「さてと…どのクソゲーをやろうかな…。」
紅音を駅まで送り家に帰宅したまでは良いのだが、数時間前に紅音に言われた言葉が頭から離れずどうしても落ち着かないので、とりあえずクソゲニウムを補給する事にした。
「幕末は…さっきやったし…便秘も朝やった…。」
どのクソゲーをプレイするか考えながらクソゲーを飾ってある棚を覗いてみた。
「ラブ・クロック…は絶対に無い。」
あれは地獄だった…。ピザの悪夢だ…。ピザ留学…ピザ…ピザ…ピザピザピザピザピ…おっといけない…。
「ピザは一旦忘れよう…。」
とりあえずアレは二度とやらない。うん。
「久しぶりに危牧でもやるか」
そういや紅音も危牧経験者って言ってたな…。
* * *
「だぁークソ!!」
最上位の災獣に畑全てを潰された。あのキリン野郎ぜってえ許さん!!いつか絶対ぶっ倒す。
「それはそれとして…まぁ、落ち着いたかな…。」
結果として畑は全て潰されたが、クソゲニウムの補給によって冷静になることに成功した。
「寝よ」
時間も時間だしな。とりあえず学校もあるし、今日のことはまた明日考えよう。
* * *
「行ってきまーす」
月曜日。週末が明け、世間では学校や仕事が始まる。俺も例に漏れず学生としての務めがあるので、学校へ登校する。
* * *
どうしてこうなった。
俺が登校するや否や、雑ピ達に席に座らせられ拘束された。隣には柔道部のエースが立っている。抵抗したら絞めるってか…?
「おい雑ピ、陸上部と柔道部のエースを徴兵するのは卑怯だろ」
「彼らは徴兵したのではなく、傭兵として志願したのだ。」
「どうなんだよそれ…」
「うるさい。それでは尋問を始める。」
「なんの尋問だよ。斉賀さんとは付き合ってないぞ」
「ほう?では、昨日貴様と一緒にいた女の子は一体どういう関係なんだ?」
おいマジか…見られてたのか。
「あー…妹の親友だよ。妹と勉強するからって家に来てたんだよ」
「貴様の家にだと?もしやその時に何かあったのではないのか?」
グッ…雑ピの癖に鋭い…
「い、いや…特に無かったぞ。ただ妹に駅まで送ってこいって言われただけだぞ。」
「その割にはとても仲良さげに話してたみたいだが?」
「何が言いたいんだよ雑ピ…」
大体検討はつくけどさー…
「では、はっきりと聞こうじゃないか。斉賀さんと妹の親友のどちらと付き合ってるんだ」
「いやどっちとも付き合ってないっての。」
紅音から告白はされたが、まだ返事をしてないので嘘は言ってない。うん。
「本当かよ…実際のとこどっちが本気なんだよ!」
うーん…このまま話してるとボロが出そうだな…。ここは1つ
「……ひたひたと、降り落ちた雨の雫。そこには僕が居た。そこには君が…「わぁぁぁ!!!!待て待て待て!!!!何故それを知ってる!!」
よし、今回も暁ハート先生のポエム作戦成功だぜ!
「だからポエム書きかけのノート開きっぱなしでトイレに行くなっての。」
「そんじゃ、選手交代だ。」
「暁ハート先生の新作披露だ!!」
「やめてくれーーー!!!」
* * *
暁ハートの新作ポエムを犠牲により、なんとか尋問から逃れることが出来た。暁ハート…お前の犠牲は忘れないぜ…。
そんなこんなで授業も終わり、下校の時間になった。
「ロックロール行くか!」
学校も終わり、ロックロールに良さげなクソゲーが無いか見に行く事にした。
* * *
「ちーっす」
「いらっしゃい陽務君」
「なんか良さげなクソゲーはありませんか?」
「今店にあるのは、既に持ってるやつばっかかな?」
「マジですか。」
「それより何か浮いた話とかってないの?」
えぇ……。まぁ…紅音の事相談するか。
「店のことより常連の浮いた話ですか……。あー…そのことなんですけど…相談良いですか?」
この手の話なら乙女ゲーガチ勢の岩巻さんに相談するのが一番だと思う。
「え?陽務君何かあったの?」
「あー…話すと長くなるんですが、良いですか?」
「ええ、全然構わないけど…まさか陽務君からこんな相談をされるとはね〜」
俺も岩巻さんにこの手の相談をする日が来るとは思いもしなかったぜ。
「まぁ…話しますわ…。実は俺、便秘で知り合った妹の友人からリアルバレと同時に告白されたんですよ…。」
「え?どういうこと?」
* * *
「これで全部です。」
とりあえず紅音との出会いから昨日までのことを全て話した。岩巻さんは最初は驚いてたが、終始相槌を打ちながら最後まで話を聞いてくれた。
「ふーん…。楽郎君にそんなことがあったとはねぇ…」
「ええ…まぁ。」
「それで…その紅音ちゃんのことはどう思ってるの?」
「それはどういう意味で…?」
「昨日、その紅音ちゃんって子から告白されて陽務君はどう思ってるのかってこと。」
「まぁ…驚いたってのもありますが…」
「じゃあ質問の意図を変えるよ。その紅音ちゃんとどうなりたいの?」
紅音とどうなりたい…か。
「…正直、まだわかりません…。でも、あの時の紅音の言葉が頭から離れなくて…どうすれば良いのかわからないんです…。」
「陽務君はどうすれば良いのかわからないって言ったけどさ、答えは簡単だよ。」
「簡単…ですか?」
どういうことだろうか…。
「君の気持ちを伝えてあげることだよ。」
「どういう意味ですか?」
「口ではわからないって言ってるけどさ、告白されて多少はその子の事を意識してるでしょ?」
「まぁ…。」
確かにそうだ。あの告白がどうしても頭から離れずにいる。俺は、少なからず紅音のことを意識してるんだろうか…。
「告白を受けた君が、その子の事を意識してて、その子と一緒に居たいっていう気持ちが少しでもあるんなら…その機会を無駄にしない事。そしてその子の事が好きだと思うなら…ちゃんとその子の目を見て、自分の想いを伝えなさい。そうでないのなら、曖昧な返事をせずにちゃんと断りなさい。」
「私からのアドバイスはこんなものかな。」
そう言って岩巻さんは微笑みかけた。
「ありがとうございます、岩巻さん。」
「うむ、頑張りなさい!恋に生きる若人よ!」
若人て…
「これからも時々、相談しても良いですか?」
きっとこれからもそういう機会が訪れるだろうと思い聞いてみた。
「ロックロールが開いてればいつでも。」
「わかりました。じゃあ、俺はこれで。」
「はーい。またの相談お待ちしてまーす」
あれ…?クソゲー在庫処理としての俺は…?
そんな事を考えながらロックロールを後にした。
* * *
「紅音と一緒に居たいと思う…か…。」
紅音と過ごした時間…いやまぁ…昨日以外はゲームの中だけど…。
便秘で人外バトルを繰り広げたり、シャンフロでリュカオーンやクターニッドと戦ったり、時々一緒にクエストをやったりして過ごした時間…。そのどれもが俺にとって楽しい時間だった。
「…紅音と一緒に居る機会を無駄にしないようにしないとな。」
ロックロールでの岩巻さんの言葉を思い出しながら、そう呟いた。