【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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ぴえヨン「ボク年収1億ダヨ」

極道の皆様『ゴブッ!!?』

某メロンパン屋のお2人「「ゴボォ!!?」」

佐古「あぁ、我々お金無いのでぴえヨンさんの発言は効果抜群です……」

守若「佐古~? お前もヒヨコになって1億稼げー。京極組を貧乏から救うんだー」

佐古「兄貴それはパクリグヘッ!?」
↑ぴえヨンマスク(目が死んでるver.)を勢いよく被せられた

守若「それ被ってブートダンスしろー。2時間連続だー」

佐古「極道でも死にますよそれー!?」

守若「つべこべ言わずにやれー。目玉突くぞー?」

佐古「はいいいいいい、やりまああああすっ!!」



気が付けば本作連載から約1年。早いものです。


51話

「――という訳で早速会議!」

 

「「「おうっ(ピヨッ)!」」」

 

マリアが音頭でホワイトボードの前に集う私達4人。私と先輩はパイプ椅子に姿勢正しく腰掛け、マリアとぴえヨンから有難いレクチャーを受ける。と言っても喋るのは主にぴえヨンだけど。

 

「イイカイ2人とも? 登録者を稼ぐには、いくつかのテクニックがあるヨ! ナンだと思う?」

「はいっ、毎日投稿する!」

「えっと、元々の知名度!」

「ンーンー、ソウダネー!」

 

マーカー片手にぴえヨンが飛ばしてきた問いに、私と先輩の順で答える。

 

「デモ君達には毎日投稿する根気も知名度も無いヨネ?」

 

わぉ、辛辣だなぁ……先輩も横で『容赦ないっすね……』と苦い顔浮かべてるし。

 

「ところが手っ取り早く登録者を増やす裏テクがあるんだ!」

 

え、そんなのがあるんですか!?

 

「そういうの待ってました先生!」

「教えて教えてー!」

「ピヨピヨピヨ~、ソレはね~……そりゃあ、やっぱアレっしょ~?」

「うんうん、ですよね~?」

 

だ、だからソレって何なのですか!? マリアも知ってるって事? 早く、早く教えてよー!

 

「教えます? 教えちゃいます?」

「ン~、もうちょっと勿体ぶらせてから……」

「そんな事言わないでー!」

「お願いします、知りたいです!」

 

悪ノリするマリアとぴえヨンに、気になり過ぎて教えてコールを連発する私と先輩。そんな私達を見て2人が遂に答えを同時に放った。

 

「「それ(ソレ)は――――有名YouTuberと一緒に映る事!!」」

 

そして勢いよくハイタッチ。疑問顔の先輩がすかさず挙手する。

 

「つまりコラボって事ですか?」

「そのトーリ。これから君達2人にはボクのチャンネルに出て貰うからネ?」

「えっ、ぴえヨンさんの動画に出れるの!? うわー夢みたい!」

 

体の中から喜びが込み上がってきた私は椅子からガタッと立ち上がる。何せあの超絶大人気な『ぴえヨンチャンネル』に出演できるのだ、嬉しくない訳がない。

 

「そのコラボ動画ですがぴえヨンさん、企画は如何しましょう?」

「ソダネー……ルビーちゃん達はアイドルだし、寝起きドッキリとかどうかな?」

「ふむ、成る程定番ですね」

「良いんじゃないでしょうか?」

 

え? ちょっと待って。

 

「でも寝起きドッキリやるって予め言われたら、ドッキリにならなくない?」

「え」

「ん?」

 

……ん、どうしたの3人とも? 信じられないようなものを見る目で私を見てさ。あとぴえヨンさんは無言でジッと見つめないで下さい。格好が格好だから吹き出してしまいそうです……。ダメダメ笑っちゃ失礼だ、我慢我慢。

 

「お姉ちゃんピュア過ぎだよ……まっ、そこが良いとこなんだけどさ」

「ルビー、アンタ本気で言ってる? 本当にアイドルの寝起き撮りに行って男と寝てたらどうするの?」

「ああいうのは前日に通達にいってるものだヨ?」

「そうなの!?」

「トラブル対策の一環よ。昔通達無しでやって訴訟ものになったからね」

 

つまり寝起きドッキリってやらせ!? それって要は嘘を付いてるって意味じゃない!

