【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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ふと思い付いたので投稿しました。旧B小町のお話です。

旧B小町初期メンってルビー、かな、あかね、MEMちょに当て嵌められますね(ルビー→アイ、かな→ニノ、あかね→高峯、MEMちょ→渡辺(多分芽衣?))。
原作の旧3人には新生B小町+あかねが仲良くする姿を見て、『自分達もああなる可能性はあった』と盛大に曇って欲しいところ。
逆に今作はマリアのお陰でその可能性に辿り着けたifとも言えます。



今作旧B小町はマリア(城ヶ崎)を筆頭にバグ大キャラの存在が少なからず影響しており、マリア達が生まれてからは入れ替え・新規参入がありません。また、初期メンに関しては一人も辞めずに解散まで所属し続けました。
三つ子誕生から解散までのメンバーはアイ、ニノ、高峯(たかみー)、渡辺芽衣(めいめい)、ありぴゃん、きゅんぱん、カナンの7名です。

原作メンバーとは編成が少し違うかもしれません(というより情報が少なくて実態が分かりづらい)。


番外編⑪

私の名前は新野冬子。アイドル時代は”ニノ”の愛称で親しまれていた、元B小町のメンバーだ。

 

「ニノちゃんだ! 久しぶり~!」

「「久しぶりー!」」

「アイ、それにたかみーと芽衣も、久しぶり」

 

久々にメンバー全員で美味しいものを食べに行こうという話になったので、私は空龍街にある某有名店を訪れていた。個室に通された私を出迎えてくれたのは、結成当時の初期メンバーである。

 

「――他の3人はまだ来てないの?」

「ありぴゃんは途中で渋滞に嵌ちゃったみたいでね。きゅんぱんとカナンちゃんも仕事の関係で少し遅れるって。でも参加できないとかはないらしいよ?」

「なら一安心かな。全員の都合が合う機会なんてそうそう来ないだろうし」

 

取り敢えず、カナン達が来るまでは雑談と洒落込みますか。

 

「そうだね~。折角みんなと集まれるんだから、一人も欠ける事なく昔みたいに楽しみたいもんね! あ、ニノちゃんこっちこっち!」

「はいはい、ありがとね」

 

アイの隣に腰を下ろし、久方ぶりにテレビ越しではなく直接彼女を観察する。

 

「……それにしてもアンタが羨ましいわアイ。あの頃と全然変わんないじゃない」

「え、そうかな?」

「うんうん、アタシもアイちゃんとは会う機会多いけど、その度に時間が進んでないかと思っちゃうんだよねー」

「めいめいに同じ。ホントに20歳くらいから全く外見が変わってないわねこの子……」

「やだな〜3人とも、私だってもうおばさんだよ? ちゃんと年は取ってるって」

「その割には肌のハリと艶とかあの頃のままみたいだけど……ってアイ、貴女もしかして化粧すらしてないでしょ?」

「あー、やっぱたかみーにはバレちゃったか~。うん、ちょっと多忙でバタバタしてたからメイクする時間がなかったんだー」

「うっそぉ、ノーメイクでこの綺麗さなの……? アタシなんて仮にメイクしてもココまでならないよー、もう歳だし……」

「ごめん、年齢の話はここまでにしましょ? 何だか悲しくなってきたわ……」

 

一番年下のアイも30代を迎え、これでB小町は全員30過ぎのおばさん集団となってしまった。しかし皆が順調に老けていく中、アイだけは唯一若い頃の美貌を保ったままである。羨ましくないと言えば嘘になるが、年を重ねると諦観の方が勝ってしまうのか、嫉妬というレベルまで昇華する事はなかった。

 

B小町はドーム公演後も2年近く活動を続け、アイの引退宣言と女優転身を機にグループ解散となった。その時点でメンバー全員が25歳以上。アイドルとしては珍しい、高齢になるまで続けた数少ないユニットとしても名を残している。

 

そこまで活動を引き延ばしたのも、かつて互いにギスギスしていた所為で失われた時間を取り戻したかったから。真の意味で仲良しグループとしてやり直したい。私達全員がそれを望んだ。

 

「たかみーは大丈夫なの? お腹の子3ヶ月なんでしょ?」

「へーきへーき、こういう時の為に旦那がいるんだから。何かあったらすぐ飛んで来れるように近くで暇を潰して貰ってるわ」

「完全に尻に敷かれてるねぇ、たかみーの旦那さん」

 

解散後は芸能界に残ったり一般人に戻ったりと、それぞれが新しい道へ進んでいった。先も言ったようにアイは女優、たかみーは中学時代の同級生と夫婦となり子供を設け、芽依は苺プロのスタッフとして再就職した。

 

因みに私は芸能界から足を洗って一般男性と結婚。元々モデルやアイドルを目指して芸能界入りしたので、それらをやる事が難しい年齢になった以上は芸能人を続ける理由が無かった。未だ主人との間で子供は出来ていないけど、充実した日々を送っている。

