【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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撮影前のティータイム(おまけ)


圭ちゃん「あっ、貴凛町へ行った時に売れ残ったメロンパンを好意で譲って貰ったから、良かったらどうぞ?」

藤原さん「えぇっ、もしかしてあの有名な『うりゅうのメロンパン』!? 食べてみたかったんだー! ありがと圭ちゃーん!」

かぐや様「ありがとう圭、いただくわ」

圭ちゃん「ほら、星野くんも遠慮しないで」

マリア「良いんですか、ではいただきます」







マリア「100てんまんてんのうちー、はなまるでーす」

かぐや様「ウッマ-、コンド ミユキサン ト タベニイコ-」

圭ちゃん「うん……この世のモノとは思えない味は暫く永遠に何時か私の元へ飛び込んでくるかもしれない」

マリアとかぐやはアホになった! 圭は落ち着いた顔のまま、支離滅裂な事を溢し続ける!

藤原さん「美味しい、噂に違わぬ美味しさだよー!」

――そして、何故か藤原は全くの変化無しだった(by青山穣)。


番外編⑩-2

衣装部屋には様々な種類の衣服がズラリと並んでいた。

 

「さぁ星野くん、まずは試着といきましょうか」

「すごい数ですね、部屋一面を埋め尽くさんばかり。 ――あ、あれは有名ブランドの。こっちはイタリアの高級衣料店の物じゃないですか」

 

見るからに、どころか実際に値段の張る衣装が半分以上を占めている。個人経営のスタジオなのに、どうやってこれ程の高級品を集めたのだろう。

 

「ねぇねぇ、かぐ姉。これって全部高校時代の人達から提供して貰った服なんでしょ?」

「その通りよ圭。本当は余り物で大丈夫って伝えたんだけどね……好意で最新のブランド物までこんなに送って下さったの」

「因みに私が提供した物もありますよー! ほらコレとか!」

「おぉっ、ベルギー隋一の高級店の服まで! 流石千花姉……!」

「本当にありがとね、藤原さん。助かったわ」

「良いって事ですよ。かぐやさんの夢のお手伝いが出来たんですから! これからも困った事があったら遠慮なく言って下さい」

 

女性3人が楽しそうにお喋りする傍らで、おれは部屋全体に視線を巡らせていた。すると、隅のテーブルに置かれている額縁入りの写真が目に留まる。

 

「これは……」

 

学生服に身を包んだ男女が複数人、綺麗で大きな学び舎を背に笑顔を振り撒く集合写真。彼らの中には、圭さん、藤原さん、そしてかぐやさんと思われる少女の姿も含まれていた。おれがそれをジッと眺めていると、気付いた3人が側に寄ってくる。

 

「あら、どうしたの星野くん?」

「――あ、それは私達の高校時代の写真ですね。秀知院の卒業式が終わった後、最後の思い出作りをしようってなった時に撮ったやつなんです」

「懐かしいね。お兄たち生徒会メンバーに、私と早坂さんを加えた7人で学園の色んなとこ歩いて回ったっけ」

「へぇ~、そうなんですね………――」

 

え、今なんて……?

 

「”秀知院”……? もしかして3人は、あの秀知院学園の卒業生なのですか?」

「えぇ、そうよ。私は其処で生徒会副会長を務めてたわ」

「……えぇっ!!? あの超名門校の!?」

 

有力なお嬢様やお坊ちゃまが通う幼稚園から大学までの一貫校、『秀知院学園』。当人およびその親族が絶大な権力者ばかりであり、彼等を敵に回す事は色々な意味で死ぬと言われている。

 

『秀知院学園の生徒に手を出してはならない』。

 

日本の裏社会でもそういった暗黙のルールが存在する程で、おれも羅威刃を率いていた頃は末端までそれを厳守させていた。何せ彼等、敵対者や外道には決して容赦はしない。実際、彼等を食い物にしようとして逆に磨り潰された半グレやマフィア、極道は数知れず。

 

こんなヤバい集団をそれでも敵に回す裏の住民がいるとすれば、拷問ソムリエくらいじゃないだろうか。

 

「すっごい吃驚してるね~!」

「まぁ、当然と言えば当然の反応だけど」

 

此処にいるお姉さん方は、謂わばその名門校のOB。故に興味本位で尋ねてみる。

 

「という事は、3人も良い所のお嬢様って事ですか?」

「私は外部入学の一般人だから違うけど、かぐ姉と千花姉に関してはそうだね」

「圭、私はもう白銀家に嫁入りした身よ。四宮グループとの繋がりが完全に途絶えた訳じゃないけど、あくまで今は”元”お嬢様」

「私は政治家の藤原家の娘だよ。星野くんも名前くらいなら聞いた事あるかな?」

「えと、はい。結構有名ですから」

 

