「ねえ、紅音」
「はい?」
「最近は瑠美ちゃんとは仲良くしてるの?」
「もちろんだよ!瑠美ちゃんは親友だから!」
お母さんに瑠美ちゃんの事を聞かれた私は、そのままの事を答えた。
でも、いきなりどうしたんだろう?
「そう?なら良かったわ。ちなみに噂の彼氏さんとは?」
「──!ちょ、ちょっとお母さん!?」
突然楽郎さんの事を聞かれ、私は思わず驚いてしまいました。
確かに楽郎さんの事はよくお話ししてるけど…なんで今聞いたの…!?
「ふふふ、その反応を見ると仲良くやってるみたいね」
「も、もうお母さん…!!」
「ごめんごめん…!それで紅音、そのうちで良いんだけど瑠美ちゃん達の都合が合う日があったら、家に呼んでもらえないかしら?」
「瑠美ちゃん達を?」
「ええ。前に紅音がお泊まりしたんだし、今度はウチもってね。あとお父さんが、その彼氏さんとお話ししたいって言ってたからね」
「お父さんが?」
「そうなのよ。紅音が付き合い始めてから、大事な愛娘の彼氏と一度話してみたいってよく私に言ってたの」
お父さんが楽郎さんとお話し。どんな話なんだろう?
「うーん…わかりました!瑠美ちゃん達に聞いてみるね!」
「お願いね。あっ、なんならお泊まりしてもらっても構わないから」
「お母さん!?」
* * *
「そういう事なんだけど…瑠美ちゃんと楽郎さんの予定っていつ頃が空いてる?」
「あのね紅音……何がそういう事なのかはわからないんだけど…ってまあいいか。でも、私は大体バイトだから行けないよ。」
「そ、そうなんだ…。」
瑠美ちゃんが、家に来られないと知り、思わず落胆の色が顔に出てしまった。
「ああ…!紅音、そんな顔しないで…!ほ、ほら紅音のお母さんは泊まっても構わないって言ったんでしょ?だったらお兄ちゃんと一緒に居られるでしょ!」
「瑠美ちゃん!?」
──!? な、なんでその事を…!?
「だってそうでしょ?私が居てもそうだけど、実際私が居ない時にお兄ちゃんと家でイチャついてたりするでしょ?」
「な、なんでそんなことまで…!?」
み、見られてたの!?私が…楽郎さんと…
「……カマ掛けてみたんだけどやっぱりそうだったんだ…あまり知りたくなかったな…。」
「ご、ごめんなさい…」
「謝らないで…。私はバイトで家に居ない事多いけどなんとなくそんな気はしてたから」
「まあ、そういう事で。多分、お兄ちゃんだったら予定なんてほぼ無いだろうから。」
「わかりました!学校帰りに楽郎さんに確認してみるね!」
「今のは聞かなかったことにしておくわ…。」
「?」
どういう事だろう?でも、見られてなかったみたい。
* * *
「ちょっと待て瑠美、お前今なんつった?」
「だから、紅音の家へお泊まりの誘いがあったって」
「そうじゃない…いやそれもそうだが…」
「私はバイトだから、後日紅音と勉強会の時に行くって」
「じゃあ、俺は1人で向かえってか…!?」
「そうなるけど、まあ大丈夫でしょ?」
「えぇ…大丈夫とは言い切れないんだが…」
帰ってきた瑠美から伝えられた爆弾とも取れる発言。紅音の家にお泊まり行くってか…。しかも俺1人で。紅音曰くお父さんが話したいと言っていたって……。怖い。そんなもん俺処刑されるんじゃないのか!? 紅音のお父さんがどんな人か知らないけどめっちゃ怖い!
って……んなこと言ってても仕方ないか。
為すべきことを…為すまでだ
にしても…ただでさえカッツォとの件も控えてるのに大変だな…マジで…。
まぁ、そっちはアレをやる事をモチベにしてるしな。
* * *
──この空が誰のものか知ってるか!?
──「
──勝者!“正体不明の超新星“パンプキンヘッド!
