【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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アンケートの結果、投票数が最も多かった寿みなみとの共演話を採用致しました。投票して下さった皆様、本当にありがとうございました。

残る3件ですが、投票数の多い順にやる……とはならないと思うのでご了承下さい。

それでは、どうぞ。


2024/4/12
みなみとマリアの共演話を本編に組み直しました。それに伴い独立した章として分けています。



共演! 寿みなみ!
37話


俺の名前は星野マリア。

 

「女ぁ、テメエを見てると何故かムシャクシャするんだよ。だからブチ殺してやる。それが済んだら後ろで隠れてる女も貰うぞ」

「ふざけんな、このキチガイ野郎。あと俺は男だ」

 

イカれた怪力モンスターと因縁の対決に臨む、苺プロ所属のモデル兼中学生だ。

 

「何であの忌々しいインテリ眼鏡を思い出しちまうのか知らねえが、テメエを殺ればこのイライラも少しはマシになるかもしれねぇ。俺の為に大人しく死にやがれ、小娘」

「さっきから一体何の話だってんだ。関係ねえ奴に八つ当たりしてんじゃねえよ」

 

コイツ、まさか本能で俺を城ヶ崎だと認識してるのか。全く、面倒な奴と因縁持っちまったなぁ……羅威刃時代の対立なんて、こっちは最早どうでも良いのに。

 

「マーくん……」

 

建物の影から此方を心配そうに見つめる巨乳の美少女。名前は寿みなみ。大手事務所『キャノンファイア』所属のグラビアアイドルで、俺や母さんと一緒に今回の撮影に参加している共演者だ。

 

「みなみ、其処でジッとしてろ。絶対に物陰から出るんじゃねえ、分かったな?」

「う、うん……(なんやこの子。さっきまで女の子みたいに可愛かったのに、今はものごっつ男前やん……)」

 

尤も、目の前の大男の所為で色々と台無しになってしまったが。己の欲も真面に制御出来ない獣風情め。殺しはしないがタダで済むと思うなよ?

 

(あれ? 何でこんなに胸が熱いん……?)

 

さて、何故この状況になっているのか順を追って説明しよう。

 

 

 

 

 

――事の発端は2週間前。中学最後の夏休みが始まる直前。おれは母さんと一緒に苺プロの事務室へ集められた。

 

「聞いて二人とも。あの『キャノンファイア』が貴方たちを名指しに共演を打診してきたわ」

 

キャノンファイアは数多の人気モデルを輩出してきた大手芸能事務所だ。苺プロは母さんが居るとはいえ未だに中堅留まり。つまり、この業界でおれたちよりも有力な組織からの滅多に無いお誘いなのだ。説明するミヤコの気合いの入りようも分かる。

 

まあそんな事よりも重要なのは……

 

「やったねマリア! 一緒にお仕事だよ!」

「うん、楽しみだね母さん!」

 

母さんとモデルで共演できる事だ。こんな嬉しい事があるだろうか。思わずハイタッチするおれ達。それを微笑ましげに眺めつつミヤコは続ける。

 

「企画内容は某大手衣料メーカーのサマーウェアの宣伝。夏だから当然と言えば当然だけど、同社で手掛けた海辺用の衣服や水着の売り込みが目的よ。メーカーは何時も通り御用達のキャノンファイアからモデルを出そうとしたけれど、都合の付く子が2名しか確保できなかったらしくてね」

「それで他所からも起用する事になって、ウチに白羽の矢が立った訳か」

「その通りよ」

 

母さんは日本では知らない人などいない大人気女優。おれ自身も“天使王子”の異名でモデル業界では一目置かれている。ネームバリューとしては十分過ぎるだろう。

 

大方キャノンファイアとしては、この共演を通じて母さんとのコネを作る思惑なんだろうけど。苺プロとしても本件はメリットの方が大きいから、承諾したってところかな。

 

「ねーミヤコさん、そのキャノンファイアからは誰が参加するの?」

「えーと、ちょっと待ちなさい。――はい、この子たちね」

「おー、二人とも凄く可愛いー」

「ホントだ。母さんとお姉ちゃんには負けるけどね」

「相変わらずの身内贔屓ね、貴方は……」

「そりゃマザコンでシスコンですから」

「ここまで堂々と公言されると逆に清々しいわ……」

 

差し出された資料に載っていたのは女性2名の顔写真。一人は20代で、もう一人はおれと同じ中学3年生だ。流石に母さんとお姉ちゃんには及ばないけど、人類全体でも上澄みに入るレベルの容姿をしている。

 

「あれ? この子は見掛ける顔だなあ」

「えぇ、ミドジャンでよく表紙を飾ってる子ね。この若さで結構名の通ったグラビアアイドルよ」

「へー……」

 

