【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結) 作:Woudy
推しの子×バグ大の小説連載中に行われた公式でのコラボ?に偶然か?と思ってしまいました。
私の名前は
「……偶にはこういう趣向も悪くないと思ったのかしら」
樹に寄り添うようにしながら、周りに集まるカラスたちへ語り掛ける。みんな素直で良い子たちだから、私の言葉に大人しく耳を傾けていた。
「真の意味で母を得られなかった二つの魂を、魂の無い子を産んだ母親の元に導く……最初、神様はそのつもりだった」
しかし偶然、遥か彼方の地にて興味深い魂が一つ見付かった。
「母を奪われ絶望し、深遠の闇に沈んだ悲しき魂……最期は悠久に封じていた筈の、己が求め続けた母の愛で命を落とす。なんて皮肉な話かしら?」
中々凄まじい戦いだったなぁ。人の子同士の矮小な争いと思ってたら、なかなかどうして人の子離れな力と信念の輝かしいぶつかり合い。ふふ、京羅戦争、だっけ? 単なる退屈しのぎのつもりだったのに、いつの間にかのめり込んでしまったわ。結構楽しませて貰ったよ。
……ただ近場で爆発に巻き込まれた無関係そうな男の人に近付くのは止めた。彼の魂を侵食している”何か”があまりにも危険過ぎて、迂闊に手を出せば私もタダでは済まなさそうだったから。カラスたちも身の危険を感じて必死に逃げ出す程だし。
本当、どうしてあれだけ死の淵を彷徨っても生きてるんだろう……? 神様に聞いても”考えるだけ無駄”って返されたし、神様にも分からない事はあるんだなって思った。
あぁ、話が脱線したわね。
「あまりにも寂しい死に方だったから――つい今回選んだ母親の元へその魂も導いてあげたんだって。本当に優しい神様だね」
尤も、双子として生まれてくるところを強引に三つ子にしたから、件の魂が危うく死ぬところだったらしいけど。
「母を得られなかった三つ目の魂さん。果たして貴方は、どんな結末を齎してくれるのかしら?」
精々私たちを……退屈させないで頂戴。
「――あ、お腹空いちゃったなぁ。皆もこれ……食べる?」
私が取り出したのは、とある町で買ったメロンパン。とても良い匂いだったからカラスたち共々誘われてしまった。これを作ったのは途轍もない力を秘めた面白い職人さん。何故か隣に居た女の人が自分が作ったって周りに言いふらしてたけど。
「召し上がれ」
見せた途端カラスたちは目を輝かせてうずうずしている様子になった。千切って地面にパラパラと撒いて与えると、すぐに皆それらへ飛び付く。そんなに美味しいの、このメロンパン? 早速私も一口…………
「うっま――ゴホンッ!! ……うん、美味しい」
危ない危ない。私の威厳が崩れるところだった。このメロンパン、極めて美味だけど、同時に極めて危険だ。
でもカラスたちがまた食べたそうな顔をしているので、私は後日もう一度だけあのメロンパン屋へ行く事を決めた。
カラス少女の言った”真の意味で母に恵まれなかった魂”って、城ヶ崎にも当てはまりますよね。