──顔隠し選手!!視聴者の皆さんへ一言!
笹倉…?原…?エイト氏からマイクを手渡された。
俺はあくまでも一般的な高校生だぞ!こんな場でセンスのあるコメントなんて…。あー…
「ライオットブラッドリボルブランタンのおかげでここまで来ました!」
例の事を言おうか悩んだが、少なくとも5年ほど先の話になるので、ライオットブラッドのダイマしてやった。
まあそりゃ生放送で堂々とダイマは…え?スポンサー?マジかよガトリングドラム社
* * *
「なあ、顔隠し?」
「なんだよ雇い主」
「なんで言わなかったんだよ?例の件」
試合とインタビューが終わった後、控え室にてカッツォの奴が俺の視聴者への一言について問うた。
例の件って?……あー、あれか。でもなぁ…
「俺も言おうか悩んだんだけどな。でも早くて5年先の事なのに今言ってもなってな」
「まあ、そうか。にしてもお前…どんだけプロゲーム界隈焦らすんだよ…!」
「んな事言われたって、好き勝手させてもらう代わりの約束破るわけにゃ行かないだろ」
大学行かずにプロゲーマーなりますなんて言った日にゃ…下手すれば俺の部屋の業務用VRシステムがオークションに出品されかねん…。
「まあ…まだ学生だもんなお前」
「すまんな。だがまあ…いつか決断しなきゃだな」
「そうだぞ。だがな…お願いだからスターレインやダイナスカルだけは勘弁してくれ」
「紅音がいるから海外はちょっと…」
紅音なら受け入れてくれそうだが、俺としてはアイツにそんな負担をかけたくない。というか、近日中に会う予定の紅音のご両親が許してくれない気がするしな。
* * *
「さて…遂に今日か…。」
GH:Cにてアメリア•サリヴァンとの激闘を繰り広げた翌週、事前にこの週なら空いていると紅音に伝えていた為、紅音の家に行くのは今日になった。
だがしかし…紅音の両親居るらしいから、それもう挨拶じゃねえかよ…。
瑠美のやつはバイトでおらんけど。まぁ…なるようにしかならんわ。
て事で待ち合わせ場所へ、いざ鎌倉!!
* * *
「よー紅音…」
「楽郎さん!」
「ちょっ…!紅音ステイステイ」
待ち合わせ場所へ到着し、紅音を待っていたのだが、俺を見つけた瞬間、スタートを切った紅音は、俺の胸に飛び込んできた。
「楽郎さんです!」
「はいはい、楽郎さんはここに居るぞー」
紅音を抱きしめながら、頭を撫でた。
あっ…やばい…。紅音がいつも以上に可愛い…。あとなんだか…っていやいや待て…。これ言葉にしたらアウトだろ…。
「楽郎さん…!楽郎さん…!」
「紅音、俺としては、このままで居たいんだけど、ここ人目があるから…一旦落ち着こう」
俺としてはこのままでも良いんだが…流石にここだとな…。知り合いに見られたら厄介な事になるだろうし。例えば暁ハート先生とか。
「あっ…!ご、ごめんなさい!」
「いや、気にしないで…。俺も紅音のこと大好きだからさ」
「ら、楽郎さん!?え、えと…では行きましょう!」
「そうだな。……フーッ…緊張してきたな…。」
「?」
* * *
「もうすぐ到着です!」
「そ、そうか…。」
「楽郎さん、緊張してますか?」
「まぁ…そう、だな。」
実を言うと、とても緊張している。クソゲー攻略してる時以上に、まだ見ぬ紅音のご両親と会うことに緊張している。
「楽郎さん」
「紅音…?」
緊張する俺の手を取って紅音が言った。
「大丈夫ですよ。お父さんもお母さんも優しい人ですから。安心してください」
紅音は微笑みながら、優しい声で言った。
そうまで言われちゃあ…信じるしか無いな。
「ありがとうな、紅音。少しは緊張がほぐれたよ」
「そうですか!あっ、家が見えてきました!」
なんやかんやで紅音と会話しながら歩いてると、あっという間に紅音の家への道のりに終わりが近づいてきた。
まぁ…そうだな。
為すべきことを為すだけだ
* * *
「じゃあ、入りましょうか」
「そうだな…」
大丈夫だ…。紅音もそう言ってくれたんだから大丈夫だ。よし!
