系っぽいけど」

「松……誰やその人?」

「え、いや何でもないよ!(ヤバッ、ジネレーションギャップが……)」

 

ウチとマーくんに多少の印象を残したカキ氷オジサン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか暫くしてまた会う事になるとは、夢にも思わんかったけど。




デートシーンは次話くらいまでです。

尚、氷誕屋の皆様はあくまでゲスト出演です。JIFでの活躍はありません。
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