【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結) 作:Woudy
推しの子2期が始まりましたね。原作と違ってテンポが良い感じがしました(このまま最新話もアニメでは大きく改変してくれないかな?)。
そしてその記念すべき第12話放送日に、バグ大で羅威刃の話が来るとか凄い偶然。
原作最新154話、カミキの表情が見えないのが不気味ですね。流れ的に泣いてるようにも見えますけど、もしかして笑ってるんじゃないだろうか……? 境遇は本当だけどサイコパスに変わりはないと。
推しの子のラスト、個人的には推しの子自体が劇中世界の連続ドラマだと考えています。つまり、最後の最後にカミキを加えた仲良し家族な星野家や、年の差カップルゴロさりが拝めるかも。
推しの子はフィクションであり、実は誰も死んでなかった。こんなラストなら泣けてきそうです(寧ろそうなってくれ)。
すいません、長くなりましたが本編です。今回はリアルが多忙なので短めになります。
――和やかだった撮影現場が、一瞬で騒然と化す。
(あかねちゃん……!)
今回の撮影、何故かウチは妙な胸騒ぎを感じた。だから何時もよりあかねちゃんと一緒に過ごすようにして、側で彼女の動向に注意を払うようにしていた。万が一何かあっても、即座にフォローできるように。
『僕、みなみちゃんの事が大好き! だから付き合って下さい!』
……でも、時々マーくんに告白された日の記憶が蘇り、あかねちゃんに対する意識が外れてしまう。その隙に悲劇が起きてまうなんて……
(――って何考えとんねんウチ! これじゃあまるで、あかねちゃんがゆきちゃんを怪我させたのはマーくんの所為って言ってるようなもんやんッ!)
マーくんには何の落ち度も無い、告白の件と今回の事件は偶々重なっただけ。やのに彼が告白してこなければ、とか思うなんて……ウチはホンマ最低やな。
(早うマーくんに謝って、仲直りして――――ちゃんと自分の気持ち伝えんと)
巨人さんに襲われかけたあの日。ウチを守ろうとするマーくんの姿はとても格好良くて……ウチに掛ける声はトゲトゲで恐ろしく、でも同時に優しさも含んでいて……頭を撫でてくれた時なんて、震えが止まって凄く安心させられた。その時に感じた胸の鼓動と熱。当時はよく分からなかったけど、漸く自覚できた。
ウチ、本当にマーくんの事が好きなんや。それも男の人として。
(でも、まずはあかねちゃんを落ち着かせなあかん……!)
見るからに蒼褪めて震えている女の子の元へ、ウチは全力で駆け出した。
――どうしよう。ゆきちゃんに怪我させちゃうなんて……
「わ、わたし、そんな、つも……」
スタッフの人達がチラチラと私を見る。誰もがその瞳に非難の意思を込めながら、遠巻きにヒソヒソ声で私を責め立てる。
「モデルの顔にあれは……」
「あんな大きな傷付けられちゃあ、溜まったもんじゃないよ」
「鷲見さんどうなるんだろう? 今後の仕事にも支障が出ちまうだろうし……」
周囲の目が怖い。みんなの言葉が鋭利な刃物のように容赦なく突き刺さる。
「ご、ごめんな、さ……」
全身から冷や汗が吹き出し、震えが酷くて謝罪の言葉も上手く出せない。
逃げたい。でも、ゆきちゃんを傷付けておきながら逃げるなんて許される訳がない。ちゃんと謝って、責任を取らなきゃいけないのに、そんな利己的な事を思い付く自分が嫌になる。
「あかねちゃん!」
「わ、わたッ……!」
「あかねちゃんッ!」
その時、みなみちゃんが強い声で呼び掛けながら、私の両肩を思いっきり掴んだ。
「あ、う、みなみ、ちゃ」
「深呼吸」
「へ……?」
「ウチの言葉に合わせて、深呼吸を繰り返すんや。ほらっ、まずは息を大きく吸うて?」
私はみなみちゃんに従って、何度も何度も深呼吸を繰り返す。
「すってー……はいてー……」
「すー……はー……すー……はー……」
すると次第に落ち着きを取り戻していくのを感じた。
「……大丈夫?」
「う、うん、少しは……」
「そっか、良かったな」
みなみちゃんが微笑む。とても優し気で、慈母のようで、安心してくると今度は目から沢山の涙が溢れてきた。
「でも、わたし……ゆきちゃんに……」
「大丈夫や、ゆきちゃんは怒っとらんで? ほら」
「あかね」