「ただいま!」
「お、お邪魔します…!」
「おかえりなさい紅音、そしていらっしゃい、紅音の彼氏さん?」
中で待っていたのは、肩まで伸びた髪を後ろで束ねた紅音にそっくりな顔立ちをした女性だった。
紅音から兄弟姉妹は居ないと聞いてるし、母親だろうか
「お母さん!?」
「あ、初めまして…紅音さんとお付き合いさせてもらってます陽務楽郎です。あの、これつまらない物ですがどうぞ…」
紅音の母親へ挨拶をして、俺は持ってきたお土産を手渡した。
最初は父さんや母さんが自分の趣味の物を渡そうとしてきたが、流石に断った。 魚は兎も角、虫はな…。いや、魚も鮮度とかあるけど…。
「あら、ご丁寧にありがとうございます。私は紅音の母の隠岐
「ちょ、ちょっとお母さん!」
「うふふ、とりあえず上がってちょうだい。お父さんもリビングで待ってるわよ」
「もう…」
「あはは…」
やっぱり紅音の母親だったか。というか、よく見ると本当に一児の母親かと思えるほど若く見えるな…。そして…お父さんが待ってるか…。覚悟決めないとなぁ…
「お父さんただいま!」
「
「お邪魔してます。…は、初めまして、紅音さんとお付き合いさせてもらってる陽務楽郎です。」
和泉さんに案内されリビングへ行くと、そこには、俺が来るのを今か今かと心待ちにしていたであろう真面目そうな雰囲気を醸し出した私服姿の男が…紅音の父親がソファーに腰掛けていた。
「……初めまして。僕は、紅音の父の隠岐
「はい!楽郎さんです」
可愛い娘に出来た彼氏という事で、かなり警戒されてたりするのかと危惧していたが、いざ挨拶をしてみると、特にお付き合いを認めない等の雰囲気は出ていなかった。むしろ優しい感じがした。
しかし…話ってなると何話せば良いんだろうか…。
紅音との出会いとかか?
「そんなに警戒しないでくれよ、確かに紅音に出来た初めての恋人という事で話はしてみたかったんだが、別に君と紅音の関係を認めないとかそういうのは無いからさ。むしろ紅音が選んだんなら、きっと君は良い人なんじゃないかって思うんだよ。」
「そうだよ、楽郎さんはとっても優しい人だから!」
「あ、紅音…」
「ふふっ…そうか。それなら僕は二人の交際を認めるよ。」
意外とあっさり認められちゃったよ。もしも自分を超えなければ認めないぞ的なだったらどうしようかと思ったが
だが、輝朝さんの次の一言により、考え事をしていた俺は我に返った。
「それはそれとして、母さんや紅音から聞いてるとは思うけど、君と話がしたいんだ」
「え、えと…オハナシというのは…?」
そうでした、お父さんから話があるって言ってましたね。
「そんなに身構えなくても良いよ。ちょっとした世間話のようなものさ。」
「そ、そうですか…」
「でも、僕と楽郎君の二人で話したいから、ちょっと外行こうか」
「は、はい…!」
「お外でお話しですか?もしかして」
「うん、いつもの公園でね」
「公園ですか?」
この辺まだ公園あったのか。
「そうだよ。ここからすぐの所に、公園のようなものがあってね。そこでちょっとね」
「わかりました。紅音、申し訳ないけどちょっと行ってくるわ」
「はい!いってらっしゃいませ楽郎さん!」
「愛されてるわねぇ、楽郎君」
「あはは」
「お母さん…!」
俺は輝朝さんと近くの公園へ向かって歩き出した。
本当に話ってなんなんだろう…
──次回、後編──
あと何話でエピローグ突入するんだ…。