アキアカネ   作:三奈木イヴ

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アキアカネ第15話 紅音の入学式と新たな出会い 


恋と出会いは春風と共に

「1年が経つのも、あっという間だよな……。」

 

あたり一面に咲く、満開の桜を見渡して、一言呟いた。

 

今日から新学期であり、新入生達の入学式だ。

例年の俺であれば、そんな事より帰ったらどのゲームをやろうかくらいの事しか考えてなかったのだが、今年に限っては別だ。

 

何故なら、俺の恋人である紅音が入学するからだ。

 

「楽郎さん!」

 

なんて言ってたら、後ろから紅音の声が聞こえた。

 

「おはよう紅音、入学おめでとう」

「楽郎さん、おはようございます!はい!楽郎さんのおかげで私はここに居ます!」

 

俺はあくまで、勉強を教えただけなんだが……

 

「そう言われると、ちょっと照れ臭いな…。」

「まぁ、俺は、あと1年しか居ないけどさ、楽しもうな」

「はい!」

 

自分で言って、改めてその事に気がついた。

紅音にとっては始まりの1年だが、俺にとっては最後の1年になるんだな…。

 

紅音と一緒に過ごす最初で最後の1年を、全力で楽しまないとな…。

 

「そんじゃ、そろそろ時間だし、教室行こうか。紅音、また後でな」

「はい!また後で会いましょう!」

 

* * *

 

「さて、結局3年間同じクラスだったな。陽務よ」

「そうだな、雑ピ」

「彼女さんと随分仲が良さそうで」

「そうだな……ってちょっと待て!」

 

新しいクラスを確認し、教室へ入って再会したのは、我らがポエマーこと暁ハート先生であった。

 

「さっきのアレを見て仲睦まじい以外に言うことがあるとでも?」

「そういや最近ポエムの調子はどうだ?」

「あからさまに話題変更しようとしてるが、お前と彼女さんへの祝いのポエムだから煽っても無駄だぞ」

「本当に書いてたのか」

 

まさかの紅音とのやり取りを雑ピに目撃されていたようだった…。それにしても、前に言ってたやつ本当に作ってるとは思わないだろ

 

予想外の事に困惑していると、雑ピのポエムの事を知ってる連中が一斉に立ち上がった。

 

「本当かよ!もう出来てんのか!?」

「暁ハート先生の新作のお披露目会か?」

「まあ、待てお前ら。新作は完成した。だがしかし、これは陽務にも聞かせないとだよな?」

「え?」

「え?じゃないだろう、お前達の為に書いたんだぞ。リア充共はお幸せにな」

「うるせえよ!でも、ありがとうな雑ピ」

 

* * *

 

『新入生の皆さん、入学おめでとうございます───』

 

あの後は、雑ピ達や前の学年からの付き合いだった連中や雑ピと面識のある新しいクラスメイト達と共に雑ピのポエムをネタにイジりつつ、俺も紅音の事で少々イジられながらも、入学式が始まるまでの時間を潰し、体育館へ移動した。

 

正直言って、このクッソ長い生徒会長挨拶とかは、はっきり言ってどうでも良い……早く紅音に会いたいな…。

 

『それでは、新入生代表挨拶を───』

 

* * *

 

「はぁ、やっと終わったな」

「そうだな。そういえば、陽務は今日帰ったらデートか?」

「そうだな……いや、普通にゲームだ。」

「おいコラ誤魔化すな」

「い、いや普通にゲームでもやろうかなって」

「本当か…?」

「なんだよ……俺を信じられないってか?」

「人のプライバシー流してるやつを信じろって言われてもな……」

「そうだっけか?」

 

まだ極秘情報は流してないから実質大丈夫だろ?

