卒業式 それは、学校生活における最後のイベントである。それは別れの時であり、新たな出会いへ向けた旅立ちでもある。
この日、陽務瑠美と隠岐紅音は、自分たちの通う中学校の卒業式の日であり、数日後に高校の入試が控えてる身であった。
『隠岐紅音』
『はい!』
『卒業、おめでとうございます』
『ありがとう…ございます…!』
──────
『陽務瑠美』
『はい』
『卒業、おめでとうございます』
『ありがとうございます!』
* * *
「ひぐっ…瑠美ちゃん…!」
「ほらほら紅音、そんな泣かないの。」
「だって…だって…」
「卒業したからといって、別にもう会えないわけじゃないでしょ?それに紅音はこれからお兄ちゃんと同じ学校に行くんだし、違う学校になっても私は同じ家に住んでるんだからいつでも会えるでしょうが…!」
「うぅ…でも…」
「もう…紅音?そんな姿お兄ちゃんに見られたらどうするのよ…?」
「はい……」
「しょうがないわね…ほら、ハンカチ使って」
「ありがとう…瑠美ちゃん」
〜〜〜♪
「ん?着信?誰から…へぇ…」
「瑠美ちゃん…?」
「ごめん紅音、ちょっと電話して来るね」
ピッ
「もしもし?」
『もしもし瑠美?紅音近くにいる?』
「まず妹に言うことが、自分の彼女の所在なのね…」
『すまんすまん。瑠美、卒業おめでとう』
「ありがとう。紅音なら近くに居るけど、なんで直接かけなかったの?」
『え?まぁ…サプライズ的な…』
「へぇ…?お兄ちゃんにそんな事やる甲斐性あったんだねぇ」
『まあな』
「そんじゃ、変わるね」
『頼むわ』
♪ ♪ ♪
「はい、紅音宛の電話」
「瑠美ちゃんの携帯から私に…?」
「出てからのお楽しみ」
「うん…もしもし」
『もしもし紅音?卒業おめでとう!』
「ら、楽郎さん!?」
『わっ!こ、声大きい…!』
「ご、ごめんなさい…!」
『いや、いいよ。まぁ…その、なんだ』
『今言ったばかりだけどさ…卒業おめでとう。』
『紅音が卒業してすぐ入試があるけどさ、紅音なら絶対に大丈夫だ!』
「楽郎さん…!」
『だから落ち着いていけよ!俺も紅音のこと応援してるからな』
「はい…!はい!頑張ります!絶対に…!合格してみせます…!」
『ああ…!ってお前ら!』
「楽郎さん!?」
『す、すまん紅音!ちょっと切るわ!また後で!』
「は、はい!また後で…」
ピッ…
「どうしたの?」
「えと…切れちゃったみたいです」
「えぇ…何してんのお兄ちゃんは…」
「楽郎さんどうしちゃったんだろう…」
「まぁ、お兄ちゃんの事は置いといて、紅音はこの後どうする?」
「私はこのままお母さん達と合流してお昼ご飯に行きます!」
「そっか、私は家に帰ろうかな」
「わかりました!」
「うん、じゃあばいばい」
「はい!また遊ぼうね!」
* * *
「それでは、刑を執行する。」
「陽務楽郎、何か言い残すことは無いか?」
「ちょっと待て、裁判も無しに処刑かよ。弁護士を呼べ弁護士を!」
「そんなもの居ない」
「えぇ…」
もはや魔女裁判じゃねえか
「まぁ、良い。本題に移ろうか」
「雑ピの新作の月雫のお披露目会か?」
「おい、なんで知ってるんだよ!……被告人陽務楽郎、貴様が電話していた相手というのは、噂の彼女ではないのか?」
「そうだが」
「そうか…。ならば良し、判決。被告人は無罪」
おっと?今回は終わるの早いな?ヤバそうなら雑ピのポエム晒すつもりだったんだが
「どうゆう風の吹き回しだよ雑ピ」
「だってな楽郎。さっき電話してる時のお前の顔見たら、なんか嬉しそうな顔してたからな。ガチの関係っぽいし揶揄うのは違うかなって。」
「そりゃまあ、羨ましいとかはあるんだが、前に言ったみたいに、盛大に祝ってやろうってな」
「そうだぜ陽務!早く言ってくれよ水臭えな!」
「そういや陸上部の奴らから聞いたんだが、その子ウチの学校受けるんだってな?」