「わっ」
みなみちゃんの視線を辿ると、ゆきちゃんが私の元へ歩み寄って来る姿が視界に入った。そしてそのままの勢いで彼女に抱き着かれる。
「みなみちゃんの言う通り、私は怒ってなんかいない。だからもう泣かないで、あかね?」
「ゆきちゃん、どうしてそんなに優しくしてくれるの……? 私、あなたに怪我を……モデルなのに、雑誌の撮影だって……」
「ヘーキヘーキ! この程度の切り傷くらい、フォトショやメイクで簡単に消せるから!」
ゆきちゃんは頬の傷を人差し指で触れながら、頭を傾げて無邪気そうに笑う――かと思えばそれは一瞬で、すぐに真剣そうな表情で問い掛けてきた。
「――あかねは私の事……嫌い?」
そんな事ない。嫌いになれる訳がない。私は強くて優しいゆきちゃんの事が、好きだ。
「嫌いじゃ、ないよ?」
「良かった。私もあかねの事、好きだよ。努力家で、真面目で、一生懸命で……だからこんなにも悩んでるんだもんね」
「ゆきちゃん……」
私とゆきちゃんは笑顔で向き合い、もう一度抱き締め合った。みなみちゃんに側で見守られながら。
「あかねちゃん」
そのみなみちゃんの声が私の鼓膜を優しく揺らした。
「ほらな、ここにはあかねちゃんの味方しかおらん。あかねちゃんは一人やないんやで?」
「……うん。ありがと、みなみ、ちゃ」
「もう、泣かなくても大丈夫だってば」
「ほな、涙拭くからジッとしとき?」
「ん」
ありがとう、ゆきちゃん。そしてみなみちゃん。
みなみちゃんの事も、私好きだから。
「――どうやら大丈夫そうだな」
「だね、お兄ちゃん」
3人の女の子達の仲慎ましい遣り取りを、おれを含む残りのメンバーたちは遠巻きに見守っていた。
「うんうん、若いって良いねえ」
「いやいや、MEMちょだって若いじゃん。18なんだからさ」
「えッ!? う、うん、そうだったねマリりん! あははははッ!!?」
……やっぱこの子、絶対年齢誤魔化してるでしょ。それも相当に。
さて、それよりも気になる事がある。
(確かに大丈夫、だろうね…………おれ達メンバー間限定では、だけど)
おれ達とは別の場所でみなみ達を眺めているスタッフ陣をジロリと睨み付ける。
(……この業界は数字重視の傾向が未だに根強い。正直嫌な予感しかしねえ)
もっとも、その可能性を考慮して初回放送時点から仕込みを済ませてあるのだが。
何せ俺は、家族や仲間の事は信用していても――。
芸能界の闇の価値観に染まった番組側の人間どもの事は、欠片も信用してねえからな。
そして案の定……
『今ガチに黒川あかねみたいな屑は不要。早く番組から消えちまえ』
『はい終了、変わりはいくらでもいるから』
『モデルの顔に傷を入れた罪は重い。ゆきちゃん可哀想、○んで謝罪しろ』
『邪魔ばっかしてきて嫌な奴だなと思ったけど、まさかここまで最低な女だったなんて』
『てか絶対性格悪いだろ? 顔の可愛さ利用して何人もの男と○ってそう』
『いや顔もマジでブスじゃね? これで性格もブスだから終わってるよコイツ』
番組は黒川あかねを、年端も行かない餓鬼を食い物にする事を選びやがった。
予想通りの炎上だが、その対象は黒川一人だけではなかった。
『みなみの奴、どうしてこんなゴミ女を助けてたんだ?』
『そこはゆきちゅんに駆け寄るべきでしょ!? 加害者を心配するなんて信じられない!』
『胸だけのクソビッチめ。化けの皮剥がれたな』
『あかねとセットで動いてるシーン多かったし、似た者同士だったんでしょ?』
『マリアくんと喧嘩中らしいけど、絶対この女が100パーセント悪い。マリアくんが話し掛けてもあからさまに無視してるし。マリアくん、泣きそうにしてたよ』
『最低、寿みなみの載ってる雑誌絶対買わないわ』
『マリアくん、君は騙されてるんだ! 目を覚まして!』
『
『急に変なのが出てきたぞw』
『は、何偉そうに説教してんだコイツ?』
『この性悪女どもを擁護するとか頭可笑しくね?』
――そう、みなみまで炎上してしまったのだ。
「わ、和中の兄貴。日本刀片手にどちらへ……?」
「華太か。無垢な子供に心無き言葉を投げ掛ける下衆ども、窘めても全く反省の色が見られない。だから一人残らず達磨にしてくる」
「いや何人いると思ってるんですか!? それ以前に相手は殆ど堅気ですからダメですよ!」