「そんじゃ、シャンフロやるか!」
岩巻さんと話をした後、家に帰ってきた俺は、シャンフロをする事にした。
* * *
「こんばんわですわ!サンラクさん」
シャンフロにログインし、ラビッツのベッドから起き上がると、エムルがいた。
「ようエムル」
この声は……あー……そういや前回ログインした時、聖杯使ったんだった。そんでもって蠍共のとこに遊びに行ってないから、女体化したままだったな。まぁいいや。わざわざ戻しに行くこともないだろう。
「サンラクさん!」
「ん?」
ラビッツの宿から出ると、誰かに名前を呼ばれた。いやまぁラビッツにいるプレイヤーなんて今のところ俺以外に2人しか居ないけど。
「昨日ぶりです!サンラクさん!」
そこに居たのはもちろん秋津茜であった。
「おう。そうだな秋津茜。こんばんは」
「はい!こんばんはです!」
「そういえば、サンラクさん今日は女の子なんですね!」
今日はって…いやまぁ実際そうなんだけど…
「前にログインした時に聖杯使ったからな。」
「なるほど!では、私も聖杯を使います!」
そう言って秋津茜は青色の聖杯を取り出した
「ちょっ…!秋津茜ステ…」
青の聖杯が光った。
「この姿ではお久しぶりですねサンラクさん!」
間に合わなかったか…てか久しぶりに見たな…聖杯使って性別変わった秋津茜
ほんとになんで便秘のアバターみたいなおっさんアバターになるんだよ…もはやギャグだろ
「お、おう。そうだな…」
「や、やっと追いついたでござるよ秋津茜殿…ってその姿はなんでござるか!!」
秋津茜に置いてかれてたらしいシークルゥの叫びがラビッツに響き渡った。
「シークルゥさん!クターニッドの聖杯を使いました!」
秋津茜よ…おっさんボイスでいつものように喋られるととても違和感が…
「な、なるほどでござる…」
一応納得したようだ。
「シークルゥお兄ちゃんさっきぶりですわ!」
「エムル、さっきぶりでござるな」
エムルもシークルゥとの挨拶を交わした。
「あの…サンラクさん」
「うん?どうしたエムル」
「秋津茜さんと何かありましたですわ?」
「エムル!?」
シャンフロのAIは心を読む機能でもあるのか!?
「え、な、なんでそう思ったんだ…?」
「秋津茜さんと出会った時、今日のサンラクさんはいつものサンラクさんと雰囲気が違ったですわ。」
「そういえば、秋津茜殿もサンラク殿の元に行くと言い走って行ったでござるな。」
「え?そうなの?」
シークルゥが秋津茜に置いてかれてたのはそういう事だったのか…。
「はい!サンラクさんがログインしたと耳にして、居ても立っても居られなくなりました!」
「そ、そうか…。」
昨日のアレから今日でそんなこと言われると…なんか照れるな…。
「あの…サンラクさん」
「な、なんだ…?」
「え、えっと…その…ですね…」
紅音が何か言い辛そうにしている。
「私とお出かけしませんか?」
へ…?おでかけ…?
「お出かけ…?」
「はい!この場合だと…デートですかね?」
秋津茜の口からとんでもない単語が飛んできた。
あまりにも唐突のイベントだった。あのラブクロックですら、ここまで唐突のイベントは無かった。
「えっと…あか…じゃなかった。秋津茜は良いのか…?シャンフロの中でとはいえ、こんな半裸の痴女とデートなんて…」
一応こんな姿なので聞いてみた。
「大丈夫です!私も性別が変わってますから。それに女の子になってもサンラクさんはサンラクさんですから!」
おおう…まぶしい…。浄化される…。
「そっか。」
昨日、ロックロールで岩巻さんと話してた事を思い出した。
“一緒に居たいという気持ちがあるならその機会を無駄にしない事”
まだ昨日の答えは出ていないが…少なからず俺は紅音と一緒に居たいという気持ちがあるって事なんだと思う。
「いいよ、秋津茜。行こう」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。」
「ありがとうございます!!」
秋津茜とシャンフロ性転換デートをする事になった。そういえばデートとは言ったけど…シャンフロで何するんだろう…。
「なぁ秋津茜。デートとは言ったものの…何をするんだ…?」
「そうですね…ファステイアからフィフティシアまで走りませんか?」
なぬ!?
「え?マジ?」
ふと出てきた疑問を秋津茜に投げた。
「はい!実はいきなりデートと言ってしまいましたが、何をすれば良いのか思いつかなくて困りました。でも困った時には走るのが1番ですから!」
今もそうだが、いつだったかの秋津茜も言ってた。
‘’困った時は走る”
ってな。ならば俺もそれに応えようじゃないか。
「なるほどな。じゃあ、ファステイアからフィフティシアまで走るか!」
「はい!」
* * *
【旅狼】
鉛筆騎士王:さっきサードレマに2匹の兎とお面を付けたすっごい筋肉のおっさんと魚の頭の半裸の痴女が走り去っていったんだけど…
オイカッツォ:おっさんの方はともかくそんな格好した変態は1人しか思い当たらないなぁ…
京極:何があったの…?