「まぁ…そうだな」
「おいおいマジか!だったら俺、お前らのために新作書いてやるよ!」
盛大に祝う…どこか外道味を感じるんだが…。
「マジかよ、暁ハート先生の新作は恋の詩か」
「そうだぞ楽郎、楽しみにしてろよ」
「そんじゃ出来たら、お披露目会だな」
「今回ばかりは楽郎のためにも披露してやるぜ」
「……そんじゃ、月雫のお披露目としますか」
「なっ!?ちょっ!待て!それだけは…!!」
ちなみにみんなで読んだ感想は、『傑作じゃね?』という感じだった。やっぱ雑ピの将来は作家になりそうだな。
* * *
「こんばんわですわ、サンラクさん!」
「よう、エムル」
夜、シャンフロにログインし前回のログアウト地点のラビッツで目覚めるとエムルが乗っていた。
「
「サイナ、今は夜だからこんばんはだと思うぞ?」
「
「おう、こんばんはサイナ」
紅音は2日後に迫った入試のための最後の準備中であり今の時間は寝てるので、今日は俺一人でのシャンフロだ。
「
「確かに、今日のサンラクさんは、どこか寂しそうですわ」
「ひょっとして、秋津茜さんが居ないからですわ?」
「あー…そうだな。」
実際のところ紅音と一緒にプレイできないのはちょっと寂しい。
だけど、そんな寂しさを紛らわすのにうってつけの場所がある。
「エムル」
「はいな!」
「
「はいな!いってらっしゃいですわ!」
* * *
「サイナ!!ずらかるぞ!」
「了解」
「いつもの事ながらヤベぇなオイ!!」
「相変わらず殺意マシマシだな…。また来るからな!!」
そう捨て台詞を吐き、サイナと共に水晶巣崖から逃げ出した
* * *
「げっ…」
「あれぇ…?サンラクくぅん…じゃないか」
「なんだテメェ」
「なんだとはご挨拶だねぇサンラクくぅん…!」
「んだよ本当に…」
なんなんだよマジで
「それで、何の用だよ。どうせお前のことだから偶然とかではないんだろ?」
「そうだねぇ…。偶然の必然、これは運命だね!よっしゃ一発…」
「アラドヴァル!!」
「あひゃあ〜だめぇ!」
こんの変態が……骨の髄まで燃え尽きやがれ!!
* * *
「そんで、なんで居るんだ?」
「えっとねぇ…サンラクくん、はどう思ってるのぉ…?」
「なっ…!?テメェ…!」
ディプスロお得意の変幻自在の声帯変更 ボイスチェンジ
しかしその声は俺の恋人の声だった
「なんでその声を…」
「そりゃあねぇ…情報なんてどこにでも転がってるよお?
例えば、ツチノコとドラ姫が一緒に居るとかね?」
「クソが…お前がその声を出すんじゃねえ!」
「それで、この子の事どう思ってるんだい?サンラクくん」
「どういう意味だ」
いつもの声に戻したディプスロの問うた事の意図がわからない。なんなんだよ本当に。
「どんな事でも諦めない。真っ直ぐな気持ちで走り続ける。本当なのかな?諦めない?努力する?笑わせないでよ!」
「なんだと…!?」
「私はあの子の事が嫌いだよ。もしも会ったらその時は…」
「ディプスロ、もしもお前がアイツに何か危害を加えたら…俺は絶対にお前を許さない。」
「例えPKをしてでもな…。」
こいつを紅音に会わせるわけにはいかない。もしかしたら…紅音が上限のない光だとしても…。こいつと会ったら何が起こるかわからない。だから……もし紅音に何かあったら、俺は絶対にこいつを止める。
「へぇ……君はそこまで私のことを思ってるんだぁ…!」
こんのっ…!!
「俺が想ってるのはその声の主だよ!てかお前がその声で話すんじゃねえよ」
「まぁ、そうだね。もう私はイこうかな。」
「そうかよ。勝手に行っちまえ」
もうこの変態はお手上げだ…。何やっても止まんねえわ
「それじゃあ、イきまーす」
ディプスロはゲートで何処かへ行った。もう会わないことを祈る。
「はぁ…疲れた。さっさとラビッツ戻ってログアウトしよう。」
明日も学校だしな。さっさとログアウトして寝よ。