私の名前は神田 美琴。どこにでもいるTS転生者!っていうベタな挨拶はおいておいて。現代社会に転生した私は表立って特典を使うわけにも行かずそこそこ平和な表社会で平凡な小学6年生として生きていたんだけど、ある日親に頭がいいんだから中学受験しろと強制的に試験を受けさせられ、無事1年生から通うことになったんだけど……それがなんでよりにもよって椚ヶ丘中なんだよ!!!うそやん!!!
いやいや、確かに椚ヶ丘中って聞いたときにどうせ同名の別物だと思った私も悪いかもしれないけど!ふつうそんなん頭の中にないわけですよ。
正直入ってからは中学校の勉強なんて何周目だよって感じだし、授業中はだいたい寝て過ごしてテストだけ満点連発していた。だからなのか教師からしたら何だこいつ案件の生徒だったみたい。まぁそれでも成績が優秀なのですり寄ってきたけど。
あと他の生徒からしても面白くない生徒って見られたみたいで浅野を筆頭とする同じA組の連中からなんか威圧されたり、喧嘩売られたり、ひどい目に遭ってる。
いや、ちゃうねん特典のせいで生き残るためには寝る時間がないんや。助けてえーりん!って言えるわけもなく、その微妙な空気を甘んじて受け入れて幾星霜、ついに月が破壊され原作が始まりました。
ちなみに、面倒ではありますが、やらなければならないことがあるので、E組に行きました。どうやってって?もちろんテストを白紙で出しただけです。せんせー達が拳2つ分くらい口開けててけっこうおもろかった(小並感)
てなわけで3年からE組ちゃんです。教室も山の上だし、クーラーないし差別されるしで、いいとこなしのクラスですね。スリザリンくらいいやだわ。
はい、現在は入学式から1周間とちょっと経ちました。別に行きたくなくて現実逃避していたとかではなくてちょっとやることがあったのでそちらで動いていただけだけです。さぼってないからね!…こほん、まぁそれはおいておいて、家に烏丸さんが来たり、へんな来客もあったがいろいろあって絶賛教室の前に立ち止まっています。
思ったより山がきつくて、貧弱で脆弱な神田ちゃんの息が上がってるから休憩しているわけではなく、どうしたらいいんだろうと、ずっと悩んでいるわけです。教室に入ってもいいのか、それとも転校生を紹介するときよろしく、殺せんせーの後に入って自己紹介するのか。
てか見知った(一方的)人ならいるんだけど友達じゃないし、てか学校に友達いないし、そのなかで視線が集まるのは陰キャの私には無理に決まってる。
とそんなことを考えていたら、声をかけてきたのはまさかの殺せんせー。やっべー実際に見るとキモいフォルムしてるわ。でも挨拶とかしなきゃなぁ。おはこんハロチャオ〜。
とかなんか適当に言ってたら殺せんせーが自己紹介の機会を作ってくれるらしい。悪魔かな?陰キャは注目されるのが怖いんじゃ。
あっ少し意識飛んでたみたい。やばいなんかうねうね動いて触手が呼んでる。気合を入れろ!美琴。お前はやれる子だ!うおおおおおお
はい、結果から言うと失敗しました。みんなめっちゃ見てくるんだけどうわ〜恥ずかし、てか席カルマの隣かよ、目ーつけられんとこ。あ、もうつけられてたわ笑。って笑ってる場合ちゃうねん。はいー私のE組生活失敗確定演出ありがとうございます。
終わったわ…。ん?あぁもう休み時間なのね。だから騒がしい…というよりなんか皆こっち来てないですか?うわ、みんなが一斉に話しかけてきた、あっ…あっ…(浄化される音)なんですか?私を殺したいんですか?やめてください本当に死んでしまいます。
あっぶね。適当に上手く切り抜けられたわ。もしかしてこれは天才なのでは?陰キャじゃないのでは?…友達がいない私が行っても説得力皆無でしたわ。悲しい。
キング・クリムゾンで時間を飛ばして現在は昼休み。飛ばした内容は、授業中寝てたら殺せんせーに起こされて勉強させられました。つらい。
てかそんなことよりも次は体育だから楽してサボれるぞ〜。暗殺断って100億失うよりも目先の利益。この授業の体育は暗殺の練習、つまり暗殺しない私は堂々とさぼれるってわけ。別に金に困ってないしこれから困ることもないし、私って天才だわ。これはノーベル賞受賞。間違いない。
は?サボろうとしたら烏間さんに怒られたんだけど。ばかな!?私の完璧なプランが崩れた、だと!?せっかく暗殺参加しないって言ったのに…。このために参加しないといったといっても過言ではないのに!