まぁ、アレ流したら雑ピがガチギレしかねないんだけどな…。

 

「あっ、そうだ。お前ら、もしも紅音に粉かけたら承知しねえぞ」

「友達の彼女にそんな事するわけないだろ」

「そうだそうだ!そこのポエマーの新作に誓ったって良いぞ!」

「なんで俺の新作なんだよ!」

「雑ピの新作か。…ならお前らの事を信じるぞ…?」

「陽務!?」

 

もしも紅音が来るようなことがあったら心配だからな…。釘刺してやったぜ。

あーでも、紅音見たら粉かける前に尋問されるか…?まぁ、その時はその時だな

 

「そんじゃま、俺は帰るわ。じゃあな」

「おう!また明日」

「じゃーなー」

 

俺は教室を後にした。

 

* * *

 

「まぁ…そのうち来るだろ」

 

紅音との待ち合わせ場所へ行った後、手持ち無沙汰なのもアレだと思い、自販機で買った缶コーヒーを飲みながら、紅音を待つ。新しい友達と話してるかもしれないしな。

 

……この後どうしような……。

途中まで一緒に帰って、昼飯食ってクソゲーやって………

 

「楽郎さん!」

 

そういやデベリオンが発売されたんだっけか…ロックロール寄ろうかな…って

 

「紅音!」

「お待たせしました楽郎さん!」

「大丈夫、俺も今来たとこだよ」

 

コーヒーを飲みながら考え事をしていたら、紅音が合流した……が、隣に居るのは誰だろうか?

 

「えっと…その人は?」

「あっ、はい!隠岐さんと同じクラスの朝乃舞 あさのまいと言います!陽務先輩、初めまして!」

「楽郎さん、舞ちゃんは瑠美ちゃんのファンらしいです!」

「あ、なるほど…。瑠美の……初めまして、陽務楽郎です。」

 

紅音と一緒にやって来たサイドテールの生徒は誰だろうかと思ったが、瑠美が出てる雑誌でファンになった人だった。という事は……いつか鉛筆の邪教徒になってしまうのか……。おぉ…口惜しや……

 

「教室で隠岐さんとお話しして、私が陽務瑠美さんのファンだって言ったら隠岐さんが、あの陽務瑠美さんとは親友だと言われまして、つい舞い上がってしまいました!そしてそのお兄さんのところへ行くと言われて、私が無理を言ってついて来ちゃいました。ごめんなさい!」

 

そう言って、朝乃氏は頭を下げた。

 

「ああいや、気にしないで…ほら、頭上げて…」

「まぁ…なんだ、機会があれば、そのうち瑠美と会えるだろうし、それに紅音とも仲良くしてくれたら俺としてはとても嬉しいな。」

「本当ですか…!?」

「ああ。紅音もそうだろ?」

「はい!瑠美ちゃんとは学校が違っても親友ですが、舞ちゃんも親友になりたいです!」

「隠岐さん……!!」

 

あれ? 朝乃氏、紅音の光属性でなんかときめいてない!? 紅音は渡さんぞー!!

 

「じゃあ、そろそろ帰るか?」

「あっ、はい!行きましょう!」

「途中までご一緒しても良いですか?」

「もちろんです!」

「紅音が良いなら、俺も構わないぞ。あ、でも俺は寄り道してくわ」

「ありがとうございます!」

 

* * *

 

「そういえば、俺はロックロール行くけど、二人はどうする?」

「ロックロール?」

 

朝乃氏が尋ねた。

 

「俺の行きつけのゲームショップだよ。まぁ、最近だと紅音もだがな。俺がβ版プレイした作品が発売されたって聞いてちょっとな…」

 

俺がプレイしたのと武田氏をはじめとする例の界隈のお歴々方の評価を考えると製品版ではどうなっている事やら……。

 

「そんなところが……私、行ってみたいです」

「それなら私も行きます!」

「わかった。じゃあ、行こうか」

 

* * *

 

「いらっしゃいませーって陽務君に紅音ちゃん、いらっしゃい……あれ?その子は?陽務君の彼女?」

「っ!?」

「違いますよ。紅音の新しい友達です。そもそも俺の彼女は紅音だけですから。」

「あの…岩巻さん…?」

「ごめんごめん!えっと、紅音ちゃんの新しいお友達か。ようこそ、ロックロールへ」

「はい…!朝乃舞と言います。隠岐さんと陽務先輩とは、今日知り合いました」

 

