「今日は久しぶりに便秘に潜ろうかなぁ…」
かつて対ウェザエモン用のスパーリングの為にログインして以来、久しぶりに便秘にログインしたが、相変わらず過疎りに過疎ってるな…。
「んー…モドルカッツォの奴は…居ないな。っと対戦希望者か」
「サンラクさん!お久しぶりです!」
「おっ秋津…じゃなかった…こっちではドラゴンフライか!ストーリーはどんな感じだ?」
対戦希望アイコンが出ているプレイヤーのところへ行ってみると、狐の面を被った忍者少女 秋津茜ではなく、この便秘の中ではもはや絶滅危惧種の新規プレイヤーであったドラゴンフライだった。
「はい!ついにラスボスを倒しました!」
「そうなのか!じゃあ、初めて会った時より強くなってるな、バーグトゥードでいいか?」
「はい!よろしくお願いします!!」
てなわけで第一ラウンドのゴングが鳴る。
「おいおいマジかよ…」
ゴングが鳴ると同時に、ドラゴンフライのアバターがバグった。
「カッツォに教えてもらったのか?」
「はい!この前、対戦した時に教えてもらいました!」
なるほど、ったくあの外道は何てことを…
「行きます!!R18触手アタック!!!」
どこぞのプロゲーマーのように伸びた腕で触手の如く攻撃してきたが……もちろんイアイフィストで全て弾く。
「モドルカッツォさんに聞いてましたが…本当に全て防ぐとは!!」
「イアイフィストは無敵の流派だからな!」
「そんじゃこっちからも行くぞ!!」
_________
「「並行世界!!」」
「ちょっ!マジか!?」
あー……やっちまった…。
「やった!!遂にサンラクさんに勝つことが出来ました!!」
まさか初心者だったドラゴンフライに2ラウンド取られて敗北するとは…。ラスボスを攻略してるだけのことはあるな。
「そういえば、あの新発見した技の名前考えたんだな。」
最後はドッペルゲンガーにあの技を組み合わせられて負けた。あんなもん防ぎ切れるか!
「はい!並行世界にしました!」
「なるほど。いい名前じゃないか。まさかドッペルゲンガーに合わせられるとは思わんかったけど…」
ドッペルゲンガーと並行世界でゲージ技4回判定って……ほんっと便秘してるわ…。
__________
「サンラクさん!今日はありがとうございました!!」
「おう!楽しかったぜ!」
あの後、ドラゴンフライと再戦して、俺がストレート勝ちしたり、他のプレイヤーと対戦したり、まさかのモドルカッツォが参戦して人外バトルを繰り広げたりして、俺はこの後買い物に、ドラゴンフライの方も用事があるそうで、この人外魔境である便秘からログアウトした。
__________
「そんじゃ財布も持ったし行くか。」
朝っぱらから便秘に潜ってて、まだ日課のジョギングが済んでないので、それも兼ねて、走ってコンビニに行く。今は秋なので夏の炎天下の中で走るのと比べりゃ楽勝だ。
「疲れた……」
目的のコンビニに着いたのはいいが、改めて俺の貧弱さを実感する。毎日ジョギングしてるんだがな…。
「ライオットブラッドは…っと」
店内を歩きながら、目的のエナドリを探す。
「ん?」
なんとなく雑誌コーナーを見てみると、そこにはついさっきまで便秘で人外バトルを繰り広げた外道プロゲーマーの魚臣慧と、表向きはカリスマモデルで中身は魔王の外道鉛筆こと天音永遠が写っていた。
「あの外道共の…特に鉛筆の中身を知ったらティーン達はどうなるのかねぇ…。」
世紀末円卓での鉛筆戦士を知ってる俺はそう呟いた。
「さっさとライオットブラッド買って帰ろ」
流石に海外製は無いけど、まぁそこまでキメる事なんてそうそう無いからな。
「……嘘だと言ってくれ……。」
無印のライオットブラッドにバックドラフト、クァンタム、トゥナイトを見つけたまではいいが、問題はその隣にあったライオットブラッドがリボルブランタンだった。てか日本で発売されてたのか……。
「よりにもよってそのデザインかよ…」
置かれていたリボルブランタンのケースのパッケージは、なんとびっくり顔隠しだった。いや俺じゃん…。
うん。見なかったことにしよう。無印買って帰ろう。
結局、無印のライオットブラッドのケースを買った。リボルブランタンは無かった。うん。
「帰るか…。」
_________
「ただいま…」
帰りはライオットブラッドが重かったので流石に歩いた。重い…疲れた…。
「あっ、お兄ちゃんおかえり〜」
玄関を開けて家に入ると、そこには丁度帰ってきたらしい妹の瑠美と、瑠美の友達と思われる女の子が立っていた。
「お邪魔してます!あの、瑠美ちゃんのお兄さんですよね?」
「あ、はい。陽務楽郎です。えっと…瑠美の友達だよね?」
どっからどう見ても瑠美の友達だと思うが、一応聞いてみた。
「はい!隠岐紅音といいます!初めまして、楽郎さん!!」
おおう…眩しい…
「じゃあ紅音、私の部屋にいこ」
「うん!」
瑠美の部屋ってことは多分、服のことか勉強だろうな。俺は久しぶりに幕末でもやろうかな。この間、京ティメットのやつを爆破したばっかだからブチ切れてそうだな。まあいつも通り天誅するだけだがな。
「そんじゃ俺も部屋でゲームしてるわ。」
そう言って自分の部屋に向かおうとした時、瑠美と共に部屋に行こうとした隠岐さんが餌に食いついた魚の如く話しかけてきた。
「あの!楽郎さんはどんなゲームをされるんですか?」
おおう…どう答えればいいんだろうか…。最近だとシャンフロをやってるからシャンフロといえば良いんだろうが…他のゲームなんてクソゲーばっかだぞ…。正直なところ幕末と答えて勧めてみたいという気持ちもあるが…流石に、京極みたくあの修羅の金魚鉢を教えるのはなんとなく気が引ける…。
まぁとりあえずシャンフロと答えておくか…。
「えっと…シャンフロとかだな。」
「おー!実は私もシャンフロをやっています!」
やっぱシャンフロの人気は凄いな。そういえば隠岐さんって他に何やってるんだろう…
「そうなんだ。隠岐さんって他に何かやってるの?」
返ってきた一言に、俺は度肝を抜かれた。
「はい!他のゲームだと、ベルセルク・オンライン・パッションや、スリリングファームです!」
はえ?危牧経験者!?マジかよ!!いや待て、それより、今なんて言った?便秘だと!?シャンフロに便秘の組み合わせなんて、思い当たるのは二人だけだ。そんでもって片方は男だ。となると消去法で……
「ドラゴンフライ…?」
「え?」
しまった、声に出てたらしい…。
「あ、あの…その名前を知ってるという事は、楽郎さんってもしかしてサンラクさんですか!?」
マジかよ。こんなことってあるのか…。
「ああ、うん。朝に便秘で会ったばっかだけど…。」
そう答えた刹那、隠岐さんが俺の両手を掴みながらこう言った。
「どうしましょう! サンラクさん! どうやら、私はサンラクさんの事が好きみたいです!!」
「へあ?」
え?どゆこと…?