私のポーカーフェイス君は怒りを伝えてないみたいだが正直腸が煮えくり返っているんですよね。この私をここまでコケにしたお馬鹿さんはお前で二人目だ!ぶっ殺してやりますよ!えぇ!
ん???まじ?通るんかい。今からナイフを当てるっていう勝負をして、勝ったらサボってもいいって?割と冗談で言ったんですけど?
素の身体能力だと秒殺待ったなしやで。もちろん私が。あっそうだ。てってれー転生特典〜。これの一部を使ってはい、終わり。私にかかれば烏間先生くらいちょちょいのちょいですよ〜。
嘘です。めっちゃズルです、すいません。まぁ転生特典使うことによるデメリットはあるって古事記にも書いてあるし、へーきへーき。
勝ちは勝ちなので無事認めてもらいました!クラスメイトがヒソヒソ話しているけどヨシ!(現場猫)これで堂々と寝ることができる。睡眠こそ、我が人生。最高の無季語自由律俳句だな()おい。これがもはや俳句ですらないというのは日本俳句協会に言ってから来てもらおうか。
うわ!?殺せんせー目の前におるやん。てかもう夕方かよ〜。はいはい。殺せんせー了解了解。疲れたしらさっさと帰りますか〜。ん〜?特別な力ねぇ〜。
ははっ残念ながらあなたは【センセー】であって【先生】じゃないんだよ。
生徒のことを知りたいっていう気持ちは感心するけどさ、ちょっと力があるからって何でもかんでも踏み込むのはいけないことだと知ったほうがいいよ?痛い目会いたくないならね。これを期に学習しなよ、元死神さん?
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「今週からE組に配属になる生徒だ。情報を見たところだいぶ癖がある生徒のようだから、注意して見ておけ」
「ご忠告ありがとうございます。烏間先生。でも大丈夫です。E組の生徒であれば別け隔てなく接し、必要でしたら手入れをするだけですので、ヌルフフフ」
「はぁ…全く、カルマくんの時とは全く違うぞ。あと、お前も聞いているとは思うが、入学式から一週間たった現在までは怪我で病院とのことだ。くれぐれも変なことはするなよ」
烏間先生が出ていったのを確認すると手元の資料を目を落とす。
神田美琴。14歳。両親はすでに他界しており、現在は一人暮らしをしている。また、冷静沈着で非常に優秀な頭脳を持っており、2年2学期まで一位をキープしている。しかし、授業中はいつも寝ている、突然いなくなるなど、天才故か訳の分からない行動を突拍子もなくするので注意が必要である。また今年度から成績不良によりE組とする。
確かに烏間先生の言っていた通りなかなかどうにも癖がある生徒ですね。ふむ、寝ているのは単純に授業が面白くないのかもうすでに学習済みといったところでしょうか。訳の分からない行動は興味関心があることしかやらないためと考えれば納得できますね。ですが補足資料にもあるよういきなり答案を白紙で出し、それでE組行となっている。なにか裏がありそうですが、調べるのはやめましょう。生徒をはじめから疑ってかかるのは良くないことです。
そうして、資料を読み終えると、そろそろホームルームの時間が近づいていた。
「おっと、いけませんね。急いで教室まで行かなくては」
急いで準備し、廊下に出ると教室の前に例の神田さんがいました。どうやらなにかを待っている様子。
「おはようございます、神田さん。私はこのクラスの担任の殺せんせーです。よろしくお願いしますね」
「おはよう、殺せんせー。私の自己紹介は…必要なさそうだね」
「ええ、大丈夫です。ところで何やら困っている様子ですが、なにかありましたか?」
「私は今日が初登校でね、クラスの人たちの名前も知らないし、私の席も知らない。だから君にHRの時自己紹介の時間を作ってもらおうと思ってね」
「おっと、それはすいません。では私が呼びますので、そしたら入って来てください」