 

……でも子供、か。

 

「しっかし、たかみーでやっと二人目だね。私等で子持ちになったの」

 

そう言って私は10年以上早く人の親になったアイに視線を向ける。周囲には誰も居ないので、このトップシークレットを聞かれる心配はない。他の2人も遠慮なくこの話題に移る。

 

「?」

 

尚、話題の中心たる本人は水の入ったコップを口に付けながらキョトン顔。こんな何気ない仕草すらアッサリ引き寄せられそうで、ときめいてしまいそうで……未だに私はアイの大ファンなんだなと実感した。

 

無論、真っ当なファンとして、だけど。

 

「確かに、まさか母親としてもアイが先を進みまくってたとは思わなかったわ。――もう高校生なんだっけ? アクアくんにルビーちゃんにマリアくん」

「うん、3人とも陽東高校の芸能科に入ったよ」

「家族全員芸能人とか、これはまた凄い一家だなぁ」

「そうだねー。このまま家族共演まで行く事が今の私達の夢かな?」

「アイちゃん達ならその実現も遠くなさそうだよ。何と言うか、全員スターになる為に生まれてきたって感じがするし」

「えへへ~、そう言ってくれると嬉しいよ芽衣ちゃん!」

 

あの頃を思い返す。社長夫妻の子供と思っていたアクアくん達が実はアイの子供と知った時の衝撃。集まった他のメンバーにもブログを見せた時のみんなの動揺。

 

「ホント吃驚したわよ。アイが子供を産んでたってブログで知った時はさ」

「あはは……黙っててごめんね」

「仕方ないわよ、バレたらみんな終わりなんだし。……それに当時の私達が相手じゃとても相談なんて無理でしょうから」

 

考えてみれば社長達とアクアくん達は苗字も違うし顔立ちも全然似ていない。逆にアイの方と顔がよく似ていたし、これで誰も気付かなかったのが不思議なくらいである。

 

「あ、そうそう! もうすぐルビーが本格的にアイドルデビューする予定なんだけどね。もしライブが決まったら、あの子の応援に来てくれる?」

「当たり前でしょアイ? 私達の可愛い後輩なんだから」

「ありがとーニノちゃん!」

 

そんなアイの子供達も、彼女を追うように芸能界へ足を踏み入れた。ルビーちゃんは私達に憧れてアイドルに。アクアくんは幼少期より役者として活動中。そしてマリアくんは”天使王子”の異名を持つ人気モデルとして、三つ子の中では最も知名度が高くなっている。

 

そう、星野マリアくん。私達の仲が修復する切っ掛けをくれた子だ。

 

「……マリアくんのお陰だね」

「ニノちゃん?」

「あの子が居なかったら、きっと私達は最後まで仲直り出来ずにバラバラになってたと思うからさ」

 

私なんて嫉妬のあまりアイに死んじゃえなんて言ってしまった事もある。もう最初の関係に戻る事は無理だと諦めてすらいた。

 

「こうして何度も集まってお喋りする事も無かっただろうし、あの子には今でも感謝しかないわ」

「ホント、つくづく子供の力は偉大だなって思うよ」

「私達だけであの険悪さからココまで回復するのは、極めて難しかったでしょうからね」

 

下らない偶像(妄想)を俺に押し付けるな……か。

 

私に暴言を吐かれた当時のアイは優し気に笑みを返してきた。私はそれを見て、これですら折れない無敵の子と勘違いしてたけど、実際は違う。心は凄く傷付いてて、涙を流してなくてもアイは紛れもなく泣いていたのだ。彼女の本質を理解してたからこそ、マリアくんは私達に対して鬼のように怒り、後悔するなと発破を掛けたのだろう。

 

あの時のブチ切れた彼の姿は、今も脳裏に焼き付いている。

 

「……あ、思い出したらちょっと震えてきた」

「だ、大丈夫なのニノ? 顔色悪いわよ」

「問題ないわたかみー。少し、マリアくんの事でトラウマが……」

「あー、確かマリアに怒られたって言ってたもんね、ニノちゃん。うちの子がごめんね?」

 

バツの悪そうな顔で謝るアイに、私は気にするなと首を振る。

 

「い、良いのよアイ。元はと言えば私の所為なんだし……。寧ろ謝るのは私の方じゃない。アンタのSOSをスルーしかけたんだから」

 

マリアくんに怒られてなかったら、踏み止まれずにブログを消去していた可能性が高かった。厄介ファン脱却には脅迫レベルの叱咤が必須だったと思う。

 

「そ、そんなに恐ろしいの、怒った時のマリアくんて? 当時のあの子ってまだ4歳の子供でしょ?」

「芽衣、豆腐メンタルのアンタじゃ多分胃が穴だらけよ?」

「胃が穴だらけ……!?」

 

