【裏社会の悪魔の転生先は、完璧で究極のアイドルの子でした】(本編完結)   作:Woudy

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最新話読了。
真の黒幕というか、もう1人の敵がニノか。コイツを処さないとアクア達は真の意味で幸せになれなさそうですね。

こっちの世界線だとアイ殺害に関与はしていませんが(バグ大キャラの影響で)。


60話

『コンビニでご飯買ってくる』

 

「あかねちゃん、危ないよ!」

 

ウチはラインに送られてきた友達のメッセージを見て焦り出す。この台風に外出なんて危険過ぎる。他のメンバーも止める内容のメッセージを送っていたが、一向に彼女からの返信が来ない。

 

「嫌な予感しかせえへんわ……探さないと!」

 

ウチの場合は事務所や学校の仲間のフォローがあったとはいえ、それでも謂れのない暴言を吐かれ続けるのは辛かった。きっとあかねちゃんも同じ理由で焦燥している可能性が非常に高い。そうでなければこのタイミングで買い出しなんて、やる筈がない。

 

雨具を羽織り、ライトを片手にマンションを飛び出す。地元を離れた一人暮らしの為、台風に出歩く暴挙を咎める人はいない。

 

「あかねちゃーん!」

 

暴風雨で掻き消されまいと大声で彼女の名前を叫び、大粒の雨を蹴散らすようにして駆ける。

 

やがて彼女の自宅近くの歩道橋に辿り着いたウチは、その手摺の上に立つずぶ濡れの女の子を視界に捉えた。間違いない、あかねちゃんだ。

 

「何やっとんねん!!?」

 

どう考えても飛び降り自殺にしか見えへんかった。あかん、それだけは何が何でもダメや! ウチもみんなも悲しませるだけやで!!

 

「あかねちゃん、其処から降りんさい!!」

 

全力疾走であかねちゃんの元へ向かう。自殺なんて、バカな真似は絶対させへん。必ず止めてみせる!

 

 

 

 

 

「――え?」

 

しかし、辿り着いた先で見たのは、完全に予想外な光景だった。

 

「あ、あかね……ちゃん?」

 

何故ならフードを被った男の人達が複数人、気絶したあかねちゃんを取り押さえていたから。

 

「「「!!?」」」

 

遅れてウチの存在に気付いた男性達がギョッとする。最初はあかねちゃんの自殺を止めてくれた良い人達やと思うたが、その期待はすぐに裏切られた。

 

「ま、不味いですよ佐和田の兄貴! 堅気に見られちまった……!」

「落ち着け。あの容姿……寿みなみだな?」

「寿……? あの今ガチに出演してるグラドルの女の子ですよね?」

「そうだ。――――そしてこの黒川あかねと同じ、ターゲットの一人だ。丁度良い」

 

3人の中でも一際ガタイの良さそうな男性が、あかねちゃんを他2人に任せてゆっくりと立ち上がる。

 

「あ、あの……あかねちゃんに何を?」

「それを知る必要は無い」

「!?」

 

直後、まるで稲妻のようなスピードでウチの眼前に肉薄してきよった。一瞬で至近から見下ろされる形になる。

 

「な、何なんです自分等……?」

「安心しろ。アンタもあの子も、きちんと生きて帰してやる」

「ぐほッ!!?」

 

腹に受けた強い衝撃。それを境にウチの意識は闇に沈でもうた。

 

 

 

 

 

 

 

 

台風の真っ只中。おれ達は完全防備の上で黒川の捜索に出ていた。災害用グッズとして購入しといたヘルメットや手袋、ゴーグルがこんな形で使われるとは。

 

「おーーい!!」

「あかねーー!!」

「何処にいるんだーー!!」

 

普通のメンタルならこの状況で外出なんてする筈がない。にも関わらずその行動に走った。黒川の心情は予想以上にヤバいと思われる。

 

「マリア、そっちは居たか?」

「ダメだお兄ちゃん、全然見つからない!」

「コンビニに行くって言ってたからな。最寄りの店から黒川の家までのルートに絞って探してみたが……もしかして別のコンビニに行っちまったか?」

 

捜索部隊は今ガチメンバーの他に、母さんとお姉ちゃんも加わってくれた。

 

『子供達だけで行かせるなんて親として許可できないよ。――でも、あかねちゃんが心配なのは私も同じ。どうしてもって言うならママと一緒に行動する事、それが条件だからね?』

 

いくら仲間が危ないとはいえ、嵐の中での捜索は二重事故のリスクが付き纏う。母さんも最初は反対したものの、おれとお兄ちゃん、そしてお姉ちゃんの必死の説得により、条件付きだが外出を許可してくれた。母さん、本当にありがとう。

 

『仕方ないわね。あかねの事は苦手だけど、だからって大事になったら気分が悪いし。私も一緒に探してあげる』

 

更には連絡を受けたパイセンも参戦。星野家とパイセン、それ以外の面子の2手に分かれて黒川を探し回るが、一向に見付からない。

 

その途中、おれ達は黒川邸を訪れて彼女の母親と対面していた。

 

「え、まだ帰って来てないのですか!?」

「え、えぇ……。そもそも私、あの子が買い出しに行ってるなんて全然知らなくて……最近まるで元気が無いし、一体何があったの……?」

「実は……」

 

どうやら黒川は自分の母親に炎上の事を全く話してなかったらしい。おそらく心配を掛けまいと黙っていたのだろうが、ここまで大事になった以上は説明しない訳にはいかない。

 

「そんな事になってたなんて……私、あの子の苦しみに何も気付いてあげられなかった……」

「黒川さん……」

 

涙を流して後悔する黒川母を、母さんが背中をさすって宥める。

 