 

「……でも、私たちの初めての仕事だよ?」

 

納得出来る訳がない。

 

「――嘘は、嫌だ」

 

私は先輩達を真っ直ぐ見据え、左目の星を輝かせ、はっきりとそう伝える。

 

「ルビー……」

 

先輩が眉を下げて、困り顔で私を見ている。……分かってる、アイドルはファンを喜ばせる為に上手な嘘を吐いている人達だって。ママだって最初は例外じゃなかったんだから。

 

でも、やっぱり私としては嘘を吐きたくない。例え本心じゃなくともファンを騙すような真似は嫌。嘘を吐く事も、吐かれる事も、辛いし悲しいから。本気でみんなを愛して、本気でみんなを喜ばせる。そんなアイドルがいたって良いじゃないか。ママもあの事件からはそうなれた。女優に転身してからもファンへの愛情は変わらない。だから私も……私達も、ママに続くんだ。

 

それに私の夢はママを超えるスターになる事だ。ママと同じ土俵に立てないで、どうして超える事なんて出来るだろうか。

 

「気持ちは分かるけどさ、そもそもアイドルってのは――」

「そうだね、お姉ちゃんの言う通りだ」

「ま、マリア?」

 

すると自他共に認めるシスコンな弟が、賛同に回る。勿論、単に私の事が好きという理由だけで賛成した訳ではない。

 

「『全力でスターを目指してます』って姿勢をしっかりと見せ付けてやらなきゃ、画面越しの視聴者に熱意が伝わらないよ。偽物でお茶を濁すような真似するだけなら単なるゲストで終わってしまう。きっと誰の印象にも残らないだろうね」

 

そう言ってマリアは先輩に向き直る。

 

「パイセン。前にも言ったけど、パイセンの魅力は物事に全力で取り組んでこそ発揮される。そしてこれはお姉ちゃんも同じ。飾らずに本気で挑まなかったら、絶対に輝く事はない――おれはそう思うよ」

「……」

 

マリアの圧が上がり、両の瞳に宿る双星が紫の光を放つ。暫く無言で圧倒されていた先輩が、漸く口を開いた。

 

「――分かったわよ。私としても最初から躓くような結果は御免だわ。全力でぶつかるような、攻めの企画でいきましょう?」

「ありがとう先輩!」

「そうこなくっちゃ。――という訳でぴえヨンさん、お姉ちゃん達にピッタリな企画ってありませんか?」

「フム、そうだネ……」

 

マリアから意見を求められたぴえヨンが、幹のような太い腕を組んで十数秒。

 

「――じゃあ、こういうのはどうかナ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…………」」

 

現在、私と先輩は緑の背景の中に並んで立っていた。

 

――目の死んだヒヨコのマスクを被って。

 

「頑張れルビー、有馬」

「2人ともー、応援してるよー!」

「何でアクアとアイさんまでいんの!? 何時の間に!」

 

そう。ぴえヨンとのコラボ企画を知ったおにいちゃんとママも、自分の仕事を素早く片付けてスタジオに駆け付けて来たのだ。家族全員に見守られながらの撮影……凄く緊張するなぁ。

 

「妹の初仕事なんだ、興味があるに決ってるだろ? あと今からする事をそれ被ってやるのはリスクがあるからな。必要と判断したら介抱に入るつもりだから、2人とも宜しく」

「元アイドルとして後輩達の勇姿を見届けない訳にはいかないからね♪ ルビー、これまでの特訓の成果、見せるチャンスだよー!」

「はーい、見てて下さいねーアイさーん!」

「お姉ちゃん、ファイトだよー!」

「うん、ありがとーマリアー!」

 

でも永遠の最推しで最愛のママに、前世から私を推してくれてるおにいちゃん(せんせー)。そして可愛い弟のマリア。大好きな3人の家族からエールを送られ、気合いもやる気も100倍だ。

 

 

 

『ピヨピヨピヨー!! ぴえヨンチャンネルううううう!!』

 

 

 

そして始まったぴえヨンチャンネル。一際甲高い声でぴえヨンが挨拶する。

 

『ドモーみんな、コンニチハー! 今回は……しがらみ案件デスッ!』テレレレッテレー

 

ぴえヨン曰く、こういった案件はバッグボーンをしっかり説明した方が、視聴者から好感を持たれやすいとか。うん、正直に話すのが一番だよね。

 