うっそぉ……元とはいえ四大財閥の一つ『四宮グループ』の御令嬢に、かの銀田家に並ぶ政治家一族『藤原家』の人間だと……上澄みも上澄みじゃないか。だとすれば本人たちの財力だけでなく、人脈もとんでもない筈だ。これ程高価な衣装を多く用意できたのも、納得しかない。

 

(……この人達とはもっと仲良くなるべきかも)

 

話してて優しい人達みたいだから、純粋に今後も仲良くなりたいとは考えてる。でも、それ以上に彼女たちと付き合う事は仕事の面でのメリットが計り知れない。

 

勿論、母さんやお兄ちゃん、お姉ちゃんを支える意味で。打算で交流を続けようとする事に申し訳なさを覚えるが、おれにとっては家族が最優先。彼等の力になる為なら、おれは何だってするつもりだ。

 

 

 

 

「では……まずはコレから着て貰えますか?」

「分かりました」

 

おれは今時の男子中学生が着るような他所行きの衣服をかぐやさんから受け取ろうとして、

 

「ねえねえ星野くん、ちょっと聞きたい事があるんだけどさ」

「何でしょう、藤原さん?」

 

唐突に藤原さんが横から質問を飛ばしてきたので、背後にいる彼女に振り返る。

 

「もしかして君って…………実は“男の娘”だったりする?」

 

…………? 藤原さんは何を言ってるんだろうか? 男のおれにその質問は野暮じゃね?

 

「何を尋ねてるのです藤原さん、そんな事ある訳「はい、男の子ですよ?」ええええええええええええええええ!!!?」

「「ホントに男の娘ぉおおおおおおお!!?」

 

うわっ、3人とも凄い声、すごい変顔! 

 

いやいや、急にどうしたんだこの人達? なんかアホっぽい藤原さんだけでなく、かぐやさんや圭さんまで。おれが男性な事がそんなに可笑しいのだろうか?

 

「何か変な事言いましたっけおれ? 男の子なのは当たり前の事じゃないですか」

「当たり前だと思ってるんだ……」

「マジもんのリアル男の娘……漫画みたいな子が現実に存在してたんだ」

「あの……大丈夫ですか藤原さん? 血が出てますよ?」

 

藤原さんは膝を付いて鼻血の漏れた鼻を両手で押さえ、圭さんは乙女チックに目を輝かせてきた……ホントになんなの?

 

そしてかぐやさんは――。

 

「素材は超一級品な上、男の娘を自認している……でしたら組み合わせはほぼ無限と言っても過言じゃありませんね。――はい星野くん、やっぱりコレにしましょう」

「え、ちょ、かぐやさん……?」

 

中学生、高校生が着そうな、ちょっとエレガントな余所行きの衣服を渡してきた――女物の。

 

「これ、スカート……」

「男の娘なんでしょ? それに私の見立てだと、君はこの服の魅力を十二分に引き出してくれると思いましたから」

「いや、確かにおれは男の子ですけど……」

「なら良いじゃん! ほらほら着てみてよ星野くん!」

「大丈夫よ。星野くんならその服も立派に輝かせられるから、ね?」

「は、はぁ……」

 

まるで少女のようにワクワクした様子でおれを見る3人のお姉さん達。藤原さんも圭さんも、そしてかぐやさんも、一体おれを何だと思ってるのだろうか。

 

(えっ、今時の男子ってこんな女物を着るのが当たり前になってるの? 確かに今は多様性の時代だけどさ)

 

おれは期待の眼差しを向ける3人と自身が持っている衣服を交互に見る。ファッション関係は正直かなり疎い。今まで興味が無かったけど、これは一度しっかり勉強した方が良さそうだね。

 

「さっ、待ってるから着替えてきて頂戴。更衣室はあっちにあるから」

「わ、分かりました……」

 

それにこの場で拒絶なんかしたら3人からの印象が悪くなるかも……。ダメだ、それは非常に宜しくない。おれは決めたんだ、愛する家族の為なら何でもするんだって。この人達と仲良くし続けて、彼女達の力を上手く家族の助けに繋げてみせる。その為なら――。

 

(女物の服を着るくらい、些細な事だ)

 

精々おれの男としての尊厳がぶっ壊れる程度だ、なんて事はない!

 

 

 

 

 

――は、恥ずかしい……。

 

「きゃわー! もの凄い似合ってるー!!」

「すっごい可愛いよー、星野くーん! よっ、美少女!!」

「ヤバい……私、ファン1号になるよ!」

 

今のおれは白いトップにオーバーオールの付いた紺色のスカートを着用している。顔が熱くなる感覚を覚えつつ撮影室へ戻った瞬間、お姉さん方が全員アホになった。

 

「さぁさぁ、撮影に入りましょう! この可愛さを未来永劫記録として残しとかなければ!!」

「は、はい……」

 

出会った当初は清楚な印象だったかぐやさんですら……頭にお花が生えて見えるのは気の所為かな?