残念ながら誇張でも何でもなく、本物のヤクザやマフィアに冗談抜きで脅迫されてるような気分だった。あれは裏の人間が裏の人間相手に向けるべき態度としか思えない。爆弾背負わせて何処かの事務所に突っ込ませられるんじゃないかと……

 

「ホントにごめん。家族想いの良い子なんだけど、怒り方だけはちょっと限度を知らないみたいなの……」

 

うん、アレはちょっとってレベルじゃないと思うけど……

 

「だから良いってアイ。マリアくんはアンタの為に怒ってたんだから。優しい子に育ったね。勿論、アクアくんとルビーちゃんも」

 

本当に大丈夫なのを笑顔で示しつつアイの肩に手を置き、彼女の子供達を褒めてあげた。アイは嬉しそうに、穏やかに笑って頷く。

 

「うん、私には勿体ないくらい可愛くて素敵な子供達だよ。ありがとうニノちゃん」

 

その後も残りの仲間が来るまで家の事や仕事の事、ちょっと下らない笑い話などを語り合い、4人で笑ったり突っ込んだりして時間を潰した。

 

……懐かしい気分だ。結成したての時もこんな感じでワイワイ楽しんだっけ? アイだけじゃない、私や他の子達だって楽しくアイドルをやれていたあの頃に戻りたかった。

 

ギスギスした雰囲気で上を目指し、仮に頂点に立てたとして、その果てには何がある……? そこから私は何をしたかった……? 祝福してくれる人間は誰もいない、その先のビジョンも全く見えてこない。きっと目的もなく彷徨って、トップの座から惨めに転げ落ちていくだけだったに違いない。

 

(何とも空虚な話ね……)

 

でもそうはならなかった。絆を取り戻し、互いに切磋琢磨して技術を磨き、時には他愛もない事で笑い合ったり……そうした先でドーム公演を成功させた時、みんな嬉しさのあまり抱き合って、泣きながら互いを祝福した。あの充実した喜びと達成感は、人生で一番の心地良さだった。その際に溢れた嘘偽りなき本心。

 

アイドルになって良かった!

 

楽しくアイドルをやりたいから私はアイドルになった。アイドルを目指そうとした切っ掛け、原初の願い。それは純粋な憧れだった事を、私は漸く思い出せた。

 

「お待たせー、みんなー!」

「遅れてごめんなさーい!」

「ちょっと仕事でトラブルがありまして、ホントにすいません!」

「ありぴゃん、きゅんぱん、カナンちゃん! 久しぶりー!」

「久しぶりーアイちゃん!」

「ってアイ、貴女と私は職場一緒でしょ?」

「あはは、ちょっとしたノリだよカナンちゃん」

「全然大丈夫よ。私達もさっき来たばっかだから」

「そうでしたか。良かった〜!」

「よーし、B小町全員集合って事で早速乾杯といこうか。全員ノンアルビールで良いかな?」

「うん、たかみーは妊娠中だし、他のみんなも車で来てる子ばかりだからね」

 

願わくばルビーちゃん、そしてアイドルじゃないけどアクアくんとマリアくんも、全てが終わった時に悔いを残さずにやり切ったと、胸張って言えるように頑張って欲しいな。

 

「めいめーい! 乾杯の音頭ヨロシクー!」

「任されましたー! じゃあみんな、グラスは持ったかなー?」

「「「「「「はーい!(持ちましたー!)(持ったよー)」」」」」」

 

それが一度挫折しかけた私から貴方たち後輩へ送る、心からのお願いである。

 

「かんぱーい!」

「「「「「「かんぱーい!」」」」」」

 

そして7つのグラスが合わさった小気味の良い音と共に、仲間との楽しい食事が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「母さん、楽しそうで良かった」

 

……実はアイを心配してマリアくんがこっそり着いてきてたみたいだけど、アイや私を含めて誰も気付く事はなかった。

 

「一昔前よりは大分マシになったとはいえ、空龍街はまだ安心出来ない。下衆が母さん達を狙わないか、しっかり目を光らせておかないと」

「いらっしゃいませ、ご注文は何にします?」

「あ、じゃあお握りと緑茶をお願いします」

 

星野マリアくん。自他共に認めるマザコンである。




原作だとカミキと繋がってたニノですが、アイと仲直りした事で関わりは一切ありません。あとアイ以外の6人は原作程老けてはいません。


今回ニノ達が食事会に選んだ店は空龍街にありますが、バグ大キャラは登場しません。十数年が経過してある程度治安が回復したのと、影ながら天羽組が頑張ってるお陰でトラブルに巻き込まれずに済んだからです。

因みに追加メンバー3名のその後は、カナンが芽衣同様苺プロのスタッフ、ありぴゃんときゅんぱんが一般企業に就職しています。この世界線では3人ともまだ独身です。
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