『ナンカー、ウチの事務所でアイドルグループを作ったって事でー、取り敢えずお前のチャンネルを使えとー」

 

直後、カメラに至近まで近付いて凄みを掛けるぴえヨン。

 

『最初断ろうと思ったんだけどネエエエエエエエエッ!!』メラメラメラ

 

流石、仕事に妥協を許さないYouTuberの鏡だなぁ。

 

『まー、天使王子くんからお願いされちゃったからさー』テレテレ

 

でも可愛い子には弱いっぽい? マスク越しでも分かる程に照れ照れしちゃってる。まさかあのぴえヨンさえも堕とすとは。マリア、ホント恐ろしい子……

 

「ぴえヨンさん、マリアは渡さないからね?」

「アイ、気持ちは分かるが今は撮影中だ。静かにな?」

「むー、分かったよアクア~……」

「アイさん、今なんかとんでもない事言いませんでした……?」

 

そして画面外では親バカなママが可愛く頬を膨らませていて、おにいちゃんがそれを嗜めていた。マリアは小動物みたいな愛らしいルックスで、老若男女問わず虜にしてしまう。その影響で変質者に狙われた事も一度や二度じゃない。ママが心配になるのも無理はないだろう。

 

……もっとも、変質者は全員もれなく地獄を体験する羽目になるのだが。この間なんか、ワカメ髪の妖怪みたいな大女がマリアへ性的に襲い掛かったけど、即刻壁に穴開けられた挙句御用になったし。

 

閑話休題。

 

 

 

『こんにちはー! 知ってる人は知ってるかな? “天使王子”こと、モデルの星野マリアです』

 

ぴえヨンの隣に現れたマリアが、文字通り天使のような満面の笑顔で視聴者の人達に手を振る。きっと今の仕草であの子のファンになる人が続出しただろう。

 

『普段はモデルの仕事をやってる僕ですが、実はそのアイドルの子達のマネージャー補佐も務めさせて頂いています。とっても可愛くて魅力溢れる女の子達ですから、どうか応援してあげて下さいねー!』

 

天使王子がマネージャー(立場的にはあくまで補佐。メインはミヤコさん)を務めるアイドルユニット。興味を惹くには十分過ぎる要素だ。

 

(分かっていたけれど、私達は2人のオマケでしかないんだよね……)

 

私達のサポート役とはいえ、事実上これは私と先輩、ぴえヨン、そしてマリアの3勢力によるコラボ動画でもある。

 

マリアも立派な芸能人。今や星野家ではママに次いで2番目の人気と知名度を誇っている。役者として少なからずドラマやCMにも出演しているおにいちゃんは3番手。……そして私は最も芸能人らしい事が出来ていなくて、知名度も雀の涙。

 

悔しいけど、悔しがってる場合じゃない。完全に後れを取っちゃってるけど、今回の出演は私がスターになる第一歩だ。一気に追い付いて、そのまま追い抜いてみせる。

 

そして何時か必ず、家族や仲間と一緒に共演を果たすんだ。

 

『マリアくん、ありがとうございましター! ではそろそろ今回の企画、イキマショウッ!』

 

ぴえヨンが私達の間に立つと、人差し指を掲げて声高らかに宣言した。

 

『ぴえヨンブートダンス、1時間付いてこれたら素顔出してヨシッ!!』

 

いよいよ始まる。私と先輩は気合を入れ直して正面を見据えるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ルビーとかなちゃん、上手くいくかな……?」

「あのマスク被ったまま1時間連続のダンス。ルビーの事だから無理してでも最後までやり遂げようとするだろうな。本当に危険と判断したら即ドクターストップ掛けねえと」

 

心配そうな顔付きで見守る母さんとお兄ちゃんとは対照的に、おれは保護者になった気分でお姉ちゃん達を見ていた。

 

「これからが楽しみだなあ……2人共どんな風に化けてくれるんだろう?」

 

お姉ちゃんもパイセンも、とびっきりの”モンスター”だからね。

 




ルビーって、おそらくアイ以上にスターの素質があると思うんですよね(原作見てると)。この作品でも、実は星野家で最もポテンシャルが高かったりします。

アイも直感的にそれを理解しており、いつかルビー含む子供達が自分を超えるスーパースターになる未来を心待ちにしています。
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