【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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原作のかぐや様達は2000年代初頭生まれですが、本作では辻褄合わせの為、10年近くズラしています。

年齢はマリアが15歳の時点でかぐや様や早坂等が25〜26歳くらいです。


番外編⑩-1

おれの名前は星野マリア。

 

「あの、この服は……やっぱりおれには、似合わないんじゃ……?」

 

「んーん、そんな事ないって! ねえみんな?」

「えぇ、どっからどう見ても可愛らしい女の子でしかありません。とてもよく似合ってるわ、星野くん」

「やっば、違和感ゼロ! 世界レベルの美少女じゃ~ん!」

 

「えぇ……そこまでかなぁ?」

 

綺麗なお姉さん方の着せ替え人形にされている、苺プロ所属の中学2年生だ。

 

 

 

 

――切っ掛けは少し前。

 

「ねぇマリア、折角だし君も芸能人としての仕事をやってみない?」

 

家で夕食後に寛いでいる最中、母さんから唐突に提案されたところから始まる。

 

「いやいや、おれは母さんたちを支える為に芸能界の勉強をしてるけどさ……芸能人になる事そのものは別に……」

「でも机の上で勉強や事務ばかりじゃ分からない事だってあるんだよ。だから実際に現場で体験してみるのもありだと、ママは思うんだー」

 

確かに現場でしか得られない知識や技術もあるとは思う。芸能界に限らず、どの仕事も事務所に籠ってばかりで現場を知らない人間が的確な指示を出す等不可能だ。現場と指示を出す側の齟齬で重大事故に繋がる事も在り得るのだから。

 

「……あと興味が無いなんて嘘でしょ? 小さい頃はそうだったけど、今はやってみたいって顔してるもん」

「……分かるものなの?」

「私も相手の嘘を見抜くのは得意な方だからね? 流石に君のように百発百中じゃないけど……」

「あはは、やっぱ母さんには敵わないや」

 

この人も幼少期は人間の悪意に沢山翻弄され、揉まれてきた……前世のおれと同じように。嘘を見抜く能力くらい、持っていても不思議じゃないスキルだろう。あくまで人間の範疇で、という但し書きが付くけども。

 

「芸能人かぁ……」

 

確かに昔と違い、今は純粋に興味がある。女優としてテレビの中で輝く母さん。子役から始まり、状況把握能力を駆使して求められた演技で徐々に知名度を上げていくお兄ちゃん。本格的なアイドルデビューを目指し、母さんからの厳しい指導にも心底楽しそうに励むお姉ちゃん。

 

そんな3人の姿を毎日見ていれば、次第に芸能界へと惹かれていくのは自然の流れだろう。それでも、おれにとっては未知への挑戦。前世半グレだった自分にはらしくないのではという考えもあって、未だ踏ん切りが付かないでいる。

 

「そうそう! マリアも芸能人になったら、きっと家族共演も夢じゃないと思うけどなぁ」

「やる! おれもやりたいよ母さん!」

「ホントッ!? ありがとうマリア!」

 

しかし母さんにこう言われればイエス一択である。家族4人で共演したい気持ちも本物ではあるが。

 

 

『なぁマリア、お前家族関係になるとIQ下がる癖は治したほうが良いぞ?』

 

 

前に社長からそう忠告されたけど、多分無理だね。うん。

 

「でもマネージャーにもなりたいし、紅林との修行もあるからなぁ……余裕のある時間が取れるかどうか。母さん、何か良いアイディアはない?」

「それについてはね、え~と……はいこれっ。もしマリアが芸能人になる道を選んだら提案しようと思ってたんだけど」

「どれどれ? ――――『白銀スタジオ』?」

 

母さんから渡されたそれは、芸能事務所所属の子供を対象としたモデルの募集用紙だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間後、おれは件のスタジオがある雑居ビルを訪れていた。

 

「確か此処の2階だった筈」

 

自分の姿を映した写真と関係書類を送り、その数日後にオンライン面接。先方に気に入られたおれは、晴れて採用される形となった。

 

相手は女性のカメラマンだった。良いところのお嬢様と言った感じで、柔らかい物腰に落ち着いた雰囲気の綺麗な人だった。どうしてカメラマンなんてやってるんだろう、と失礼な事を一瞬考えてしまった程にキャラと職業が合ってない気がした。

 

(まあ母さんやお姉ちゃんの方がずっと美人だとおれは思うけどね)

 

惚気とも捉えかねない事を考えながら階段前まで歩くと、輝く銀髪のこれまた美人な女性が丁度上から降りてきた。勿論、母さんやお姉ちゃんの次くらいに、だけど。

 

「あっ……もしかして君、かぐ姉のモデルさん? ……すっごい綺麗な子、妖精みたい」

「”かぐ姉“?」

「あぁ、ごめんなさい。白銀かぐやさんのモデルさんで合ってるよね?」

「はい、そうです。苺プロから来ました、星野マリアと申します。失礼ですが、お姉さんは?」

「私は白銀圭。白銀かぐやの義理の妹で、今日は彼女の仕事の手伝いに来てるの。こっちよ、案内するから」

「そうだったんですね。宜しくお願いします、白銀さん」

「“圭”で良いよ。かぐ姉と苗字同じだし」

「分かりました、圭さん」

 