 

おれは指定された位置に立ち、かぐやさんが構えるカメラのレンズと視線を合わせる。

 

「星野くん、そのまま壁に寄り掛かって――そうそう、あとは肩の力を抜いてリラックスして」

 

そしてかぐやさんの指示の下、体勢を細かく調整されていく。

 

「うん、ホントに可愛いわ」

「……そんなに可愛いですか、おれの女装姿?」

「勿論。私達もお世辞で言ってるつもりはないわ。純然たる事実として、貴方があまりにも魅力的過ぎるのよ」

 

確かにおれは母さんの子だから外見はかなり良い方だろう。しかし、仮にも男が女の格好とかやはり変に思われるのでは? そんな不安を覚えてしまう。

 

「かぐ姉の言う通り、もっと自信を持って良いんだよ?」

「そうそう、星野くんは自分の魅力にまるで気付けてません! こんなに綺麗なのに着飾らないなんて凄く勿体ないじゃないですか!」

 

しかし、かぐやさん達の瞳が嘘の濁りに染まる事はなかった。純粋に、心から褒めてくれているのだ。この人達は。

 

「……そうですか」

 

自然と頬が緩くなるのを自覚した。

 

「――あ、良い笑顔になりましたね! 今がシャッターチャンスでは、かぐやさん!?」

「大丈夫よ藤原さん、もう撮影は済んでますから。……うん、良い仕上がりですね」

「さっすがかぐ姉!」

 

シャッター音が全然聞こえなかった……何時の間に。

 

「ほら星野くん、こんなに可愛いですよ」

「あ――」

 

見せられた画像には、世界にも通用しそうな美少女の朗らかに笑い掛ける姿が。自分と分かっていても、一瞬見惚れてしまいそうになる。これで正体が男子だと知れば、見た者の脳が焼かれそうだ。

 

「続けますよ、星野くん。今度は横顔を撮りましょうか」

「は、はい。お願いします」

 

その後も数種類の衣装(勿論、男性用も含めて)に着替え、数日間掛けて色んな姿のおれが写真に残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして発売された写真集は、あっという間に大人気に。SNS上でも話題に上がる程だ。

 

「マリアきゃわーー!!」

「流石は我が弟! お姉ちゃん、誇り高い気分だよ!」

「……スゴイな、ここまでとは」

 

発売後に自宅にて家族全員でその写真集を眺めていた。母さんはもう大喜び。その事実一つでおれの頑張りは報われたも同然である。

 

「全然違和感ないよー、何この超美少女! まあ私の息子だもんね、可愛いのは当然か!」

 

うん、自信家可愛い。

 

と、そうだそうだ。思い出した。

 

「ねぇお兄ちゃん、ちょっと気になるところがあってさ」

「どうしたマリア?」

「この写真集の文章なんだけど……ほらっ、”男の娘(おとこのむすめ)”って書いてある。どうして”子”じゃなくて”娘”になってるんだろう? 書き間違えかな?」

 

ん? どうしたのお兄ちゃん固まってさ。あれ? お姉ちゃんと母さんも驚いた様子でおれを見てない?

 

「マリア……お前まさか、”男の娘”を知らないのか?」

「? 男の子でしょ? 少年とか若い男性を意味する」

「……あー、成程。そういう事か。道理で女装を受け入れた訳だ」

 

お兄ちゃんが手を額に当てて(ノ∀`)アチャーってしてる。……どういう事? 嫌な予感しかしないんだけど。

 

「マリアマリア」

 

そこへお姉ちゃんが微妙な顔で手招きしてきたので、耳を傾ける。

 

「”男の娘”って言うのはね―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――おれは男の娘じゃないよ!!!」

 

盛大に勘違いしていた事をやっと理解したおれは、顔を熟れたトマトのように真っ赤に染め上げて叫んだ。

 

「やっぱ勘違いだったか……」

「アクア、これってどうなるんだろう?」

「残念だが手遅れだ、アイ」

「ま、まぁ……マリアは可愛いから何の問題も無いよ、うん!」

 

「問題大ありだよお姉ちゃん……!!」

 

完全に後の祭り。世間に浸透したおれのイメージの払拭はほぼ不可能となってしまった。全てはおれの勉強不足が招いたミスである。

 

そう。これこそが”天使王子”爆誕の経緯であった――。




対象F(元凶)「ほら萌葉ー、この子がかぐやさんトコのモデルくんだよー」

萌葉「わあ、ホントに異名通りの天使!! 何があればこんな造形の子が生まれるんだろう? ……飼ってみたい」

対象F「え……?」







次回より本編再開。今ガチ編から入ります。今日あまに関してはその冒頭付近で短く纏めるつもりです。
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