店に入って第一声からとんでもない単語が飛んできたが、俺の彼女は紅音だけだ。あと、一瞬紅音の目が濁った気がするけど、まあ気のせいだろう。

 

「そういえば、デベリオン発売したって聞きましたけどあります?」

「デベリオン……ですか?」

「そうそう朝乃氏、デスゲーム・リベリオン・オンラインってゲームでな…。まぁ…βだけで判断するなら、クソゲーだな。」

「どんなゲームだったんですか?」

「あー…一言で言えば、運営の悪意に満ちたゲームだな…。」

 

製品版になって改善されたのかねぇ…。まあ、そんなわけないか。

 

「入荷してるわよ。噂は聞いてるけど、製作メンバーに吉良、吉村、吉祥寺の3人が居るんだってね。」

「そうなんですよ。俺も、知り合いから聞いただけですが、控えめに言って蠱毒か何かだと思いましたよ…。」

「でしょうね。今は無いけど、もし入荷したら陽務君やってみる?」

「遠慮しておきます…。」

 

『あの…隠岐さん、先輩達の会話がよくわからないんだけど……』

『うん、私も楽郎さん達がゲームのお話しをしてることだけはわかります』

 

「とりあえず、デベリオン買いますわ。」

「お買い上げありがとうございます」

 

* * *

 

「じゃあ、俺はこっちだから」

「あっ、私もこっちなんですよ」

「はい!楽郎さん、舞ちゃん!さようなら!また明日」

「じゃあな紅音。また明日」

「また明日!」

 

帰り道の分岐になり、紅音と別れた。

 

「朝乃氏もこっちだっけ?」

「はい」

「そっか。じゃあ、途中まで一緒か」

「はい!」

 

……気まずい……。紅音以外の女の子と二人っきりだからか…? って意識し過ぎるのもアレだな…。

 

「あの…」

「ん?どうした?」

 

沈黙を破ったのは、朝乃氏だった。

 

「きょ、今日って、陽務瑠美さんはいらっしゃるのでしょうか!?」

「瑠美?今日は多分、バイトだぞ」

「そ、そんな……」

 

確かに機会があれば会えるかもって言ったからな、途中まで帰る方向が同じだからもしかしたらと思われたみたいだな。まあ…なんか可哀想だし、アポくらいは取っておくか。

 

「そう落ち込まないで、いつになるかわからないけど、瑠美だったらそのうち会えるように俺や紅音が話してみるから」

「本当ですか!?」

「朝乃氏ステイ」

 

なんか…去年の紅音みたいだな…。でも、自分の好きなものに夢中になれるのは良い事だからな。

 

「あ、俺ここだから」

「はい!では、さようなら!」

「おう、また明日な」

 

そんじゃ、飯食ってゲームでもするか!




【キャラ設定】
名前 朝乃舞
性別 ♀
年齢 15
特技 暗記、執筆
好きなもの 陽務瑠美、小説
嫌いなもの 虫、鬱展開

詳細:実は入試首席の新入生代表 瑠美との出会い(雑誌)は、中学の友人に勧められたファッション誌を読んだ時に一目惚れしてファンになった。先に瑠美を認知したため、天音永遠より陽務瑠美になっている。なお、瑠美は天音永遠の邪教徒であるため、出会ったら二人のファンになる模様。
小説の執筆は、雑ピのポエムのようなものだが、イジられたりするわけではない。小説をネットに流す勇気が無いので、ノートや携帯に保存されている。
ゲームは、趣味の事もあり、ノベルゲーのみ。ピザの悪夢を乗り越えし強者(本人曰く楽しかったらしい)
鬱展開が嫌いなのは、シャンフロ世界ではレトロにあたるハードでプレイしたノベルゲーに鬱ゲーがあり、トラウマになった。

現在の評価
紅音:可愛い、一番最初に話しかけてくれたクラスメイトで新しい友達
楽郎:憧れの人の兄、友達の彼氏(紅音がいるので、楽郎への恋愛感情は湧かない) 友人関係になりたい。
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