おれは圭さんに連れられ、2階に設けられた白銀スタジオに入る。個人経営の小規模なスタジオだが、撮影に必要な機材は十二分に揃っている。

 

「かぐやさん。最近『カルテ・コーポレーション』が芸能界にも進出し始めてるって知ってますか?」

「ここ5年で台頭している製薬会社が? 確かCEO含め経営首脳陣がメキシコ人の。彼処の風邪薬はよく効いたのを覚えてるわ。お陰で直ぐに仕事へ復帰出来たし」

「あの時のかぐやさん、普段以上に会長に甘々でしたよね〜。”ヤダ御行さん、ずっと傍にいてぇ……“って! すっごく可愛かったですよー?」

「ちょ、ちょっと藤原さん……! 恥ずかしい事を思い出させないで下さい……!」

 

「かぐ姉〜、千花姉〜。モデルさん来たよー!」

 

室内には二人の女性が雑談しているところだったが、此方の存在に気付いて注目してくる。

 

「おぉー、可愛い! 女の子みたい!」

「ようこそ星野マリアくん、白銀スタジオへ。待っていたわ」

 

目を輝かせるピンクロングの美女と、面接の時に対面した黒髪の美女。今更だけど、おれの周りの女性陣は美女・美少女率高いなぁ。

 

「苺プロの星野マリアです。本日は宜しくお願い致します」

「改めまして、このスタジオの責任者兼カメラマンの白銀かぐやです」

「私は藤原千花! かぐやさんの友達で、今日は彼女の仕事の手伝いに来たんだ! 今後会う機会は少ないかもだけど、宜しくねー星野くん!」

「はい、かぐやさん、藤原さん」

 

ピンク髪の美女が藤原千花さん。そして黒髪の美女がカメラマンの白銀かぐやさんである。

 

 

 

 

 

「さて、仕事内容は面接でも説明した通り、ファッションの宣伝も兼ねたモデル役を担って貰います」

「承知しました」

 

撮影開始の前に4人でテーブルを囲んでティータイムとなった。そこでおれはかぐやさんと仕事内容を再確認する。

 

白銀スタジオが契約を結んでいる衣料用品店の衣装宣伝と、おれ個人を対象とした写真集の出版。今回の仕事は後者であり、ファッションモデルに関しては後々、となった。

 

「今まで撮影してきた写真は風景ばかりだったから、人をメインで撮影するのは私も初めてなの。長い付き合いになると思うけど、一緒に頑張っていきましょう?」

「はい、此方こそ」

 

用意された藤原さんお手製のクッキーに舌鼓を打ち、かぐやさんが淹れてくれた紅茶を啜る。うん、クッキーも紅茶も絶品過ぎる。コレは店に出したら大人気になるレベルだよ。

 

「ねえねえ星野くん! 苺プロって事は、あのアイさんとも会った事あるんでしょ!?」

「そうそう、私も千花姉と同じ事を聞こうと思ってたんだ! どうなの星野くん?」

 

仕事に関する話がひと段落したところで、藤原さんが興味深そうに話題を振ってきた。その内容に圭さんも勢いよく食い付く。

 

「はい。両親が苺プロの社長と副社長ですから、話す機会も沢山ありますね。アイさんには忙しい両親に代わって、幼少期からよくお世話になってましたし」

「へー、良いなぁ。あの国民的大女優と一緒なんて、羨ましい」

 

ふふん、そうだろそうだろー? 他の人間なら絶対に得られない特権だからな。最もおれはあの人の実子だから、当然と言えば当然なんだけどね。

 

それに……

 

「もうお姉さん達だってウチの関係者じゃないですか。そう遠くない内にアイさんに会えるかもしれませんよ。おれからも本人に直接お願いしてみますね?」

「良いの!? ありがとう星野くん!」

「すごいよ千花姉、かぐ姉! あのアイさんに会えるんだ!」

「ふふ、良かったわね圭、藤原さん」

 

その後も少しだけ楽しくお喋りしてから、いよいよ撮影へと移る事に。おれは着替える為、三人の後を付いて衣装部屋へと案内された。

 

 

 

 

……その時に藤原さんの質問をよく理解せずに答えた事で、おれは想像とは違った形でモデルデビューを果たす事になる。




ミコっちゃんと早坂は多忙の為、今回は登場してません。裁判官と四宮グループ幹部だから予定が合わないのは仕方ないですね。


羅威刃初登場回で、和中の兄貴から「金で仲間を作ると失敗する。仲間と金を作ると成功する」という名言が出ましたが、この名言こそが城ヶ崎、ひいては羅威刃の破滅を物語っていたと思います。事実、城ヶ崎は京羅戦争で前半の言葉通りの末路を遂げました。
ですが、マリアに生まれ変わった現在は後半の言葉通りに動いているとも言えます。きっと仲間(や家族)と一緒に、様々な困難を乗り越えていくでしょう。
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