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潮田渚side
朝、なにやらニコニコと縞模様を浮かべた殺せんせーが入ってきた。
「皆さんに紹介したい人がいます、さぁ入ってきてください」
「やぁ。私は神田美琴。諸事情で一週間ほど休んでいたけれど、これからどうぞよろしく」
そこに現れたのは本校舎にいたときに学校一の美人であり、変人でもあり、天才でもある神田さんがいた。
一週間ほど休んでいたってなにがあったのかとか、やっぱりとんでもなくきれいな人だな、なんて思ってしまった。でも
「「「なんで神田さんがここにいるんだよ!?」」」
その一点ではみんなと同じことを思っていたみたい。
あのあと神田さんはいろんな人に話しかけられていたけど、全部綺麗に話を捌いていてすごかった。全員が満足するように会話しているのは正直かなり話すのが上手いと思う。
ただカルマくんがなんでE組に来たのかって聞いたときに彼女が
「前回のテストは少々気分が乗らなくてね。E組には本校舎とは違う良い先生がいると聞いたのもあってこっちに行きたくなってね。ちょうどいいから全部白紙で出してこっちに来たのさ」
というとんでも発言をしたことでさらにクラスがざわついたのはなかり印象深い。
そうして休み時間が終わったのだけれど、次の数学の時間、彼女は寝ていた。うん。寝ていた。本校舎の伝説的な話で聞いてはいたけれども、まさか本当に実在していたとは。そこで眠り姫ってあだ名がついただけあって、神田さんの寝顔は宝石なんか比べ物にならないくらいきれいだ。
とかそんなことを考えていると、殺せんせーが強制的に神田さんを起こした。神田さんはまた寝ようとしたけれど、殺せんせーが周りで分身して授業を始めた結果神田さんが折れて授業を真面目に聞いていた。
そしてその様子を見ていた茅野が話しかけてきた。
「ねぇ渚、神田さんってどんな人なの?」
「僕もあまり知らないんだけど、話によると授業中はすべて寝ていて、体育は全部休んでいる。授業中突然抜け出す。あとは勉強がものすごくできるって話」
「へぇ〜いろんな意味で天才って感じがするね〜。気になるなぁ」
そうして少しの間話していたが、殺せんせーが黒板に戻るのを見て話すのをやめた。
それからというもの結局神田さんは1時間目と2時間目以外寝ていて、お昼休みの時間はウェダーinゼリーを一個飲んだ以外で6時間目まで神田さんが起きてくることはなかった。
6時間目の体育の時間は流石に起きてきたみたいで神田さんもいつの間にか着替えてグラウンドに来ていた。春だけど結構暑い日なのに長袖長ズボンなのはなんだろう、寒がりなのかもしれない。
「ねぇ渚。神田さんって話以上に…その…すごい人だね!」
「僕も神田さんと同じクラスになったことがなかったから分からなかったけど、なんていうか流石だと思うよ。本当にずっと寝てるとは思わなかった」
「そうだね…。ん!?神田さんが真っ先に木陰に行ってレジャーシート敷いて寝る態勢を整えているんだけど!?」
「噂通りだったか〜」
授業が始まり烏間先生がやって来るとやっぱり神田さんを起こしに行った。そりゃそうか。いくら優等生とはいえ、体育も見学は厳しいだろう。
何か話しているみたいだが距離が遠いのであまり聞き取れなかった。一応暗殺がどうとか休みがどうとかって聞こえたから多分彼女は暗殺に参加しないのではないかと思う。だって彼女ほど頭が良ければ別に100億なくてもどうにでも生きていくことができそうだし。
どうやら話し合った結果殺せんせー用ナイフを一回でも当てた方が勝ちということで話がまとまったようだ。彼女が勝てば今後休んでも問題なくて、烏間先生が勝てば今後授業中も含めて寝ない、サボらないという条件で始まった。僕らは正直烏間先生の圧勝だと思っていた。