特に目を惹いたのが中学生の女の子。緩くウェーブの掛かった髪に透き通った瞳と、全体的なイメージカラーがピンク寄りの美少女。ミドジャン――ミドルジャンプという雑誌の表紙に水着姿で写っていた子だ。名前は……ふむふむ、『寿みなみ』さんか。

 

へぇ、よーく見ると結構綺麗な子だなぁ。

 

「ふふふ」

 

ジッと寿さんの写真を眺めていると、不意に横から飛んできた心地良い笑声が右鼓膜を優しく震わせた。チラリと横目で確認すると、母さんが幼子のような悪戯っぽい笑みを浮かべている。

 

「ど、どうしたの母さん?」

「いやー、もしかしてこのみなみちゃんって子に一目惚れしちゃったのかなって。マリアもやっぱり男の子なんだねー」

「いや、それは……同い年の共演者だから少し気になっただけだよ」

 

そりゃ可愛いし、写真からの印象だけどおっとりしていて素直そうに見えるけどさ。多分、とても良い子なんだろうなって思った。

 

「……あのマリアが家族以外の人間に興味を持つなんて、初めて見たわ」

 

おいミヤコ、何をそんなに驚いてやがる。やめろ、両手を口元に当てて大袈裟なリアクションすんな。家族以外は無関心みたいに言わないでくれ。おれはちょっと他人よりマザコンでシスコンでブラコンなだけだぞ。

 

「誤魔化さなくても大丈夫。思春期なんだもん、異性に興味を持つのは何も変な事じゃないよ。君が普通の人間である、何よりの証なんだからさ」

「普通の、人間……」

「そうそう。年頃の男の子が女の子を好きなるのは、全然不思議な事じゃありません。――あっ、いっそ付き合っちゃえば?」

「えぇッ!?」

 

いきなり何を言い出すんだよ母さん!?

 

「まだ顔合わせすらやってない相手だよ? それに向こうだって迷惑がるでしょ?」

「だから最初は友達から始めるの。仕事や遊びを通じて信頼を築いてから告白すれば良いし、何なら行き成り告白して向こうに意識させる手もあるよ?」

「え、でもそれって結構リスク高くない?」

 

気持ち悪がられたり、避けられたりしたらどうすんだよ。そうでなくても仕事中ずっと気まずいままかもしれないのに……嫌だよそんな気分の中で撮影なんて。

 

「自分の事を本気で愛してくれる人がいる。よっぽどの事が無ければ、その事実を知って嫌な気分になる人はいないよ」

 

しかし、そんな懸念や不安も完璧で究極の元アイドル様は吹き飛ばそうとする。

 

「少なくともアイドルとして沢山の人から愛されてきたママは、そうだったもん。寧ろ『みんなからこんなにも愛されてるんだ』って思うと嬉しくて、私もみんなの事をもっと愛したくなっちゃったからね♪」

 

母さんは無邪気に、しかし自信満々に微笑んだ。心配なぞ一切無用。そう言わんばかりに万物全てを魅了する笑顔を降り注がせる。この人、まだまだ現役でアイドルいけるんじゃないかな? 今からライブを開いても会場はファンで埋め尽くされると、何故か確信をもって断言出来そうだ。

 

「さっきマリアは言ってたわよね? 『向こうにも迷惑が掛かるかもしれない』って」

「え、そうだけど……?」

 

そんな母さんに釘付けにされていると、横っ腹からミヤコの援護射撃が飛んでくる。無論、あくまで母さんの味方として。

 

「それって意識してる、とも言えるんじゃないかしら?」

 

そう、なのかな?

 

「まだ分かんないよ……そもそも恋愛なんてやった事無いし」

「前世から一度も?」

「だってみんな嘘吐きだったから、知ってるでしょ?」

 

恋愛において他者――この場合は恋人となる人物――との信頼関係は必須だ。誰一人として信用出来ない環境下では不可能だし、最初からおれには無縁と放棄していた。

 

だが今は違う。おれは家族を信頼する事が出来るようになった。なら、そうでない人間とも信頼関係を築く事も決して不可能ではない筈だ。

 

「……でもまあ、母さんの言う通りかもしれない。今回の撮影が終わったら、自分の気持ちをもう一度確認してみる」

「その意気だよマリア! もし、みなみちゃんと上手くいったらママに教えてね? 将来の義理の娘として迎えなきゃ!」

「アイ、いくらなんでも気が早過ぎよ」

「取らぬ狸の何とやらじゃん。告白すらしないかもなのに……」

「えー、しないのー?」

「だから、まだ分かんないってば」

 

もう、母さんたちの所為で本当に寿さんを変に意識するようになったじゃないか……

 

当日の撮影、こんな気持ちで上手くいくのかなぁ……?

 




一番星のスピカを読むと、ツクヨミ曰くアイ復活は無いというのが本当かどうか疑わしくなる……
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