……良い親に恵まれたね、黒川。だからこそ心配させたくなかったんだろうけど。おれはその光景を見て少なからず黒川に腹を立てた。

 

(馬鹿野郎が、自分の母さんを泣かせてんじゃねえよ……)

 

炎上問題を一人で抱えるのは悪手でしかない。結局問題が更に大きくなって、余計に悲しませてしまうだけなのだから。

 

その後、黒川母は警察に連絡を入れ、おれ達も捜索へ戻る。しかしいくら探しても影も形も無く、時間ばかりが無意味に過ぎ去っていく。

 

「……MEM達の方も見付からないってさ」

「ったくあかねの奴、一体何処ほっつき歩いてんのよ」

 

もう一つの捜索チームからの報告も進展なし。黒川に直接電話を入れても全然出ないし、手掛かりすら全く見付からない。完全に八方塞がりになりつつあり、それに比例してみんなの焦りも増大する。

 

まさか、既に命を落とすような目に遭ってしまっているのでは……そんな最悪な可能性が脳裏を横切る。

 

「――ん、あれは?」

 

そんな時だった。黒川邸から近くのコンビニまでのルート上に存在する歩道橋を進んでいる最中、おれは橋の上に転がっている物に目が留まった。

 

「携帯式のライト……?」

 

拾い上げたそれを入念に調べてみた結果、おれは書かれている文字に驚愕する。マジックペンではっきり”寿みなみ”と書かれていたから。

 

「これ、みなみのだ!」

「え、このライトってみなみちゃんの物なの?」

「確か寿さんも捜索に出ている筈だが……ちょっと待ってくれ」

 

お兄ちゃんがMEMちょに連絡を入れる。そっちにみなみが合流しているかどうか、確認する為に。しかし――。

 

「……向こうにもいないらしいぞ?」

 

通話を終えたお兄ちゃんの顔は、とても難しそうだった。

 

「き、きっとまだ家にいるんだよ!」

「ダメッ! 家と携帯、どっちの電話に掛けても全然繋がんないッ!」

 

お姉ちゃんの悲痛な声に、おれは血の気が引く感覚を抱いた。黒川だけでなく、みなみまで音信不通の状況。単に台風の所為で電話が鳴っているのに気付いてないだけなのか、それとも彼女も何らかの事故に巻き込まれてしまったのか。

 

「み、みなみ!」

「ちょっとマリア、一人で行くのはダメだって……!」

「でも母さん、みなみが……!」

 

血相変えて走り出そうとするおれの腕を母さんが咄嗟に掴むが、それでもおれは落ち着く事が出来なかった。好きな女子が危険な目に遭ってるかもしれない。そう思うと居ても立ってもいられないのだ。

 

「あ、アンタ等はあの女の子達の知り合いかね!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

突如響き渡るおれ達以外の声。振り返ると少し薄汚れた格好の老人が立っていた。

 

「おじいちゃん危ないよ! 今台風が来てるんだからお家に帰って!」

「すまんなお嬢さん、だが今は儂の心配をしとる場合じゃない。――儂はこの辺りにあるドヤ街で長老をやっとる男じゃ」

 

お姉ちゃんの心配も余所に、長老を名乗る老人はおれ達の元に近付く。

 

「おじいさん、みなみに何かあったか知ってるの!?」

「桃色の髪の女の子じゃろ? ほんの数分前にフードを被った男達に誘拐されていくのを見たんじゃよ」

「なっ!?」

 

衝撃的な発言に全員が絶句する。みなみが攫われた……? 現実に追い付けず固まっているおれに代わり、今度はお兄ちゃんが質問を飛ばす。

 

「……さっき女の子()って言いましたよね? その様子だと、他にも攫われた子がいたんですか?」

「あ、あぁ……青みがかった髪を肩まで伸ばした女の子じゃったな。年はピンク髪の女の子と同じくらいかのぅ。一緒にワゴン車に乗せられて、走り去っていったわい」

 

先と同程度の衝撃に再び襲われた。青髪を肩まで伸ばした高校生くらいの少女。その近くにみなみがいたという事実。心当たりは一人しかいない。

 

「……間違いない」

「あかねちゃんだ!!」

 

みなみと、そしてあかねを拉致した謎の勢力。炎上とは無縁な想定外の緊急事態に、流石のおれも動揺するしかない。気が付けばおれは老人の胸倉を掴んで迫っていた。

 

「じいさん! そのワゴン車のナンバーは……!? どっちに走って行ったんだ……!?」

「ま、マリア、乱暴はダメだよ!」

「す、すまん! この雨と暗闇でそこまでは分からんかった……! 北の方角へ向かったのは確かじゃが……」

 

しかし得られた情報は車体が黒塗りな事と、北へ走り去ったという事だけ。くそ、ナンバーさえ分かれば持ち主を特定出来るのに!

 

「訳分かんない、どうしてあかねと寿みなみが誘拐されるの……?」

「そんなのこっちが知りたいよ……みなみちゃん、あかねちゃん……」

 

狼狽えるパイセンとお姉ちゃんだったが、おれも彼女達と殆ど同じ気持ちだった。

 

(何なんだ……オイ)

 

一体何が起きてんだよ……!!?




○佐和田 (イメージCV:小柴大始)

本作オリジナルキャラクターにして、今ガチ編のメインヴィランである武闘派のアウトロー。顎近くまで伸ばしたオレンジの髪に、身長180㎝のガタイの良い男。
趣味は動画鑑賞で、特に恋愛系のものが好み。最近は今ガチに嵌っており、放送時間中は多忙な時でも視聴しながら仕事をする。
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