彼女がこの条件を飲んだのはきっと天才ゆえの慢心だとか、多少武道の経験があるのだろうとそんなことを思っていた。烏間先生は防衛省所属で戦闘経験も豊富にあるのだから中学生には勝ち目なんかないだろうと。
結果は……彼女の圧勝だった。
彼女は開始と同時に全力でナイフを投げ、それと同時に接近した。そのあまりの行動の速さに一瞬怯んだ烏間先生だったが、戦闘訓練の賜物か、即座に彼女の投げたナイフを掴み、背後にナイフを投げ、拾えないようにする。
そして突っ込んでくる彼女に対してそのまま反撃し、首にナイフを当てようとした。このまま行けば烏丸先生が勝つ思ったその時、烏丸先生が何かに怯み、その隙をついた神田さんをナイフを奪われ、ナイフを首に当てられていた。
「降参だ」
あの中学生とは思えない身体能力に戦術、そして、烏丸先生が怯んだ謎の技。それを見たクラスメイトの大多数は口々に称賛の声をあげ、彼女に近寄っていく。
周囲を囲まれた彼女は少し戸惑いつつも、ほどほどに応対し、先程のレジャーシートへ帰ってそのまま寝てしまった。
一切彼女の感情は動いていなかった。今日教室で見た彼女と全く変わりがなかった。訓練だからといえばそれまでだけど、なぜだか僕は彼女のことが不気味に思えてしまった。
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現在は夕暮れ時。6時間目が終わった後クラスの何人かは神田さんを起こしに行ったみたいですが、残念ながらずっと寝ていた様子。
といってもずっと見ていたわけですが。
先程の戦闘の疑問はいくらでもあります。彼女の中学生らしからない身体能力やあの烏間先生が怯んだあの謎の技。あのあと烏間先生に聞いたところ大部分ははぐらかされましたが、最後に「神田美琴はもしかしたら危険な存在かもしれない」とだけ言い残し去ってしまいました。
やはり神田さんに聞くしかないですね。彼女も生徒の一人ですが、烏間先生が、警戒するものを持っているのも確か。もしかしたら何かしらの力、触手なんてものがあるんだから他にもなにか魔法のようなものがあるのかもしれません。
彼女が《何か》を手に入れたときに負った後遺症が長時間睡眠かもしれませんし…とにかく彼女のことを知らなくてはなりませんね。聞きにくい質問ではありますが、教師として聞いてみるしかありません。
「おはようございます、神田さん。もう夕方ですのでそろそろ帰宅したほうがいいですよ」
「おはよう殺せんせー。忠告感謝するよ」
まだまぶたが開ききっていないのか、まぶたをこすりながらそう答えてくる。寝起きで申し訳ないが、これだけは聞かなくては。
「ヌルフフフ。実は用事はこれだけではないのです。単刀直入に聞きますがね神田さん。あなたは何か特別な力がありませんか?それも簡単に人を害せるような何かを。それについて、もしよろしければ先生にお聞かせ願えないかなと、思いましてね」
そう言い終わった途端彼女の雰囲気が変わった。簡単に言い表すなら怒り、または憎悪だ。風が吹く。木を揺らす。風が止む。何千、何万回と起こったただの自然現象。だがそれはいつものは違っていた。風が止んだ瞬間先程まで感じていた周囲からの生命の気配が一切なくなった。私はこれを知っている。今まさに食われようとする捕食者と獲物。ただ一つ違っていたのはいつも捕食者側だった自分が獲物になったというところだった。
先程から彼女は動かない。視線だけをこちらに向けてきている。そして私の緊張が絶頂に達そうとしたときにようやく彼女が口を開いた。
「キミは【センセー】であって【先生】ではない。だからキミには答えられない。あと私怪物嫌いなんだ。あっと、悪かったね怪物、いや元人間の死神さん」
私は絶句したまま動けず、彼女の姿を追うことも何か話すこともできなかった。