鉛筆騎士王:それでウチの鉄砲玉1号は何をしてるのかな?
オイカッツォ:またプレイヤーから逃げてたんじゃ無いの?
鉛筆騎士王: 秋津茜ちゃん引き連れてるから何か新しいユニークでも見つけたんじゃないのかな?どこかの総受け魚介君と違って
サンラク:やっぱカッツォは受けだよな
オイカッツォ:よしお前ら後で便秘来いよ
サンラク:上等だよボッコボコにしてやんよ
鉛筆騎士王:また世界崩壊させる?
サンラク:あ、京ティメットさん昨日ぶりでーす
京極:サンラク!!昨日はよくも僕を…!!
オイカッツォ:またカモにされたのか…
鉛筆騎士王:っていうか、サンラク君は秋津茜ちゃん2人で何してたの?
サンラク:あーちょっとな…
秋津茜:デートをしてました!
サンラク:ちょっ…!
鉛筆騎士王:おやあ?
京極:へぇ…何やら面白そうなことに…
オイカッツォ:端末越しでも鉛筆の悪い笑顔が見えるねぇ…それにしてもデートかあ
サンラク:う、うるさい…!そういやカッツォの方はどうなんだよ
鉛筆騎士王:サンラク君話逸らそうと必死だね〜いやーまさか秋津茜ちゃんとそんな仲だったとはねぇ…
サンラク:い、いやまだそんな関係じゃねぇよ
サンラク:あ
オイカッツォ:お?自爆か?鉛筆王朝みたく爆破オチか?
鉛筆騎士王:君は私のことをなんだと思ってるのかな?女装画像を魔境にアップしちゃおうかな?
オイカッツォ:それだけは勘弁してください
鉛筆騎士王:まぁいいや。それで秋津茜ちゃん、実際のところどうなの?サンラク君とは
サンラク:秋津茜ステ…
秋津茜:はい!私はサンラクさんの事が好きです!
サンラク:ちょ…!
鉛筆騎士王:へー…そうなんだぁ!!やるじゃんサンラク君
オイカッツォ:まさかシャンフロで告白イベントを見れるとはねぇ…
ルスト:なんか通知音がうるさいから見に来たけど何これ
モルド:えっと…これはどう反応すればいいんでしょうか…
鉛筆騎士王:これはお祭りの予感だねぇ〜
鉛筆騎士王:あっ、告白されたサンラク君はどう答えるのかな?
オイカッツォ:サンラクのカッコいいところ見てみたいな〜
サンラク:フレに呼ばれたんで抜けますね^^
オイカッツォ:お?逃走か?縄で縛るか?
鉛筆騎士王:サンラク君捕獲イベントかな?
* * *
「やっべ…やっちまったわ…。」
あの後なんとか秋津茜との関係は誤魔化したが、いつか答えを出さにゃならないし、鉛筆に関しては下手すりゃあ瑠美経由で情報が流れかねない。そうなったら外道共からとことん煽られるのが目に見えてる。
「どうしたらいいのかねぇ…」
ちなみにあの後、秋津茜とファスティアからフィフティシアまで走って時間も時間ということで別れた。秋津茜別れた後、俺はいつものようにマブダチのとこへ遊びに行ってからラビッツでログアウトした。まぁ俺をボールにした球技大会だったけど。
「ん?お兄ちゃんなんかあったの?」
「ああそうなんだよ。ちょっとな…ってなぜ部屋に居るんだ我が妹よ」
ふとした悩みをなんとなく口に出してみたら、何故か部屋にいる瑠美に聞かれていた。
「お兄ちゃんに伝えることがあってね」
「伝えること?紅音の事とか?」
「すぐに紅音の事が出てくる辺り多少は意識してるんだね」
「うるせ、それで何?」
「実はね、来週の金曜日に紅音ウチにお泊まりするから」
瑠美の口から出てきた情報は今の俺にとっては爆弾に等しい発言だった。
「マジ?」
「マジ。紅音と一緒に勉強をするのと、私が紅音にファッションを教えるために」
「ああ…そうなのか」
ファッション…あの外道鉛筆に何か吹き込まれなければ良いんだが…
「それで…なんでそれを俺に…?」
「そりゃあ親友がお泊まりするっていうのと…やっぱこれは内緒」
「おい、なんのことだよ」
「なんでもない」
「えぇ…」
おいおい…そりゃないだろ。もう一つの目的ってなんだよ…
「まぁそういう事だから。お兄ちゃん、部屋片付けといてよ」
「わかったよ。てか金曜日って言ったよな?」
「言ったよ」
「父さんたちは…?」
「一応伝えて許可は貰ってるけど、多分居ないんじゃ無い?特にお父さんは」
「まぁ確かにな…」
またカジキ釣りに行くとか言ってたしな…。
「じゃあ、確かに伝えたから。来週の金曜日だからね」
「何度も言わなくてもわかってるぞ」
そう言い残し瑠美は部屋を出て行った。
「……金曜日…か。」
とりあえず来週の金曜日は予定を空けなければ…。
まぁ…いい時間だし今日は寝るか。
俺はベッドに入り眠りの世界へ体を預けた。
次回
リアルイベント デュ○ルスタンバイ